左利き肝臓専門医ブログ

2018.11.02更新

脂溶性ビタミン 水溶性ビタミン

それぞれのたくさんのメンバーについて説明しましたが
最後にまとめをしたいと思います


ビタミンは
ヒトの生体内で日々行われている活動において
決して主役ではありませんが なくてはならない重要な脇役です


脂溶性ビタミンの A D E K
それぞれ特徴的な働きを有しています

vitm06


一方 水溶性ビタミンの中心となるビタミンB群
8種類のメンバーがいて

主に代謝に貢献しています


vitb01



ヒトの体の活動の基本は
細胞のなかで 食物から摂った栄養素を酸素を利用して
エネルギー(ATP)に変えることです


mt energy2

そのため
食物から摂取したタンパク質 脂質 糖質の三大栄養素
細胞内で分解・代謝し ミトコンドリアでエネルギーに変換します


vitb02

そうしたシステムが
体内のいたるところで 日々休むことなく行われています

このシステム

*糖質をグルコース・ピルビン酸に変換する解糖系

*脂質を脂肪酸に変換するβ酸化

*タンパク質をアミノ酸へ異化する系

によって  三大栄養素はアセチルCoAに変換され

crosstalk5

アセチルCoAは ミトコンドリアでTCA回路に入り
連続した反応により 電子伝達体のNADH・FADH2が生成され

電子伝達系はNADH・FADH2を使って呼吸鎖反応を行い
最終的にエネルギーのATPを産生します

ktd01

ビタミンはこうした連続した一連の反応の各所において
補酵素として働いて反応を円滑に進めているのです

ビタミンはたくさんの大切な働きを有していますが
極端なことを言うと このエネルギー産生への貢献が
いちばん重要かもしれません

特にビタミンB群の貢献は大きく
繰り返しになりますが 三大栄養素の代謝に深く関わっています

B1は 糖質担当
 解糖系で得られたピルビン酸をアセチルCoAに変換します

B2は 脂質担当
 β酸化で得られたアシルCoAをアセチルCoAに変換します

B5・パントテン酸は 三大栄養すべてに関わり
 CoAに変換され B1 B2と協力して
 三大栄養素のアセチルCoAへの変換を助けます

B7・ビオチンは 糖質 脂質担当
 糖質のアセチルCoAへの変換
 脂質の脂肪酸への分解 脂肪酸のβ酸化によるアセチルCoAへの変換
 を助けます

これらビタミンB群の働きにより
三大栄養素はアセチルCoAに変換され TCA回路に入れるようになります

栄養素のエネルギー(ATP)への変換のスタートが切られるわけです




vitb03


また上述したように

TCA回路では
電子伝達系で使われる電子伝達体のNADH・FADH2が生成されますが

nadfad01

この電子伝達体のNADH・FADH2生成にもビタミンB群は関わり

B2は FADに変換され FADH2の基になります

B3・ナイアシンは NADに変換され NADHの基になります

vitb202



こうして 電子伝達系で
電子伝達体のNADH FADH2は呼吸鎖を形成する分子と
電子の受け渡し反応を連続して行い
その結果 最終的にエネルギー・ATPが産生されます

ddk01




一方でビタミンB群は
エネルギーのATPだけでなく
遺伝子のDNAの合成にも重要な役割を果たします

B12は 同じビタミンBメンバーであるB9・葉酸に働きかけ
 DNAを作るピリミジン塩基(シトシン・チミン・ウラシル)
 の合成を促進します

B9・葉酸
 上述したB12の作用によりピリミジン塩基に変換され
 さらに やはりDNAを作る核酸の原料となる
 プリン塩基(アデニン・グアニン)の合成を促進します


vitb1211


こうして生命現象の根源となるDNAの合成を助けます


さらに 体の構成成分であるタンパク質の合成にも関わり

B6
 食事で摂ったタンパク質をアミノ酸に分解し
 体内でアミノ酸からタンパク質を作るのを助けます

こうして作られたタンパク質は さまざまな機能を発揮して
生体の活動に貢献します

vitb608


つまり 
栄養素を代謝して 生体活動に不可欠なエネルギーを作り

そのエネルギーを用いて 遺伝子 細胞 タンパク質を作ることに
ビタミンはB群を中心にして大きく貢献しているわけで
ビタミンがなかったらヒトは成り立たないわけです


他にもビタミンは
抗酸化作用などさまざまな重要な働きをしています

ビタミンの重要性を理解していただけたでしょうか?


来週から
ビタミンと並ぶ重要な微量栄養素であるミネラルの解説を始めます

 

2018.11.01更新

水溶性ビタミンの最後の解説です


<葉酸>

ビタミンB群の仲間で 正式名称は ビタミンB9 です


vb9fa00

腸管吸収され 還元作用を受けて
テトラヒドロキシ葉酸に変換された形で機能します


vb9fa01


@働き

核酸合成 アミノ酸代謝に関与します

メチル基 ホルミル基などの
一炭素単位転移反応を触媒する酵素の補酵素として働いて


vb9fa02a

この働きにより

DNAを作る核酸の原料となる
*プリン塩基(アデニン・AMP グアニン・GMP)
*ピリミジン塩基(シトシン・チミン・dTMP)

を合成
します

前回説明したように この過程にはビタミンB12が作用して
ピリミジン塩基・チミンの合成を助けます

こうして核酸やタンパク質が合成されて
体を作る基本となる細胞の生産や再生が成されます


vb9fa02

また 前回解説したように
ビタミンB12との協調作用により赤血球の形成を助け

さらに
その活発な細胞分裂を助ける作用により
胎児の正常な発育に貢献しています


@多く含む食品

レバー 枝豆
モロヘイヤ ほうれん草 ブロッコリーといった緑黄色野菜
いちご

などです

vb9fa03


@欠乏症

日本人の平均した摂取状況は十分量であることから
通常の食生活では 摂取不足による欠乏の心配はほとんどありません


葉酸はビタミンB12と協力して赤血球を成熟させる働きがあるため
欠乏症ではビタミンB12不足の際と同様
巨赤芽球性貧血がみられます

vb9fa04


また 妊娠初期の女性で欠乏すると
胎児に神経管閉鎖障害という
神経管の発育不全になるリスクが高まります

妊娠中の女性は必要量が普段の2倍近くになることから
不足しやすいため積極的な摂取が望まれます

vb9fa05

若い女性が
極端な食事制限によるダイエットで葉酸不足になっていた場合
初期の妊娠に気づかないで
胎児へ悪影響を及ぼすことも心配されています


ホモシステインからメチオニンへの合成が滞るため
高ホモシステイン血症になり
動脈硬化を促進することも報告されています

vb9fa06


逆に 葉酸が十分にあると
脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を防ぐことが明らかにされています

vb9fa07

@過剰症

通常の食生活では 摂り過ぎによる過剰症はみられません

薬やサプリメントを上限量をこえて大量摂取した場合は
神経障害 発熱 蕁麻疹などの過剰症がおこるとの報告があります



<ビオチン>

やはりビタミンB群の仲間で ビタミンB7 とも呼ばれます

vb701

@働き

TCA回路で働くピルビン酸カルボキシラーゼの補酵素として
糖質の代謝 糖新生をサポートし

脂質から脂肪酸への分解を促進し
脂肪酸のβ酸化に関わるアセチルCoAカルボキシラーゼの補酵素としても
脂質代謝をサポートします

vb702


@欠乏症

腸内細菌叢により作られるので
通常の食生活で不足することはありません

抗生剤の長期服用などで腸内細菌叢に変化が起きた場合は
欠乏することがあり
脱毛 皮膚炎 けんたい感 食欲不振 などの症状が起こります


@過剰症

報告はありません



<ビタミンC・アスコルビン酸>

たくさんいたビタミンB群とは異なる 唯一の水溶性ビタミンです

@働き

強い還元能を有し 抗酸化剤として働きます

vc01

過酸化物質の生成を抑制し
抗酸化作用により老化やがんを抑えます

ビタミンEの項でも紹介しましたが

同様に抗酸化作用を有するビタミンEと協力し合って
抗酸化作用を発揮します

抗酸化作用を発揮したあとに酸化型になったビタミンEが
ビタミンCにより
再び抗酸化作用を持つ還元型ビタミンEに再生されるのです

vc02

ですから 繰り返しになりますが
ビタミンEとビタミンCは 同時に摂取した方が効果的です

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抗酸化作用以外にも

*コラーゲン合成に必要な4-ヒドロキシコラゲナーゼの酵素活性を維持する

vc04


*鉄吸収の促進

といった作用も有しています


@多く含まれる食品

かんきつ類 イチゴ 野菜 いも などです

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水に溶けやすく 熱に弱いので
できるだけ新鮮なナマで食べるのがよく
洗いすぎたり ゆですぎたり 水にさらしすぎたりしないことが大切です


@欠乏症

壊血病が有名です

コラーゲンがつくれないため 細胞の間の結合がゆるむことで起こります

血管や関節が弱くなることから
歯ぐきなど体の各所で出血したり 関節が痛んだりします

また
抵抗力が下がって カゼなどの病気にかかりやすくなる
骨の発育が不十分になる
といったことも起こります

vc06


@過剰症

過剰に摂取しても 吸収率が低下し残りは尿から出てしまうため
一般的に有害な過剰症はないとされています

しかし 薬やサプリメントの摂り過ぎなどでは
吐き気 下痢 腹痛といった胃腸への影響が報告されています

 

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