左利き肝臓専門医ブログ

2018.11.13更新

多量ミネラルの カリウム クロール(塩素)について説明します


<カリウム>

@体内動態

体重1Kgあたり2g存在していて

ナトリウムと反対に細胞内液に多く存在し
その98%は細胞内液と骨にあり 細胞外液にあるのは2%だけです

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@Na/K ATPase

細胞内に高濃度のカリウムを維持するため
細胞膜にはNa/K ATPaseというポンプが存在し働いています

k02

このポンプが働くには ATPによるエネルギーが必要で
そのため「能動輸送」と呼ばれています

それだけ このポンプの働きが生体にとって重要ということです


Na/K ATPaseにより
細胞内のナトリウムを3個 細胞外に出し
細胞外のカリウムを2個 細胞内に取り込みます

こうして細胞内の陽イオンがひとつ減るので
通常の細胞内はマイナスに荷電している状態になります(膜電位の形成

k03

そして ナトリウムの項で説明したように
さまざまな刺激により細胞内にナトリウムが流入してくると
細胞内の荷電状態がプラスに変化し
活動電位が生じて 種々の細胞機能が発現されます


k04


ちなみに 後述するマグネシウム
Na/Kポンプを活性化してカリウムの細胞内への取込みを促進します

k05

@働き

*神経 筋の興奮

神経 筋が興奮するときは
上述したように刺激によりナトリウムが細胞内に流入しカリウムが流出します

こうして細胞内に活動電位が発生し
この電位差により隣接する細胞に興奮が伝達されます


*ナトリウムの再吸収に拮抗します

カリウムは 尿細管でのナトリウム再吸収を抑制します

その 結果ナトリウムの尿中排泄量が増え血中ナトリウム量が減り
浸透圧の作用により細胞外液量が減るので 
血圧が低下します

最近は 
高血圧症の患者さんがカリウムを摂取すると
血圧が低下することも報告されています

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@不整脈との関係

血中カリウムが高くても低くても 致死的な不整脈が起こるので
特に腎機能障害がある方は
カリウムの摂りすぎや摂取不足には注意が必要です

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@カリウムが多く含まれる食品

バナナ 柑橘系 トマト ジャガイモ などです

k08



<クロール Cl>

@体内での動態

*クロールはマイナスに荷電していますから
 体内ではプラスに荷電しているナトリウムや水素など(陽性元素)や
 その分子団と結合しています

cl01

*主に細胞外液(血液中)に存在していて
 (細胞外液に70% 細胞内液に30%)

 血液中に存在する陰イオンで いちばん多い成分です

 2番目に多い陰イオンは 重炭酸イオン・HCO3です


cl02


@役割

cl03a

cl03



*酸・塩基平衡の維持に貢献しています

血液のpHを
円滑な生命活動が起こりやすいpH7.3ほどの弱アルカリ性に維持することは
体にとって非常に重要なことです


体内を酸性にする水素イオン・H+
血液内でクロールまたはHCO3と結合します

クロール HCO3は
酸性を弱める塩基性の性質を有する代表的な物質ですが
塩基性の度合いは クロールが弱く HCO3が強い

そこで H+イオンが
塩基性が弱いクロールと結合すると 強い酸性のHCLとなり
塩基性が強いHCO3と結合すると 弱い酸性のH2CO3になります

つまり血液中で
クロールが増えると HCLが増え血液は酸性になり
HCO3が増えると H2CO3が増えてアルカリ性になるのです

繰り返しになりますが
体内をちょうど良いpH状態に維持すること(酸・塩基平衡の維持)は
大変重要なので

ヒトの体はクロールとHCO3の比率を調整することで
血液中のpHを一定に維持するシステムが活躍しています

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*ナトリウムとともに 浸透圧の維持にも貢献しています


*胃では 壁細胞から分泌されて胃酸の成分になり
 胃の中を強い酸性にします

cl05


 

2018.11.08更新

多量ミネラルの代表選手 ナトリウム について説明します

ナトリウムは 塩分 主たる成分です


<働き>

@体液量の調整

後述する機序により 細胞外液量(体液量)を調整します


@神経細胞の興奮 情報伝達

神経細胞が神経伝達物質などで刺激を受けると
細胞外に存在する主たる陽イオン(プラスに荷電している)のナトリウムが
細胞内に流入し

神経細胞が活動していない時は マイナス状態にある細胞内の電位が
負から正に変換され
神経細胞が興奮するのに必要な「活動電位」が生じます


na01

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こうして生じた活動電位・電気的勾配を利用して
神経細胞の興奮 情報伝達が起こります


@糖やアミノ酸の共輸送

糖やアミノ酸は
ナトリウムと一緒に
エネルギー非依存性に細胞内に運び込まれます

na03
na04

栄養素を細胞内に取り込む現象に ナトリウムは貢献しているのです


<体液量はナトリウム濃度で規定される>

@細胞内液と細胞外液

体内に存在する水分(体液)は

*細胞の中に存在する細胞内液 体重の約30~40%
*細胞の外に存在する細胞外液 体重の約20%

に大きく分類されます

細胞外液の約1/4は 血管内に血漿として存在しています

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細胞内液と外液は 細胞の細胞膜により隔てられていて
両者間の電解質や糖質などの物質の移動には
巧妙な調節機構が働いています

また 水分は後述する浸透圧により両者間を移動します

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@ナトリウムは細胞外液に多く存在します

55%は細胞外液 43%は骨 2%は細胞内液に存在しています

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細胞外液は海水と構成成分が似ていて ナトリウムとクロールが多いのです

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この細胞外液のナトリウムが 血液の浸透圧を規定しています

ナトリウム量が多いと
浸透圧により細胞内から細胞外へ水を引っ張り出して
細胞外液量が増えるのです

一方 あとで解説しますが
細胞内にいちばん多く存在するのはカリウムです

na16



<浸透圧とは>

生体内では 細胞内液と細胞外液の間に
ナトリウムなどのイオンや糖などの分子の濃度に差があるとき
それをなくして同じ濃度にしようとして 細胞内外で水分が移動します

この水分の移動の原動力となるのが 浸透圧です

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浸透圧を規定するのは イオンや糖の分子の総和で
それが多いと浸透圧は高く 少ないと低い


細胞内外を隔てている細胞膜は
イオンや分子の通過は制限しますが 水は自由に通す性質があります

この性質を利用して
細胞内外のイオンや分子の濃度が等しくなるように
つまり浸透圧が等しくなるように 水が勝手に移動するのです

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細胞外の浸透圧が低いときは 細胞外から細胞内に水が移動し

細胞外の浸透圧が高いときは 細胞内から細胞外に水が移動します


<細胞外液のナトリウム濃度を調節するシステム>

ナトリウムは小腸から吸収され
吸収されたのと同じ量が尿に排泄され
出納のバランスが保たれています

細胞外液(血中)のナトリウム濃度を調節するシステムとしては
下記のふたつのシステムが存在します


@レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系

レニンは アンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンIに分解します

アンギオテンシンIは アンギオテンシンI変換酵素により
活性の高いアンギオテンシンⅡに変換されます

アンギオテンシンⅡは 腎臓の尿細管でのナトリウム再吸収を促進します


また レニンは副腎からアルドステロンを分泌させ

アルドステロンは
遠位尿細管 集合管でのナトリウム再吸収を促進します

na09


このように アンギオテンシンⅡとアルドステロンは
腎臓でのナトリウムの再吸収の促進により
血中ナトリウム量を増やし

その結果 細胞外の浸透圧が上がるので
細胞内から細胞外に水分が移動して
血管内の細胞外液量(血漿量)が増えて血管内圧が高まることで

血圧が上昇するのです


こうしたことから
レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系は
降圧薬のターゲットになっています

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高血圧症の治療で使われることが多い
アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)
アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)
このレニン・アンギオテンシン系の阻害により
降圧作用を発揮します


@抗利尿ホルモン バゾプレシン

塩分を多く摂ると 血中ナトリウム濃度が増えますが
その情報が脳に伝えられると

喉の渇きが自覚され 飲水行動が起き

下垂体後葉から抗利尿ホルモンのバゾプレシンが分泌され
尿量が減少します

こうして細胞外液量が増え
血中ナトリウム濃度が調整される仕組みも存在します

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どうしてこういう仕組みがあるのでしょう?

ヒトのご先祖様は 大昔は海中で暮らしていたので 海が恋しい

そこでナトリウムを体内にできるだけ取り込みそれを保つことで
細胞外液を海水に似た成分構成にしようとした

そんな理由で
ナトリウムを溜めこみやすい体質になったのではないかと言われています

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<ナトリウムと高血圧症>

塩分を摂りすぎて 血中ナトリウム濃度が増加すると
上述した機序により細胞外液量が増え 血圧が上がります

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高血圧症の患者さんが塩分制限を求められるのは
こうした理由によります

新しい降圧薬が開発されても
高血圧治療の基本は塩分制限なのです

 

2018.11.07更新

ミネラルは 体のなかで下図に示すような多種多様な働きをしています

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このうちの代表的な働きについて説明します


<体の構成成分になる>

骨や歯などの硬組織を形成する
 カルシウム リン マグネシウム など

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ヘム鉄 リン脂質といった
 赤血球や細胞膜などを構成する生体内の有機化合物や

 さまざまな酵素

 の構成成分になるミネラルがあります


<補酵素として 代謝反応を円滑に進ませる>

ミネラルは
生体内で日々営まれている重要な代謝活動をサポートします

@化学反応を進行させるのは 酵素

*代謝反応は
 体外から取り入れた栄養素を分解し
 吸収された栄養素を身体に必要な物質に再合成する
 重要な化学反応です

*代謝反応では 酵素が反応の効率を上げます

*栄養素の代謝だけでなく
 DNAの複製・タンパク質の合成などの反応においても
 多くの酵素が重要な役割を担っています


@ミネラルは 補酵素として酵素の働きをサポートする

*酵素の働きをサポートして
 化学反応を円滑に進める役割を担っているのが 
 ミネラルやビタミンなどの補酵素です


*ミネラルはビタミンと力を合わせて 酵素の働きを活性化します

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*ミネラルが不足すると 代謝反応が滞り
 体の機能を充分に発揮できない状態になります

*栄養素の代謝反応で代表的なのが
 糖を分解する解糖系 脂質を分解するβ酸化
 それらを材料にしてエネルギー・ATPを作るTCA回路 電子伝達系ですが

この過程で働くプロテアーゼ アミラーゼなどの消化酵素
補酵素・補因子として
ミネラルの鉄 銅 モリブデンなどが働いています


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<体内の水分・細胞外液量の調整 浸透圧の維持・調整 pHの調整>

@浸透圧の維持

ナトリウムなどは
浸透圧の維持により 細胞内液と外液の量的・質的なバランスを調整します
(浸透圧についてはあとで詳しく説明します)

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@酸・塩基平衡 pHの調整

さまざまな生命活動は
pH7.3ほどの弱アルカリ性の状態で円滑に機能しますから

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体を酸性に傾ける物質が入ったときには
ミネラルがpHを調整する働きをします


<筋肉の収縮・弛緩 神経の興奮伝達>

カルシウムなどは 筋肉の収縮や 

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神経の興奮伝達に関ります


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<抗酸化作用>

ミネラルそのものが
細胞に有害な活性酸素を直接消去することはありませんが
 
銅 亜鉛 マンガン セレンは
SODなどの抗酸化酵素の構成成分となり 
抗酸化作用に関わっています

SODの構成成分:銅 亜鉛 マンガン

グルタチオンペルオキシダーゼの構成成分:セレン

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このように ミネラルは体内でさまざまな重要な働きをしていますが

互いが複雑に作用しあい
それぞれの吸収 利用 蓄積に影響を与えるので
日々の食生活でのミネラル摂取に偏りが生じないように
バランスの良い食事内容に気をつけることが大切です

 

2018.11.06更新

ビタミンについて解説したので

同じく微量栄養素の仲間であるミネラルについても
この機会に勉強しようと思います

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<ミネラルとは?>

地球上には100種類の元素がありますが

ヒトの体の約96%は

酸素(O) 炭素(C) 水素(H) 窒素(N)

の4種類の元素により構成されています


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この4種類の元素以外の 体を合成する生体元素がミネラルです


ちなみに 体を構成している重要な有機物質である

*タンパク質は 炭素 水素 窒素 酸素 硫黄

*脂質は 炭素 水素 酸素 リン

*糖質は 炭素 水素 酸素

*核酸(DNAなど)は 炭素 水素 窒素 酸素 リン

の各元素で出来ています

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これらの物質は炭素を骨格にしていて 有機物質と呼ばれます

それに対してミネラルは 無機物質と呼ばれます

 

<体を構成する元素>


私達の体は
酸素 炭素 水素 窒素 を中心にできていると説明しましたが
各元素がどれくらい存在しているかというと

酸素65% 炭素18% 水素10% 窒素3%

これだけで 96%

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残りの4%がミネラルで


*比較的多いのは カルシウム1.85% リン1%

*少量なのは
 カリウム0.35% イオウ0.25% ナトリウム0.15% 塩素0.15%
 マグネシウム0.05%

といった具合で ミネラルの含有量は非常にわずかなことがわかります

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<ミネラルの種類>


体内に存在し 栄養素として欠かせないことがわかっているミネラルは
下記の16種類が知られています

ナトリウム マグネシウム リン イオウ 

塩素 カリウム カルシウム クロム マンガン 鉄

コバルト 銅 亜鉛 セレン モリブデン ヨウ素

 mine06


このうち 厚生労働省が摂取基準を決めているのは
イオウ・塩素・コバルトを除く13種類

下記の 主要ミネラル 微量ミネラル です


<主要ミネラル 微量ミネラル>

ミネラルは
わずかな量でも 体の機能を正常に働かせる大きな役割を担っているため
体にとって必須なものです

1日の推奨摂取量が

*100mg以上の 主要ミネラル(多量ミネラル)

*100mp未満の 微量ミネラル

に分類されます


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@主要ミネラル

カルシウム リン カリウム ナトリウム マグネシウム

の5種類

必須ミネラルの90%以上を占めます


@微量ミネラル

鉄 ヨウ素 亜鉛 銅 セレン マンガン モリブデン クロム 

の8種類

必要量は ごくわずかです


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<ビタミンとミネラルの関係>


@共同作業をします

ビタミンとミネラルは共同で
体のさまざまな機能を維持・調節する働きをしています

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@共通点

ともに体内で合成できないため(一部のビタミンは腸内細菌が作ります)
常に食物から摂取していないと不足がちになります

ビタミンは
ミネラルが不足していると効果を発揮することができず
体外に排出されてしまいます


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@大きな違い

ビタミンが
炭素 水素 酸素などからできている有機物であるのに対し

ミネラルは無機物である点です


また ビタミンと異なり
ミネラルは骨などの体の構成成分になるものがあります


mine11a


つまり ミネラルには

*体の構成成分になる

*代謝などの生体機能を調節する

というふたつの働きがあります


<摂取>

ほとんどのミネラルは
成長や生命活動に欠くことのできない必須ミネラルなので
食事から直接摂取する必要があります

摂取で大切なのは 毎日の食事内容ですが
インスタント食品などが多く ミネラル不足になりがちな現代では
より注意が必要です

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@厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」

によると 1日の推奨摂取量は

*主要ミネラルのカルシウムなら
 成人男性で650〜800mp 成人女性で650mp

*一方 微量ミネラルの鉄は
 成人男性で7.0〜7.5mp
 成人女性で6.0(月経なし)〜10.5(月経あり)mp
 と 主要ミネラルの1/100程度です

こんな微量ミネラルですが それぞれ働きが異なり
体の機能を正常に働かせるのにしっかり貢献しているのです


<欠乏症>

現代社会の食生活では 三大栄養素が過剰摂取される一方
一部のビタミンとミネラル全般が不足しがちで
現代型栄養失調とも指摘されます


食生活の西洋化や
ファーストフード インスタント食品 加工食品が増えたことはもちろん

ハウス栽培・養殖などされた食材自体に
ビタミンやミネラルが少なくなっているため
バランスのとれた栄養摂取が困難といっても過言ではありません

こうした現代型栄養失調が
がん・糖尿病・アトピー・ストレス性疾患などの
生活習慣病生をまねく大きな要因であるという意見もあります


しかし実際は
鉄や亜鉛以外の欠乏症は 極めてまれと報告されています

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<過剰症>

ミネラルは ビタミンと同様
摂り過ぎによる弊害がみられる場合があります

このため 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では
この量までなら摂取しても過剰の害のない耐容量として
耐容上限量を設定しています

よく問題になるのは
健康食品やサプリメントの過剰摂取による ミネラルやビタミンの過剰症です

サプリなどを摂る場合は
耐容上限量を越えないように 摂取量に充分に注意してください

  

2018.11.02更新

脂溶性ビタミン 水溶性ビタミン

それぞれのたくさんのメンバーについて説明しましたが
最後にまとめをしたいと思います


ビタミンは
ヒトの生体内で日々行われている活動において
決して主役ではありませんが なくてはならない重要な脇役です


脂溶性ビタミンの A D E K
それぞれ特徴的な働きを有しています

vitm06


一方 水溶性ビタミンの中心となるビタミンB群
8種類のメンバーがいて

主に代謝に貢献しています


vitb01



ヒトの体の活動の基本は
細胞のなかで 食物から摂った栄養素を酸素を利用して
エネルギー(ATP)に変えることです


mt energy2

そのため
食物から摂取したタンパク質 脂質 糖質の三大栄養素
細胞内で分解・代謝し ミトコンドリアでエネルギーに変換します


vitb02

そうしたシステムが
体内のいたるところで 日々休むことなく行われています

このシステム

*糖質をグルコース・ピルビン酸に変換する解糖系

*脂質を脂肪酸に変換するβ酸化

*タンパク質をアミノ酸へ異化する系

によって  三大栄養素はアセチルCoAに変換され

crosstalk5

アセチルCoAは ミトコンドリアでTCA回路に入り
連続した反応により 電子伝達体のNADH・FADH2が生成され

電子伝達系はNADH・FADH2を使って呼吸鎖反応を行い
最終的にエネルギーのATPを産生します

ktd01

ビタミンはこうした連続した一連の反応の各所において
補酵素として働いて反応を円滑に進めているのです

ビタミンはたくさんの大切な働きを有していますが
極端なことを言うと このエネルギー産生への貢献が
いちばん重要かもしれません

特にビタミンB群の貢献は大きく
繰り返しになりますが 三大栄養素の代謝に深く関わっています

B1は 糖質担当
 解糖系で得られたピルビン酸をアセチルCoAに変換します

B2は 脂質担当
 β酸化で得られたアシルCoAをアセチルCoAに変換します

B5・パントテン酸は 三大栄養すべてに関わり
 CoAに変換され B1 B2と協力して
 三大栄養素のアセチルCoAへの変換を助けます

B7・ビオチンは 糖質 脂質担当
 糖質のアセチルCoAへの変換
 脂質の脂肪酸への分解 脂肪酸のβ酸化によるアセチルCoAへの変換
 を助けます

これらビタミンB群の働きにより
三大栄養素はアセチルCoAに変換され TCA回路に入れるようになります

栄養素のエネルギー(ATP)への変換のスタートが切られるわけです




vitb03


また上述したように

TCA回路では
電子伝達系で使われる電子伝達体のNADH・FADH2が生成されますが

nadfad01

この電子伝達体のNADH・FADH2生成にもビタミンB群は関わり

B2は FADに変換され FADH2の基になります

B3・ナイアシンは NADに変換され NADHの基になります

vitb202



こうして 電子伝達系で
電子伝達体のNADH FADH2は呼吸鎖を形成する分子と
電子の受け渡し反応を連続して行い
その結果 最終的にエネルギー・ATPが産生されます

ddk01




一方でビタミンB群は
エネルギーのATPだけでなく
遺伝子のDNAの合成にも重要な役割を果たします

B12は 同じビタミンBメンバーであるB9・葉酸に働きかけ
 DNAを作るピリミジン塩基(シトシン・チミン・ウラシル)
 の合成を促進します

B9・葉酸
 上述したB12の作用によりピリミジン塩基に変換され
 さらに やはりDNAを作る核酸の原料となる
 プリン塩基(アデニン・グアニン)の合成を促進します


vitb1211


こうして生命現象の根源となるDNAの合成を助けます


さらに 体の構成成分であるタンパク質の合成にも関わり

B6
 食事で摂ったタンパク質をアミノ酸に分解し
 体内でアミノ酸からタンパク質を作るのを助けます

こうして作られたタンパク質は さまざまな機能を発揮して
生体の活動に貢献します

vitb608


つまり 
栄養素を代謝して 生体活動に不可欠なエネルギーを作り

そのエネルギーを用いて 遺伝子 細胞 タンパク質を作ることに
ビタミンはB群を中心にして大きく貢献しているわけで
ビタミンがなかったらヒトは成り立たないわけです


他にもビタミンは
抗酸化作用などさまざまな重要な働きをしています

ビタミンの重要性を理解していただけたでしょうか?


来週から
ビタミンと並ぶ重要な微量栄養素であるミネラルの解説を始めます

 

2018.11.01更新

水溶性ビタミンの最後の解説です


<葉酸>

ビタミンB群の仲間で 正式名称は ビタミンB9 です


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腸管吸収され 還元作用を受けて
テトラヒドロキシ葉酸に変換された形で機能します


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@働き

核酸合成 アミノ酸代謝に関与します

メチル基 ホルミル基などの
一炭素単位転移反応を触媒する酵素の補酵素として働いて


vb9fa02a

この働きにより

DNAを作る核酸の原料となる
*プリン塩基(アデニン・AMP グアニン・GMP)
*ピリミジン塩基(シトシン・チミン・dTMP)

を合成
します

前回説明したように この過程にはビタミンB12が作用して
ピリミジン塩基・チミンの合成を助けます

こうして核酸やタンパク質が合成されて
体を作る基本となる細胞の生産や再生が成されます


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また 前回解説したように
ビタミンB12との協調作用により赤血球の形成を助け

さらに
その活発な細胞分裂を助ける作用により
胎児の正常な発育に貢献しています


@多く含む食品

レバー 枝豆
モロヘイヤ ほうれん草 ブロッコリーといった緑黄色野菜
いちご

などです

vb9fa03


@欠乏症

日本人の平均した摂取状況は十分量であることから
通常の食生活では 摂取不足による欠乏の心配はほとんどありません


葉酸はビタミンB12と協力して赤血球を成熟させる働きがあるため
欠乏症ではビタミンB12不足の際と同様
巨赤芽球性貧血がみられます

vb9fa04


また 妊娠初期の女性で欠乏すると
胎児に神経管閉鎖障害という
神経管の発育不全になるリスクが高まります

妊娠中の女性は必要量が普段の2倍近くになることから
不足しやすいため積極的な摂取が望まれます

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若い女性が
極端な食事制限によるダイエットで葉酸不足になっていた場合
初期の妊娠に気づかないで
胎児へ悪影響を及ぼすことも心配されています


ホモシステインからメチオニンへの合成が滞るため
高ホモシステイン血症になり
動脈硬化を促進することも報告されています

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逆に 葉酸が十分にあると
脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を防ぐことが明らかにされています

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@過剰症

通常の食生活では 摂り過ぎによる過剰症はみられません

薬やサプリメントを上限量をこえて大量摂取した場合は
神経障害 発熱 蕁麻疹などの過剰症がおこるとの報告があります



<ビオチン>

やはりビタミンB群の仲間で ビタミンB7 とも呼ばれます

vb701

@働き

TCA回路で働くピルビン酸カルボキシラーゼの補酵素として
糖質の代謝 糖新生をサポートし

脂質から脂肪酸への分解を促進し
脂肪酸のβ酸化に関わるアセチルCoAカルボキシラーゼの補酵素としても
脂質代謝をサポートします

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@欠乏症

腸内細菌叢により作られるので
通常の食生活で不足することはありません

抗生剤の長期服用などで腸内細菌叢に変化が起きた場合は
欠乏することがあり
脱毛 皮膚炎 けんたい感 食欲不振 などの症状が起こります


@過剰症

報告はありません



<ビタミンC・アスコルビン酸>

たくさんいたビタミンB群とは異なる 唯一の水溶性ビタミンです

@働き

強い還元能を有し 抗酸化剤として働きます

vc01

過酸化物質の生成を抑制し
抗酸化作用により老化やがんを抑えます

ビタミンEの項でも紹介しましたが

同様に抗酸化作用を有するビタミンEと協力し合って
抗酸化作用を発揮します

抗酸化作用を発揮したあとに酸化型になったビタミンEが
ビタミンCにより
再び抗酸化作用を持つ還元型ビタミンEに再生されるのです

vc02

ですから 繰り返しになりますが
ビタミンEとビタミンCは 同時に摂取した方が効果的です

vc03


抗酸化作用以外にも

*コラーゲン合成に必要な4-ヒドロキシコラゲナーゼの酵素活性を維持する

vc04


*鉄吸収の促進

といった作用も有しています


@多く含まれる食品

かんきつ類 イチゴ 野菜 いも などです

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水に溶けやすく 熱に弱いので
できるだけ新鮮なナマで食べるのがよく
洗いすぎたり ゆですぎたり 水にさらしすぎたりしないことが大切です


@欠乏症

壊血病が有名です

コラーゲンがつくれないため 細胞の間の結合がゆるむことで起こります

血管や関節が弱くなることから
歯ぐきなど体の各所で出血したり 関節が痛んだりします

また
抵抗力が下がって カゼなどの病気にかかりやすくなる
骨の発育が不十分になる
といったことも起こります

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@過剰症

過剰に摂取しても 吸収率が低下し残りは尿から出てしまうため
一般的に有害な過剰症はないとされています

しかし 薬やサプリメントの摂り過ぎなどでは
吐き気 下痢 腹痛といった胃腸への影響が報告されています

 

2018.10.31更新

さらに水溶性ビタミンの解説を続けます


<ビタミンB6>

@種類

*ピリドキサール

*ピリドキシン

*ピリドキサミン

の3種類があり

vitb601

生体内で活性化され
リン酸化エステル型の PL PN PM に変換されます

また 一部は体内で腸内細菌により作られています

vitb601a

他のビタミンの解説でも紹介したように
最近注目されている腸内細菌がビタミンを造るのは 興味深い現象です


@働き

リン酸化 脱リン酸化 酸化還元反応
などに関わる酵素補酵素として働きます

特に タンパク質の代謝をサポートします

vitb603

タンパク質代謝に関わる

*アミノ基転移反応を触媒するトランスアミナーゼ

*脱炭酸酵素(カルボキシル基を取り除く)

などの補酵素として働き


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*食事で摂ったタンパク質をアミノ酸に分解し

*体内でアミノ酸からタンパク質を作る

それぞれの過程に貢献します


vitb602


タンパク質の摂取量が多くなると B6の必要量が増えます

こうして筋肉や血液などが作られる際に働いています


B1は糖質

B2は脂質

*B6はタンパク質


三大栄養素のそれぞれの代謝に関わるビタミンB類が
B1 B2 B6とうまく役割分担されているのは面白いですね


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また 皮膚 粘膜の健康維持にも役立ちます

vitb605


さらに
神経伝達物質セロトニン GABA ドーパミンなど)の合成にも関与します

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@ビタミンB6が多く含まれる食品

かつお まぐろなどの魚類 レバー 肉などに多く含まれています

果実ではバナナに比較的多く含まれています

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@欠乏症

湿しんなどの皮膚炎 口内炎 貧血 脳波の異常などがおこります

ペラグラ様皮膚炎は特徴的な皮膚炎で
日光が当たる部分に 発赤 水疱 色素沈着などが起こります

また 末梢神経障害 眠気 倦怠感 も起こります


ビタミンB6は腸内細菌によっても作られることから
一般的には不足しにくいのですが

長期間 抗生剤を飲んでいる人では
腸内細菌叢が乱れて働きが悪くなってしまい
B6の産生が不足することがあるので 注意が必要です


@過剰症

通常の食生活では とり過ぎになる心配はほとんどありません



<ビタミンB12・コバラミン>

ビタミンB12は 生体内では

補酵素として働く メチルコバラミン アデノシルコバラミン

として
存在します


vitb1201


@吸収の特徴

ビタミンB12の吸収過程は複雑で

まず 胃で  胃壁細胞から分泌される内因子と結合し
回腸末端部の受容体を介して吸収されます


vitb1202

ですから 手術で胃を切除した人は
ビタミンB12不足になりやすいので注意が必要です


@働き

メチル基転移反応を触媒する酵素の補酵素として働きます

この「メチル基転移反応」の代表例が

*貯蔵型のメチル葉酸からメチル基を奪って 活性型葉酸に変換し

*奪ったメチル基を
 アミノ酸のホモシステインに転移して メチオニンに変換する

という反応です

vitb1203


この反応で活性型となった葉酸
DNAを構成する塩基のひとつであるチミンの合成を推し進めます

vitb1203a


つまり ビタミンB12は
「葉酸からのDNA合成」をアシストするわけです

これまで見てきたビタミンB群の三大栄養素の代謝を促進する働きとは
少し趣が異なります



vitb1204

ちなみに B12が働きかける葉酸
次回説明するビタミンBメンバーの ビタミンB9 です

一方で

ビタミンB12と葉酸は
骨髄内で赤血球が成熟していく過程を やはり協力して後押しします

vitb1205


このように ビタミンB12と葉酸は
DNA合成 赤血球成熟といった  遺伝子や細胞の成り立ちを
協力して支えています

vitb1206


また メチルコバラミンには
神経細胞を修復して神経伝達をスムーズにする働きもあります

vitb1207


@ビタミンB12が多く含まれている食品

かきなどの魚介類や レバーなどに 多く含まれています

vitb1208


@欠乏症

代表的なのが 巨赤芽球性貧血 です

赤血球の成熟・ヘモグロビン形成が上手くできず
酸素が運べない無用で巨大な赤血球になってしまうので貧血になります

vitb1209


極端な偏食でなければ ビタミンB12不足はおこりにくいのですが

胃や腸を手術で切除した場合など ビタミンB12の吸収が上手くいかない人
動物性食品をあまり食べない人 菜食主義の人では
不足する可能性があるため注意が必要です

肝臓に数年分の備蓄があるので
欠乏してから数年たって症状が出てきます


ものわすれ 末梢神経のしびれ 痛み
といった症状が見られることもあり
しびれの治療にはビタミンB12製剤が投与されます

vitb1210


@過剰症

過剰に摂っても必要以上には吸収されないので
とり過ぎになる心配はありません

 

2018.10.30更新

水溶性ビタミンの続きです


<ナイアシン>

ニコチン酸 ニコチンアミド の総称です

niac01a

ビタミンBグループの一員で 正式名称は ビタミンB3 ですが
そう呼ばれることはほとんどありません

niac00


体内で リボース リン酸 アデノシン と結合して
NAD NADP に変換されます


niac02


また 体内でアミノ酸のトリプトファンから合成されます


niac04


@働き

NAD NADP
酸化還元酵素(脱水素酵素)の補酵素として働きます

niac03



NAD NADPが補助する酸化還元酵素は
解糖系TCA回路における種々の代謝反応に関わります


niac06


また NAD NADPそのものが
ミトコンドリアでの電子伝達系では
呼吸鎖の複合体と電子をやり取りする役割を果たしています

niac05

niac07


こうした働きにより

解糖系 TCA回路での糖質 脂質 タンパク質の代謝から
電子伝達系でのエネルギー(ATP)産生に至るまで
200種類以上の重要な生体反応に関わっています


また アルコール分解における
アルコール脱水素酵素 アルデヒド脱水素酵素にも
補酵素として働きサポートしています

niac08


さらに 皮膚や粘膜の健康維持も助けます

niac01


@多く含む食品

広く食品に含まれますが 特にレバー 魚 肉などに多く含まれています

niac09

これらの食品はタンパク質も豊富なため
生合成の原料となるトリプトファンも同時に摂取できます


@欠乏症

ペラグラ皮膚炎 口舌炎 下痢 神経症状(痴呆)などが起こります

ペラグラは
中南米など トリプトファン含有量の少ないとうもろこしを主食とし
他の食品をあまり食べない地域で見られましたが
日本で通常の食生活をする場合は 心配はほとんどありません

食欲がなくなり 消化不良 皮膚の発疹 なども起こります


@過剰症

通常の食事から過剰になることはほとんどありません

薬やサプリメントで誤って大量摂取すると
消化不良やひどい下痢などの消化器系の障害や
肝臓の障害などが起こることがあります



<パントテン酸>

パントテン酸の「パントテン」は 広くどこにも存在するという意味です

やはりビタミンBグループの一員で 正式名称は ビタミンB5 ですが
そう呼ばれることはほとんどありません


vitb501



体内で  活性型補酵素A(コエンザイムA CoA)に変換されます

vitb502


@働き

コエンザイムAは アセチル化酵素の補酵素として働きます

アセチル化酵素

*糖質の解糖系

*脂質のβ酸化

*タンパク質の異化


といった三大栄養素の代謝反応を促進します

前回説明したビタミンB1 B2などと協力し合って
三大栄養素の代謝物をアセチルCoAに変換してTCA回路に入れ
エネルギー産生を進ませます

vitb503

vitb507


糖質代謝では
解糖系によりグルコースから変換されたピルビン酸を
アセチルCoAに変換しTCA回路に入れ

vitb504

脂質代謝では
脂肪酸をアシルCoAに変換し
アシルCoAはβ酸化によりアセチルCoAとなり TCA回路に入ります


また
コレステロール ステロイドホルモン アセチルコリン
などの合成もサポートします


vitb505



@多く含む食品

特に多いのは レバー 納豆 さけ いわしなどの魚介類 肉類 卵などで
腸内細菌によっても合成されます

vitb506


@欠乏症

成長障害 手足の知覚異常 頭痛や疲れなどが起こりますが
広く食品に含まれることから 通常の食生活で欠乏症は滅多にありません


@過剰症

過剰摂取による有害な影響は ほとんど報告されていません

薬やサプリメントで大量に摂取した場合は
吐き気や食欲不振の報告もあるため注意が必要です

 

2018.10.25更新

今日から 水溶性ビタミン の解説に入ります

vitm05


まずは代表選手の ビタミンB群 ですが

B群には

B1・B2・B3(ナイアシン)・B5(パントテン酸)
B6・B7(ビオチン)・B9(葉酸)・B12

の8種類のメンバーがいます

vitb01

これらは主に補酵素として
糖質 脂質 タンパク質の三大栄養素のさまざまな代謝反応に関わり

vitb02

体内でのエネルギー産生に欠かせません


vitb03


それ以外にも

*赤血球を造る(葉酸・B12)
*抗酸化作用(B2)
*神経細胞保護(B1・B12)

といった重要な作用を有しています

vitb01a

また
B2・B6・B12・B5(パントテン酸)・B7(ビオチン)・B9(葉酸)は
前回説明したビタミンKと同じで 腸内細菌により産生されます

vitb04

では ビタミンB群の各ビタミンについて 順番に説明していきます


<ビタミンB1・チアミン>

@体内での動態

ビタミンB1は 吸収されるとリン酸化され
活性型のチアミンピロリン酸(TPP)として機能します

vitb0101


@働き

*脳神経系の神経細胞 精神機能の維持

vitb102


*糖質代謝を推し進める 

vitb104

 
ビタミンB1は 下記に示す機序により
糖質を代謝してエネルギー産生を強力に推し進めます

 
食物から栄養素として吸収された糖質
解糖系によりピルビン酸に変換されますが

ピルビン酸をエネルギー産生系のTCA回路に入れるために
アセチルCoAに転換する重要な酵素である
ピルビン酸脱水素酵素補酵素として働く

vitb103
  


TCA回路を回転させ エネルギー産生を高める


エネルギー産生システムのTCA回路で
α-ケトグルタル酸からサクシニルCoAへ変換させる
α-ケトグルタル酸脱水素酵素の補酵素として働き
TCA回路をまわしてエネルギー(ATP)を産生させる


vitb105a

ですから 糖質を食べるときはビタミンB1も一緒に食べた方が良い


*アルコール代謝

アルコール代謝にも ビタミンB1は関与します

アルコール脱水素酵素(ADH)
アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)による
主たるアルコール代謝系には ビタミンB3のニコチン酸が関与しますが

vitb114

アルコールを大量摂取すると生じるMEOSによる代謝
(ミクロソーム・エタノール酸化系)には
ビタミンB1が関与します

vitb112

 

お酒をたくさん飲むときは B1補給を心掛けましょう!


@ビタミンB1を多く含む食品

穀類のはい芽(米ならヌカの部分)
豚肉 レバー
豆類

などに多く

vitb106

特に 豚肉はビタミンB1が豊富です

vitb107a



また 日本人の主食はごはんですが

最近はお米のほとんどが精白米で
ビタミンB1が豊富なヌカを大部分とり除いています

vitb115

そこで ビタミンB1を積極的に摂取したい場合は
精白されていない玄米や麦ごはんにすることもひとつの方法です

vitb108

また
B1は水溶性なので洗い過ぎると流れ出てしまいます
ほどよい洗米が大切です


@欠乏症

不足すると 糖質からのATP産生がうまくいかないので細胞が働けなり

食欲がなくなり 疲れやすい だるいなど
夏バテのような症状になります

vitb109

また ピルビン酸がTCA回路に行けないので 
乳酸に変換され筋肉疲労が生じます

vitb110


さらに不足すると脚気になってしまい
筋肉症状 心不全症状
神経症状 反射神経の異常 ウェルニッケ脳症 手足のしびれ
などの 重篤な症状が現れてきます


vitb111b


脚気は昔の病気というイメージがありますが
最近になって インスタント食品の利用増加にともない
ビタミンB1不足による脚気が報告されています


vitb113


さらに 多忙な人や激しいスポーツをする人ほど
エネルギーを消費しているので ビタミンB1が不足しやすくなります

そうした方は
豚肉などのビタミンB1の多い食品を積極的に摂取してください


@過剰症

通常の食生活において
とり過ぎによる過剰症の心配はほとんどありません

但しサプリメントなどから
1日10g程度20日間にわたり大量摂取をすると
頭痛 いらだちや かゆみなどの皮膚症状が報告されています



<ビタミンB2・リボフラビン>

@体内での動態

ビタミンB2・リボフラミンは さまざまな食品に含まれています

体内に吸収されると

*リボフラビンキナーゼの働きにより
 リン酸が結合したフラビンモノヌクレオチド(FMN)

*FADピロホスホリラーゼの働きにより
 ADPが結合したフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)

に変換されます

vitb200


@働き

FAD FMN
酸化還元反応を触媒するフラビン酵素の補酵素として働きます

フラビン酵素
生体内で酸化還元反応を行う酵素群で
エネルギー産生系の TCA回路 電子伝達系の各種反応で
重要な役割を果たします

ビタミンB2が変換したFAD FMNは
こうした重要な反応をサポートしているわけです


具体的には 下記の働きをします

*エネルギー産生
 
TCA回路を回転させる種々の酵素の補酵素として働き 
エネルギー代謝を促進する

vitb202

*脂質代謝

脂肪酸をアセチルCoAに変換しTCA回路に入れ
脂質からエネルギーを得る反応の第1過程のβ酸化反応を促進します

vitb203

このようにビタミンB2は 脂質代謝で効力を発揮します

vitb204

ビタミンB1は糖質代謝で重要でしたが
B1とB2で しっかり役割分担が出来ています 

vitb205


それ以外にも

*抗酸化作用

*過酸化脂質の分解

*皮膚 粘膜の維持を助ける

といった働きがあります

vitb207


活発に活動しエネルギーをたくさん消費する人ほど
ビタミンB2はたくさん必要になります


@ビタミンB2を多く含む食品

レバー うなぎ 卵 納豆 乳製品 葉菜類 などに多く含まれています

特に乳製品に多い

vitb206

ビタミンB2は 熱には強いものの 水や煮汁に流れ出てしまうので
洗いすぎないようにし 調理した煮汁ごと利用すると
効率よく摂取できます

また 光に弱いので
保存の際は光をさえぎる容器に入れるなどの注意が必要です


@欠乏症

口角炎 口内炎 舌炎など
皮膚や粘膜に炎症がおこりやすくなります

皮膚や粘膜は生まれ変わりが速いので 症状が現れやすいのです

vitb207a

視力低下 まぶしい 涙が出る などの眼の症状も起こります

一般に ビタミンB2の単独欠損は珍しく
ほとんどの場合 他の栄養素の欠損と一緒に起こります


@過剰症

水溶性のため
使われなかった余分なビタミンB2は尿中に出てしまうので
とり過ぎによる過剰症の報告はありません

 

2018.10.24更新

脂溶性ビタミンの続きで
今日は ビタミンE ビタミンKの解説です


<ビタミンE>

@トコフェノール

ビタミンE作用をするトコフェロールは
数種類ありますが(α β γ δ)
広く天然に存在し最も作用の強いのは α-トコフェロールです

vite1


@働き

抗酸化物質として働くのが いちばんのポイントです

生体膜を構成するリン脂質のなかの多価飽和脂肪酸
酸化ストレスにより過酸化脂質に変化する反応を抑制して
脂質を酸化から守ります

vite2a
vite2b

また リポタンパク中に存在して
LDLコレステロールの酸化を抑制して動脈硬化を防ぎます

vite2c

こうした体内の脂質の酸化を防ぐ作用により
生活習慣病や老化と関連する疾患の予防が期待されています


抗酸化作用は ビタミンCと協調して起こります

抗酸化作用をはたし酸化型になったビタミンEは
ビタミンCの作用により
再び抗酸化作用を持つ還元型に再生されるのです

vite4

ですから ビタミンEとビタミンCは一緒に摂取するとより効果的です


vite5


また 血行の促進作用も有しています


@ビタミンEを多く含む食品

アーモンドなどのナッツ類 植物油
うなぎ たらこをはじめとした魚介類
西洋かぼちゃ アボカド

vite6

などに多く含まれています


@上手にとるコツ

ビタミンEは ビタミンC ビタミンAとともに
ビタミンACE(エース)とも呼ばれ

抗酸化作用を持つ代表的な栄養成分です

ビタミンEとビタミンAは 細胞膜

ビタミンCは 体液中

それぞれの持ち場で 活性酸素による弊害から体を守っています

vite7

このため 緑黄色野菜を植物油で炒めるなどして
それぞれを豊富に含む食品を一緒に摂ると より効果的です


@欠乏症

ビタミンEが不足すると
細胞膜の脂質が酸化され損傷され
感覚障害や神経症状がみられることがあります

未熟児では
赤血球が壊れて起こる溶血性貧血が知られています


@過剰症

過剰症では出血傾向になるので
サプリメントや薬などからの過剰摂取には注意が必要です

しかし 日常の食生活ではとり過ぎになる心配はほとんどなく
むしろ積極的にとりたい栄養素のひとつとされています



<ビタミンK>

@種類

vitk01



*緑葉野菜から摂取する ビタミンK1(フイロキノン)

体内の腸内細菌や組織でつくられた ビタミンK2(メナキノン)

vitk01a

の2種類があります


@働き

*補酵素として 血液凝固を促進します

ケガなどで出血したら
体内ではそれを止める凝固・止血反応が起こります

この反応では
多くの凝固因子が次々と連続して活性化され カスケード反応が起こり
最終的に血液凝固して止血します

この反応を活性化するのが ビタミンKです

まず 血液凝固に関わる凝固因子のⅦ Ⅸ Ⅹ
合成・活性化をサポートします

vitk03


ついで 最終的に止血に関わる凝固Ⅱ因子(プロトロンビン)
合成・活性化します

vitk04

医学生の頃 このあたりは覚えるのが大変で

ビタミンKは納豆に豊富に存在していて
ビタミンKがないと合成できない血液凝固因子は
”ニクナットウ(2・9・7・10)”と 語呂合わせで覚えました

今でも医学生さんは ニクナットウ と言ってるのかな?(笑)


ところで 心筋梗塞や脳梗塞は
血管内で血液が凝固して血栓を作るために
血流が途絶えてしまい起きる病気です

ですから 予防のために血液凝固を防ぐために
(サラサラにするという表現がよく使われますが)
ワーファリンという薬を使用します

このワーファリンは
ビタミンKの働きを阻害して 血液凝固を起こさせないようにします

vitk09


*補酵素として 骨の健康維持にも関わります

骨を造る骨芽細胞内にあるオステオカルシンを活性化し 骨形成を促します

vitk05

活性型ビタミンK(還元型)が
オステオカルシンのグルタミン酸残基のカルボキシル化反応を
補酵素として活性化し

カルボキシル化したオステオカルシンが カルシウムを骨に沈着させます


vitk06

このため ビタミンKは骨粗しょう症の治療薬としても使われています


*血管の健康にも役立っています


@ビタミンKを多く含む食品

納豆に非常に多く 1パック(40g)には240μgも含まれています

こまつ菜やほうれん草などの緑黄色野菜にも多く含まれています

vitk08


なお 上述したワーファリンを飲んでいる⼈は
日常の食生活で納豆や青汁などを避けるように指導されますが

これは納豆に豊富なビタミンKが
ワーファリンの効き弱めてしまうからです

vitk11


@欠乏症

ビタミンKは腸内細菌によってもつくられますし
いろいろな緑黄色野菜に多く含まれるため
通常の場合は 不足する心配はほとんどありません

但し 抗生剤を長期間飲み続けている人では
体内の腸内細菌からの供給が不十分になるため 不足する場合があります


@過剰症

通常の食生活では 過剰症の報告はされていません

 

 

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