左利き肝臓専門医ブログ

2017.09.01更新

民主主義とは何だ? 

NHKの特番 欲望の民主主義

だらだらと感想を述べ綴ってきましたが やっと最終回です
ここまでお付き合いいただいて 有難うございました(苦笑)

さて 冒頭に記した 根源的な問いがなされる最終パートでは
ドイツの哲学者の マルクス・ガブリエル の登場頻度が増えます

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彼は 民主主義について こんな風に語ります

民主主義は 情報処理の特定の形であり
人間の行動を組織化する方法で 真実を中立的に判断すること である

ともすれば人は
民主主義を 真実を得る方法 うそつき政府を暴く方法 と信じがちだが
そうした解釈では混乱を招いてしまう

また 現在 直面しているさまざまな問題は
感情的な判断から引き起こされているので
感情的でない民主主義が必要だ


民主主義は あくまで社会を機能させるシステムであり
そこに善悪の判断や 過度な感情的な期待を求めてはいけない

ということでしょうか?


また 彼は こんな風にも語ります

民主主義の機関は 巨大な情報処理システムである

現代では 大きな社会システムが どのようにして稼働しているか
誰も理解できていない

政府の仕事は この仕組みを理解できている者がどこかにいる
という錯覚を生み出し それを維持することである


現代社会を支配する巨大で複雑化したシステムを
俯瞰的に理解できている人なんていない

という指摘は 確かに色々なところで見聞きします


でも そうしたら 人はどうすれば良いの?
見通しの効かない霧のなかで ひたすらもがくしかないの?

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彼は テロリズムについても言及します

テロリズムは 恐怖を作り出すことによる支配 統治であり
人々の間に恐怖が増しているが 

極端な恐怖と不安には 大抵 根拠はない
根拠のない視線が恐怖を作り出している

うーん ここは わかったような わからないような、、、(苦笑)


そして彼は 民主主義の未来について こう語り続けます

民主主義は 手続きや制度の中で 普遍的価値観を実現する試みで
私達は まだ民主主義を実現していない

民主主義は 未完成なもの 常にこれから実現されるもので
今の民主主義が正しい規範だと勘違いしてはならない


では どのような方向に 作り上げていくのか?


民主主義は 共同体の倫理の実践であるが
それは 反対派の共同体とも言え

異なる意見を意見として認めること
声なき声を尊重する制度 少数派の気持ちを尊重することが
民主主義の必要最低条件である

民主主義が機能するのは
普遍的価値を受入れたときだけだと認識すべきで
その普遍的価値は 他人の苦しみを理解する 人間の度量にかかっている

苦しんでいる人の気持ちを推し量り
それを自分のこととして認識することが 倫理感の原点であり
それがないと 民主主義は機能しない


結局 民主主義のキモは 前回も言及しましたが

他者への思いやりであり 反対意見への寛容さ 

ということでしょうか?

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そして彼は こんな警句も発します

もし民主主義の価値観が世界で崩壊したら
かってない規模の戦争が起こるであろう

だから 民主主義を守るのは価値があることで
今のところ 人間がみんなで生き残るための唯一の選択肢である



最後に 民主主義と欲望の資本主義の関係 について言及します

民主主義は 欲望の資本主義と明らかに関係している
この恐怖の欲望を乗り越えなければならない

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では どうすれば乗り越えられるか?

そのための唯一の道は
民主主義の最大の価値を思い起こすことである


彼が敢えて具体的な言及をしなかった 民主主義の最大の価値とは

再度 他者への思いやりであり 反対意見への寛容さ

ということでしょうか?



ということで 欲望の資本主義 の続編 欲望の民主主義

アメリカ フランスという 民主主義の老舗の国々において
民主主義がいかに苦悩しているかがよくわかりましたし

民主主義とは何か? という根源的な議論も交わされ

今回もなかなか面白かったし 勉強になりました



意外な収穫だったのは マルクス・ガブリエル を認識したことです

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実は彼のことは そのうちに紹介しようと思っている
「いま 世界の哲学者が 考えていること」という とても面白い本に
現代哲学界のスーパースター 的な扱いで紹介されていたので


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彼の名前は知っていたし 興味を持っていたのです

それが この番組で 実際の風貌 話し方などを見ることが出来て
驚きましたし とても面白かった

確かに
番組のまとめのパートのほとんどを 彼のインタビューが占めていたように

彼の意見は面白かったし 説得力がありました

今後も注目したいと思います

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プロデューサーの丸山さん さすがのご人選でしたね!(笑)



さて 一昨日 哲学者の中村雄二郎さんの訃報を新聞で知りました

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書き手が学生時代 自分の価値観を形成しようとしていた時期に
中村さんの著作をむさぼり読んで とても大きな影響を受けたものです

ものを考えるときの指標を与えてくださった方 のひとりです

共通感覚論 魔女ランダ考 感性の覚醒 などなど

懐かしいです、、、

ご冥福をお祈りしたいと思います



2017.08.28更新

久々にNHK特集の 欲望の民主主義 の話題に戻りますが


番組も終盤にさしかかり まとめに入っていき

民主主義とは何だ? 

という根源的な問いが投げかけられます


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番組をリードする形でコメントしてきたマルセル・ゴーシュは 
こんなことを語ります

自由の本来の意味は 自らの運命を決定する力である

そして 社会全体として より高度な目的を達成するために
個々人の自由の領域を超えて 互いの自由を結集することが出来る

民主主義とは 理想の世界であり
個々人の自由の領域を超えて
同意できないことについて議論することこそが面白い

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さまざまな人たちから構成される社会で
お互いの違い 対立 矛盾 根本的な多様性から
創造的なものを生み出すことが民主主義であり
その結果 文明は発展していく



一方 精神分析のシシリア・フルーリー
民主主義の熟成を阻むものについて言及します

度を超えた個人主義は 民主主義を危険な状況に陥れるので
個人主義でなく 個性化を確立することが大事である

個性化を確立するということは
自分は他とは異なるけれど 公共的なことにも参加する ということで

自分自身の特異性 才能を明確にしつつ
他人とともに集団的物語を築くことである

民主主義が進化するには この点が欠かせない

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こうしたコメントを受けて ナビゲーターの吉田さんが こうまとめます

感情の民主主義を越えるために

*他者の存在を尊重すること

*理不尽さを和らげる社会を作っていくこと

が 大切なのではないか?


民主主義の根幹を成す部分が なんとなく 見えてきたような気がします

他者への思いやりと寛容を持てる個の確立

目新しさがない 言い古されたことですが
民主主義には それが大切ということでしょうか?

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ここで 政治学のヤシャ・モンクが とても興味深い意見を語りました

現状の解決策は
民主主義からの撤退でなく グローバリゼーションからの撤退でもない

民主主義を再活性化し グローバリゼーションによる衝撃を緩和するような
新たな政策を採用すること

グローバリゼーションが国内にもたらす影響に対応するには
どうしたら良いか考えること

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欲望の資本主義と民主主義の関係について考えてきた番組をまとめるには
なかなか好ましい(?:笑)意見です

歯触りの良い意見で
なにをどう 具体的に実現するかは難しそうだけれど(苦笑)


以前 BS朝日で日曜夜に放送している
世界情勢を報道する「いま世界は」という番組で

コメンテーターのエコノミストの伊藤洋一さんが

これからの社会で重要なのは いかにしてグローバリズムを修正していくかだ

と述べられていたのが 印象に残っていますが


民主主義は 欲望の資本主義を修正できるか?

どうなのでしょう?



番組の中で 民主主義における欲望 についても
度々言及されていたのが面白かったです


前述のヤシャ・モンクは

欲望の資本主義によるグローバリゼーションに対抗する
そうした役割を求められる国家のなかでも
人々は見えない敵におびえながら 欲望を渦巻かせている 

と語り 民主主義にも欲望が関わってくることを示唆しています


また 前回にご紹介したように
18世紀のアイルランドの哲学者・政治家 エドマンド・パーク
フランス革命後の混乱を揶揄し

我々の本性が抱える大きな過ちは
次から次へと 飽くことなき欲望の追求の果てに
手に入れた全てのものを 失うしかないことである

と 民主主義の理念が 欲望によって変容するリスクを看破しています


マルセル・ゴーシュは

人は 理性的な理由ではなく 情動的な理由で思考を維持する 

と語り やはり 民主主義と情動 欲望との関連を指摘しています



これらの意見を受けて 番組では

民主主義は 人々が生き延びようとする欲望の集合に過ぎないのか?

という ネガティブで刺激的な問題提起もしています

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グローバル資本主義にも 民主主義にも 大きな影響を及ぼす 欲望

うーん 厄介ですね、、、

 

 

2017.08.14更新

番組は 舞台を再びフランスに戻します

フランスでは 自由 平等 博愛 の建国の理念が 今でも尊ばれ
国民の多くがそのことを誇りにしています

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何回も言及して恐縮ですが

パリ市内で不幸なテロが起きた時
現場に献花するご婦人が 涙を流しながら
自由 平等 博愛 と口に出されていた映像を見て

書き手は 不謹慎な言い方かもしれませんが 本当にびっくりしました

フランス国民にとって 建国の理念は
そこまで 肌に染みついたものなのですね


そして今

その理念がどこまで多様性を受入れられるか 試されています

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他のヨーロッパ諸国と同様
フランスにおいても 移民はとても大きな社会問題です

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都市地理学者のクリストフ・ギリュイ

フランスは アメリカやイギリスとは異なる形の
異文化を共和国に同化させる形での
多文化共存モデルを築こうと試みたが その試みは失敗に終わった

と語ります

なぜなら 多文化共存社会では
人は他人と交わろうとせず 他の文化とは同化せず
距離を保ったままでいるから

そして

これが 現在のヨーロッパを覆っている
アイデンティティの緊張関係の原因となっている

と推論します



ここ20年余りで フランスは変わってしまったと嘆く人も多い

かつてはフランスも多くの移民を受入れ 上手に共存していたのに

今では郊外に住む移民の若者は 年を追うごとに他人を信用しなくなり
差別されていると感じる移民の若者は過激化する

そんな彼等はもちろん
移民を寛容に受け入れてきた 昔の愛すべきフランスを知らない

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そこで再び 問われます

自由 平等 博愛 の精神は フランス社会で生き残れるのか?

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政治学者のドミニク・レニエ

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ここ20年間で
国内のコミュニティでの分断の感情 分裂が著明になってきていて
3つの理念への信念の衰退 精神の弱体化が見られる

と危惧します


精神分析が専門のシシリア・フルーリー

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ルネ・ジラールの
政治共同体の運営には 外部の敵 内部の敵 の存在が必要 

という指摘を引用し

今のフランス社会を成り立たせている
外部の敵はテロリスト 
内部の敵は失業者 難民 移民で

他者への不信が 新たな敵を次々と生み出し続けている

と嘆きます


どうしてフランスは そんなに変わってしまったのか?


1968年の5月革命の影響がある と考える人たちがいます

教育制度へ不満を持つ学生から始まった政府に対する抗議行動が
やがて暴動となり 労働者や市民に広がっていき
パリの街は破壊され フランスは騒然とした状態になりました

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過去の戦争を知らない若者たちによる 消費社会への反発

その動きは
日本を始め 豊かさを享受し始めた全世界に広がっていきますが
過度の急進性から支持を失っていき やがて衰退します


このときに生じた 絶対自由主義の大きな動きが
フランス社会を大きく変えた

今までの歴史が完全に断絶され 重要な慣習 文化が捨てられ
個人の自立性ばかりが強調されるようになった

というのです


ちょうどその頃から 欲望の資本主義が加速化し
経済の論理ばかりが社会の争点となり始め
社会の分断も生まれてきた

そして社会の分断が加速度的に顕著化し
やがてテロや難民の問題が生じる


こうしたフランス社会の分析の過程で
エドマンド・パークという 18世紀のアイルランドの哲学者・政治家の
人の性に対する警句も 紹介されます

人間は いたずらに現状からの変化ばかりを求めてしまう
そのため 輝かしいフランス革命も 恐怖政治になりかわってしまった

我々の本性が抱える大きな過ちは
次から次へと 飽くことなき欲望の追求の果てに
手に入れた全てのものを 失うしかないことである

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また 政治哲学のマルセル・ゴーシュ

人は 理性的な理由ではなく 情動的な理由で思考を維持する

と 注意を促します

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一方 社会学者のジャン=ピエール・ルゴフ

そもそも人の根底には 破壊的欲望がある 

と語ります

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これらの警句や 人の性に対するペシミステイックな分析を受けて
番組は問います


純粋な夢は 破壊的欲望に変わってしまうのか?

歴史は繰り返すのか?


どうなるのでしょう?



2017.08.07更新

憂鬱な時代のアメリカでは 欲望の民主主義はどうなっていくのか?

レポートは続きます


アメリカ人は もともと内にこもりやすい性質を持っている 
といいます


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外交政策も

積極的に他国に働きかけていく政策と
他国との交渉を避け 内にこもる孤立主義の間を
振り子のように行ったり来たりしていました

第二次大戦以降は
世界の警察官を自負して 積極的な外交を行ってきましたが
その流れが このところ勢いを潜めているのが現状です

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パスク・アメリカーナが終焉し 孤立主義に向かうのか?


特に9.11以降
アメリカはより内向きになってきたという指摘もあります

そして 

どこにもつながっていないと感じる個人が増えてきた というのです

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かつてのアメリカには
自由な中間共同体 コミュニティ 市民組織が存在し
それこそが アメリカ民主主義を支える光でしたが

それらが この50年余り 力を失っているというのです

こうしたアメリカの社会基盤が崩壊したからこそ
人々は孤独・不安を感じ どこにもつながっていないと感じるようになり
ますます内向きになる

こうした個人の孤独な思いが
トランプ現象につながっている との指摘もあります


さらに グローバリズムの厳しい競争社会が その傾向に拍車をかけます

トマス・ホップスが350年以上前に指摘したような

万人の万人に対する闘争 欲望と欲望のぶつかり合い

それこそが まさにグローバル資本主義がもたらしたもので
それに対する個人の不安が アメリカを内向きにさせているというのです

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では そんなアメリカは この先 どうなっていくのでしょう?

政治学者のヤシャ・モンク(彼の意見は面白い!)は
3つの可能性があるといいます

*独裁的なポピュリストによる 独立機関の弱体化 報道の自由の抑圧

*トランプに対する抵抗勢力の立ち上がりにより 独立機関は破壊されないが
 それでも 長期的にはポピュリズム人気は持続し 民主主義は弱まっていく
 新たなトランプが出現してくる可能性

*現状を愁う若いアメリカ人が 民主主義 憲法の大切さを再認識し
 民主主義のために戦う 政治に積極的にかかわるようになる

もちろん 3つ目の可能性がいちばん好ましいのですが
はたしてそうなるのでしょうか?

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ドイツ人哲学者のマルクス・ガブリエル(彼の意見も面白い!)は

アメリカで トランプを弾劾する動きが出てきたら
それこそが民主主義が独裁政治に勝つ貴重な瞬間である

それが出来たら アメリカは優れた民主主義制度を証明したと
世界は感心するであろう

と述べます

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そして 今 起きている
トランプと行政機関の対立 チェック&バランスシステムの存続の可否は
民主主義制度に対する極端なストレステストである
と指摘します



一方で 政治哲学者のマルセル・ゴーシュ

グローバリズムの競争主義が席巻する世界では
人々は自分を守ってくれる存在の必要性を感じている
頼れる存在がないと不安を感じる

と指摘します

そこで 守ってくれる存在としての国家が 注目されてきます

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グローバルに広がる 欲望の資本主義

国に守られる 欲望の民主主義

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このねじれの先は どうなるのか?
そもそも 資本主義と民主主義は 敵対するものなのか?

議論は 少しずつ佳境に入っていきます



2017.08.04更新

NHKの番組 欲望の民主主義 の続きです

番組では 民主主義が生まれたフランスおける現状分析に続き
もう一方の民主主義国家の雄である アメリカの分析に入ります


アメリカ

フランス革命に先駆けて独立戦争により合衆国となり

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自由と平等を礎とし 民主主義の壮大な実験を行った国です

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と同時に まさに世界を混迷させる根源とも見做されている
グローバル資本主義 金融資本主義を推進している国でもあります

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そんなアメリカにおける 民主主義の状況はどうなのか?

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どうって あのトランプを 大統領に選んだわけですよね(笑)


政治学者のヤシャ・モンク

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民主主義は倦怠期にあり
多くの人々が かつてのように民主主義に期待していない一方で
独裁的な民主主義を 以前より容認するようになっている

と指摘します

そして 今のアメリカは
民主主義を大切にし そのルールを守らない大統領を選んでしまった
まさに危機的な状況にある

と危惧します


なぜ そんなトランプを選んでしまったのか?


経済学者のダニエル・コーエン

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ポピュリズムの台頭は 自分の居場所のない庶民の抗議表明で
社会に置き去りにされた人々のうめきである とし


社会心理学者のジョナサン・ハイト

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民主主義には
全てを焼き尽くしてしまいたい 破壊したいという破壊衝動があり

それこそが トランプを支持した人の気持ちで
アメリカのポピュリズムの原点である

と 分析・指摘します


えっ ここでまた 破壊衝動が出てくるの?

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前回シリーズの 欲望の資本主義 でも
破壊衝動が ヒトの欲望 羨望の根底にあると話題になりましたが

破壊衝動は 民主主義の根底にも うごめいているの?

根深いですなあ(笑)



では 民主主義とは何なのか?

番組では折に触れ この根源的な問いを発します

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そして この段階では

民衆が主権者で 民衆による支配で動く 理念 政治制度である

と定義します


民主主義とは 何なのか?


政治学のリチャード・J・サミュエルズ

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これまでの全ての政治制度を除けば 民主主義は 最悪の政治制度である

という チャーチルの言葉を揶揄的に引用しながら

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民主主義を

*礼節ある対話 受け入れられた規範のもとで行われる 政治的競争
*特定のグループに権力が集中しないようにするためのプロセス
*民衆がリーダーを選び リーダーに公共政策に対する責任を問える仕組み

と定義し

この制度がきちんと行われるためには

*法による支配と権利の保障
*言論 信仰 報道の自由 少数意見の尊重

が 絶対に必要である

こうした状況が整い 大衆の信頼があれば
民主主義はうまく機能していると言える 

と説きます


民主主義は 権力を持たない人に 権力を与えること
つまり 
富める人も貧しい人も 同じ1票の投票が出来る平等である

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そんな解説もします


また ドイツの若き哲学者 マルクス・ガブリエル

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民主主義は 共同体の倫理の実践であり
声なき声を尊重する制度 少数派の気持ちを尊重することである

とコメントします

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一方 ジョナサン・ハイトは 少し意地悪なコメントもします

そもそもアメリカ建国時のリーダーたちは
民主主義は 民衆や大衆により決められるので 独裁政治になると考え
民主主義を好んでいなかった

論理的思考は 感情や激情によって 左右されてしまう
人が怒っているときは 正しい判断ができず
煽情的な政治家に魅かれてしまう

だから 民主主義には危うい側面がある

それこそがまさに
今のアメリカやヨーロッパのポピュリズム台頭の根幹ではないか?

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アメリカの現状分析を通して

民主主義とは何か?
どんな問題点を内包しているのか?

おぼろげながら 見えてきた感じがします


さらに番組は 悩めるアメリカの現状について 掘り下げていきます



2017.07.31更新

NHKで放送された 欲望の民主主義

番組が放送されたのは
ちょうどフランス大統領選挙の第1回投票の日でした

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ご存知のように 大統領選挙では
中道のマクロン候補が極右のルペン候補を破り 世界を安心させたわけですが

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それでも これまでのフランス政治を支えてきた
社会党 共和党の2大政党の候補が
いずれも決選投票に残れないという異例の状況

しかも 極右だけでなく極左も大いに躍進したという
まさに大揺れのフランスでした


そもそもフランス

200年以上前に 自由 博愛 平等の精神を掲げて
革命を経て共和国となり 民主主義を推し進めてきた国です

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書き手は以前 パリで不幸なテロが起こったあとの追悼集会で
襲撃されたお店に献花をしていたおばあさんが

「自由 平等 博愛」と 泣きながらつぶやいていた映像を見て

民主主義の本家本元では
一般市民が こうしたシチュエーションで この言葉を語るのか!

と びっくりしてブログにも記しましたが

その 本家本元の国で 民主主義はどうなっているのか?
フランスの知識人たちにインタビューしていきます


政治哲学者のマルセル・ゴーシュ

民主主義は 生か死かの瀬戸際にあると嘆きます

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フランス人の80%は 民主主義が機能していないと感じていて
政治体制が重要な問題に対処できていないとも感じている

そしてその原因は
経済のグローバリゼーションにともなう社会の分裂だ と説きます


都市地理学者のクリストフ・ギリュイ

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全世界的の中流階級が グローバリゼーションで職を失い 消失してしまい
それにより 経済的な分裂が起こってしまった

そして 社会のシステムは
中流階級の人々が落ちていった下層階級の意見を拾い上げられなくなった
これはまさに 民主主義の崩壊に他ならない

とコメントします


社会学者のジャン=ピエール・ルコブ

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フランスでは 統治する者とされる者の溝が深まっていて
多くの貧しい大衆は 自分たちが生きている社会を
先が見えない 広大なカオスのような状態と感じていると指摘し

社会全体が
それでもがむしゃらに前に進もうとする生き方と
こんなではなかった過去の状態に戻りたいという回帰主義的な生き方の
非現実的な二者択一状態に埋没している

とも指摘します


そして 彼等が共通して指摘するのは

二分化された社会の人々の多くを占める悩める大衆が
極右や極左を支持する母体となり
ポピュリズム隆盛の原因となっている

ということです

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こうした 欲望の資本主義 グローバル経済により

社会が富める者 貧しい者に分断されてしまう状況

トランプを大統領に選んだアメリカでも まさに同様に認められたことです

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では こうした状況が
民主主義にどのような影響を及ぼしているのか

番組では 悩めるアメリカの状況を分析して その答えを探ろうとします



2017.07.28更新

以前 ブログで連載でご紹介した NKHの特番 欲望の資本主義

ブログの最後に
今度は民主主義についての特番を企画してくれないかな?
と書きましたが

なんと 欲望の民主主義 という特番をGWに放映してくれました

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願いがかなって ラッキー!
プロデューサーの丸山さん ありがとうございます!(笑)


で 資本主義に続いて民主主義も
懲りずに(苦笑)ブログでご紹介しようと思います


番組のコンセプトは

民主主義と資本主義

現代社会の両輪を形成する2つの思想 制度は
いつからその関係がおかしくなり 歯車が合わなくなったのか?

という根源的な疑問について

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アメリカ フランスという
まさに民主主義と資本主義の本家本元でありながら
そのあり方について喘いでいるように見える国の現状を分析することで
解明していこうと試みるものです

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前回の資本主義編と同様に 今回の民主主義編でも
世界のさまざまな分野の第1人者にインタビューしながら

民主主義について 何が問題で これからどうしていけば良いのか
を考えていきます


また 前回同様 欲望という言葉をキーワードにして

欲望の資本主義が
民主主義のあり方にどのような影響を及ぼしているのか

欲望そのものが 民主主義にどのように絡むのか

といった切り口からの議論もなされていて
これが なかなか面白かったのですよ!

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今回ナビゲーターを務められたのは
北大の政治学者で ヨーロッパ比較政治がご専門の吉田徹先生でした

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そして コメントを語る世界の知性は
政治哲学 都市地理学 社会学 経済学 社会心理学 哲学 精神分析学など
まさに さまざまな多くの分野の先端研究者で

はい 書き手は 前回以上に
登場するほとんどの方の名前を 存じ上げませんでした(苦笑)


番組の宣伝には

「居場所」を失った人々の「破壊衝動」が世界を変え
民主主義を葬り去ろうとしているのか?

この世は 万人の万人に対する闘争である
生き残りをかけて さまざまな欲望がせめぎ合う世界

その時 理性の力は?
急速に変わる世界で 理性の力は失われようとしているのか?

なんて かなり刺激的で 知的好奇心をくすぐってくれる(笑)
キャッチコピーが並んでいるわけですよ

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この番宣の文言を見ると

以前のブログで 先行番組の 欲望の資本主義 の本で
この一連の企画のプロデューサーの丸山さんが
書かれたあとがきについて紹介しましたが

そのコンセプトが継続されているように思えました


さて どんな具合に面白かったか 次回から詳しく紹介していきます



2017.07.14更新

NHKが放送した 欲望の資本主義 という番組が面白かったことを
以前にご紹介しましたが

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なんと あっという間に書籍化しました!
(出版元は NHK出版でなく東洋経済新報社なのだけど)

この番組の仕掛け人のプロデューサーの丸山俊一さんという方が
対談録を中心にまとめられたようです

はい 早速購入しました(笑)

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番組では 

資本主義の現在 成長は至上命題か? 利子の誕生

といったテーマについて

*アメリカのノーベル賞経済学者の ジョセフ・スティグリッツ

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*チェコのエコノミスト トーマス・セドラチェック

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*フランスの人口学者 エマニュエル・トッド
*ベンチャー投資家の スコット・スタンフォード

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*投資ストラテジストの ルチル・シャルマ

といった 各界のバリバリの方々が それぞれコメントする構成でしたが

この本では 中心となった
スティグリッツ セドラチェック スタンフォードの3人の
インタビューの内容が 詳細に掲載されていて

番組と書籍の両方を楽しむことにより 縦横の糸が交差する感じで面白い

丸山さん タイムリーな企画で 良いお仕事をされましたね



各人のインタビューの内容を読むと
番組を見ていたときには 把握しきれなかったことなどが
より詳しく理解することが出来て とても興味深いのですが


個人的には 丸山さんのあとがきが いちばん面白かったです


欲望 がキーワードになることは
これまでもさんざんコメントしてきましたが

では 欲望とは何か?

書き手のこれまでのブログでは 問題提起はするものの
欲望というものについて 詰めきれていませんでした(苦笑)


丸山さんは 現代人の欲望について考えるとき
フランス人のルネ・ジラールの 欲望の三角形 の概念
を持って来られます

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人の欲望というものは 主体的なものでなく 
往々にして他者の模倣であり
人が欲しいものを 欲してしまう

その時 他者は 同一の対象を欲望するライバルとなり
主体 他者 欲望の対象物 の関係が 
三角形を形成する



なるほど 

あれが欲しい という欲望は
実は自分自身が欲しがっているのではなくて

ヒトさまが欲しいと思っているので 自分も欲しいと勘違いしている?

そして インターネットやSNSなどにより
すさまじい勢いで情報化が進む現代社会では

この三角形が無限に増殖していて 
それが資本主義の原動力になっているのかも?

と指摘されます



そして 欲望という感情の下には
羨望 嫉妬 貪欲 といった 結構ドロドロした情動が渦巻いていて

羨望は 怒りであり 対象物を奪い取るか 壊してしまう衝動が生まれる

嫉妬は 愛情が絡んだ二人の人間関係における争奪であり

貪欲は ヒトが必要とする以上のものを望む 
    激しくて 飽くことを知らぬ 渇望である


という 精神分析家のメラニー・クラインの分析を紹介します

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クラインは

羨望から生まれる破壊行為の本質は
よいものほど壊そう壊そうとすることだ と見做し

人間が最も深いところに抱え込んでいる感情が羨望である
と 語っているそうです


シェークスピアは
羨望や嫉妬に駆られている人は 緑の眼をしている
と語りましたが

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緑の眼はやがて
全身が緑の 怒りや破壊行為に 昇華するのでしょうか?

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この流れは なんとなく理解可能な気がします

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で 丸山さんは

現代のネット型大衆消費社会では 羨望が増強される傾向がある

と指摘します

そして 

羨望が
やはりネット社会で増えている 承認欲求の広がりと
相乗効果を見せると 
危険な状況が生まれるのではないか? 

と危惧されます

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うーん 面白い

ネットまみれになっている現代人の心の闇
その闇から生まれるネット社会が内包する危険性
鋭く突いていると思います

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でも 面白いのだけれど
なんだかちょっと ペシミステイックに過ぎないかな?

人間の本質って そんなものなのでしょうか?


確かに ヒトは他者との関係のなかで生きているわけですし

ネット社会では
ヒトとの関係が希薄化しながら
どんどん増大しているのも事実でしょうが

でも 自分の欲望が そんなに他者に影響されているのかな?

それと そんなに簡単に羨望が生まれ 承認要求と結びつくかな?


若くて分別がつかない頃は
確かにそういう傾向はあるかもしれないけれど

少なくとも いい大人は そんなことはないでしょう?

と思うのですが どうなのかな?


そして そういう欲望の捉え方って
まさに番組でも問題視されていたグローバル資本主義的価値観が
生み出すもので

それこそ資本主義を支える欲望のあり方も
これからは変化していかないといけないのでは?

と思いました

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結局 ヒトはヒト 自分は自分でしょう?(笑)


そういう捉え方って
上っ面しか見ていなくて 深層をとらえていないのかな?(苦笑)



2017.05.26更新

一時代を築いたグローバル自由主義経済が 行き詰っているかに見える現代

そうした現況を どう打破していけばいいのか?


グローバリゼーションによって引き起こされた
2008年のリーマン・ショック 金融危機

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その対策で脚光を浴びたのが ケインズ理論です

書き手も さすがにケインズは知っています(笑)

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ケインズは 1929年の世界大恐慌に際し

社会の安定のために最も恐れるべきことは 失業者の増大で

これを回避するために
国は借金をしてでも市場に巡らせ 仕事を作るべきである

という理論を展開しました


このケインズ理論は 2008年のリーマン・ショック後に再び喧伝され
世界各国が行った金融緩和政策の理論的背景になりました


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しかしシャルマは

ケインズ理論が誇張されて悪用されている と説きます


危機のときは借金しても良いが 好況になったらそれを返さないといけない
経済が回復してきたのに いつまでもケインズ理論にしがみつくのはおかしい
単に赤字の正当化にケインズ理論を使っているだけだ

と 現在 多くの国で行われている金融緩和政策を批判し

負債を返し終わらないと 危機は終わらないのに
ウオールストリートの発想は あまりにも近視眼的である

と揶揄します

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ケインズもアダム・スミスも
現代の為政者お抱えの経済学者たちに うまく利用されているだけ

ということでしょうか?



こうした現状に対してシャルマは

世界にあぶく銭・イージーマネーが増えていて
このあぶく銭が金融危機後に増大し 資産格差を導きだした

と指摘します

あぶく銭・イージーマネー



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あぶく銭ねえ

確かに金融取引で得たお金は 額に汗して働いて得たお金ではないから
人を勘違いさせてしまうリスクがあるような気がします

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一方 セドラチエックは

既成の理論や支配層が崩壊しつつある現在
新たなパラダイムシフトが望まれていて

ちょっと驚いたのですが

禅的な精神が 混乱した世界を統合する候補になる可能性がある

と述べるのですよ


さらに驚いたことに 対談していたシャルマも呼応するように

儚さ 永遠なものなど何もなく全ては過ぎ去っていく
そうした禅的な感覚こそが これからの経済活動を導くバックボーンになる

と言うのですよ


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えっ ここで禅が出てくるの?

また 勉強しないといけないことが増えました(苦笑)


でも 欧米人に禅ファンは多いですね
隣の芝生は青く見えるのかな?(笑)



さて 行き詰まりを見せている 欲望おもむくままの自由主義経済

それに代わる新たなシステムは どんなものなのでしょう?


三井物産の社長さんは
欲望の資本主義でなく 持続性があり人に優しい資本主義が必要と語り

日本のベンチャービジネスの育英者の原丈人さんは

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イノベーションの重要性を説かれるとともに

企業が得られた利益を株主だけに還元せず社会全体に還元する仕組みの
公益資本主義こそが 21世紀の資本主義であると述べられます

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こうした文言は 最近あちこちで見聞きすることが多いですが
でも 具体的にどうやっていったらよいのか まだファジーな気がします



セドラチエックは 最後に再びケインズに言及し

彼は 
マネー自体が 人の心の底に潜む欲望の対象物であることを見抜いていて
現在の欲望資本主義を予見していたのかもしれないと述べます

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しかし それが行き詰まり
今まで信じていたものが信じられなくなった現在の世界では

経済におけるアインシュタイン的な価値観の変革者
新たなケインズが求められているとし

社会システム全体を 従来にない形で変革する経済学の必要性を強調します


また IT時代は経済が抽象化していて
それに伴い 欲望も物質世界から抽象世界に移っているので
具体的な変革の道筋を模索するのは大変かもしれないと危惧します



一方 スティグリッツは最後に

資本主義は 人の金への追求により支えられているのに
それだけでは前進しないことが究極の皮肉である と述べます

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うーん なんだか 
それこそまさに 禅問答のようですね(苦笑)



そして番組は この一文のテロップが流れて終わります

欲望は無限で 満たされることを望まない

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ほらね 欲望が問題だって 最初に言ったでしょ?(笑)

でも うーん 欲望

どう付き合っていけば いいのでしょう?



2017.05.22更新

欲望の資本主義・2017


番組は後半に進んで
現代の資本主義を牛耳るグローバリゼーションについて語ります


ここで新たに登場するのが
モルガン・スタンレーの投資ストラテジスト ルチル・シャルマです

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彼の意見は面白い!


そして 前半に登場したコメンテーターのなかで
そのユニークな意見で存在感を示していたセドラチエック
ふたりで対談を始めます

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NHKさん 良い番組構成じゃない(笑)


シャルマは

グローバルリズム 反グローバリズムは 繰り返す波のようなものだが
現在の反グローバルリズムの流れは強まる一方で しばらく続くであろう

と分析します


それに応えて セドラチエックは

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欧米で隆盛を極めつつある反グローバリズムの動きは
暗く閉塞的で帝国主義的で尊大なフォースのようで

このフォースには アンチ知性・学問の面がある と述べます

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イギリスをEUから離脱させ トランプを新大統領に選んだのは
まさに反グローバリズムの動きに他ならないと思いますが

それをポピュリズムと呼び
ある種の蔑みの評価を下す考え方は
セドラチエックが語るアンチ知性・学問に一致します

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本当にそうした解釈が的を得ているかどうかは 判断が難しいでしょうが



ここで 最初に紹介したエマニュエル・トッドが登場し

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現在の世界を覆う グローバリゼーション・ファテイーグ
自由貿易の限界についてコメントし

反グローバリズムの人々が主張する保護主義経済についても
好意的に論評します


*反グローバル化に希望を見出すべきである
*ネーション・国家という単位だけが 安定や変化を導ける
*保護主義が 世界経済や貿易に悪影響を及ぼすとは限らない

というのです

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その際 彼にちょっとした感情の発露があったのは
既にご紹介した通りです(笑)


さて どうなのでしょう?

経済素人の書き手から見ても
グローバリゼーションの嵐を吹き起こした自由主義経済は
行き詰っているように見えるので

トッドが唱える説には 正直 シンパシーも感じます

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でも  グローバルからネーション(国家)へ
そうした流れが 本当に世界経済を発展させ
人々を幸せにするのでしょうか?

ここ数年で その答えの一端が見えるのでしょうか?

ホント どうなのでしょう?



一方 前述したシャルマは トッドと同様に

ここ何十年か世界を席巻したグローバリゼーションと自由主義経済が
スローダウンしていることを認めます

そして 行き詰った原因を

*先進国の多くで起こっている人口減少
*それまでに経済成長の原動力だった国の借金が限界に達したこと

を挙げ

こうした問題を解決するために 新たな経済モデルが必要であると説きます


一体 どのようなモデルなのでしょう?



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