中央区・内科・高橋医院の 
食事と健康に関する情報 


食事が慨日リズムの制御に大きく関与することが
判明したことから

最近は何をどれだけ食べればよいかという視点ではなく
「いつ何をどれだけ食べるべきか」
という視点で考える時間栄養学が注目されています

そこで強調されるのは朝食の重要性です

朝食が慨日リズムのリセットに重要である
と説明しましたが

Breakfastの語源は 
fast:飢餓 を break:断ち切る

Breakfastの語源の図示

つまり 
前の晩の夕食からの10時間以上の長きにわたる絶食状態が
朝食で断ち切られることで 
体内の細胞は慨日リズムがリセットされたことを知るのです

朝食を食べることはそれだけ意義があることで

実際に朝食を食べないことによるデメリットが
明らかにされています

*摂取エネルギーは少ないが
 活動エネルギーが低い

*肥満になりやすく
 歩行数が減少し筋肉量が低下する

*精神活動が低下し 学業成績が良くない

朝食をとらないと
前の晩の夕食からの欠食時間が長くなるので

そのための
低血糖→食後血糖の急激な増加→
インスリン過剰分泌→脂肪合成促進→肥満
というシナリオです

食後高血糖の怖さを思い出してください

低血糖状態が長くなるので 
血糖維持のために
半日しか持たない肝臓のグリコーゲンを
使い切ってしまう

するとエネルギーを得るために
筋肉を壊して糖新生するはめになる

そうなると筋肉量が減り
基礎代謝量が減ってしまうので
ますます太りやすい体質になってしまう

朝ごはんを食べない人は食べる人に比べ 
エネルギー摂取量は変わらなくても
5倍も太るというデータもあります

ダイエットのために朝食を抜くというアイデアは 
まさにナンセンスなのです

エラそうなことを書いていますが
書き手も若い頃は
そんなことをしたことがあります(苦笑)


朝食の内容にも気を配ることが大切で

ご飯やパンの炭水化物だけではダメで
炭水化物とともにタンパク質も
一緒に摂ることが大切だそうです

菓子パンだけというのは最悪!(笑)

毎朝焼き魚は無理でしょうから
卵ごはんとかハム野菜サンドイッチとか

和食の朝食

またインスリンを強く分泌させる食物が
体内時計を動かしやすいとされ

朝食には
インスリンをより強く分泌させる
GI値が高い食物を食べ

逆に夕食には
GI値が低い食物を食べると良いとされています


GI値 思い出してくださいね

GI値が高い食物は
食後高血糖を誘導してよくないとされていますが
体内時計のリセットには役立つようです


また朝昼夕の3食をしっかりと食べ
そのバランスを考えることも重要です

体のリズムを整えるための食事と生活習慣

規則的な時間に食事をすれば 
食事の量や質に関わらず 
肥満にならないことが明らかにされています

また 
朝食の量を多くして 夕食の量を少なくすると 
生活パターンが朝型になり太りにくくなる

脂質代謝関連遺伝子の発現量は昼に多いので
エネルギーが充分に代謝されきり蓄積しないからです

逆に夕食がメインになると
体重が増加しコレステロールも上昇してしまう

生活パターンは夜型になり
そうすると糖や脂質の代謝の中心である肝臓の
慨日リズムが消失し
食事で摂取したエネルギーが脂肪として蓄積されてしまう

特に栄養素の代謝をつかさどる肝細胞の慨日リズムは
食事による影響を非常に強く受けるようです


これらのことから言えることは

3食をバランスよく 
特に朝食に重きを置いて食べ 
夕食は控えめにすることの大切さ

肥満しやすい遺伝子を持ったマウスでも
3食バランスよく食べると肥満しないそうです

朝や昼を欠食すると 
それだけ次の食事が過食になってしまいます

また 食事により消費される食事誘導性熱産生量
同じ内容の食事でも朝食が夜食の4倍あるそうで
同じものを食べても
朝食ならエネルギーを消費するのに 
夕食だとエネルギーを消費しない

それだけ夕食は
非効率的なエネルギー摂取ということです

そして最悪なのが
夜遅くに食べること

糖尿病や脂質異常症の患者さんで頻繁にみられるパターン

当院の患者さんでも こうした食生活パターンの影響で
糖尿病や脂質異常症になられた方がとても多い

夜遅く食べると
確実に慨日リズムが夜型になりますし

そうすると昼間以上に
高脂肪のスナックや菓子類をだらだらと食べるようになり
過剰な脂肪摂取は
さらに慨日リズムを狂わせてしまう

そして胸焼けして朝食を抜かしてしまう  

まさに悪循環です!

その結果がどうなるか 
わざわざ書かなくてもご存知ですね(苦笑)

夜遅くの食事への警告

夜遅くの食事で脂肪が溜まることは
以前にご紹介した時計遺伝子の検討からも
明らかにされています

BMAL1は脂肪を合成させる酵素群を誘導しますが
昼に比べて夜の発現量が多い
だから寝る前に食べたものは
全て脂肪になり蓄積されてしまうのです

逆に昼間の発現量は低いので
夕食に比べ朝食や昼食に食べたものは
脂肪として蓄積されにくい

bml1発現の日内変動

どうしても仕事などの関係で
夜遅くに食べざるを得ない場合は

当院の患者さん達にもお勧めしていますが
18時頃におにぎりなどの炭水化物を食べて
家に帰ってからは野菜やお肉のおかずだけ食べる

このような夕食の分割が勧められています

ここに気をつけるだけで
確実に体重が減って
血糖値やコレステロール値は改善します!

但し あくまで1食分の量の分割で
18時と帰宅後に2食分食べては意味がありませんよ(笑)

寝る前にお腹が減ったら野菜などで我慢して 
朝まで待って朝食をしっかり食べる


体の時計遺伝子が喜ぶ食事パターンを心掛けて
生活習慣病にならない
克服できるように頑張りましょう!

 

高橋医院