肝臓病

肝臓病

肝臓の働きと病気

肝臓の働き

肝臓は重さが約1.5Kgもある、身体の中で最も大きな臓器です。生体内の化学工場と呼ばれ、さまざまな物質の代謝や生合成、アルコールや薬物の解毒などを行っています。

慢性肝炎は肝硬変・肝細胞がんへ進展する危険性がある

B型・C型慢性ウイルス性肝炎、脂肪性肝炎(NASH)、自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)といった慢性肝炎では、肝内で慢性的な炎症が持続します。
慢性的な炎症により肝臓の細胞が繰り返し壊されると、そこに線維というかさぶたのようなものが沈着して、線維が徐々に積重なってやがて肝硬変に進展し、肝細胞がんが発生するリスクも高まります。

主な肝臓病

主な肝臓病には以下のようなものがありますが、多くの場合は自覚症状がなく、健康診断の血液検査等で偶然に発見されます。ですから、定期的に健康診断を受けられ、肝機能検査で異常値が認められた場合は、すぐに肝臓専門医を受診していただくことが大切です。

B型慢性肝炎、C型慢性肝炎

日本の慢性肝炎の大多数を占めるのがB型慢性肝炎、C型慢性肝炎です。いずれもB型肝炎ウイルス・HBV、C型肝炎ウイルス・HCVの持続感染により発症進展します。肝機能(血中AST、ALT値)が高いまま持続すると肝硬変に至り、肝細胞がん発生のリスクも高まりますから、適切な治療と充分な経過観察が必要です。

脂肪性肝炎(NASH)

栄養の摂りすぎ、運動不足などが原因で、肝臓の内部に脂肪が蓄積してしまう病気です。ここ10年余りの研究により、脂肪肝の約20%では肝内で慢性的な炎症が持続する脂肪性肝炎(NASH)になり、厄介なことにそのうちの10~30%が肝硬変に進展し、肝細胞がんが発生することも明らかにされ、NASHは危険な肝臓病として認識されるようになりました。
肥満や栄養過多により発症するので、まさに生活習慣病の肝臓版と言えます。実際にNASHの患者さんは高率に糖尿病や脂質異常症を併発しており、NASHと他の生活習慣病が互いに影響を及ぼしあいながら進行していくと考えられます。
自覚症状は全くなく、たまたま血液検査で発見されることが多いので、健康診断などの血液検査で肝機能異常を指摘されたら面倒くさがらずに早目に肝臓専門医を受診され、NASHと診断されたら糖尿病や脂質異常症等の検査も合わせて行うことが肝要です。
生活習慣病患者さんの急増にともない、NASHの患者数は急増しており、最も注目されている肝疾患です。

アルコール性肝炎

お酒の飲みすぎにより肝内で慢性的な炎症が持続して、やがて肝硬変に進展したり肝細胞がんが発生したりする病気です。

■積算飲酒量

どれくらいの量のアルコールを飲んだら肝硬変になるか気になるところですが、その目安として「積算飲酒量」があります。これは、どれだけの量の純アルコールを一生涯で摂取したかを表す指標で

  • 「飲んだお酒の量(ml)」 x 「お酒のアルコール濃度(%)」 x 0.8(g)で示されます。

積算飲酒量が500Kgを越えると、肝硬変になる危険が高いと言われています。
ビールのロング缶を2本毎日飲むと約35年、ワインをボトル1/3本を毎日飲むと約50年、日本酒3合を毎日飲むと約20年で肝硬変の危険領域に突入します。もちろん、アルコール代謝能力には個人差がありますから、あくまで目安ですが、一度皆さまの積算飲酒量を計算されてみてはいかがでしょうか?

自己免疫性肝炎(AIH)・原発性胆汁性胆管炎(PBC)

自己免疫反応により発症する病気で、AIHはALT値の上昇で、PBCはALP、γGTP値の上昇で発見されることが多く、いずれも中年以降の女性にみられる病気です。
正確な診断、適切な治療を行えば予後は良好ですが、専門性が高い病気ですので、この病気が疑われた場合はすぐに肝臓専門医にご相談ください。

脂肪肝チェックリスト

以下の項目に当てはまる方は、脂肪肝のリスクが高いです。早めに血液検査を受けて、初期段階で食い止めるようにしましょう。

  • お腹周りが太っている。
  • 甘いもの、脂っこいもの、味付けの濃いものが好き。
  • 飲酒量が多い。
  • 運動量が少ない。
  • 身体が疲れやすい。
  • 高血圧の傾向にある。
  • コレステロール値が高い。
  • ストレスを感じやすい性格。

当院の肝臓病の治療

B型慢性肝炎・C型慢性肝炎の治療

ここ10年余りのB型・C型慢性肝炎の治療薬(抗ウイルス薬)の進歩は著しく、B型慢性肝炎は飲み薬の抗ウイルス剤によりHBVの増殖を抑制でき、C型慢性肝炎は飲み薬の抗ウイルス剤とインターフェロン注射の併用、もしくはインターフェロンを使用しない抗ウイルス剤のみの治療により高率にHCVを完全に排除することができます。
またB型慢性肝炎、C型慢性肝炎の治療は、国の制度により治療費が助成されますが、当院は東京都肝臓専門医療機関に指定されており、肝臓専門医が診療に従事しておりますので、医療費助成に係る診断書を作成し、治療を提供することができます。
実際に当院でC型肝炎のインターフェロン併用療法やインターフェロンフリーの飲み薬の抗ウイルス剤による治療を行っている患者さんがおられます。治療に興味がある方、迷っておられる方は、気軽にご相談ください。

脂肪性肝炎(NASH)の治療

残念ながら、現在のところNASHの特効薬はありませんが、減量により確実に肝機能は改善します。アルコール性肝炎が飲酒をやめれば改善するのと同じです。
しかし、減量は「言うは易し」で、なかなか簡単ではありません。そこで、生活習慣病の克服を目指す当院の専門医の腕の見せ所になります。糖尿病や脂質異常症の生活指導に精通した専門医が、患者さんひとりひとりのライフスタイルに合った生活習慣、食生活の改善法をアドバイスすることで、生活習慣病としてのNASHの改善に貢献したいと思います。

AIH・PBCの治療

AIHは副腎皮質ステロイドホルモン、アザチオプリン、ウルソデオキシコール酸といった飲み薬による治療、PBCはウルソデオキシコール酸、ベザフィブラートといった飲み薬による治療が行われます。
比較的珍しい病気ですので治療経験の多寡がものを言いますが、当院の肝臓専門医はこれらの疾患の治療経験が豊富ですので、治療で悩まれている方はお気軽にご相談ください。
また、AIHもPBCも国の難病医療費助成制度の対象となっていますが、当院は東京都難病医療費助成指定医療機関および難病指定医に指定されていますので、いずれの病気に対しても特定医療(受診・治療)の提供および臨床調査個人票の作成ができます。

肝機能検査値の読み方

健康診断などで検査される肝機能で代表的なものは以下の項目です。

  • AST(GOT)
    肝細胞や筋肉に存在する酵素で、肝細胞障害時に、血液中に漏れ出して高値を示します。
    特にアルコール性肝障害時でALTより高値を示します。
  • ALT(GPT)
    肝細胞に存在する酵素です。肝細胞がダメージを受けると、血液中に漏れて数値が高くなります。
    ウイルス性肝炎、脂肪肝などで高値を示します。
  • ALP
    胆管細胞、骨、唾液腺など身体の様々な部位に存在する酵素です。
    肝臓の病気では、胆汁うっ滞、薬物性肝障害、胆石などで高値を示します。
  • γ-GTP
    肝細胞、胆管細胞に存在する酵素です。
    アルコール性肝障害、薬物性肝障害、脂肪肝、胆石などで高値を示します。

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