左利き肝臓専門医ブログ

2018.04.20更新

水溶性食物繊維腸内細菌により発酵されて 短鎖脂肪酸となり
さまざまな有益な機能を発揮することを説明しました

しかし 日本人の水溶性食物繊維摂取量は少なく
腸内で短鎖脂肪酸が効率的に産生されているとは言い難い


そこで注目されているのが レジスタントスターチ です

初めて耳にされる方も多いと思います

rs01


レジスタントスターチ
は でんぷんの一種です

通常のでんぷんが
糖質として小腸で消化吸収され エネルギーとして利用されるのに対し

レジスタントスターチは 難消化性でんぷん と呼ばれ
小腸で消化されず 大腸に到達して
そこで食物繊維のように 善玉菌を増やし腸内環境を整える働きをします


rs02

れっきとした糖質・でんぷんでありながら エネルギーにならず
しかも食物繊維のような有用な働きを示す

なかなかの“優れもの”なわけです

でんぷんの2~10%が レジスタントスターチと考えられています



胃や小腸で消化されないので そのまま大腸に達し
食物繊維と同様に 腸内細菌によりほとんどが発酵され
酢酸 プロピオン酸 酪酸などの短鎖脂肪酸に代謝されます

それにより ビフィズス菌などの善玉菌が増え
便秘改善や腸内環境を整えることに役立ち
短鎖脂肪酸の働きにより 血中コレステロール 血糖値の上昇を抑えます

さらに

体重増加を抑えたり 内臓脂肪の増加を抑えたりする効果が期待できます

rs03


また 糖質ですが
胃や小腸で消化されグルコースに分解されないので 血糖値も上がりません

rs04

でんぷん1gあたりのカロリーは4 kcalですが
レジスタントスターチは1gあたり2 kcalと 通常のでんぷんの半分です


摂取してから時間をかけて体に吸収されるため
朝食に食べると昼食 昼食に食べると夕食の空腹感や食欲を抑える
セカンドミール効果により 食事量を抑えられます

rs05



このように
糖質でありながら 食物繊維のような働きをするレジスタントスターチ

どんな食材にどれくらい含まれているかというと

ふかしイモ 6.0%
インゲンマメ 5.3%
バナナ 4.0%
ポテトチップス 3.5%
ライ麦パン 3.2%
とうもろこし 3.0%
コーンフレーク 2.8%
パスタ 1.4 %
白米 1.2%

ふかしイモに多いのは意外でしたが

食物繊維と同じように 豆類や ライ麦パンなどの未精製穀物に多く
パスタや白米では 必ずしも多くない

rs06



また レジスタントスターチは
天然の食材のデンプンでは含有量が少ないため
アミロースの比率を高めるなどして難消化性を高めた加工製品が開発され
パン パスタ 菓子類などに利用されています


これまでに解説したように
腸内細菌により水溶性食物繊維から生成される短鎖脂肪酸の
生活習慣病予防効果はとても魅力的ですが

日々の食生活の食材から充分量の水溶性食物繊維を摂るのは
なかなか困難なことなので

同様の効果を有するレジスタントスターチに期待するのも
ひとつの手かもしれません

rs07


そういう意味では
レジスタントスターチは糖質の仲間でもあるので
極端な糖質制限で レジスタントスターチ摂取の可能性も否定してしまうことに
警鐘を鳴らす専門家もおられます


レジスタントスターチ 注目し続けたいと思います



2018.04.19更新

食物繊維の解説をしてきましたが
最後に どんな食品のどれくらい食物繊維が含まれているかご紹介します

ssi60

なお 含有量は
食物100gあたりに含まれる食物繊維量(水溶性 不溶性)で示します


@穀類

野菜や果物に比べて 効果が高い食物繊維が豊富で
主食なので 重要な食物繊維源と考えられている穀物ですが

なかでも

ライ麦パン 5.6g (水溶性2g 不溶性3.6g)
オートミール 9.4g (3.2 6.2)
おから 11.5g (0.4 11.1)

などで特に多く

ssi61

他の穀物では 似たような含有量ですが

ぶどうパン 2.2g (0.9 1.3)
ロールパン 2.0g (1.0 1.0)
コーンフレーク 2.4g (0.3 2.1)
そば 3.7g (1.6 2.1)
中華麺 2.9g (1.6 1.3)
うどん 2.4g (0.6 1.8)
玄米 3g (0.7 2.3)


日本人の主食 白米は 0.5g (0.1以下 0.5)と
残念ながら 穀類のなかでは飛びぬけて含有量が低いので
要注意です

ssi62

@野菜

野菜のなかで含有量が多いのは
ダントツで 切り干し大根 20.7g (3.6 17)

ssi63

ついで

パセリ 6.8g (0.6 6.2)
ごぼう 5.7g (2.3 3.4)
オクラ 5.0g (1.4 3.6)
ブロッコリー 4.4g (0.7 3.3)
かぼちゃ 2.8g (0.7 2.1)
ほうれんそう 2.8g (0.7 2.1)
にんじん 2.7g (0.7 2.0)
ピーマン 2.3g (0.6 1.7)


意外なのが

きゅうり 1.1g (0.2 0.9)
レタス 1.1g (0.1 1.0)
トマト 1.0g (0.3 0.7)

と 普段よく食べるサラダに含まれる野菜の食物繊維量が少ないことです


@きのこ

不溶性食物繊維が多いのが特徴で

ssi64

きくらげ 6.4g (1.4 5.2)
エリンギ 4.8g (0.1 4.7)
しいたけ 3.5g (0.5 3.0)
なめこ 3.3g (1.0 2.3)
しめじ 3.3g (0.7 2.6)

と どんな種類でも一定量の食物繊維を含んでいます

ssi65



@果物

ダントツに多いのが アボガド 5.3g (1.7 3.6)

アボガドは 不飽和脂肪酸も多く含んでいます

ssi66


ついで

キウイ 2.5g (0.7 1.8)
パパイア 1.9g (0.7 1.2)
かき 1.6g (0.2 1.4)
いちご 1.4g (0.5 0.9)
りんご 1.4g (0.4 1.0)
バナナ 1.1g (0.1 1.0)
なし 0.9g (0.2 0.7)
ぶどう 0.5g (0.2 0.3)
すいか 0.3g (0.1 0.2)

となっています

果物の食物繊維含有量は 意外に少ないですね


@豆類

不溶性が圧倒的に多いのが特徴です

いんげん豆 19.3g (3.3 16.0)
ひよこ豆 11.6g (0.5 11.1)
アーモンド 10.4g (0.8 9.6)
レンズ豆 9.4g (0.9 8.5)
エンドウ豆 7.7g (0.5 7.2)
大豆 6.6g (0.9 5.8)
納豆 6.7g (2.3 4.4)
あずき 6.8g (0.3 6.5)
枝豆 5.0g (0.4 4.6)

ssi67

このように 豆類は他の食材に比べ
比較的たくさんの食物繊維が含まれています


@海藻

他の食材に比べて 水溶性食物繊維を多く含んでいて
食物繊維の総量もかなり多い

ひじき 51.8g
あおのり 35.2g
わかめ 32.7g
昆布 27.1g

ssi68


@スナック

意外に多くの食物繊維が含まれています

特に 豆類を原料にしたものに多い

ポップコーン 9.3g
きんつば 6.5g
おまんじゅう 6.0g
ミルクココア 5.5g

但し カロリー 糖質も多いので注意が必要です



こうしてみると

主食になることが多い穀類では
未精製のライ麦パン 玄米などに多く 白米には少ない

きのこ 豆類は
どんな種類でも 一定量の不溶性食物繊維が含まれており

海藻は おしなべて多くの水溶性食物繊維を含む

一方

野菜や果物は 意外に含有量が少ないものがある

ということがわかります



ちなみに 多くの有用な生理機能を有する短鎖脂肪酸を産生し
日本人での摂取量が特に不足していると指摘される
水溶性食物繊維ですが

水溶性食物繊維を多く含む食材としては

らっきょう 18.6g
エシャロット 9.1g
大麦 6.0g
ライ麦 4.7g
にんにく 4.1g
ごぼう 2.3g
納豆 2.3g
アボガド 1.7g
オクラ 1.4g
枝豆 1.4g
玄米 0.7g

などがあげられ
海藻も重要な供給源となっています


ssi69


ということで

推奨される1日の食物繊維摂取量は

男性20g 女性18gで

水溶性:不溶性 = 1:2 です


表記した各食物の食物繊維含有量は100gあたりですから

かなり意識して
未精製のパンや米
海藻 豆類 きのこなどを 食べるようにしないと
推奨値には達しないことがわかります


ライ麦パン 玄米 海藻サラダ 豆類 納豆 きのこ

ssi70


こうした食材たちと 仲良くならないといけませんね



2018.04.18更新

食物繊維の重要性を説明してきましたが

日本人は日々の食事で 充分量の食物繊維を摂取できているのでしょうか?

残念ながら 摂取量は年々減少しています


1950年は 1日に20g摂取できていましたが

2015年の1日あたりの摂取量は

*男性15.4g (水溶性3.5g 不溶性11.3g)

*女性14.7g (水溶性3.4g 不溶性10.8g)


ssi51


食物繊維全体の1日あたりの目標摂取量

男性 20g 女性 5.6g

水溶性食物繊維の1日あたりの目標摂取量

男性 6.3g 女性 5.6g

とされていますが 

いずれも 目標値に遠く及びません


ssi50a



摂取量は 年齢とともに増加し

*若年者 20代 男性12.4g 女性11.5g

*30代男性13.5g 女性12.6g

*40代男性13.5 g 女性12.2g

*50代 男性14.1 g 女性14.2g

*60代 男性16.6 g 女性16.4g

*70代以上 男性17.3 g 女性15.5g

となっています

つまり 若年層での摂取不足が目立つ


ssi53



こうした変化は 食生活の欧米化 ライフスタイルの変化によると考えられ

*米を食べなくなった

*大麦などの雑穀を食べなくなった

ことが 大きな原因と推察されています



また 欧米人に比べ 日本人は食物繊維の摂取量が少ないのですが
これは ちょっと意外に思われるかもしれません

というのも

日本人は
食物繊維を含む海藻や野菜をたくさん食べているイメージがあるからです


しかし 食物繊維の摂取源が海藻 野菜のために 逆に少ないのです

欧米人が主食としているパンは 全粒穀物のものが多く繊維が多いのに対し
日本人の主食の精製された白米には 繊維が少ない

だから海藻 野菜でいくら補っても 繊維不足になってしまいます


主食としては
お米なら 玄米や五穀米 パンならライ麦パンや精製度の少ないパンの方が
食物繊維がたくさん摂れます

ssi53a


では 食物繊維の摂取量を増やすと 病気の改善が認められるか?

さまざまな疫学研究がなされています


欧米からは 7g/日の増加で

*心筋梗塞などの冠動脈疾患が9%

*脳卒中 心血管病が9%

それぞれ発症が減少するとされ


10g/日の増加で

循環器病 喫煙関連がん 消化器病 呼吸器病などの死亡リスクが
10%減少すると報告されています


さらに 摂取量が最多と最小の地域間では 死亡リスクが19%異なり

糖尿病は34% 呼吸器病は21% 心血管病は20% 感染症は17%
慢性腎臓病は9% がんは15%

それぞれ死亡率が減少します

ssi54


一方 体重減少効果も認められ
1日30gの高繊維食の摂取により 他の条件を無視しても
体重減少効果が得られると報告されています


また うつ病との関連も指摘されています


では 日本ではどうかというと

8.7万人が参加したJPHC studyでは

女性では 不溶性食物繊維の摂取により
循環器疾患の発症リスクが減少しましたが

男性 喫煙者ではこの傾向は認めず

一方 前立腺がんは減少し
大腸がんは 繊維が少ないと増加していました


また5.9万人が参加したJACC studyでは
穀物 果物から摂取した食物繊維が多いと
冠動脈疾患死亡率が減少していました


このように
食物繊維の摂取により 糖尿病 循環器疾患 がんなどの
リスクが減るようですが

興味深いのは
摂取する食物が 穀物 野菜 果物により 効果に差異があることで

穀物の繊維は 糖尿病の発症を25%減少させますが
果物 野菜の繊維は有効性ないという報告がある一方で
野菜は有効性ありとの報告もあります

ssi55


さまざまな報告を見ると

どうも 穀物由来の食物繊維は良好な効果があり
ついで野菜由来 果物由来と 効果が減ってくるようです

面白いですね

食物繊維というと 野菜! というイメージがありましたが
王道は 穀物なのでしょうか?

ssi56


特に 精製していないパンや米が 貴重で有効性があるソースのようです



2018.04.17更新

短鎖脂肪酸は 大腸内で働くだけでなく

腸管から吸収されて全身にいきわたり
さまざまな作用を発揮することが解ってきました


<代謝反応の改善>

@脂肪細胞からのレプチン分泌促進

@腸管迷走神経の受容体 視床下部経路により食欲制御
*視床下部で抑制作用を有するGABAを発現させることによる

といった作用を介して 代謝に影響を及ぼします


具体的には 下記に示すさまざまな機序により
代謝状態を向上させるとともに 血糖の調節をコントロールしています

@ATP産生などにより 腸管での糖新生を増加

@肝での脂肪合成 糖産生の減少

*受容体GPR43活性化による インスリンシグナル伝達抑制による

@骨格筋のインスリン感受性亢進

ssi31


満腹感の増加による体重減少

ssi34


交感神経を活性化して エネルギー消費を高めて エネルギー恒常性の維持に関わる

*エネルギー過負荷状態で過剰に産生される短鎖脂肪酸によるフィードバック
*受容体GPR41依存性

による


ssi33

 

<炎症反応の抑制>

高脂肪食は 腸管の透過性を亢進させて

炎症を惹起するリポ多糖類(LPS)やエンドトキシンの
腸管から血中への移動(トランスロケーション)を増加させて
全身での慢性炎症を誘導しますが

酪酸は 腸管上皮細胞のエネルギー源となり
腸管壁のバリア機能を強化し
LPSやエンドトキシンの腸管からの吸収を減少させ
全身の炎症を改善します

ssi36


さらに 短鎖脂肪酸
免疫細胞の遊走・浸潤を促進する分子である
接着分子 ケモカイン サイトカインの発現を制御することで
炎症反応を抑制します

ssi16



また
免疫反応を制御する制御性T細胞(Treg)の分化 機能にも関与し

酪酸は 腸管でのTreg分化を促進 IL-10産生を介して抗炎症作用を示し

酢酸は Tregの機能を改善し 自己免疫応答を抑制する

ことにより 過剰な病的免疫反応を制御します

ssi38




このように 短鎖脂肪酸は

*糖尿病を惹起するような代謝状態 や

*さまざまな病気の基盤となる慢性炎症状態 を

改善する方向に働くと考えられています


一方

がん細胞の増殖・遊走を抑制し アポトーシスを誘導することより
抗がん作用も発揮することが明らかにされています



<エピジェネテイクス制御>

遺伝子の発現に関わるエピジェネテイクスについては 既に説明しましたが
短鎖脂肪酸は エピジェネテイクスにも関わっています

酢酸は ヒストンアセチルトランスフェラーゼを増加する

酪酸は ヒストン脱アセチル化酵素を抑制する

ことにより エピジェネテイクスを制御しています


ssi39




<G蛋白共役受容体の(GPR)のリガンドとして作用する>

G蛋白共役受容体については 既に説明しましたが
全身のさまざまな組織に発現し さまざまな機能発現に関わる受容体です

gpr41

短鎖脂肪酸が
どのようにして これまでに説明した種々の機能を発揮するか不明でしたが

近年 
短鎖脂肪酸は この受容体を働かせるリガンドとして機能して
さまざまな機能を発揮すること
が明らかにされてきました


短鎖脂肪酸が作用するG蛋白共役受容体は 下記の種類があります

@GPR41(FFAR3)

*プロピオン酸 酪酸がリガンド

*腸分泌細胞に発現し
 PPY分泌増加 食欲抑制作用を示します

*交感神経にも発現し
 交感神経活性化による代謝亢進 インスリン感受性亢進 食欲抑制 
 などの作用を示します

*膵臓にも発現し インスリン分泌を促進します

gpr42


@GPR43(FFAR2)

*酢酸 プロピオン酸がリガンド

*脂肪細胞に発現し
 インスリンシグナルを抑制し 脂肪沈着を抑え
 レプチンの分泌を促進します

*腸分泌細胞にも発現し
 GLP-1 インスリンの分泌を促進します


gpr44


@GPR109A

*プロピオン酸 酪酸がリガンド

*免疫細胞に発現し 炎症反応を制御します

*脂肪細胞にも発現し 脂肪分解を抑制します

*大腸での炎症も抑制します

gpr45


@Olfr78

*最近新たに同定された受容体で
 血管内皮細胞に発現し 血圧を上昇させます

gpr46



このように

短鎖脂肪酸は 代謝調節作用 抗炎症作用を有することから


短鎖脂肪酸のもとになる水溶性食物繊維をたくさん摂取すれば
糖尿病や生活習慣病が改善する可能性があります

また

短鎖脂肪酸が有する代謝調節作用 抗炎症作用が
G蛋白共役受容体への結合を介して発揮されることが明らかにされ
これらの受容体を活性化する新たな治療法の開発が試みられています


短鎖脂肪酸 要注目です!



2018.04.12更新

腸内細菌の作用により 水溶性食物繊維が発酵されて生じる
短鎖脂肪酸について説明します

既に 脂肪酸の解説 腸内細菌叢の作用の解説で
短鎖脂肪酸は登場しましたが
今日は まとめて詳しく解説したいと思います


<種類>

水溶性食物繊維は 腸内細菌により発酵され 短鎖脂肪酸を生成しますが
構成する炭素の数によって 3種類に分かれます

酢酸       炭素が2つ  60~75%

プロピオン酸   炭素が3つ  15~25%

酪酸       炭素が4つ  10~15%

ssi21


これらの短鎖脂肪酸は
大腸局所の粘膜細胞でエネルギー源として使用されますが

腸管から吸収されて全身にいきわたり
全身のさまざまな細胞のエネルギー源になるだけでなく
さまざまな生理機能を有することが明らかになり

病気との関連からも注目されています


<腸管内での生理作用>

@腸内を酸性にして 腸内細菌叢を調整する = プレバイオティクス効果

短鎖脂肪酸は 腸内を酸性にすることにより

*酸性に弱い大腸菌 クロストリデイウム属の増殖を抑制する

*酸性に強いビフィズス菌 乳酸菌の増殖を維持する

といった 腸内細菌叢の調整を行います

ssi23


腸内細菌叢の項で説明したように 腸内細菌には善玉菌 悪玉菌があり

*大腸菌 クロストリデイウム属は悪玉
 
*ビフィズス菌 乳酸菌は善玉

ですので
短鎖脂肪酸は 腸内細菌叢を良い状態に変化させるわけです

ssi24


また プレボテラ菌が増え
高脂肪・高タンパク食で増えるバクテロイデス菌との比率が増えることで
耐糖能が改善すると報告されています


こうした作用の結果として

*菌種の多様性が増加し

*バクテロイデスが増加

*プロテオバクテリアが減少

することになります


このような腸内細菌叢の調整が

*機能性胃腸障害

*炎症性腸疾患 (クローン病 潰瘍性大腸炎)

*脂肪肝

*糖尿病

*肥満

*大腸がん

*自閉症

*多発性硬化症

*アレルギー

などの 種々の病気の病態に関与することが明らかにされています


@腸管の血流を増す 腸管の運動を調整する

ssi22



@大腸での生理活性物質の産生を亢進する

大腸は 便を形成したり水分を吸収しているだけでなく
さまざまな生理活性物質を産生して 体の機能に影響を及ぼします

短鎖脂肪酸は 下記の生理活性物質の産生を亢進します

*L1細胞から産生されインスリン分泌に関与する インクレチン・GLP-1

*食欲調節ホルモン PYY

*EC細胞から産生される 腸脳相関に関与する セロトニン

ssi25

このように 大腸内で作られた短鎖脂肪酸は
現場で さまざまな作用を発揮しています


2018.04.11更新

最近注目されている食物繊維には どのような働きがあるのでしょう?


<胃 小腸での働き>

胃では
水を吸ってゲルを形成して内容物を増すので
食物の停留時間が長くなり 満腹感が得られる効果があります


小腸では

*食物の移動 吸収速度を遅らせて 血糖値の急激な上昇を抑える

*胆汁酸 コレステロール ミネラル 有害物質などを吸着し
 体外への排出を促進する

といった働きがあります

ssi11


<保水性・吸着性・粘性>

このように
食物繊維が有する 保水性・吸着性・粘性 を中心とする機能は
古くから指摘されてきました

保水性
 糞便量の増加 腸管の蠕動運動を亢進し
 便秘 大腸がんの予防になる

吸着性
 有害物質 ナトリウムの排泄を促進し
 大腸がん 高血圧の予防になる

粘性
 胃内滞在時間の延長 栄養素の吸収遅延を促し
 肥満 糖尿病 脂質異常の予防になる


<排便促進>

また不溶性食物繊維による排便促進には

ssi12

*水を吸収して膨潤化して 便を軟らかくして 量を増やす
*排便が促され 便の消化管通過時間が短くなる
*発がん予防
*発がん物質 アレルギー性物質を吸着して体外に排出する
*便秘の予防 改善

といった さまざまな利点があります

ssi13


<腸内環境の調整>

さらに 最近は新しい機能が注目されています

それが水溶性食物繊維による 腸内環境の調整です

腸内細菌叢の項でも解説したように
最近 腸内環境がさまざまな病気の病態形成に関与することが明らかにされ
腸内環境をいかにして良い状態に保つかが 注目の的になっています

そして

食物繊維が 腸内細菌により短鎖脂肪酸に分解されるとともに
腸内細菌叢を調整することにより 腸内環境を整える

というのです

ssi14

これは 食物繊維の注目度 赤丸急上昇ですよね!(笑)


詳しく説明すると

水溶性食物繊維は 腸内細菌により発酵され
酢酸 プロピオン酸 酪酸などの短鎖脂肪酸を生成しますが


ssi15

これらの短鎖脂肪酸が
腸内細菌叢を調整して 腸内環境を整えるのです


また 短鎖脂肪酸は
腸上皮細胞のエネルギー源となるとともに
腸管から吸収され 全身性にさまざまな生理活性を発揮します

ssi16


短鎖脂肪酸については のちほど詳しく解説します


<生活習慣病の予防>

一方 食物繊維は
生活習慣病の予防にも関与することが明らかにされています

水溶性食物繊維

*小腸内で コレステロール 胆汁酸を吸着して再吸収を妨げ便中に排泄させ
 その結果として コレステロール値を下げる

ssi17

*食物の異動 栄養素の吸収速度を緩やかにし 血糖の急激な上昇を抑える

*エストロゲンの腸肝循環を阻害して 便への排泄を促し 乳がんを予防する

といった作用があります


特に これまでに何度も説明して来たように
食後の血糖値の急激な上昇を抑えることは 糖尿病の予防に重要です

ssi18


食物繊維の糖尿病への発症・進展への影響については

*10g/日の食物繊維の摂取増加で 糖尿病の発症率が9%減少し
 特に穀物由来の繊維が有効で 発症率は25%も減少する

*HbA1cの低下

インスリン抵抗性の改善

インスリン GLP-1の分泌促進

*体重減少

といった効果が報告されています


さらに 食物繊維は膨潤してかさが増し 胃内停留時間を延長させるので
満腹感が得られ 過食による肥満を防止することができます



このように 食物繊維は

*腸内環境の調整作用

*生活習慣病・糖尿病の予防作用

といった
健康関連の最もup to dateな分野での貢献が注目されているのです

 

2018.04.10更新

最近 さまざまな健康系の雑誌などで 食物繊維に関する話題をよく目にします

ssi00


食物繊維
は ヒトの健康にとって重要な6大栄養素のひとつですが

ssi01

書き手が医学生の頃は
タンパク質 脂質 炭水化物 ビタミン ミネラル が5大栄養素とされ
食物繊維は独立した栄養素として教わらなかった気がしますが

今やビタミンやミネラル以上に 食物繊維は注目されている

といっても
過言ではないかもしれません


でも 食物繊維って なに? なぜ必要なの?

書き手も含めて そのあたりをが?? という方は多いと思いますので
説明していこうと思います


<食物繊維とは?>

ヒトの腸内で消化されない 食品中の難消化性成分

植物の細胞壁を構成する不溶性成分 植物細胞内の水溶性成分など
多彩な種類が存在します


その本質は 炭水化物に属する多糖類

炭水化物 = 糖質 + 食物繊維

という図式が成り立ちます

ssi02


大腸などの消化管のなかで活躍して
健康維持に役立つ生理活性を発揮することが 最近の研究で明らかになり
注目を浴びているわけです


<水溶性と不溶性>

食物繊維は 水溶性と不溶性に 大きく分類されます

ssi02a

ssi03


@水溶性

水に溶けゲル状となって 

便を柔らかくし 排出しやすくし
また 有害物質 コレステロール 胆汁酸などを吸着して便に排泄します

腸内細菌の善玉菌により 発酵されて短鎖脂肪酸が形成され
短鎖脂肪酸は 腸内環境の調節などのさまざまな機能を発揮します

この点が 不溶性との大きな差異です

ssi04


果物や海藻
特にヌルヌル ネバネバ系食材に含まれているモノが多い

代表的なのは

ペクチン (果物の皮 野菜)

グルコマンナン (こんにゃく 山芋 里芋)

アルギン酸 (海藻)

βグルカン (大麦 オーツ麦)

イヌリン (ごぼう きくいも)

アガロース (寒天 天草)

アルギン酸 (こんぶ あらめ)

カラギーナン (海藻)

などです


@不溶性

水分を吸収して数倍から十数倍に膨れ

満腹感をもたらし
便量を増やし 便の硬さを適度にしながら蠕動運動をして
便の排泄を促す効果に優れています

一方で 摂りすぎると
便が硬くなり 逆に便秘につながる恐れもあります

ssi06


野菜に含まれているモノが多いですが

代表的なのが 果物 野菜 穀類 豆類に含まれるセルロース
最も多く食べられていて
米ぬか 小麦 ふすま などの外皮に多く含まれています

それ以外にも

ヘミセルロース (穀類 野菜 豆類 果物)

ペクチン (野菜 未熟な果物)

リグニン (ココア ピーナッツ 緑豆)

キチン キトサン (きのこ えびかに甲殻)
動物性で グルコサミンが結合した多糖類で
抗肥満 脂質改善 整腸 免疫アップ 抗ガン作用がある

コンドロイチン硫酸 (フカヒレ)

βグルカン (きのこ パン酵母)

などがあります


聞いたことがある名前も 多いのではないでしょうか?


水溶性と不溶性の 理想の摂取バランスは 1:2 とされ

ssi07

現代の日本人では
特に水溶性食物繊維の不足が目立つと報告されています


ssi08

あまり 果物や海藻などを食べなくなったせいでしょうか?



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