甲状腺の病気はヨードと関連があります

でも ヨードってなんだ?
多くの方は 
ヨードについて気にされたことなどないでしょう

<ヨード・ヨウ素とは?>

ヨード(ヨウ素)は 
ヒトの生存や成長に欠かせない微量元素・ミネラルで
海のミネラルと呼ばれるように 
海産物に多く含まれています

文部科学省によると 
成人のヨード必要量は0.13mg/日
日本は海に囲まれた島国なので
海藻や魚介類から必要量のヨードを摂取できますが

内陸部の国などの 海産物の摂取の少ないところでは
ヨード欠乏症(ヨード不足による発育不全など)に
苦しまれている方々がおられます


<ヨードを含む食品>

ヨードを含む食品は
海産物 特に昆布や昆布だし 昆布の加工品に多くみられ
なかでも圧倒的に昆布に多く含まれています


さまざまな食物のヨード含有量

昆布1食(5g)当たりのヨード含有量は 10~15mg
わかめ1食(5g)当たりだと 0.5mg

いわしやヨード卵にも多く含まれています

昆布


<ヨードは甲状腺ホルモンの原料>

なぜヒトが生きていくうえで
ヨードが必要になるかというと

ズバリ ヨードは甲状腺ホルモンの原料だからです

ヨウ素の効果


甲状腺は
ヨードを原料に甲状腺ホルモンを産生しますが

甲状腺以外の臓器はヨードを必要としませんから
摂取されたヨードは甲状腺に集積します

甲状腺は血中の微量なヨードを
200~400倍にも濃縮する機能をもっていて
この機能はTSHにより増強されます

<ヨード摂取の甲状腺の病気への影響>

甲状腺に異常のない人が
ヨードを大量に摂取しても
甲状腺機能には影響しません

@橋本病では?

橋本病の人がヨードを摂りすぎると
一時的に甲状腺の腫れが大きくなったり 
甲状腺機能がさらに低下することがあります

過量のヨード摂取により 
甲状腺内でのヨード有機化が抑制されて
甲状腺ホルモンの合成が低下するためと考えられています

ですから 橋本病が疑われたら
すぐに甲状腺ホルモン補充療法を開始せずに
ヨードの過剰摂取がないかどうか確認し

過剰摂取があればそれをやめることで
甲状腺機能が回復してくる可能性があります

また 既に橋本病と診断されている患者さんは
機能低下を助長するヨードを多く含む昆布を
食べ過ぎないことが大切です

ヨードの過剰摂取の原因としてよくみられるのが
・普段から昆布スナックを多く食べている方
・根昆布療法を行っている方
・イソジンうがい薬でうがいを毎日行っている方
などです

イソジンうがい薬にはヨードがたくさん含まれています
(ヨードには殺菌作用がありますから)

日常生活でのヨードの摂取 うがい薬の服用に関する注意のイラスト

また 意外な話題としては 
キャベツ ブロッコリー カリフラワーには  
ゴイドロゲンという 
甲状腺ホルモンの合成を妨げる物質が多く含まれていますから
橋本病の方は食べ過ぎに注意された方が良いです




@バセドウ病では?

バセドウ病では 
普段の食事でヨードを制限する必要はありませんが

内服治療をしている患者さんが 
ヨードを大量に摂取すると
甲状腺機能がさらに変化することがあるので 
過剰摂取は避けた方が無難です


パリパリ昆布

書き手は個人的には
あまり昆布スナックには興味ありませんが

でも 天邪鬼ですから 
ダメと言われると逆に興味が出てしまい?(苦笑)


高橋医院