中央区・内科・高橋医院の
食事と健康に関する情報


果物のとりすぎの危険性 
についてご説明しましたので

今日は 
果物に含まれる糖質の
主たる成分の 果糖 について解説します

果物から果糖が絞りだされている写真


<果糖とは?>

糖質の分類については 
既にご紹介しましたが

果糖はブドウ糖と並ぶ代表的な単糖類で
砂糖(ショ糖)は 
ブドウ糖と果糖が結合してできています

単糖類のメンバーを示した図


果物や蜂蜜に多く含まれ 
天然に存在する糖の中では 
最も甘い糖です

また 清涼飲料水 乳飲料 冷菓類などの
甘さの原料である異化化糖にも
果糖が含まれています


<果糖はブドウ糖より危険!>

果糖は 
ブドウ糖とは異なる性質を有しています

ブドウ糖と果糖の性質の違いを示した表

ブドウ糖は 
腸から吸収され血液中に入り 
血糖値を上げ
インスリンによって血糖値は調節され
全身の細胞に運ばれ
エネルギーとして使用されます

一方 果糖は 
吸収がゆっくりで
吸収後すぐに肝臓に運ばれて代謝されるので
血糖値を上げませんし 
インスリンも分泌させません

ブドウ糖と果糖の吸収後の動態の差異を示した図

血糖値を上げないので 
肥満を防ぐのではないかと
考えられていましたが

果糖も過剰にとると 
肥満のリスクがあることが
明らかにされてきました

なぜかというと

@果糖は中性脂肪になりやすい

肝臓に運ばれた果糖は
代謝されグリセロアルデヒドになりますが

そのままでは貯蔵できないため
貯蔵できる中性脂肪の原料の脂肪酸や 
VLDL コレステロールに変換されます


@内臓脂肪を増やし 脂肪肝を起こさせる

実際に 
果糖の多い飲み物とブドウ糖だけの飲み物での⽐較試験で

果糖の方が
内臓脂肪を増やすことが確認されています

果糖は脂肪を貯めやすいことを示すグラフ


当然 脂肪肝も起こしやすい

果糖は脂肪肝を起こしやすいことを示す図


@満腹感を得られない

ブドウ糖は血糖値を上げるので 
脳は満腹感を感じ食欲が抑えられます

ところが
果糖は血糖値を直接的には上げないので
脳が満腹感を感じず 
食欲が抑えられません

満腹に関連するホルモンのピークが低く 
満腹感を与えにくいことも関連しています

そのため 
果糖を摂取し過ぎることになり
中性脂肪が蓄積され 
肥満などにつながると考えられています


@有害な終末糖化産物・AGEsをたくさん作らせる

血中の過剰な糖は 
タンパク質と結びついて メイラード反応を起こし
AGEs終末糖化産物)を作り出すことを
説明しました

AGEsは大量の活性酸素を生み出し
それらは細胞や組織を傷つけ 
動脈硬化や老化促進にもつながりますが

終末糖化産物の悪影響をまとめた図

肝臓で果糖が代謝されできるグリセロアルデヒドから
AGEsが作り出されます

そして 
果糖からできるAGEsはGlycer AGEsと呼ばれ
他のAGEsよりも毒性が強い

また

果糖はグルコースよりも 
迅速にメイラード反応の初反応が起こり
約10倍も糖化反応に使われやすく

さらに

タンパク質と結びつく力が
ブドウ糖の約100倍も高いことが
明らかにされています

果糖は終末糖化産物を作りやすいことを示す図


このように 
果糖の生体への毒性は
グルコースよりもはるかに高く

この毒性を早く消す目的で
肝臓は果糖を優先的に迅速に処理するとすら
考えられています


とびきり甘くて 
血糖値を上げないので 
一見優等生に見える果糖ですが

哀しい世の中の常で 
甘いものには罠があるのですよ!(笑)

果糖の危険性をアピールする写真

@知らぬ間に果糖をたくさん摂取している

果糖は果物だけでなく
コーラ ジュースなどの清涼飲料水や 
乳飲料 冷菓類
さらには加工食品にも
大量に含まれています

果糖は清涼飲料水や加工食品に大量に含まれていることを示す写真

フルーツジュースやスムージーも危険です

危険な罠に引っかからないように
そうした飲料の飲みすぎに 
充分に注意することが大切です








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