左利き肝臓専門医ブログ

2015.08.27更新

女性は男性に比べて アルコールの代謝能力が3/4程度しかないため
お酒を飲むと血中アルコール濃度が高くなりやすい

したがって
同じ量を長期飲酒した場合 男性より早く肝障害が現れ
アルコール性肝硬変の患者年齢が 男性より10歳以上も若い

過度の酩酊のリスク 特に急性アルコール中毒のリスクも男性より高いし
アルコール依存症にもなりやすい

また 高齢女性では骨粗鬆症が大きな問題となっていますが
多量飲酒は骨密度を減少させ 骨粗鬆症や骨折の原因にもなります 

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上のグラフが示すように
同じ1日アルコール摂取量でも 女性の死亡相対リスクは男性に比べて高い

それだけ女性は 飲酒による健康被害が起こりやすいのです


しかし現代社会では 飲酒機会の男女差はなくなっていて
20代前半では女性の飲酒機会は 男性を上回っているほどです

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ですから「健康日本21」には
*女性の飲酒量は 一般的に男性の半分から2/3くらいにするのが安全
*1日の純アルコール摂取量は 10g程度に抑えることが好ましく
*20g以上だと生活習慣病のリスクが高まるので要注意
と記されています

女性ご自身がこうしたことを認識され 
節度ある飲酒をされることが大事ですが
一緒にお酒を飲む男性もこうしたことを知り 
気配りをする必要があると思います

でも 男まさりの酒豪の女性 かなりおられるのも事実ですが、、、(笑)


女性の飲酒で大きな問題になりつつあるのが アルコール依存症です

昔は稀でしたが 最近は増加の一途をたどっており
1984年と2003年で比較すると数は倍以上になり
今では依存症全体の約2割を女性が占めると推測されています


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20~30代では 摂食障害や薬物依存などを併発している傾向があり
30代後半 40代では 生活や仕事のストレスが原因となっていることが多い
50~60代以上では 配偶者を亡くしたことや
体の衰えによりお酒に弱くなることが原因となります

女性のアルコール依存症の特徴として
短期間で依存症となる
・患者年代のピークが30代と若い
・摂食障害やうつ、自殺未遂など様々な精神的問題を抱えていることが多い
・配偶者の大量飲酒や家庭内暴力など家庭内環境に大きく影響される
自責感が強い
周りの気づきが遅い
といったことが挙げられます

少量でも飲酒すれば 短期間で元の飲み方に戻ってしまうため 
完全に断酒することが必要ですが 
うまくいかないことも少なくありません

女性のアルコール依存症なんて 
別の世界のことと思われるかもしれませんが
世の中にはそうしたことで苦しまれている方がおられるのも事実です


男性も女性も お酒は節度をもって楽しみたいものです 

 

2015.08.26更新

アルコール性肝障害の患者さんが外来で必ず言われることが

「週に2日は飲まない日 休肝日を設けてください」

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でも どうして休肝日が必要なのでしょう?

ヒトがお酒を飲み終わって寝たあとも 
肝臓は働き続けてアルコールを代謝しています

適量と言われる20gのアルコールを代謝するのに
個人差があるものの 約6時間程度かかります

もっとたくさん飲めば さらに長い時間 肝臓は働くことになります

肝臓はアルコール代謝だけをしているわけではなく
他にもさまざまな重要な代謝・解毒作用をしていますから
できるだけ肝臓を休ませてあげないといけない

だから休肝日を設けてください というのが理由です


デンマークで行われた臨床研究は
お酒をほとんど毎日飲む人は 週に2~4回飲む人に比べ
アルコール性肝障害のリスクが3.7倍に上昇することが明らかにしましたが

このデータも 週に2日以上の休肝日が必要なことを示唆しています

また日本の多量飲酒者では
1週間で飲むアルコール量は同じでも
休肝日がないヒトは 2日以上あるヒトと比べて 
総死亡リスクが1.5倍以上上昇することが示されています

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こうしたデータを踏まえ 日本のアルコール健康医学協会は

*お酒を飲むと肝臓には中性脂肪が蓄積され 
 胃や腸といった消化管の粘膜も荒れてくるので
 これら臓器の修復のため 週に2日程度の休肝日を作ることが必要
*この際に気をつけたいのが
 週5日続けて飲酒して2日連続で休むのではなく
 2~3日飲んで1日休む習慣をつくること
*休肝日を作ることは アルコール依存症を防ぐことにつながる

とコメントしています

アルコール依存症を視野に入れて
そのために体内のアルコールを完全に代謝しきる ゼロにする 
という目的からは 2日連続して飲まない方が良いのですが

単純に肝臓を休ませる という意味合いからは 
2~3日飲んで1日休む習慣をつくることが有用になります



と ここまで週2日休肝日必要説の解説をしてきましたが
実は休肝日を声高にプロパガンダする本当の理由は

1日の飲酒量が適正飲酒量を越えて毎日飲酒している人の
総アルコール摂取量を抑制させること なのです

適量飲酒を守れない人に 1日あたりの飲酒量をセーブさせるのは難しいから
それなら飲む日数を減らしましょう 

という趣旨です


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上のグラフで示されているように
1日飲酒量が40gの肝硬変リスク飲酒量を越えなければ(1週間280g程度)
休肝日があってもなくても死亡リスクは変わらないけれど

1日飲酒量が40gを越えていると(1週間280g以上)
休肝日の効用が認められます


ということで 1日飲酒量が40g以内の人は 
休肝日を設けなくても問題にならない可能性もあります

逆に 休肝日を設けていても
飲む日に大量飲酒したら意味がない ということで

ご自分が1週間にどれくらいのアルコール量を摂取されているか?
まずはその点をチェックされることが大切です


休肝日の目論見は アルコールの総摂取量を減らすこと!

この秘められた趣旨を どうぞご理解ください!(笑)

 

2015.08.25更新

お酒は適量なら健康に良いですが 
アルコールを代謝するのは肝臓ですから 
過度の飲酒はアルコール性肝障害を引き起こします

健康診断でγGTP値が、、、という方もたくさんおられるでしょう

既に解説したように 
アルコール性肝障害は 肝硬変や肝がんに進展し得る怖い病気です

欧米の研究では 
1日に飲むアルコール量80g未満をコントロールとすると

80~160g飲む人は 約5倍
160g以上飲む人は 約25倍

肝硬変になるリスクが上昇することが明らかにされています

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ちなみに日本では
1日平均150g以上のアルコールを飲む人を大酒家と呼び
全国で240万人がこの範疇に入ると推計されています

1日150gのアルコールは
日本酒5合 ビール大びん5本 ウイスキーダブル5杯を上回る量です

結構 大酒飲みの方はおられるのですね!
もちろん こうした方々は肝硬変になるリスクがとても高い!


ということで
お酒を飲み過ぎると確実に肝硬変になりやすくなるわけですが

では どれくらいの量のお酒を飲むと
肝硬変になってしまうのでしょう?

欧米では上記の研究結果をもとに
肝硬変にならないですむ 1日の飲酒量の上限 を 
アルコール 30g 程度と見積もっています

日本でも1日 40g 程度とされています

先回ご紹介した節度ある飲酒量・1日20g」倍量

20

日本酒2合 ビール中瓶2本 ワイン2/3本 ウイスキーダブル2杯 

この量を越えると 危険です


但し 肝臓のアルコール分解能力は体重に比例するので
女性など体が小さい場合はより少なめになります

徹底して長生きしたいなら 1日20g に留めておくし
アルコールを楽しみたい方でも 1日40g に留めておく

皆さん 大丈夫ですか~?



また「積算飲酒量」という概念も 業界では重視されています

一生涯で肝臓がどれだけアルコールを処理したか
その量によって肝硬変への進展のリスクを推し量ろうというコンセプトです

まず1日あたりの純アルコール摂取量(グラム)を計算します

計算式は
「飲んだお酒の量(ml)」x「そのアルコール濃度(%)」x 0.8

たとえば 1日にビールのロング缶を1本飲むと
500ml x 0.05(5%) x 0.8 = 20グラムの純アルコールを
摂取したことになります

ロング缶2本を毎日欠かさず1年間飲み続けると
20グラムx 2 x 365日= 14600グラム= 14.6Kg
の純アルコールを摂取しています

積算飲酒量が 500Kg を越えると
肝硬変になるリスクが高いと言われています

*ロング缶2本を毎日だと 34年間
*ワインボトル1/3本を毎日だと 約50年間
*日本酒3合を毎日だと 約20年間 

で危険領域です

再度 皆さん 大丈夫ですか~?(笑)

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書き手とこれまでにご縁があった患者さんのなかには
積算飲酒量が1トンを越えているツワモノが何人かおられました

左利きの皆さんは 一度ご自分の積算飲酒量を計算されてみて
肝臓がつらい思いをしなくてすむように 
節度ある飲酒を心掛けてください

 

2015.08.20更新

前回ご説明した Jカーブ

このカーブの底 右上がりが始まるポイント
つまり これ以上飲むと健康に良くないですよ! という1日飲酒量は 
いったいどれくらいでしょう?

大切なことなので 再度確認します!

日本の疫学研究では
男性は1日に純アルコール約20g程度の飲酒する人の死亡率が最も低い
 (純アルコール20gは 日本酒1合に相当します)
女性では1日9gまでが最も死亡率が低い
ことが明らかにされており
(下のグラフでご確認ください)

諸外国でも女性を含め近似した研究結果が報告されています

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このグラフでもうひとつ注意していただきたいのは
同じ飲酒量でも 男性に比べると女性の方が死亡リスクが高いことです
この点については 後日 稿を改めて解説します

さて グラフが示すように
1日アルコール量が20gから増加するに従い 
死亡率が上昇していきます

つまりJカーブの底は 1日アルコール量 20g です

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この量は
*日本酒1合 180ml
*ビール中瓶1本 500ml
*ワイン1/3本 グラス120mlとして約2杯
*ウイスキーの水割りシングル2杯
に相当します
(純アルコール量の計算法はこちらをご覧ください

20g2

そこで「健康日本21」には
通常のアルコール代謝能を有する日本人の「節度ある適度な飲酒量」

*1日平均純アルコール約20g程度
女性は男性よりも少ない10g程度が適当
*少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い人では 
 通常の代謝能を有する人よりも少ない量が適当
*65歳以上の高齢者においてはより少量の飲酒が適当
*アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要である
*飲酒習慣のない人に対してこの量の飲酒を推奨するものではない

と定義しています


さて 皆さん いかがですか?

書き手は 若い頃は
「節度ある適度な飲酒量」を越えることも多々ありましたが
さすがに最近は 節度ある飲酒の実践を心掛けています(苦笑)


 

2015.08.19更新

適度な飲酒は健康に良いと言われています

実際にアルコールには
悪玉コレステロールのLDLを減らし 善玉のHDLを増やす作用があり
脳梗塞や心筋梗塞を起こす血液凝固を抑える作用もあります


また「Jカーブ」と呼ばれる現象もあります

横軸に飲酒量 縦軸に病気にかかるリスクをとりグラフを書くと
Jカーブを示す病気がいくつかあります

つまり 少量飲酒者の発病リスクは非飲酒者に比べてむしろ低い
(但し飲酒量が増えればリスクが高くなる)

alc J

総死亡数・虚血性心疾患・脳梗塞・2型糖尿病などでJカーブが認められ
飲酒の健康面での利点とされています

お酒が「百薬の長」と呼ばれる所以です


日本の疫学研究でも がん 心血管疾患 総死亡数
Jカーブが見られることが明らかにされています

総死亡でみると 男女とも1日平均23g未満で最もリスクが低いことから
「健康日本21」では
「節度ある適度な飲酒量」=「純アルコールで1日平均20g程度」
と定められました

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しかし あくまでJカーブであることを 忘れてはいけません

Jカーブということは 
飲酒量が適量を超えれば 途端に死亡率が高くなるということです
飲酒量が増えればリスクが高くなるのです

アルコールの「百薬の長」の効果を期待するなら 
あくまで「適量」でなければいけない

その適量 1日20gのアルコール量に相当するのは 

ビールなら中瓶1本 清酒なら1合 
ウイスキーならダブルで1杯 ワインならグラス2杯

20g


ここを抑えておかないと 
左利きの自分勝手な言い訳になってしまいます(苦笑)

次回は この「適量」についてもう少し詳しく解説します



2015.08.18更新

アルコールと肝臓の関係の解説シリーズを始めます

いよいよ”左利き”の本領発揮です?(苦笑)

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学会が定義するアルコール性肝障害は 以下の基準を満たす場合です

常習飲酒家(日本酒3合以上/日)または大酒家(日本酒5合以上/日)
 5年以上継続していて(女性はその2/3程度)
*4週間の禁酒によりGOT GPTが80IU/L以下になる
(禁酒開始前の値が100IU/L以下の場合は正常値になる)
*次のうち少なくともひとつが陽性
・4週間の禁酒により 
 γ-GTPが禁酒前値の40%以下 または正常値の1.5倍以下になる
・禁酒により肝の大きさが著明に縮小する

かなりの量のお酒を長期間飲んでいて 肝機能検査値が上昇して
酒をやめることにより検査値が改善する場合 
ということです

ただし遺伝的要素も強く 
同じように飲酒を続けていても肝機能の悪化を認めない方も多くいます

大丈夫ですか?  
皆さんの飲酒習慣は診断基準に該当しませんか?

5年以上飲んでいるけれど そんなに沢山は飲んでいないから大丈夫
と安心されている方もおられるかもしれませんが 
安心するのはまだ早い!

この基準は「アルコール性肝障害」の基準であって
飲酒による肝臓へのダメージは 
もっと早期に脂肪肝という形ででてきます

そして飲酒を継続していると 
脂肪肝から肝障害 肝硬変へと進展していくことがある

ですから 肝障害が出てきたら もうやばいのです

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アルコール性肝障害の進展様式は こんな具合です

<アルコール性脂肪肝>

飲酒を続けると最初におこる肝障害が脂肪肝です
アルコールにより 肝臓での中性脂肪の合成が高まり 
肝内に脂肪が蓄積します 

自覚症状がないので 
3合以上の飲酒をついつい続けていると 
20%はアルコール性肝障害に進展しますが

お酒をやめると自然に改善します

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スライド右に示すように 肝内に脂肪(白い空胞)が溜まってきます


<アルコール性肝炎>

普段からの飲酒量が多い人 既にアルコール性脂肪肝の人が 
飲酒量が急に増したときなどにおこります

急性肝炎のように倦怠感や食欲不振などの自覚障害があらわれ
肝機能検査値が著しく上昇し 入院加療が必要なこともありますが

お酒をやめることで徐々に改善していきます


<アルコール性肝線維症からアルコール性肝硬変へ>

アルコール性肝炎を起こしたあとも大量飲酒を継続していると
肝細胞が壊れる状況が繰り返えされ 
肝細胞が壊れたあとは線維に置き換えられます

やがて線維が蓄積してくるとアルコール性肝線維症になり
一部の人はその状態から肝硬変に進展してしまいます

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スライド中央を上下に貫いている淡いピンクの部分が 
壊れた肝細胞に置き換わった線維の部分です

こうした線維の束が肝内のあちこちに蓄積すると
肝内の血流障害が生じて 肝細胞が正常な機能を果たすことができなくなります

そのため アルコール性肝線維症の段階になると 
お酒をやめても なかなか改善しなくなってしまいます

ですから そうなる前 
アルコール性脂肪肝の段階で飲酒を控えていただくことが肝心です
そうすればもとの健康な肝臓の状態に戻ることができます


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上図に示すように大量飲酒が継続すると 
かなり高い確率で
脂肪肝→肝炎→肝硬変と進展してしまいます

そして最悪の場合 肝硬変から肝細胞がんが起こってしまうのです


書き手はこれまでに 
お酒がやめられずに肝硬変になられてしまい
腹水がたまったり 食道に静脈瘤ができて 
日常生活に大きな障害が生じたり

肝不全(肝臓が機能しなくなった状態)や肝がんで
厳しい結末を迎えられた患者さんと何人もご縁を持ち
残念な思いをしてきました


アルコール肝障害を治すのは簡単です
ウイルス性肝炎のように インターフェロンも高い飲み薬も必要ありません

お酒をやめればいいのです

それが難しいのはわかっていますが
それでも お酒をやめるしかないのです


少し暗い気持ちになるようなことを書いてしまい恐縮ですが

まだアルコール性脂肪肝や軽度のアルコール性肝炎の状態の方は
それ以上進展することがないように 
飲酒量を減らすか 減らせないならやめる

思い当たる節のある方は どうかよろしくお願いします



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