左利き肝臓専門医ブログ

2017.03.09更新

オーストラリア人のデーモンさんが作製された
砂糖過剰摂取の実験ドキュメンタリー映画の紹介をしてきましたが

最後に 映画ではあまり紹介されていなかった 
推奨砂糖摂取量について解説します


世界保健機構・WHOは 2015年に砂糖摂取量ガイドラインを改訂しました

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同ガイドラインでは 現代人の砂糖の摂りすぎに警鐘を鳴らし

1日の総摂取カロリーの10%以上の糖類を摂取することで
肥満やむし歯になる確率が急上昇すると 

注意を促してきましたが

今回の改定で
従来は1日総カロリーの10%だった砂糖摂取量を 5%に減らしました

量として 25g 程度です

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ここで言う砂糖とは
ブドウ糖 果糖などの単糖類 ショ糖 麦芽糖 オリゴ糖などの二糖類などで

砂糖はもちろん
蜂蜜シロップフルーツジュースなど人工的に添加された甘味料も含みますが
乳糖は含まれていません

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1日に25gの砂糖 イメージできますか?

ティースプーン6杯分 角砂糖6個分 です

代表的な飲料 食品の砂糖含有量を見てみると

*コーラ・250ml 25g
*スポーツドリンク・500ml 33g
*缶コーヒー 15g
*コーヒー牛乳 16g
*野菜ジュース100%濃縮還元果汁ジュース 25g
*飲むヨーグルト 24g
*栄養ドリンク 16g
*メロンパン 16g


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1日25gなんて 簡単に越えちゃいそうですね?(苦笑)

なかなか厳しい基準であることが お解りいただけることと思います


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また 摂取される糖分の大半は
菓子と見なされないような加工食品に含まれているのが落とし穴で

調味料などにも 隠し味的に砂糖が使われていることがあります

たとえば

トマトケチャップ大さじ1杯 濃縮めんつゆ大さじ1杯には
それぞれ4gの砂糖が含まれていて

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冷凍ピザ パン スープ マヨネーズなどにも 砂糖は使われています


食品に含まれる脂肪の量に対する消費者の意識が高まり
食品メーカーは脂肪含有量の低い製品を作るようになりましたが

足りなくなった風味を補うため
砂糖が使われることも少なくありません

現代社会の食生活が 如何に砂糖を過剰摂取しやすいものか

ご理解いただけたのではないでしょうか?

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推奨砂糖摂取量の基準は 
ヨーロッパではアメリカより緩やかで

ハンガリー ノルウェーでは 7%~8%未満
スペイン イギリスでは 16%~17%未満
ポルトガルでは 25%未満
となっています

ポルトガル人は 甘いお菓子が大好きですからね(笑)

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日本では どうかというと

食事摂取基準には
なんと 糖類摂取量基準は盛り込まれていません

日本では 食事摂取基準で数値を算定できるほどの
十分な科学的根拠は得られていないからで

食事摂取基準で糖類摂取量基準が策定されていないから
消費者庁が実施している食品の栄養成分表示にも
糖分表示は義務付けられていません

確かに日本人の砂糖摂取量は 世界でも低いランクにありますが

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最近は子供の肥満が問題視されていますから

そろそろ砂糖摂取量にも気を配り
食品の栄養成分表示にも糖分表示を義務付けし
社会全体で 子供への食の教育をさらに推進した方が良いと思います

糖分を摂りすぎれば 病気のリスクが増え

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肥満 糖尿病 心血管疾患のリスクが増えていることは
明らかなのですから

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甘い誘惑にのらないよう 子供の頃から習慣付けすることが大切です

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最後に 砂糖過剰摂取への対処策をご紹介します

*糖分の多いジュース類をやめて お茶や水などの糖質フリーな飲み物を選ぶ
*スポーツドリンク 栄養ドリンクにも要注意
*市販のコーヒー牛乳をやめて 牛乳にコーヒーを加えたものにする 

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*フルーツジュースやゼリーをやめて 生の果物にする

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*飲むタイプや甘みのついたヨーグルトは プレーンヨーグルトにする

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*市販のめんつゆは 
 濃い目にとった天然のだし汁 糖類の少ない顆粒だしにする

*生地の甘い菓子パンは ドライフルーツやナッツ入りの食事パンにする

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味の濃い食品や加工食品ばかりを食べていると
知らぬ間に大量の糖分を摂ってしまうことになるので 
一見甘くなさそうな食品でも要注意です


そして 以下の食品を習慣的にとっている方は
すでに糖類過剰な食生活となっている可能性がありますから 
是非 食生活を改善してください

*菓子パン
*ジュース類やスポーツドリンク
*甘みのついたコーヒー・紅茶・加工乳など
*乳酸菌飲料・甘みのついたヨーグルト
*栄養ドリンク


読み手の皆さん 大丈夫ですか?

甘いものは頑張ったときのご褒美として たまに食べる

それくらいにしておいた方が体には優しく
肥満や糖尿病のリスクも避けられます

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頑張りましょう!



2017.03.08更新

映画の中では 砂糖と社会の関わりについても描かれていました


まずデイモンさんは
祖国オーストラリアの先住民 アボリジニの居住地を訪ねます

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アボリジニは 自給自足の生活をしていて
砂糖は1日に飴玉1個分ほどしか摂取していませんでしたが

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白人が居住地に侵入して来てから 状況が一変します

白人たちによって 砂糖の魅惑を教えられてしまったアボリジニは

やがて
オーストラリアでいちばん多くコカ・コーラを消費するようになり
スーパーなどでお惣菜を購入して食べるようになります

その結果 肥満 糖尿病 心筋梗塞の患者さんが急増し
多くの人たちが50歳前に命を落とすようになり
現在も 糖尿病性腎症で透析生活を余儀なくされている方が多いとか

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ここで強調されるのが 食の教育の重要性です

アボリジニの食生活 生活環境の変化
それにともなう健康動態の変化を危惧した政府が
砂糖の過剰摂取の恐ろしさについてキャンペーンを行い

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学校などでも
加工食品よりもナマの食材を食べ
砂糖摂取量を減らすことの重要性を教えたところ

状況は改善し 一時期 糖尿病患者さんも減少しました

しかし 予算の削減で 学校に派遣される栄養士などが減ると
また元の状況に戻ってしまったとか


西洋文明の先住民族社会への文化的蹂躙は
新大陸の発見以来 連綿と続けられてきたことですから
これ以上掘り下げても 似たような論調の繰り返しになりますが

子供達への食の教育は 現実的にとても重要な課題だと思いました



デイモンさんは 次に 砂糖消費大国 肥満大国のアメリカを取材します

ここで彼が強調したのが
食品・砂糖業界の強欲性と社会倫理です

例えば 清涼飲料水には大量の砂糖や異性化糖が含まれているのに
その過剰摂取の危険性については
敢えて誰も何も語ろうとしない

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その結果 子供の頃から哺乳瓶で清涼飲料水を飲み中毒になり
幼いうちから虫歯になって 若くして総入れ歯になる子供が少なくないそうで
特に地方の貧困層で そうした状況が深刻だそうです

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業界は 砂糖含有量を増やせば売り上げが増えることを熟知していて

売り上げが最大になり これ以上増えると売り上げが下がるという
砂糖含有量の臨界点を知っていて

飲料水だけでなく パスタやシリアルなどにも
売り上げを増やすために
臨界点に近い大量な砂糖が含有されているとか

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そして 砂糖の過剰摂取の健康への悪影響は 隠し続ける

ときに研究者に研究費の援助をし
自分たちに有利な研究成果を発表させたりする

こうした業界・企業の強欲性と倫理観の欠如は 
かつてのタバコ業界と同じだと 
デイモンさんは厳しく追及していました

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資本主義社会は 利益追求が最重要視される社会ともいえますが

そのなかで立ち止まって 社会倫理性について考えることは
正直言って 言うは易し と思われている企業人は少なくないかもしれません

難しい問題です

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いずれにせよ 再度 重要だと思ったのは 子供たちへの食の教育です

社会全体が その点を認識して実行していくことが
企業の強欲性をも凌駕するパワーになっていくかもしれません

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実際に 砂糖の過剰摂取による健康被害は
中南米諸国で最も深刻で 特に低所得者層での被害が甚大なようです

そこを解決するのも 子供達への食の教育なのかもしれません



デイモンさんは最後に
現代社会において砂糖が占める位置 についても言及されていました

砂糖は 現代社会に強力に組み込まれていて
生きるために必須なものと見做されている

砂糖摂取は 愛を喚起させる
砂糖を食べたときに脳内で起こる反応は 愛を感じるときと同じもので
愛を感じないときは チョコレートで代用する習慣が作り上げられた

うーん 砂糖は愛の代用品ですか?(笑)

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砂糖は唯物論の祖で 砂糖の中毒性が物質主義を広げた
砂糖は即効性があるので 待つのが嫌いな現代人には適している

といった論評も引用されていて なかなか興味深いものでした

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砂糖文化論 砂糖社会論 意外に奥が深くて面白いかもしれません



2017.03.07更新

さて 60日間 毎日 砂糖を160g摂り続けると
体にはどのような変化が生じたのでしょう?

デイモンさんは
奥さんに感化されてナチュラリストのような食生活を送っていたので

実験を開始する前は 
体重は76Kg ウエストは84cmと 健康的な体型でした


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毎日の摂取カロリーは2300Kcalで 

その内訳は
50%はアボガドやナッツなどの質の良い脂肪から摂り
タンパクと炭水化物から25%ずつ摂って
精製砂糖は全く摂っていませんでした


そんな彼が 実験を開始して

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12日目には
体重が3.3Kg増えて CT検査で内臓脂肪が増えてきたことが判明しました

18日目には
血液検査でALT値が増加してきて 脂肪肝による肝障害が出てきました

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30日目には
さらに体重が2Kg増えて ウエストは7cmも増えて91cmで
見るからに下腹部がポッコリと突き出した体型になり
やがて 顔に吹き出物がたくさん出るようになりました

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そして 60日後には

体重は8Kg増えて84Kgに ウエストは10cm増えて94cmに
体脂肪率は7%も増加し

肝機能値 中性脂肪値は
お医者さんに 短期間にこんなに悪化したのは見たことがない
と言われるほど 上昇していました


重要なのは

この60日間の1日の総摂取カロリーは平均2300Kcalで
実験開始前と比べて増えていないということ

しかも ジャンクフードや甘いものは避け 
低脂肪の健康食品を中心に食べた

という事実です

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つまり 食べる量でなく 質が問題だということ

こうした実験結果は

カロリー量だけでなく カロリー源に注目すべきである

というメッセージを発しています

カロリーが同じでも 砂糖と野菜では 人体に対する影響が異なる
カロリーだけでは評価できない 

という考え方です

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一緒にDVDを見ていた糖尿病専門医さんに
この ”カロリー信仰” に疑問を投げかけるメッセージを
どう思うかうかがったところ

肥満の人や糖尿病の人は
カロリーを充分に注意しなければいけないのは大前提で

健康な人でも
カロリーを無視してたくさん食べても大丈夫ということにはならない 

消費カロリー以上のカロリーを摂取すれば太るのは根本原則なので
それを無視することは非論理的だけれど

その根本原理を抑えたうえであれば
カロリー源に注目するという考え方は 重要だと思う

と 言われていました

さすがは 優等生のコメントですね(笑)



さて 60日間の糖質摂取実験で 見逃してはならないのが 

精神的な変化です

砂糖を摂り続ける日々を重ねていくにしたがい
デイモンさんの精神状態に変化が見られるようになりました

砂糖摂取後は集中力が一気に高まり

奥さんの表現を借りると
子供じみた躁状態 興奮状態になることが多くなり

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その後 時間が経つと
気分の高揚が急激に下がり 精神状態が不安定になる

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専門家は

血糖が急激に上がると幸福感を感じるが
すぐに低下してしまうと アドレナリンなどが出て
再び糖分を摂取するようになる

こうした急激な変化と 
アドレナリンによる不安感などで精神状態が不安定になり
集中力がなくなるのではないか と分析していました

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そして 実験終了後 砂糖依存性から脱却するのも 大変だったようです

毎日摂っていた砂糖を断ってから
頭痛 気分の落ち込み 易疲労感を感じ
睡眠サイクルが悪化し
その結果 急激に砂糖が欲しくなる


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まさに 薬物中毒の離脱症状ですね

そして 薬物依存と同じで 
こうした状況の改善には 2~4週間かかったそうです


しかし こうした我慢の時期を乗り越えると 
気分の不安定はなくなり
体重もウエストも減少し 
血液検査値も全て基準値まで改善したそうです

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また実験期間中は 満腹感が得られず 間食が増えていたのに

砂糖の代わりに脂肪を摂るようになると 
満腹感が戻り食事量も減ったそうです



継続的な砂糖摂取により
体重や検査値の増加・増悪が見られるのは予想範囲内でしたが
こんな精神状態の変化が見られることは 想像していませんでした

以前 ヒトは快楽のために食べることを解説しましたが
砂糖に関しても まさにそうした現象がリアルにあるのですね、、、

あらためて 砂糖中毒の怖さを認識させられました

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映画の最後に デイモンさんは こんな風に語っていました

砂糖は悪ではないが 少ない方が 人生ははるかに良くなる

なるほどです、、、



2017.03.02更新

でも ヒトはどうして 知らぬ間に砂糖を求めてしまうのでしょう?

その理由には 社会的要因と 心理的要因があるようです


社会的要因は 脂肪悪玉説の裏返し です

以前にも説明しましたが
戦後 アメリカで肥満や心臓病の患者さんが急増し
その原因を食生活に求める多くの研究がなされました

そして それらの結果 脂肪が犯人とされました

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脂肪をたくさん摂るから 太る 
脂肪をたくさん摂るから 心臓病になる

だから 脂肪がワルモノで 低脂肪な食事こそ重要だ


こうしたメッセージは 砂糖の危険性を覆い隠してしまいました

脂肪さえ減らしておけば 砂糖はいくら入っても大丈夫
むしろ低脂肪によるカロリー低下を 砂糖で補おうとすらしたのです

だからアメリカでは 
ガイドラインで 食事の脂質制限を始めてから
肥満や糖尿病の患者さんが 増加し始めたのです

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現在のアメリカでは こうした事実が理解され

食事からの脂質摂取の制限が廃止され

代わりに糖質の制限が厳しく行われるようになっています


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脂肪が太らせるのではない 砂糖が太らせるのだ!

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この点については 稿を改めて詳しく解説します



さて 厄介なのは 心理的要因です

だって 強い意志をもってしても なかなか本能には抗えませんから、、、


以前 太古の昔のご先祖様は 食物に恵まれていなかったので
粗食に耐えられる体質を作り上げて

その体質を受継いだ現代人が飽食の時代に生きるようになったので
肥満や生活習慣病になりやすくなっていることを説明しましたが

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糖を求める本能も 太古の昔に形成され
今に引き継がれていると考えられます

脳はエネルギー源として 糖を要求しますし
(糖質ダイエット原理主義者の方は異論を唱える方もおられますが)

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昔は 糖はとても貴重なものでした
今のように 精製された白砂糖がコンビニで容易に入手できる環境とは大違い

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ですから 
ヒトは糖を求めるようになり
砂糖を食べると幸福感を感じるようになったのです

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ここが 非常に厄介な点です

砂糖を食べると 脳内でエンドルフィン ドーパミンなどが分泌され
幸せな気分になり
ニコチン コカインを摂取したときと同様に 脳の報酬系が刺激されます

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そうすると 依存性が形成されてしまう

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砂糖を食べたあとの多幸感は持続しないので
さらなる多幸感が得られるように さらに多くの砂糖を摂るようになり
あればあるだけ 食べるようになってしまう


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砂糖中毒です

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砂糖への依存性は コカインより大きいとも言われています


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このように 依存性を形成してしまう砂糖ですが
精神面に与える ポジテイブな効果もあるようです

つまり 砂糖を摂ることにより心が穏やかになり
他人に当たり散らしたり かっとなって怒鳴ったりといった
衝動的な行動が抑えられる

血中のグルコース濃度を上げると 脳にエネルギーが提供されるため
自制することができるようになるためと 考えられています

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中毒にならない程度の適切な摂り方だったら 砂糖は有用なのです



ということで ヒトが砂糖を欲する原因について説明しましたが
映画で描かれていた 砂糖中毒 の指摘は とても印象的でした

コカインより依存性が強いなんて 想像したことすらありませんでした

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確かに 無性に甘いものを食べたくなる衝動や
食べ始めたら次々に食べてしまう衝動は
読み手の中にも 経験された方がおられるかもしれません

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糖尿病の患者さんからも 
そうしたお話をうかがうことが 少なくありませんし

どうしたら そうした衝動を抑えられるか? と聞かれることもあります

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本能との戦いは 困難なものですが

でも タバコも薬物も 依存性・中毒性があるものからの離脱は
最終的には 本人の意志の力に依らざるを得ないと思います

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砂糖中毒に悩まれている方は 是非 頑張っていただきたいものです



2017.03.01更新

デイモンさんは 実験を始める前
ジャンクフードやソフトドリンクを食べたり飲んだりせずに
1日に160gも砂糖を摂取できるか心配したようですが

初日の朝食で摂った 低脂肪のシリアル ヨーグルト フルーツジュース

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これらに含まれる砂糖の量を計算して
それが杞憂だったことが すぐにわかったようです

だって それだけのメニューで 
なんとテイースプーン20杯分 80g

1日摂取量の半分 摂ってしまっていたのです

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これは びっくりですね!

健康的といわれている 
低脂肪ヨーグルト シリアル フルーツジュースだけなのに
そんなにたくさんの砂糖が入っていたのですか?

これで ノンシュガーでないソフトドリンクやコーヒーを飲んだり
ジャムやハチミツを食べたりしたら
ましてや 甘い菓子パンを食べたりしたら
朝食だけで 1日摂取量を上回ってしまうかもしれません


デイモンさんは 普段食べている食物の砂糖含有量を計算して

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目に見えない甘味料の怖さを実感することになります

日常の食生活の食物に 
知らず知らずのうちに大量の砂糖が入っている


特に 低脂肪をアピールする健康食品にも 多くの砂糖が入っている



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こりゃ 1日の砂糖総摂取量が160gになるわけだと 納得します

なるほどね~


さて 繰り返しになりますが
この映画ではわかりやすくするために
砂糖の量をティースプーン何杯分と表します

ティースプーン1杯分の砂糖は 4gです

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で いつも患者さんにダイエットのお話をしている書き手も
ヘルシーをアピールしている低脂肪食品群に
こんなに砂糖が含まれているなんて 勉強不足で知りませんでした

たとえば

野菜ジュース100%濃縮還元果汁ジュースの砂糖含有量は 
25g以上 ティースプーン6杯以上

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これは ダイエットコークではない 普通のコーラと
同じだけの砂糖含有量です

低脂肪ヨーグルトは 24g ティースプーン6杯

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あま~いキットカットと 同じ砂糖含有量です


ちなみに糖尿病専門医さんは
ボストンで留学生活を始めた頃に
スーパーマーケットで売られている食材の構成成分表を見て

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脂質カットでヘルシーとアピールしているけれど
こんなに糖分が多くて いったいどこがヘルシーなのよ!

と不思議に思われたそうですが

さすがは糖尿病専門医 目のつけどころが違います


こうした現象の裏に潜む
カロリーと脂質と糖質にまつわる隠れた問題点は
あとでダイエット比べの話題で詳しく解説しますから 乞うご期待(笑)

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で デイモンさんは ある日 こんなこともします

無糖のヨーグルトに
低脂肪ヨーグルトに入っている砂糖テイースプーン10杯分をかけて食べる

ランチのチキン照り焼きソースには
照り焼きソースをかけず ソースに入っている砂糖4杯分をかけて食べる

水道水に フルーツジュースに入っている砂糖10杯分を溶かして飲む


このシーン
ヨーグルトやチキンや水に 粉砂糖を何杯もかけて食べるさまは
なかなか迫力がありました

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うーん 普段の食生活では
実質的には こんな状態なのかと思いましたよ



特に フルーツジュースやスムージーは危険です

いずれも健康に良いとされていますが
フルーツをジューサーで絞ってジュースにすると
繊維質が取り除かれ 水と果糖だけになる

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以前にも解説しましたが 果糖は意外に危険

ブドウ糖と異なり肝臓にすべて吸収されてしまうので
脂肪になりやすく 脂肪肝を引き起こし易い

また 脳の食欲中枢を刺激して たくさん食べさせてします

そうでなくても
ジューサーで繊維質が除かれるので 満腹感を得られず
果物何個分もの果糖が たくさん体内に入ってしまう

リンゴジュース1杯で 果糖はテイースプーン4杯分
スムージーにいたっては 大きいサイズだと30杯分以上

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になることもあるそうで


書き手も 以前にスムージーに凝ったことがありますが
そのとき糖尿病専門医さんに

どれだけ糖分が入っているか 認識しているの? 

と注意されましたことを 思い出しました


砂糖って 知らない間に 摂取してしまっているものなのですね



2017.02.28更新

健康志向で 日々の食生活でほとんど砂糖を摂っていなかった人が

普通の人が毎日摂取しているのと同じ量の砂糖を
2か月間毎日摂るようにしたら どうなるか?

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そんな実験(?)の模様を記録した 
興味深いドキュメンタリー映画があります

その名も That sugar film

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日本語タイトルは あまくない砂糖の話

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訳したヒト うまい!(笑)


2015年に製作され 世界各地で話題を呼んだようで
日本では2016年3月に公開されましたが

大きな映画会社の配給ではなかったためか 
あまり話題にはなりませんでした

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書き手も 公開当時は全く知らず ニュースメールで知りましたが
近くの映画館では上映していなかったので
DVD発売を待って購入した次第です


監督・主演は オーストラリア人の俳優のデイモンさん

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もともとは煙草中毒で 砂糖中毒でしたが
健康志向の彼女と知り合ってから 精製砂糖は一切取らなくなりました

女性の影響力が大きいのは どこかのお家だけではありません?(笑)


しかし かつて砂糖中毒だったデイモンさんは

オーストラリア人の平均的な1日砂糖摂取量が
テイースプーン(4g)40杯分 = 160g 

と聞いて 驚きます

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ちなみに 
アメリカでは約45杯分=180g 日本では約25杯分=100gです

そして 砂糖の過剰摂取による健康上の弊害に関するニュースを読み
心配になってきます


たとえば アメリカ心臓協会(AHA)は2013年に

世界で年間18万人が
糖分を含む飲み物の摂り過ぎにより肥満になり
糖尿病 心血管疾患 がんなどを発症し 死亡している

と発表しました

また 1人あたりの糖分を含む飲料の消費量が
最も多い国の1つであるメキシコでは
「糖分を含む飲み物の過剰摂取」が原因である死亡率がトップで
100万人中318人が亡くなっています

ちなみに日本は 幸いなことに
1人あたりの糖分を含む飲み物の消費量が最も低い国のひとつで
死亡率もいちばん低く 100万人当り10人ですんでいます


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こうした状況があるにもかかわらず
砂糖の健康上の弊害があまり喧伝されていない現代社会に警鐘を鳴らそうと
彼は自らの体を使って 実験することを思い立ちました

そして その記録をドキュメンタリー映画にまとめたのです



彼が行ったことは

毎日 140g・テイースプーン40杯分の砂糖を摂ることです

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しかし 砂糖の摂り方にはルールがあります

*アイス お菓子 ソフトドリンクなどは 食べない 飲まない
*ジャム ヨーグルト シリアルなどは食べるが 必ず低脂肪食品を選ぶ
*低脂肪ヨーグルト 穀物バー フルーツジュース シリアル 
  スポーツドリンク スムージーなどを中心に食べる
*運動 筋トレは 従来通り行う

つまり

見るからに砂糖がたくさん含まれていそうなものは敢えて避け
健康に良いと言われている低脂肪食品を中心に食べる

運動は以前と同じように継続する

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しかも 極端に多く砂糖を摂るわけではありません
オーストラリア人が平均的に摂取しているといわれる量を摂るだけです 


こうした食生活を2か月間続けたら
体重 ウエスト 体脂肪率 血液検査値などは どのように変化するか?

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どうなったと思います?



2016.11.22更新

前回は

*糖質の種類
*エネルギー源としての糖質の役割
*血糖調節の仕組み

など 糖質についての一般論を説明しましたが


現代社会で大きな問題になっているのが 肥満糖尿病です

そこで 
糖質は肥満や糖尿病にどのように関与しているか?

今日は 糖質の負の側面を解説します


<砂糖と果糖:血糖値を上昇させやすい危険な糖質>

以前にご説明したように

食後の急峻な血糖値上昇と それにともなう急峻なインスリン分泌
糖尿病の発症リスクになると考えられています


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ですから 糖質の吸収を遅らせる食物食べ方が推奨されています


糖質には 単糖類 二糖類 多糖類 があることを説明しましたが

速やかに吸収されて急激に血糖値を上げるのは 単糖類と二糖類です


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特に 単糖類のブドウ糖と果糖がつながった二糖類のショ糖(砂糖)
最も急峻に血糖値を上げます

砂糖が忌み嫌われるのは そうした理由に依るものです


また 果物に多く含まれる果糖
健康的なイメージがある果物に含まれているため
なんとなく良いイメージを持ちますが

実は 果糖はショ糖よりたちが悪いのです


まず ブドウ糖よりエネルギーになりにくいので
中性脂肪に変換されやすい


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また肝臓にダイレクトに運ばれて代謝されますから
脂肪肝の原因になりやすい

ブドウ糖に比べて 内臓脂肪や皮下脂肪もためやすい


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さらに 脂肪肝だけでなく 糖尿病や生活習慣病や 癌の発生にも
果糖はブドウ糖より深く関与するとされています

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このように 果糖は 侮れないのですよ

果物は 体に良いとされるフルーツジュースやスムージーなどで
簡単に大量に摂れてしまうので 要注意です



<糖質中毒>

最近は「糖質中毒」という概念も提唱されています

甘いものを食べたり飲んだりして
血糖値が30分ほどで急上昇して最高点に達すると
脳内麻薬のエンドルフィン ドーパミンが分泌され 幸せな気分になります

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しかし 90分ほどでインスリンが過剰に出て反応性低血糖になると
反応してアドレナリンが分泌され
そのためにイライラしてきて 再び砂糖が欲しくなります


こうした血糖値 インスリンの急激な上昇と下降
ジェットコースター状態が続くと 
糖質中毒になると考えられています


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甘い飲み物は急激に血糖値を上げるので 特に要注意です

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<過剰な血糖が肥満を導く>

肥満と糖質の関係は
過剰な糖質が脂肪に変換されるのがポイントです

既に何度も説明しましたが 大事な点なので繰り返します


糖質を過剰に摂ると まずグリコーゲンとして貯蔵されますが

グリコーゲンの貯蔵容量は少ないので すぐに満杯になり
さらに過剰な糖質は 中性脂肪として脂肪組織に蓄えられます


これが肥満になる現象の本態ですが

早期に貯蔵糖質のグリコーゲンから中性脂肪に切り替えられるのは
立派な理由があります

それは 糖質より脂質の方が
単位重量当たりが産生できるエネルギー量が高いからです

糖質は1gあたり4kcal 脂質は9kcal

糖質より脂質として蓄えていた方が 効率よくエネルギー産生できます


これは 食糧難で飢餓と戦っていたご先祖様が作り出した体質ですが

現代の飽食の時代には
この体質が仇になり肥満や糖尿病が増えているのは 
以前にご紹介した通りです

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<すべてはご先祖様のせい?>

ちなみに 食糧難にあえいでいたご先祖様にとって
甘いものは滅多に食べられない とても貴重な贅沢品でした

ですから上述したように
ヒトは甘いものを食べると 脳の中で幸せ感を感じるようになりました


そして このご先祖様の脳を引継いだ現代人も
やはり甘いものを食べると とても幸せな気分になり
甘いものを食べないでいると とても甘いものが欲しくなります

だから 肥満の方も糖尿病の方も 甘いものがやめられない

またしても ご先祖様伝来の脳の仕組みが
現代では仇となっているわけです

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だからといって
ご先祖様のせいにして 甘いものを食べたり飲んだりし続けたら
草葉の陰でご先祖様は泣いているでしょう

難しいのは承知の上で 敢えて肥満や糖尿病の方々には

自分の意志の力で 頑張るしかない

と エールを送りたいと思います

もちろん 自戒も込めてです(苦笑)



2016.11.17更新

ヒトの体の重要なエネルギー源である糖質

炭素(C)の環状構造に 水素(H)酸素(O)が結合しています


glucose molecule


今日は 糖質の種類と機能について解説します



<糖質の種類>

@糖質は 分子を構成する単糖類の数により 下記のように分類されます

*基本単位である 単糖類

*単糖類が2個結合した 二糖類

*単糖類が3~9個結合した オリゴ糖

*単糖類が10~1000個結合した 多糖類

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単糖の数珠のつながりの数が 増えていくイメージです


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単糖類の仲間は 

ブドウ糖 果糖 ガラクトース ペントース

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ペントース(五炭糖)は 
ブドウ糖から作られる 核酸(DNAなど)の構成成分です

糖は DNAの形成にも関わっているのです


二糖類の仲間は 

*ショ糖(砂糖):ブドウ糖と果糖の結合物

*麦芽糖
:ブドウ糖2分子の結合物 でんぷんがアミラーゼで消化されて生じる

*乳糖
:ブドウ糖とガラクトースの結合物


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オリゴ糖は 何種類かありますが

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腸内でビフィズス菌に食べられることで ビフィズス菌を増やし
腸内細菌叢のプロファイルを 善玉菌優位に改善します


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このあたりは 腸内細菌叢の解説をご覧ください


多糖類の代表は グリコーゲン食物繊維

グリコーゲンは 貯蔵エネルギーとして肝臓や筋肉に蓄えられます

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忘れてならないのが 食物繊維

糖質はエネルギー源になる栄養素ですが
その仲間である多糖類の食物繊維は エネルギーになりません!

ですから 他の糖質とはずいぶんと趣が異なります

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水に溶ける水溶性食物繊維と 

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溶けない不溶性食物繊維があり

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前者は 便を軟らかくする作用
後者は 便の量を増やす作用 

があり 相互作用により排便を容易にします 


また セルロースを含んでいるので 
消化酵素を持たないヒトは 食物繊維を消化できませんが

水溶性食物繊維は 腸内細菌が分解して
酪酸 酢酸 プロピオン酸などの 短鎖脂肪酸 の産生が促進されます


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短鎖脂肪酸は 
食欲抑制ホルモン分泌 脂質代謝制御 抗炎症作用など
さまざまな生理活性を有していて 最近 各分野でとても注目されています


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<エネルギー源としての糖質・血糖の制御>

@糖質はエネルギー源として重要で 運動時は主に糖質が消費されます

但し 1gあたり4kcalのエネルギーしか産生できず

グリコーゲンの貯蔵量も 
せいぜい12~16時間の絶食に耐えられる程度の分量です

効率が悪く 長続きしない

ここが エネルギー源としての糖質と脂質の大きな違いです

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グルコースからのエネルギー産生
既に詳述した 解糖系TCA回路電子伝達系に依ります



@血糖の調節

糖質を摂取すると 血液中の糖(血糖)が上昇しますが

血糖値は インスリン等のホルモンによって 厳密に制御されています


インスリンの働きにより

グルコースが過剰なときは 
グリコーゲンに変換され 肝臓と筋肉に貯蔵されますが

さらに過剰なときは 前回ご説明したように

グルコースは脂肪酸に変換され
脂肪細胞に中性脂肪として蓄えられます

インスリンが 太らせるホルモンと呼ばれる所以です

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一方 グルカゴン アドレナリン 
成長ホルモン 甲状腺ホルモン 糖質コルチコイドなどは

血糖を増加させる働きを有するホルモンで

血糖を低下させるホルモンがインスリンだけなのに 
上昇させるホルモンが何種類もあるのは

厳しい食環境下で暮らしていた人類の祖先
栄養素を充分に摂れなくても 血糖値を維持できるような
体の仕組みを作り上げたためです



<糖新生>

グリコーゲンの貯蔵量が底をついてしまうと

肝臓では アミノ酸や乳酸を原料として糖が作られ
この際 筋肉は アミノ酸の供給源になります

これが 糖新生 です


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一方 脂肪組織の中性脂肪
血糖上昇作用を持つホルモンが活性化した ホルモン感受性リパーゼにより
脂肪酸とグリセロールに分解され

グリセロールは 肝臓に運ばれ糖新生の原料に使われ

脂肪酸は β酸化でアセチルCoAに変換され
TCA回路→電子伝達系を経てATPが作られます

その結果 グルコースからのATP産生をセーブでき
グルコースの消費を抑えることができます



このように
糖質はひたすらエネルギー源として働くのがメインな仕事で

脂質やタンパク質に比べて 機能はシンプルですが
生体活動には必須で重要な働きをしています


しかし 

血糖値のコントロールが上手くいかないと
糖尿病になってしまいますし

過剰なグルコースは脂肪組織で中性脂肪になり
肥満を誘導し 他の生活習慣病も引き起こしてしまいます

そういう意味では 負の側面も大きい曲者とも言えます

次回 そのあたりを詳しく説明します



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