毎週土曜日のネコブログファンの皆さん
スミマセン 
今日はネコネタをお休みします

というのも

最近 関東地方で
RSウイルスがかなり流行しているようなので
そちらの情報提供を優先させてください
(一応 医療機関のブログですので:苦笑)

RSウイルスの電顕像

さて 国立感染症研究所が
10月11日に出した速報では

9月26日~10月2日の1週間に
全国の医療機関から報告された
RSウイルスの患者さんの数は5463人で

同じ時期では 過去10年間で最多で
去年の同じ時期の2.7倍になっていることが
わかりました

感染者の報告数の増加を示すグラフ




上のグラフの赤四角が今年の患者数で
急激に立ち上がっているのがわかります

今年は8月中旬から患者が増え始め 
9月に急増しており

最新の1週間の報告数が最も多かったのは
東京で
神奈川 大阪 埼玉 千葉と続き 
上位に関東の都県が目立つそうです

で RSウイルス って なに? 
インフルエンザと関係あるの?

と思われる方が圧倒的多数だと思いますので 
少し解説します

RSウイルスは 
乳幼児が最も感染しやすいウイルスの一種で

生後数週から数カ月の乳幼児が感染すると
細気管支炎や肺炎などの 
風邪よりもっと重症な病気を引き起こします

乳幼児における
肺炎の約50% 
細気管支炎の50〜90%を占め
年長の小児においても 
気管支炎の10〜30%に関与しているとされます

RSウイルス感染症の症状などの説明図

厄介なのは
インフルエンザのように 
一度罹れば免疫ができるわけでなく
何回も罹ることがあり 
ひとシーズン内で再感染する子供もいます
(回復後2〜3週で再感染可能になるそうです)

そして
インフルエンザのように
ワクチン接種で予防することもできません

例年 秋から流行が始まり 
年末をピークに春まで続きますが
今年は例年に増して 
その勢いが激しいようです

インフルエンザの流行に先行して始まり
インフルエンザの流行が始まると
RSウイルスの患者さんは減少する傾向がありますが

患者さんの数は 
インフルエンザよりRSウイルスの方が多い

潜伏期は2〜8日 
典型的には4〜6日とされ

発熱 鼻みず 喉の痛み などの
上気道炎症状が数日続き
そのあと 
下気道症状が出現してきます

RSウイルス感染症の呼吸器症状の説明図

高熱が続くことは稀で
鼻水が多く 
次第に粘稠かつ多量になり

気管支炎 肺炎などの 
より重篤な下気道疾患に進展する場合には
激しい咳や痰 ゼイゼイ ヒューヒューという喘鳴
呼吸困難などが出現してきます

お子さんがこうした症状を示されたら 
要注意です!

また 高齢者でも 
重症の気管支炎 肺炎を起こすことがあります

RSウイルス感染症には 
インフルエンザのような特効薬はありません

治療は基本的には対症療法(症状を和らげる治療)を行い
肺炎や気管支炎がひどい場合は 
入院治療が必要になります

大人も感染しますが

乳幼児や高齢者のように重症になることはなく 
単なる風邪ですみ
RSウイルスに感染したことに気付かず 
治ってしまうことが多い

しかし ここが厄介な点で

大人は軽い風邪ですんでも

家庭内で乳幼児に感染すると
初めて感染する乳幼児は 
重篤な肺炎や気管支炎になることがあるのです

パパやママがかぜをひいたら 
たとえ軽くても油断せずに
家庭内で 
手洗いや消毒を徹底する必要があります

最近は当院にも
ベビーカーを押して来院される若いお母さんや
赤ちゃんのいるお家に帰る途中に受診される
若いお父さんが増えてきたので

大人がかかっても軽い風邪ですむ
RSウイルスの話題を
敢えて提供している次第です

RSウイルスの感染は

RSウイルスに感染している人が
咳 くしゃみ 会話をした際に
飛び散るしぶきを吸い込む場合(飛沫感染)

感染している人との
直接の濃厚接触(赤ちゃんの抱っこやハグ)や

ウイルスがついている手指や物
(ドアノブ 手すり スイッチ 机 椅子 おもちゃ コップ等)を
触ったり なめたりする場合(間接的な接触感染)

に起こります

RSウイルスの感染様式を示す図



家族内では
効率よく感染伝播することが知られており

乳幼児や年長の小児のいる家族の場合
流行期間中に家族の44%が感染した
とする報告もあります

家庭内で子供から
RSウイルスをもらった大人が 
風邪のような症状を示し
知らぬ間に職場などで同僚にうつしてしまい

うつされたお父さんやお母さんが 
家庭で赤ちゃんにうつしてしまう

そうしたシナリオがいちばん怖い

ですから 
赤ちゃんがおられる家庭では 
風邪をひいた大人は

*マスクをつけて 
 唾液や鼻水が飛び散らないように気をつける

*流水・石鹸による手洗いを励行する

*赤ちゃんの身の回りのものを
   こまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒する

といったことを行ってください

感染予防対策をまとめた図




最近 風邪の患者さんが増えてきましたから
大人が赤ちゃんにウイルスをうつさないように 
充分に気をつけましょう


話が全く変わりますが(苦笑)

ボブ・ディラン

ボブ・ディランの写真

ラスベガスで行われたコンサートで
ノーベル文学賞受賞に関するコメントを
全くしなかったそうで

スウエーデンアカデミーも
まだ彼と直接コンタクトを
とれていないそうですね

書き手は彼のファンではありませんが
彼のそういうところは 
さすがだと思います?(笑)

授賞式に 出席するのかな?
高橋医院