民主主義とは何だ?

NHKの特番 欲望の民主主義

だらだらと感想を述べ綴ってきましたが 
やっと最終回です

ここまでお付き合いいただいて 
有難うございました(苦笑)

さて 冒頭に記した 
根源的な問いがなされる最終パートでは

ドイツの哲学者の マルクス・ガブリエル の
登場頻度が増えます

マルクス・ガブリエル

彼は 民主主義について 
こんな風に語ります

民主主義は 
情報処理の特定の形であり
人間の行動を組織化する方法で 
真実を中立的に判断すること 
である

ともすれば人は
民主主義を 
真実を得る方法 
うそつき政府を暴く方法 
と信じがちだが
そうした解釈では混乱を招いてしまう

また 現在 直面しているさまざまな問題は
感情的な判断から
引き起こされているので
感情的でない民主主義が必要だ

民主主義は 
あくまで社会を機能させるシステムであり
そこに善悪の判断や 
過度な感情的な期待を
求めてはいけない

ということでしょうか?

また 彼はこんな風にも語ります

民主主義の機関は 
巨大な情報処理システムである

現代では 大きな社会システムが 
どのようにして稼働しているか
誰も理解できていない

政府の仕事は 
この仕組みを理解できている者がどこかにいる
という錯覚を生み出し 
それを維持することである

現代社会を支配する
巨大で複雑化したシステムを
俯瞰的に理解できている人なんていない

という指摘は 
確かに色々なところで見聞きします

でも そうしたら 
人はどうすれば良いの?

見通しの効かない霧のなかで 
ひたすらもがくしかないの?

見通しの効かない霧のなかでもがく人

彼は テロリズムについても言及します

テロリズムは 
恐怖を作り出すことによる支配 統治であり
人々の間に恐怖が増しているが 

極端な恐怖と不安には 
大抵 根拠はない

根拠のない視線が
恐怖を作り出している

うーん ここは 
わかったような わからないような、、、(苦笑)


そして彼は 
民主主義の未来について 
こう語り続けます

民主主義は 
手続きや制度の中で 
普遍的価値観を実現する試みで

私達は 
まだ民主主義を実現していない

民主主義は 未完成なもの 
常にこれから実現されるもので
今の民主主義が正しい規範だと
勘違いしてはならない


では どのような方向に 
作り上げていくのか?

民主主義は
共同体の倫理の実践であるが

それは反対派の共同体とも言え

異なる意見を意見として認めること
声なき声を尊重する制度 
少数派の気持ちを尊重することが
民主主義の必要最低条件である

民主主義が機能するのは
普遍的価値を受入れたときだけだと
認識すべきで

その普遍的価値は 
他人の苦しみを理解する 
人間の度量にかかっている

苦しんでいる人の気持ちを推し量り
それを自分のこととして認識することが 
倫理感の原点であり
それがないと民主主義は機能しない

結局 民主主義のキモは 
前回も言及しましたが

他者への思いやりであり 
反対意見への寛容さ 

ということでしょうか?

民主主義で大切なことは 他者への思いやりであり 反対意見への寛容さであると説く図

そして彼は こんな警句も発します

もし民主主義の価値観が世界で崩壊したら
かってない規模の戦争が起こるであろう

だから 
民主主義を守るのは価値があることで
今のところ 
人間がみんなで生き残るための
唯一の選択肢である


最後に 民主主義と欲望の資本主義の関係 
について言及します

民主主義は 
欲望の資本主義と明らかに関係している

この恐怖の欲望を乗り越えなければならない

資本主義に反対し民主主義に賛成する人々

では どうすれば乗り越えられるか?

そのための唯一の道は
民主主義の最大の価値を
思い起こすことである

彼が敢えて具体的な言及をしなかった 
民主主義の最大の価値とは

再度 
他者への思いやりであり 反対意見への寛容さ

ということでしょうか?


ということで 
欲望の資本主義 の続編 欲望の民主主義

アメリカ フランスという
民主主義の老舗の国々において
民主主義がいかに苦悩しているかが
よくわかりましたし

民主主義とは何か? 
という根源的な議論も交わされ

今回もなかなか面白かったし 
勉強になりました


意外な収穫だったのは 
マルクス・ガブリエル を認識したことです

マルクス・ガブリエル

実は彼のことは 
そのうちに紹介しようと思っている
「いま 世界の哲学者が 考えていること」という 
とても面白い本に

現代哲学界のスーパースター的な扱いで
紹介されていたので

「いま 世界の哲学者が 考えていること」という本の表紙

彼の名前は知っていたし 
興味を持っていたのです

それが この番組で 
実際の風貌 話し方などを見ることが出来て
驚きましたし とても面白かった

確かに
番組のまとめのパートのほとんどを 
彼のインタビューが占めていたように

彼の意見は面白かったし 
説得力がありました

今後も注目したいと思います

語るマルクス・ガブリエル

プロデューサーの丸山さん 
さすがのご人選でしたね!(笑)


さて 一昨日 
哲学者の中村雄二郎さんの訃報を
新聞で知りました

中村雄二郎さんの写真

書き手が学生時代 
自分の価値観を形成しようとしていた時期に
中村さんの著作をむさぼり読んで 
とても大きな影響を受けたものです

ものを考えるときの指標を
与えてくださった方のひとりです

共通感覚論 
魔女ランダ考 
感性の覚醒 
などなど

雄二郎さんの著作が懐かしいです、、、

ご冥福をお祈りしたいと思います
高橋医院