中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報


さらに水溶性ビタミンの解説を続けます

<ビタミンB6>

@種類

*ピリドキサール

*ピリドキシン

*ピリドキサミン

の3種類があり

ピリドキサール ピリドキシン ピリドキサミンの構造図

生体内で活性化され
リン酸化エステル型の
PL PN PM に変換されます

また
一部は体内で腸内細菌により作られています

腸内細菌で作られるビタミンをまとめた図

他のビタミンの解説でも紹介したように
最近注目されている腸内細菌が
ビタミンを造るのは
興味深い現象です

@働き

リン酸化 脱リン酸化 酸化還元反応
などに関わる酵素補酵素として働きます

特に タンパク質の代謝をサポートします

タンパク質の代謝をサポートすることを強調する図

タンパク質代謝に関わる

*アミノ基転移反応を触媒する
 トランスアミナーゼ

*脱炭酸酵素
(カルボキシル基を取り除く)

などの補酵素として働き

タンパク質代謝に関わる酵素の補酵素として働くことを示す図

*食事で摂ったタンパク質を
 アミノ酸に分解し

*体内でアミノ酸から
 タンパク質を作る

それぞれの過程に貢献します

タンパク質のアミノ酸への分解に関わることを強調する図

タンパク質の摂取量が多くなると 
B6の必要量が増えます

こうして
筋肉や血液などが作られる際に
働いています

B1は糖質

B2は脂質

*B6はタンパク質

三大栄養素の
それぞれの代謝に関わるビタミンB類が
B1 B2 B6と
うまく役割分担されているのは面白いですね

三大栄養素のそれぞれの代謝に関わるビタミンB類がうまく役割分担されていることを示す図

また 皮膚 粘膜の健康維持にも役立ちます

皮膚 粘膜の健康維持にも役立つことを示す図

さらに
神経伝達物質セロトニン GABA ドーパミンなど)の
合成にも関与します

神経伝達物質の合成に関与することを示す図

@ビタミンB6が多く含まれる食品

かつお まぐろなどの魚類 レバー 肉
などに多く含まれています

果実ではバナナに比較的多く含まれています

ビタミンB6が多く含まれる食品をまとめた図

@欠乏症

湿しんなどの皮膚炎 口内炎 
貧血 
脳波の異常
などがおこります

ペラグラ様皮膚炎は特徴的な皮膚炎で
日光が当たる部分に
発赤 水疱 色素沈着などが起こります

また 
末梢神経障害 眠気 倦怠感
も起こります

ビタミンB6は
腸内細菌によっても作られることから
一般的には不足しにくいのですが

長期間 抗生剤を飲んでいる人では
腸内細菌叢が乱れて
働きが悪くなってしまい
B6の産生が不足することがあるので
注意が必要です

@過剰症

通常の食生活では 
とり過ぎになる心配はほとんどありません


<ビタミンB12・コバラミン>

ビタミンB12は 生体内では

補酵素として働く 
メチルコバラミン アデノシルコバラミン

として存在します

メチルコバラミン アデノシルコバラミンとして働くことを示す図

@吸収の特徴

ビタミンB12の吸収過程は複雑で

まず 胃で  
胃壁細胞から分泌される内因子と結合し
回腸末端部の受容体を介して吸収されます

吸収過程を示す図

ですから 
手術で胃を切除した人は
ビタミンB12不足になりやすいので
注意が必要です

@働き

メチル基転移反応を触媒する酵素の
補酵素として働きます

この「メチル基転移反応」の代表例が

*貯蔵型のメチル葉酸からメチル基を奪って
 活性型葉酸に変換し

*奪ったメチル基を
 アミノ酸のホモシステインに転移して
 メチオニンに変換する

という反応です

メチル基転移反応を触媒する酵素の補酵素として働くことを示す図

この反応で活性型となった葉酸
DNAを構成する塩基のひとつである
チミンの合成を推し進めます

葉酸のチミン合成過程を示す図

つまり ビタミンB12は
「葉酸からのDNA合成」を
アシストするわけです

これまで見てきたビタミンB群の
三大栄養素の代謝を促進する働きとは
少し趣が異なります

葉酸 B12の代謝への関与をまとめた図

ちなみに 
B12が働きかける葉酸
次回説明するビタミンBメンバーの
ビタミンB9 です

一方で

ビタミンB12と葉酸は
骨髄内で赤血球が成熟していく過程を
協力して後押しします

骨髄内で赤血球が成熟していく過程に関与することを示す図

このように 
ビタミンB12と葉酸は
DNA合成 赤血球成熟といった  
遺伝子や細胞の成り立ちを
協力して支えています

ビタミンB12と葉酸はDNA合成 赤血球成熟といった 遺伝子や細胞の成り立ちを協力して支えることを示す図

また 
メチルコバラミンには
神経細胞を修復して
神経伝達をスムーズにする働きもあります

神経細胞修復に関与することを示す図

@ビタミンB12が多く含まれている食品

かきなどの魚介類や レバーなどに 
多く含まれています

ビタミンB12が多く含まれている食品をまとめた図

@欠乏症

代表的なのが 巨赤芽球性貧血 です

赤血球の成熟・ヘモグロビン形成が
上手くできず
酸素が運べない無用で巨大な赤血球に
なってしまうので
貧血になります

巨赤芽球性貧血への葉酸 B12の関与を示す図

極端な偏食でなければ
ビタミンB12不足は
おこりにくいのですが

胃や腸を手術で切除した場合など
ビタミンB12の吸収が上手くいかない人
動物性食品をあまり食べない人 
菜食主義の人では
不足する可能性があるため注意が必要です

肝臓に数年分の備蓄があるので
欠乏してから数年たって症状が出てきます

ものわすれ 末梢神経のしびれ 痛み
といった症状が見られることもあり

しびれの治療には
ビタミンB12製剤が投与されます

B12は貧血予防 神経修復に有用なことを示す図

@過剰症

過剰に摂っても
必要以上には吸収されないので
とり過ぎになる心配はありません

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