さらに番組では 
アダム・スミスの「見えざる手」 
について議論されます

アダムスミスの彫像

経済学は勉強したことがない書き手も
さすがに大学受験のときに勉強した
政治経済の知識レベルで

アダム・スミスは 
経済学の父と呼ばれ 
代表的な著作の国富論で

国富論の表紙

個々人が利益を得るために努力すれば
市場の“見えざる手”によって 
社会全体が栄える

と述べたことくらいは知っています(笑)

見えざる手の説明

セドラチェックは

この“見えざる手”こそが
際限なく増える欲望を 
肯定・正当化した張本人だ

と指摘し

語るセドラチェック

スティグリッツは

アダム・スミスの
市場万能論・見えざる手に任せておけば大丈夫
という論は

現代市場経済の中心にある
インセンティブ・自己の利益の追求という
考え方のバックボーンとなり

それが故に 
リーマン・ショックを引き起こす大きな原因になった

と主張します

そして 
見えざる手は 存在しない 
と言い切ります

語るスティグリッツ

自己利益の追求による市場活動が 
見えざる手によって調整され
市場は最終的に社会に富をもたらす 
というアダム・スミスの考え方は
間違いだった

18世紀と21世紀では 
経済の様子が全く異なるのに
多くの経済学者が 
いまだにアダム・スミスに頼りすぎている

彼のアイデアは
製造業により資本主義が本格的に栄える
前の時代に生まれたもので
巨大多国籍企業が跋扈する現代には
フィットしない

利益の追求という
人間の欲望を見抜いた洞察力は凄いが
現代の資本主義のあり方までは 
予測できていない

まあ 言われてみれば 
なるほどという感じですが

何百年も先のことが
見通せていなかったと責められても
アダム・スミスも気の毒ですよね

預言者ではないのだから(笑)

一方で 
アダム・スミスが国富論の前に書いた
道徳感情論にも言及されます

道徳感情論の表紙

人間がどんなに利己的だとしても
その本性のなかには 
なにか別の原理がある

人は何も得なくても 
他人に対して善行を施す性質を持っている

見えざる手で 
欲望追及に正当性を与えたスミスは
こうした倫理的なことも語っていたのです

道徳感情論で語られていることの説明

セドラチエックは

スミスの道徳感情論は
国富論で論じた
自己の利益の追求の正当化とは180度異なり

社会は 利己主義 と 共感 のふたつを持ち
どちらかだけに偏ってしまえば 
大事なものを失う

と言っていたのではないか? 
とコメントしています


欲望と共感は 
うまい具合に共存しないといけない

ということですね

うーん 
確かにこのバランスをとるのは 
何気に難しいかも?(笑)
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