中央区・内科・高橋医院の
食事と健康に関する情報 


前回ご紹介した背景をもとに
研究グループは  
1975 年の日本食の特徴を明確にし

そうした日本食が 
ヒトにおいても
有益な効果を発揮するかを証明するために

健常人や軽度肥満者に与える影響を 
現代食と比較検討しました

まず 
1975 年の日本食の特徴を検討したところ
現代の日本食と異なる特徴は
以下の5つの要素に分けられることが
明らかになりました

@多様性

いろいろな食材を少しずつ食べていて
主菜と副菜を合わせて3 品以上ありました

@調理法

煮る 蒸す 生 が一番優先され
次いで 茹でる 焼く が多く

揚げる 炒める といった調理法は 
控えめにされていました

@食材

大豆製品 魚介類 
野菜(漬物を含む)果物 
海藻 きのこ 緑茶
などを積極的に摂取し

卵 乳製品 肉も
適度に(食べ過ぎにならないように)
摂取していました

@調味料

出汁や発酵系調味料(
醤油 味噌 酢 みりん お酒)
を上手く使用し
砂糖や塩の摂取量を抑えていました

@形式

一汁三菜
(主食:米 汁物 主菜 副菜×2)
を基本として
いろいろなものを摂取していました

健康的な日本食の特徴をまとめた図

*色々な食材を少しずつ摂っていた

*タンパク質や脂質を 
 肉でなく魚介類や大豆などから
 主に摂っていた

*ワカメやヒジキなどの海藻を多く食べ
 食物繊維が豊富に摂れていた

*揚げる 炒めるといった
 油を使った調理が少なかった

*調味料には砂糖や塩分を控えていた

といったことがわかります

確かに いかにも 古き良き日本食 
というイメージがあります!

古き良き日本食の写真

さて 約1か月間
1975年型日本食 または 現代の日本食を食べると
どのような変化がみられたか検討したところ

@BMIが24~30の軽度肥満者では

現代食群と比べて1975 年型日本食群において
*BMI 体重が有意に減少し

*LDL コレステロール ヘモグロビンA1c ウエスト
 が減少傾向にあり

*HDL コレステロールが増加傾向を示しました

@BMIが18~25の健常者では

現代食群と比べて1975 年型日本食群において
ストレスの有意な軽減
運動能力の有意な増加が見られました

つまり

*メタボ傾向の人は
 あらゆる生活習慣病のリスクが改善し

*メタボでない人は
 ストレスがなくなり 運動能力が向上した

マウスの実験でも 
1975年型日本食が
最も糖質・脂質の代謝を活発にし
内臓脂肪がつきにくかったのですが
ヒトでも同様の結果が得られたわけです

ちなみに カロリーだけをみると
1975年型日本食の方が
現代の日本食よりむしろ多いのですが
それでも体重減少効果が得られた理由として

1975年の日本食は
質素な日本食ではなく欧米の影響が少し入り
和洋折衷の食材の
バラエティに富んだ内容なのが特徴で

一方
現代の日本食は
炭水化物の量が減り
脂質への偏りが見られているので

結果として

多くの種類の食材を
まんべんなく摂取したことが
エネルギー代謝の促進につながり
体重が減少し得たのではないかと

研究グループは考察しています


さらに興味深いのは

マウスの実験では
1975年型日本食と現代日本食の
炭水化物 タンパク質 脂質のバランスを再現した
食餌を与えただけでは
両者間で
代謝の活性化や肥満の改善に
差異がみられなかったことで

このことからも
食物繊維やポリフェノールなどの
三大栄養素以外の要素が
影響を及ぼしている可能性
が考えられ

多くの種類の食材を
摂取することの重要性が
さらに裏付けられます

健康にとって重要な多くの種類の食材をまとめた図

また 
ひとくちにタンパク質や脂質と言っても
肉の脂の脂質と
豆類に含まれる脂質は 
質的に異なるように
食材によって得られる種類が異なります

この点からも
再度 多くの種類の食材を摂取することの
重要性が裏付けられます


なるほど 大切なのは

カロリーや
巷で“体に良い”とされる
特定の食材ばかりに固執せず

多くの種類の食材を 
バランスよく食べること

なのですね

バランスの良い食事についてまとめた図

まさに 栄養学的にも 
また研究の方法論的にも

ともすれば陥りがちになる
木を見て森を見ず的な傾向への警鐘とも思われ
書き手はかなり納得できました

日々の食生活の中で
カレーやラーメンなどの
単品メニューばかり摂らないように

また 揚げ物や炒め物ばかり食べないように注意しつつ

できるだけたくさんの種類の おかずが並んだ食卓

できるだけたくさんの種類の
おかずを摂るようにする

こうしたことを心掛ける重要性を
再認識させていただきました


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