左利き肝臓専門医ブログ

2018.10.05更新

香水ネタを続けますが

日本の香水の売れ行きは 世界の他の国々と比べると
極めて芳しくないそうです

クーリエ・ジャポンという雑誌のオンライン版に出ていた記事で
フランスのクオリティペーパー「ル・モンド」の記事がネタもとです

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日本のフレグランス市場の規模は フランスの1/3程度しかなく
世界の香水の売り上げの3%にも満たない

日本の美容市場全体においても
香水の割合は10%にも満たず 男性の香水購入はゼロに近いそうで

ヨーロッパの老舗香水ブランドをもってしても
日本市場では大変な苦戦を強いられているそうです


どうして日本では香水が売れないのか?

ル・モンド紙は解析します


そして

好きな香りを自由にたしなむことは
空気を読まないことだと考える


そんな日本の国民性が原因である可能性を指摘します

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うーん そうなのかな?
世間の人々はそこまで極端に考えておられるのでしょうか?

読み手の皆さんは どう思われますか?


フランスは ルイ14世の時代から香水文化が発展しているけれど
日本人は歴史的に香水に対してまったくなじみがない

また 今の日本人の日常生活に香水が入る余地はない


香水をつけて日本の地下鉄に乗ったら まわりから怪訝な顔をされた

そんな実体験を持つフランスの社会学者さんは
上記のように指摘します


そして

歴史的に見て 日本は「水と入浴」に重きを置いている

と分析します

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日本人女性は 日中の香水を使おうとせず
夜 しっかりドレスアップして出かける場合などに限って
たまに香水をつける程度で

日本においてエレガントであることは
TPOをわきまえた香水を纏うことではなく
大勢のなかで目立たないようにすることなのです


いやー 手厳しいご指摘ですね(苦笑)

でも 現実はそうかもしれません
お風呂は大好きだし(笑)



それでも 状況は少しずつ変化しているそうです

仕事に行くときにいつも香水をつける女性は未だ少ないけれど

夜や週末を楽しむために香水を使う女性は
徐々に増えているそうで

香水の消費をからきし期待できない男性についても
若い男性がどんどん海外旅行に行き 外国での香水の習慣を知れば
徐々に自分の日常に取り入れ始めるかもしれない

と メーカーは期待しているようです


確かに 前回ご紹介した香道のように
日本人が香りに全く興味がないわけではないようです


ただし プワゾンのような強烈な香りが好まれたのは例外中の例外で

濃厚で深みがある香りが好まれるヨーロッパや中東に比べて
日本では軽さのあるフレッシュな香りが好まれる

繊細なほのかな花の香り 果樹園のような香り シトラス系

こうした清潔感のある香りこそ
日本の香水市場を開拓する切り札となる

香水メーカーはそんなふうに分析しています

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前述したフランス人の社会学者さんは

日本人の国民性の根底では
「清潔であること」が 
他の何よりも重要視されている

香りさえ良ければいいという価値観のフランス人とは全く異なる

しかも日本人はユニセックスな香りを好み
男性らしい香りも 女性らしい香りも 敬遠されがちである

と指摘します

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なるほどね 御説ごもっとも というか

清潔感に大きな価値を置く
軽さのあるフレッシュな香りを好む
女らしさ 男らしさを強調することは好まない

こうした指摘は当たっているのかな?


でも気になるのは

日本においてエレガントであることは
大勢のなかで目立たないようにすることなのです

という指摘です

これって日本人が有する美徳の一部ではあるのでしょうが
今の世の中 こうしたスタンス一辺倒ではまずいような気もします

香水をつけることを むやみやたらに奨励するわけではありませんが
TPOをわきまえながら個性的な香りを身に纏う人が増えたら
それはそれで楽しいのではないでしょうか?


ところで香りを纏う」という表現

書き手はかなり気に入っています

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多くの人が自分に合った「纏える」香りが見つかると良いですね!


2018.10.01更新

香水の話題を紹介して

以前テレビで見た 香道 を思いだしました


前回ご紹介したように
日本人は香りに頓着しないと 外人から思われているようですが

とんでもない

日本では昔から
香りを素材にして優雅に遊ぶ「香道」が行われていました


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香道

雅な東山文化が花開いた室町時代
茶道 華道とともに 香道も基礎が築かれ
その精神は現在も脈々と伝えられているそうです


まず印象的だったのが
香道では香りを「嗅ぐ」のではなく「聞く」と表現すること

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精神を集中して 幽玄かつ雅な心持ちで 香りを心で楽しむ


香りを表現するのに用いる
「六国五味:りっこくごみ」という言葉があります

六国は 香りを生む香木の
伽羅 羅国 真那蛮 真那賀 佐曽羅 寸門多羅 の六種を言います

伽羅は やさしく穏やかななかにピリリとしたところがあり
    たとえば宮人の如し

羅国は 自然と匂い鋭く その様 武士の如し

真那蛮は 甘くいやしく 百姓の如し

真那賀は 艶やかにして 女のうちうらみたるが如し

佐曽羅は 冷やかにして 僧が如し

寸門多羅は 位低く卑しく 地下人の如し

などと 

それぞれの香りの特徴は人の振舞いにたとえられ

少し意地悪に しかし的確に表現されています


書き手は 真那賀がどんな香りか興味があります?(笑)

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一方 五味は 香りそのものの個性で


甘い: 蜂蜜のような香り

苦い: 柑橘類の皮を焼いた香り

辛い: 胡椒や唐辛子の香り

酸い: 梅干しの香り

塩辛い: 海藻を焼いた磯の香り

の五種類が 香りを聞いて判断するときの基本単位だそうです



香道の催しが どのように行われるかというと

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茶室のような比較的狭い和室で
主催者が 茶器より小さめの香呂で 香木の小片をいぶして香りをたて

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それを列席者に順に回していきます


列席者は 正座して香呂を受け取り両手で持ち
まさに茶道の作法のように反時計回りに2回まわし
香呂を両手で覆った隙間に鼻を入れ 香りを「聞き」ます

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なんともおごそかで やんごとない振る舞いに見えます



そして 順番に出される2種類の香りの優劣を判断したり
数種類の香木の香りを聞いて あるテーマを連想したりします

後者の遊び方は「組香」と呼ばれ

順番に出される香木の香りを聞き
何番目と何番目が同じ香りかを判断して
その組み合わせで 源氏物語の何番目のお話かを当てる

といった 超マニアックな(笑)ゲームです

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いやはや なんとも雅で 優美な遊びですね

ため息が出てしまいます(苦笑)


しかも こうした遊びに参加するためには
古今東西の文学や文化に精通していなければならない

雅の方々は大変でした(笑)



興味深かったのが
幻の香木と言われる 正倉院の蘭じゃ侍 のエピソードです

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信長も秀吉も明治天皇も こっそりと削り取ったと言われる銘木ですが

この香木をたくと
上記の五味の全てが順番に聞けるそうです


それを聞いて思い出したのが
以前にいただいた ブルゴーニュの高級ワインのこと

ソムリエさんが

このワインは
時間経過とともにさまざまな香りが開いてきますから

じっくりと色々な香りを楽しんでください

と言われましたが まさにその通りで驚いたことを憶えています


香木もワインも 高級品は
その香りの複雑さや多様性が魅力の本質なのでしょうか?


香道遊びを嗜まれていた室町時代の人は
まさにその時代に ポルトガルから運ばれて来た葡萄酒の香りも
南蛮グラスをクルクルと回しながら「聞いて」いたのかな?

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ソムリエさんがよく言われるような
「雨に濡れた子犬の毛の香り」なんて難しい表現をせず

伽羅のように甘く
そしてわずかに真那賀や佐曽羅のような香りもする

なんて もっとわけのわからないことを言いながら
葡萄酒を飲み干していたかも?(笑)

 

2018.09.28更新

香水

書き手は 意外に嫌いではありません

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男女を問わず
TPOにマッチした素敵な香りを纏っている方に遭遇すると
なんだか幸せな気分になります

でも 香りが置かれた状況にマッチしていない場合は
ちょっと閉口してしまうのも事実です(笑)


そんな香水に関する 面白い記事を立て続けに読みました

ひとつは 朝日新聞に出ていた記事で
バブルの頃に大流行した プワゾン という香水を懐かしむ内容です


1987年(まだ”昭和”です!:笑)

書き手は 研修医生活を終えて大学院に入り
日々 朝早くから夜遅くまでマウスさんと格闘していた頃ですが

確かにその当時 かなり濃厚で強烈な香りがする
「プワゾン」という 名前も刺激的な香水が大流行していました

あの香りは 本当に強烈でしたね!(笑)

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発売元のクリスチャン・ディオールによると

あの個性の強い芳香は
コリアンダー チュベローズ オポポナックスなどの
植物に由来するそうです

コリアンダー以外の植物は 全くイメージすることができません(笑)


もともと 派手な香りよりもおとなしい香りを好む日本人にしては
珍しく濃厚な香りの香水が爆発的に売れたということで

日本の香水ビジネスの歴史上
エポックメイキングな出来事だったそうです


当時は こうした現象に対し
日本人の嗅覚が 食生活の西欧化とともに変化してきたのではないか?
と まことしやかに議論されていたそうです


しかしその後 あのような濃厚で刺激的な香りの香水が
日本で再びヒットすることはありませんでした

日本人は 元来 香りに対する繊細さを有していて
体臭に響きにくい食文化 湿度の高い気候 周囲への気遣い などから
強い香りの香水はそれほど好まれなかったとのこと


そもそも香水は

公衆衛生設備が整備されず 街中に臭いにおいが立ち込め
肉を中心にした食生活で強い体臭を発するのに 風呂にも入らない

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そんな昔のヨーロッパの環境が
臭い消しのために生み出した産物でもあるので
日本でそれほど流行らなかったのも納得できます


で そんな日本で
どうして1987年頃にプワゾンが流行したかというと 

ひとつは まさに華やかだったバブル経済の影響があったのでしょう

濃厚で刺激的な香りは
空前の好景気に浮かれた世の中で
毎夜のごとく繰り広げられていた宴の雰囲気づくりに
十二分に貢献したと思われます

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一方で 香水の世界の流行は10~20年程度の振れ幅で
濃い香りとドレッシーな装いと 軽い香りとカジュアルな装いを
行き来するそうで

日本もある程度その影響を受け 派手な時代状況もあいまって
初めての濃い香りが受け入れられて注目されたのかもしれません


そう考えてみると

経済状態などの社会的要因が 香水の流行に及ぼす影響は
意外に大きいのかな?

そういう研究って ないのでしょうか?(笑)



ところで

嗅覚は 記憶に関与する脳の部位を直接刺激するので
匂いを嗅ぐと昔の記憶が蘇ることが少なくない と言われます

よく例えに引用されるのが
プルーストの「失われし時を求めて」のなかで
主人公がマドレーヌの香りをかいで 子どもの頃を思い出す場面ですが

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実は書き手も そうした経験をしたことがあります

まだ小さい頃に外国に連れて行ってもらったことがあるのですが
大学の卒業旅行で15年ぶりぐらいに外国に行って
トランジットの空港で 周囲の匂いが鼻に入ってきた途端
小さい頃の旅行の光景が蘇ってきたのですよ

それ以来 視覚や聴覚とは異なる 嗅覚の偉大さ(?:笑)を
実感している次第です

香水に関するもうひとつの記事は 次回ご紹介します

 

2018.09.21更新

働くのは 何のため?

そんな根源的な問いを突き付けながら 番組はエンデイングを迎えます


<第10章 ゲームは終わらない>

イギリスの経済学者のロバート・スキデルスキー

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働くことについて こう語ります

人は働かないことへの恐怖がある

働かないことは 余興ではなく失業と捉えられる
働かないと所得が減り 生き甲斐がなくなることと同じになる

仕事を減らす自動化が進む社会で 人々はどうすべきか?
働かないことは人々を開放するのか それとも生きる意欲を喪失させるのか?

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やがて 今存在している仕事の50%はAIや機械に代替されてしまい
労働時間は減って週20~25時間になるという

その時に 社会や人々は 所得減に対してどう対処すればいいのか?


オランダの歴史家・ジャーナリスト ルドガー・ブレグマン

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減った所得を 国家がベーシックインカムとして保証すべきか
について論じます

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ニクソンは70年代に ベーシックインカムを試みようとしたが
民主党のより高い額の要求で頓挫した経緯がある

その時行われた ベーシックインカムの社会実験では
社会保障費は下がり 犯罪は減少し 子どもの成績は上がり
人々は労働を止めなかった

ベーシックインカムは
危惧されていた社会的混乱も引き起こさず 健全に機能していたのである

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離婚率が50%に上がるとされたので 共和党は反対したが
そのデータは間違いだったことが判明した

ベーシックインカムがアメリカで葬り去られたのは 悲劇だった


一方 カビール・セガールは こう語ります

自動化で仕事が減る社会では
富を生み出すために皆が働く必要はなくなる

そして 自由に使える時間こそが富 有限の貨幣となり
自由な時間こそが 最高の価値を持つようになる

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でも 仕事人間は
そう簡単に自由な時間を楽しめないのではないかな?(笑)



再び コーエンがシュンペンターの警句を引用します

シュンペーターは 資本主義は生き残れないと予想した

なぜなら 官僚的なプロセスのせいで
資本主義に必要な起業家精神が失われる 

と考えたから

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シュンペーターは

資本主義は その成功ゆえに
土台である社会制度を揺さぶり 自ら存続不能に陥り
社会主義へと向かう状況が必然的に訪れる

と予測したのです


世界を覆い尽くした資本主義の
成功ゆえに失われるもの
成功ゆえに生まれる裂け目

それは 何なのか?


ウルリケ・ヘルマンは 現代の資本主義の問題点を指摘します

現代資本主義世界では 複数の巨大企業に売り上げの大半が偏り
競争は実際には存在していない

村のような狭い社会 エリートのお友達集団で 全てが決定され
競争なき 富の固定化が起きている

そして

資本主義は
人類がはじめて発明した経済成長を生み出す魅力的なシステムだが
残念ながら 永久に成長し続けることはできない

資本主義が崩壊するのが先か
人々が資本主義から抜け出る道を見つけるのが先か?

と 資本主義の未来について やや悲観的に語ります



ロバート・スキデルスキー

資本主義は 資本を蓄積する仕組みだが
それがもはや重要でなくなったときに 資本主義のシステムはなくなる

代わって現れるのは 社会主義ではなく

もうけるというモチベーションが 重要ではなくなる世界である

と予測します

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遂に人々は 欲望からの解放されるのでしょうか?

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ガブリエルは 資本主義の将来をどう考えているのでしょう?

資本主義の代替案があるだろうと考えて
モノの生産と消費に関する理論をたくさん考えたが
そのすべてが間違っていたことが 技術の進歩の歴史で証明された

資本主義は さらに多くの矛盾を生み出し 人類を滅ぼしかねない

現在起きていることについてのマシな理論をたてないと
人類の滅亡は本当にやってくるだろう

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やはり かなり悲観的で しかも切羽詰まった意見です



光を追い求めるうちに 闇を忘れ去ったのか?

リンゴを高く売ることに夢中になって
リンゴの味を忘れたかのように

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専門家たちの悲観的な意見を相次いで聞いて
ナレーターは ポツリとつぶやきます


最後に登場するのは セドラチェク

資本主義は 何とか機能しているが
誰も なぜ機能できているかはわからない

現象の細部まで全てを説明できる完璧な理論はない

資本主義はある程度までは機能するが
完璧ではないということにいつも注意すべきである

現在の世界について確実なことは 誰にもわからない

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うーん 世界の俊英たちが議論した結論が そこですか

書き手も
確かに 世の中に確実なことなんてないとは思いますが

でも 最後は もう少しポジテイブなメッセージが欲しかったな(苦笑)


数字のゲームから 誰も逃れられない
でも ゲームにはルールがある

そして ルールを決めるのは 
時代の 私達の欲望


今夜もルールは 書き換えられていく


欲望の資本主義


最後の数秒 こうしたナレーションが流れて 番組は終わりました


うーん 面白かったけれど 
最後の結論はインパクトに欠けたかな?

今度は ポスト資本主義の未来社会 について語る番組を
企画していただきたいものです

最近は そうしたテーマについて書かれた本をよく目にしますが
それこそ世界のエッジの人たちは どう考えているのか?

そのとき 本当に人々は欲望から解放されて
自由な時間を楽しめるのでしょうか?

そのためには
やはり 資本主義に代わる新たな経済システムが必要だと思います


それが ベーシックインカムのようなものか?
それとも シェアリングシステムのようなものか?
または 全く新しいシステムなのか?

NHKさん そのあたりにフォーカスした番組 期待しています!

  

2018.09.20更新

欲望の資本主義 2018

番組は いよいよ終盤にさしかかります


<第8章 交換だけが駆け巡る>

イノベーションを どう評価するか?

そう問われた ノーベル賞受賞経済学者のステイグリッツは こう答えます

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不思議なことに
マクロ経済の視点から見て
イノベーションによる生産性の向上は認められていない

イノベーションで得られた富が 一般の人たちからは見えないのだ

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ここで イノベーションに絡めて インターネットが話題になります

ダニエル・コーエン
インターネットが経済に及ぼす影響について こんな指摘をします

インターネットは
生産者と消費者をマッチングさせる市場の機能を効率化し
需要と供給の法則を強化していて

それ自体が とても秀逸な「市場」として機能している

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つまり

インターネットが 市場の新たな「見えざる手」になっている

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一方で 現代社会では 多くの人々が過大な競争圧力にさらされているが

Google Apple Facebook Amazonなどは例外で
他者には競争圧力をかけながら
自らは競争を回避して利益を独占できている

こうした格差も生まれつつある


インターネットについて ステイグリッツは 

検索エンジンやFacebookなどの恩恵は確かに大きく
人々の生活に影響を及ぼしているけれど

それらは 経済学的な統計には反映されていないし

同様に社会に大きな影響を及ぼしてきた電気やDNAに比べて
インターネットはどれほど重要なのか?
 
という疑問について 経済学者の間で議論が尽きないのが現状である

と指摘し


イノベーションとインターネットをまとめて

イノベーションを生む側にとっては
人々の暮らしに影響を与えることは喜びだろうが

しかし 人が24時間
インターネット すなわち他人に駆り立てられることは
それほど幸せなことか?

と疑問を呈します

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うーん 耳が痛い警句ですね!

イノベーションによって生まれたインターネットは

人々の日常生活を “駆り立ててしまう”
新たな価値観になったのでしょうか?

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では 根本に立ち返って

経済における価値とは何か?
何が価値を決めるか?
なぜそれに価値を見出すのか?


セドラチェクは それらの問いに こう答えます

価格は客観的で簡単だけれど 価値は難しい

価値は主観的で人それぞれだから 

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では なぜ 金(価格)と モノ(価値)を 交換できるのか?

マルクスは この交換に 神秘を見出しました

商品が貨幣になる 命がけの跳躍

これは 資本主義世界に潜む謎 である


価値は 主観的なので 測れない 比べられない
価格は 客観的なので 誰もが認める評価ができる

人々は そんな価値と価格の関係を理解しようともがいてきたけれど
結局それは困難だ

それでも人々は 日々の経済のなかで価値を交換している


うひゃー 話が抽象的で難しくなってきましたね(苦笑)

価値と価格の関係ねえ、、、

これまで 考えたことはないし
そんな疑問を思いついたことすらありません(再苦笑)

オークションなどは
価値を価格で評価するわかりやすい仕組みだと思いますが

日々の生活のなかで
オークションみたいなことを いつも行っているという実感は
ないなあ

この謎が語っているのは どういうことなのでしょう?

価値と価格の関係 なかなか難しいです、、、



<第9章 闇の力が目覚める時>

コーエンは イノベーションの話を引継いで こう語ります

現代は 創造力の追求が 人々に要求される新たな義務となった

イノベーションによって
人は 創造力を必要としないルーティンワークをすることがなくなり
その代り 創造力の追求を認められる

そんな社会に変化した

創造的であれ さもなくば 死ね

と 迫られているようなものだ

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そして そこには
創造性がグローバル経済に搾取される というストレスもある


生産性を高め 想像力を高め 
職を奪うAIや機械に打ち勝たなければならない

これが新たな競争の世界で 人々は緊張感を強いられている

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世界はかつてないほど「経済のルール」に支配されつつあり

その資本主義のルールを作ったのは テクノロジー なのだ

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えっ どうして急に テクノロジーが出てくるのでしょうか?


マルクス
機械の怪獣性 悪魔的な力を 既に見抜いていました

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手動の製粉機は 封建社会を生み
蒸気式の製粉機は 資本主義社会を生む

生産の形態 条件が 社会の構造を決める
テクノロジー 経済の在り方が 社会や人間のありようを決める

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これこそが シュンペーターがマルクスの著作に見出した
闇の力 の正体なのです


経済や社会は 独自の力で動く

そのなかで人々は 自分の希望に関係なく 一定の行動を選ばされてしまう
自由を奪われるというより 自ら心理的に選択の幅を狭めてしまう

個人がいくらあがいても その流れを変えることはできない

資本主義の構造の力 こそが 闇の力

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前にも書きましたが

そのシステムの中で生きている人々は 意識することがなく
意識できたとしても 抵抗できない

そうした社会や経済の構造の力が まさに闇の力だ

というコンセプトは とても興味深いものがあります

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そして 創造的であれ さもなくば死ね
という世界は 確かに厳しいですね

そんな世界に 本当になっているのかな?
なんだか 空恐ろしいきがします



さて こうした分析を受けて コーエンが再び語ります

今の時代は 常に自分を変革することを強いられている


フロイトは「文化への不満」という著書の中で 

芸術家のように生きるのは不可能だ
人の人生を 芸術家のようなものにしてはいけない

なぜなら芸術家は不幸だから

芸術家はいつも創造性の欠如への恐怖にさらされているから

と述べているが

今の新しいテクノロジーの世界では 常にそうした緊張がある


芸術家になることを 日常的に迫られる苦悩

いつも 自分が得意なことは何か と
自分自身に問いかける生活を強いられる

それがストレスと緊張を生むので 燃え尽きてしまう人が大勢いる

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人々は能力を限界まで出し切ることを求められる
それが昔の労働者との大きな違いである


このフロイトの芸術家の苦悩のたとえは なかなか的を得ていますね!


新しいテクノロジーがやっているのは 前の文明の破壊である
より素晴らしい明日に向けて 人々は変化に心を躍らせる

しかし それが義務になったら
楽しいはずの創造が いつの間にか苦しくなる

では 働くのは 何のため?


この章は こんなナレーションで終わります


うーん 人は何のために働くのでしょう?



2018.09.19更新

欲望の資本主義 2018

番組の後半は 人の貨幣への愛 の話題から始まりました


<第6章 幻想の貨幣愛>

投資銀行のトレーダーで
巨大な額のマネーを日々取り扱ってきた カビール・セガールさん

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人は頭の中に いつも金に関する関心や欲望がある と指摘します


お金を使っているつもりで お金に使われている

そこが 金の厄介なところで
人生を左右してしまうほどの強い力がある

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一方 金が多ければ多いほど 将来の不安がなくなる
だから人は 安心するために過剰な金を求める


このように 

人は 恐怖と欲望からできている

だから もっともっと金を となってしまう

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しかし 人々が貯蓄に走ると 社会に恐慌が起きてしまう



マルクスは 資本論のなかで

カネが王 モノが家来 という幻想がある

と書きました

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セドラチェク

現代は GDP神話に生きる時代なので

金に対するフェテイッシュな欲望 執着がある

と指摘します


お金への幻想愛 確かにあるかも?(苦笑)



さて ケインズは世界恐慌に際して

失業が社会の最大の不安なので
欲望の対象である貨幣をたくさん作ればいい

人はいつも 手の届かないモノへの憧れにとらわれてしまう

その無意識をコントロールすることが 資本主義の鍵である

と述べました

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このことを セドラチェクは こう解釈します

金が 道具でなく 目的になっている

金はあらゆるものと交換可能だから 人は金を欲望し
使うことでなく 貯めこむことが目的になる

こうした目的と手段の逆転により 人は金の奴隷になってしまう

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いやはや ですね

読み手の皆さんは 耳が痛いですか?
書き手は ちょっと、、、(苦笑)


<第7章 二つの世界を欲望が覆った>

資本主義と社会主義が 力の均衡を示していた時代

その終盤の1980年代に
レーガンとサッチャーによる 大胆な経済改革が起こりました

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世にいう 新自由主義 の流れですね

市場原理主義 とも呼ばれていました


ダニエル・コーエンは この改革をつぎのように評します

当時 進歩的な学者などにより喧伝されていた
生産にとらわれる時代ではない ポスト物質主義が到来しているという
そんな考え方は 間違いだとする改革だった

この改革は
それまでの社会の型を破壊し変形させ 悪徳の栄え を引き起こした

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強欲 を 成長の原動力として解き放ったのだ


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1980年代以降の資本主義は
社員や労働者の切り離しに新たな価値を見出し
大企業は社員を守らなくなった

レーガン・サッチャーの革命により

市場の力が解放され

世界中にウオール街のマネーパワーが解き放たれた

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ウオール街の暴れ者たちは
真の価値を見ず 目先の利益を得るためだけのために
会社を分割して売り払いバラバラにした

これが 新しい「金融資本主義」の基礎になっている


資本の増殖を求めて
バーチャルな価値が行き交い増殖する現場

自由な取引を掲げてきた市場だが

その実情は

一部のトップ投資家だけが市場を支配し
巨大なマネーが さらなるマネーを引き寄せる

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それが 資本主義のリアルである と指摘します



また セガールは 実際にトレードをしていた人らしく
金融と政府の関係について言及します

政府からの借金の要請を 銀行などの金融界は断らない

それが現代経済 現代社会の基盤なので
大手銀行は 政府に金を貸すことで巨大なパワーを持つに至り

政府と大手銀行の関係は
今や 互いに共存する生物のようなものになっている と


いや~ ”あなたの知らない世界” ですね(苦笑)


閑話休題で

さて 資本の暴走の歯止めともなっていた社会主義が崩壊すると

膨れ上がる資本の運動の勢いは 止まることがなくなり
グローバリゼーションは さらに加速化したのです

18ybs63


ここで再び セドラチェクとガブリエルが議論します


セドラチェクは こう指摘します

社会主義との葛藤があったから 資本主義は発展できた

資本主義社会では 
社会主義がやっていることの追試実験ができたので
自らの方針を修正することができたけれど

社会主義社会では それができなかったので 行き詰まってしまった

18ybs64


そして 社会主義が崩壊すると 今度は資本主義が迷走し始めた


ガブリエルはこう答えます

資本主義においては 常にシステムが変化している

昨日の資本主義は 今日の資本主義ではない
そして 創造と破壊のスピードは上がり続ける



こうして考えてみると
資本主義のカウンターパートとしての社会主義の存在は
大きかったのですね

資本主義の暴走の歯止めの役割も果たしていたわけで

その社会主義が崩壊した後に 金融資本主義が抜鈎するようになった

という歴史の流れは

その時間の流れのさなかをリアルに生きてきただけに 
ちょっと昔を振り返ってみて そうだったのか~! と思うようで
なんとなく感慨深いです


それにしても

金融資本主義とグローバリズムが推し進めた 金への偏愛

この路線が先鋭化していったのは
それが人間の本能に根差しているから なのでしょうか?(苦笑)


2018.09.18更新

欲望の資本主義 2018

番組は 資本主義が暴れまわり始める様子を 分析していきます


<第3章 ショウの幕が上がるとき>

ここで セドラチェク
やはりこのシリーズの常連さんのマルクス・ガブリエルの対話が展開されます

ガブリエルは 語ります

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資本主義とは
商品生産にともなう組織的な活動全体のことで
現代の資本主義社会は 商品の生産活動そのものである

そして 商品の生産とは 見せるためのショウに他ならない

生産とは 新たに「見せる」ことで
今の資本主義は 全てがショウ化している経済システムである

そういう意味では トランプはまさに資本主義そのものの顔で
ショウこそがいちばんの商品になっている


そんな状況下でのベストな商品は フェイク

フェイクは 大量生産の差異化が行き着く果てであり
それが理想の商品となっている

でもそれは しょせん 安く作れて浮ついたモノにすぎない

いかにも彼らしい ちょっとシニカルな 現代の資本主義のとらえ方です(笑)

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そう語るガブリエルに対し セドラチェクはこんな風に答えます

市場でなく 社会の見えざる手 の存在を信じている

歴史を振り返っても 社会の自動調節機能が繰り返し働いている

例えば チェコで共産主義が行き詰ったとき
方向性を示したのはアーティストだった

それは 経済の外側からやってくる見えざる手で
アートや哲学などの 人文系学問に期待されるものである


「資本主義は 無秩序に暴れはじめた」と分析するガブリエル

「人文系の知恵により それは制御できる」
 
と希望を語るセドラチェック


片や 冷静に深く思考し
片や 情熱的に物事を分析する

ふたりの特徴が良く現れたディスカッションは 面白いです!

そして書き手は
人文系の知恵が経済の混乱を救うという セドラチェックの意見を
もろ手を上げて支持したいです! 


さて ふたりの会話は 意外な方向に展開していきます



<第4章 フォースの覚醒>

話題は グローバル化 貿易 投資 にひろがります


資本をさらに増やそうと試みる人 そこから取り残される人
引き裂かれる欲望の世界

資本主義は どこに向うのでしょう?


セドラチェクは

ヨーロッパは
もともと 経済移民は受け入れないが 政治移民は受け入れる
というスタンスだったが

現実は逆で

経済移民は仕事をしてくれるし 消費もしてくれるので
良いと評価して どんどん受け入れるようになり

逆に 仕事でなく自由を求める政治移民は 受入れなくなった


これは 理屈でなく本能に基づいた行動とも言えるが
移民政策の決定の裏側に ”経済のホンネ” の存在が透けて見える

いつから政治の裏側に 経済という本音が張り付いたのか?
経済と政治の錯綜は なぜ生まれたのか?

と問います

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それに対して ガブリエルは論を転がして
移民政策を語るときに必ず出てくるポピュリズムについて こう答えます

昨今の政治的風潮を ポピュリズムで片づけようとするのは
無意味で的外れな診断で

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今起きていることは グローバル化への抵抗の一種である

人々が 突然 政治的に国粋主義に目覚めるようになったわけではなく

世界中で人々が
グローバル化による経済的な不公平を目にするようになったので
ポピュリズムのような現象が起こり始めたのだ

政治でなく経済が原因なのだ と


はい グローバリズムの社会や経済への悪影響

これまでも度々指摘された 現代社会を読むキーコンセプトのひとつですね

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ここでセドラチェクは 新しい 興味深いコンセプトを披露します

邪悪な力 フォースが目覚めたのだ と

ポーランドでは
たった2週間の短期間で 突如 邪悪な力 フォースが目覚めた

それは ポピュリズムではなく 暗い悪のようなもの

悪のフォース

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2015年頃に なにか構造的な変化が起きたのかもしれない

その頃から 人々が良い人ではいられなくなってきた

誰も自分を助けてくれないのに
どうして人のことを助けなければならないのだ?

特にキリスト教文化では イスラム教文化より経済的反応が強く出て
“良い人疲れ” が起こり始めた


良い人疲れ 面白いコンセプトですね!(笑)

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ガブリエルは セドラチェックが指摘した悪のフォースに 敏感に反応します!

悪について 考え直す必要がある

そして 彼が研究した
ドイツの哲学者 フリードリヒ・シェリング を登場させます

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シェリングは 悪の研究の第1人者で

悪は人の心の中にあるだけでなく
実在するポジティブなフォースである

と主張しました


どんなシステムでも
継続的に維持させるためには 他のシステムを排除しなければならない

外部がないシステムは
内部に「異質なもの」を作りださなければならない

これが シェリングのいう 悪のダイナミクスだ と指摘します

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そして このシェリングの理論を
グローバリズム全盛の現代社会に当てはめてみます

「外部がある」という感覚を失うと 帝国は崩壊を始める
そうした崩壊を防ぐには 内部に悪を作らなければならない

だから”外部”を消失させたグローバリゼーションは
社会や政治に 新しい悪を生み出させたのかもしれない

資本主義は 経済的な帝国を作り出したけれど
帝国というものは 困ったときは 内部から悪を作り出す

これが ナショナリズムなどが復活している背景なのだろう

確かに 悪に似ている

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いつもながらガブリエルは 面白いことを言いますね!

この「内部に敵を作る」というアイデアは
フランスにおける民主主義の変貌について語られたときも
大きな要因として語られていましたが

いずれのコンテクストでも
ナショナリズム的なものに結びつくのが興味深いです

ナショナリズムの本質なのかな?


では その悪は 個人に生まれるのか? 社会に生まれるのか?



<第5章 イノベーションの呪縛>

セドラチェクは

資本主義は 過度に効率的になり 道徳的規範を失った 

と指摘します


資本主義の支配的な観念 強迫観念は

*役に立つことだけをすべし
*自分を愛するものを愛し 嫌うものを嫌え
*よくしてくれる者によくして 意地悪するものにはやり返せ

というもので

人々は こうした観念に生まれたときから親しんでいるので
あらゆるところに その価値観が根付いていて

それが 道徳的規範の喪失に繋がる

そして そのことに気がついていないのだ と


うーん セドラチェクの論理展開は
わかりやすいし シンパシーが持てて(?:笑)いいですね!



で それを受けて ガブリエルは 次のように論を展開させます

資本主義は どこまでも拡大しつ続ける性質を有する

成功の概念の上に成り立っていて
ひとたび成功すると 次の何かを求めようとする

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成功者であり続けるには 同じことをしていてはダメで
絶えず新たなことを考えて 成功し続けて 
それにより 自らを維持する必要がある

だから これまで目をつけてこなかった新たな存在を見つけて
値段をつける作業を続けていく

このように 全てを商品化することが 資本主義の根本的な性質である

新しさを追いかけ あくなき創造と破壊を継続することこそが
資本主義のエネルギーとなるのだ と



ここで ダニエル・コーエンが再び登場し
シュンペーターについて言及します

彼は 資本主義の歴史を 創造的破壊の連続だとした

この番組のキーワード「創造的破壊」の登場です!

人々は 創るための破壊を繰り返してきたが
それは強迫観念のように人々を駆り立て
資本主義社会では ずっと継続して行われてきた


しかし シュンペーターは こうも予言します

資本主義は その成功ゆえに 自壊する

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またシュンペーターは マルクスを次のように評価しました

マルクスの体系には 構造の力が際立つ

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そして 偉大なものには 闇の力 がある

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うーん ”構造” には ”闇の力” が内包されているのでしょうか?

社会の構造は
その中で生活していると無頓着になってしまいますが

それが大きな力 しかも闇の力を持つという概念は
なかなか面白いと思います!

社会の構造に 闇の力が内包されている?

うーん 興味がそそられます!(笑)


2018.09.17更新

今週は夏休みなので いつものお勉強ブログなどはお休みして

欲望と不条理
 な話題を提供します


去年 NHKの特番で放送され
とても面白くて印象に残り ブログでもご紹介した

欲望の資本主義

その2018年版が放送されました(もう 少し前のことになりますが) 

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やめられない 止まらない

欲望が欲望を生む 欲望の資本主義

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人は 何のために働くのか?

金と欲望をめぐる物語


そんなキャッチコピーで宣伝された番組ですが サブタイトルは

「闇の力」が目覚める時

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うーん 興味をそそられる 意味深なタイトルです(笑)


またしても面白かったので 番組内容を紹介します


<第1章 分断する世界>

番組ではまず
NYで行われた 起業家と投資家のイベントの模様が紹介されます

資本とアイデアが出会う場所

起業家は
自分が開発した新たでユニークなアイデアを 実現させるために
投資家に売り込みます

こうした場が 新たな富が生み出される土壌となります

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ベンチャー投資家たちは 語ります

投資家の役割は 金と起業家・アイデアをつなぐことで
見込みのある起業家に投資し 彼等彼女等を育て
新たに作った会社を 大企業に売って稼ぐ

これは 資本の増殖を巡るリアルゲームだ と


彼等の目的は 新たなシステムを作る こと

「デジタル技術による効率化」が彼等の投資哲学で

時間とコストの削減をいかに効率的に行うかを
起業家のアイデアをハンティングして 追い求めます

効率化こそが 至上命題で
テクノロジーにより 世界を変えることを目指す

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インターネットを使い 低コストで拡張性を高くして
99%の人が恩恵を被れるようにして
世界の富のバランスをよくするのが投資家の役目

と主張します


うーん 富のバランスを良くしようという目標は立派ですが
効率性をそんなに過度に追い求めるのは どうなのかな?
と 怠け者の書き手は思ってしまいます(苦笑)


そしていよいよ「欲望の資本主義」について語られ始めます


資本主義は 創造と破壊の連続である


日々 新しい技術で 新しいモノを作る

そうした競争の繰り返しこそが資本主義で
その原動力は 起業家によるイノベーション

資本主義の本質を こう著したのは
ケインズと並ぶ巨人経済学者の ヨーゼフ・シュンペーター

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彼は 資本主義のダイナミズムの本質を追い続け

呈したキーワードのひとつが 創造的破壊

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創造のためには 破壊し続けなければならない

これが 資本主義の掟



シュンペンターは
この後も重要な場面で繰り返し登場し
「創造的破壊」は この番組のキーワードになります

いやー 不勉強な書き手は ケインズは知っていましたが
シュンペンターさんとは ”はじめまして!” でした(苦笑)


ここで フランスの経済学者 ダニエル・コーエンが登場し
現代の世界経済が抱えるパラドクスを指摘します

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ここ10年あまり
新しいテクノロジーの広がり・発展が 経済を活気づけているが
先進国の経済成長は ずっと停滞している

テクノロジーの発展は 世界の人々を富ませていない
富んでいるのは トップの一部の人々だけ

テクノロジーは
トップの人の世界を広げることで 強者をさらに強者にしただけで
経済格差を広げるのに貢献したにすぎない

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その結果 人口の中核をなす中間層の人々が つらい思いをしている

サービス業 銀行 保険会社 役所などに勤める人は
新しいテクノロジーの恩恵を受けていない

そればかりか テクノロジーは
中間層の人々の仕事を時代遅れにして 職を奪っている

生き残れるのは
ロボットやテクノロジーで置き換えられない低賃金の飲食業などだけ


このように

テクノロジーの進歩は 経済発展に結びついておらず
むしろ多くの中間層の人々の職を奪い 生産性を失わせていく

そして 世界の富豪8人の総資産が
底辺の36億人の総資産と同じ額になるという
圧倒的な経済的格差社会を生み出している

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こうしたことは 以前にもあった

産業革命のとき
テクノロジーによる生産性向上により
農業などに従事する労働力が不要になった

しかし そのときは
農業に従事していた人々が 地方から都市に出てきて
工場などで職を得られた

そして 幸いなことに これが経済成長につながった


しかし 失業は 常に社会に緊張をもたらす

AIやロボットに職を奪われようとしている現代の中間層は
経済的格差で分断された社会のなかで
この先 どうなっていくのだろう?

コーエンは
イノベーションが進み AIやロボットが跋扈する現代社会の現状に
こうした疑問を投げかけます


よく指摘される中間層の没落」ですね

グローバリゼーションが
中間層の没落の原因になったという説は
これまでも何度か見聞きしましたが

イノベーションやテクノロジーの進歩が 中間層の没落を招く

というアイデアは 書き手にとって新鮮でした



<第2章 革命の夢のあとさき>

この章では 反資本主義の流れ が紹介されます


アメリカでは 自由だけでなく平等を という流れが
若い人々に広がっているそうです

大統領選挙でサンダースさんが 若い世代に好評だった流れで
社会主義が再評価されているとのこと

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そんな状況の中で
ドイツの女性経済ジャーナリスト ウルリケ・ヘルマン
マルクスについて語ります

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マルクスが分析した資本主義とは

人が金を商品に投資して より多くの金を獲得すること 

を目的とした「狡猾な」システム

貨幣はモノに支払われたのでなく 前貸しされたに過ぎない

増やすことを目的とした貨幣の利用が 資本である と

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資本主義の一側面である 拝金主義的なところが
少しずつ見えてきましたね?(笑)

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ヘルマンは

産業革命により資本主義が始まった と解説します

産業革命が なぜ イギリスで1790年に起こったか?

それは 当時のイギリスが 最も賃金が高い国だったから
なんと他のヨーロッパの国の2倍だったそうです


資本主義は 人件費が高くないと活性化されない

労働者が低賃金で購買力がないと
技術革新で作られたものが売れない

大量消費 大きな需要がないと 技術革新は機能しない

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なるほどです! そんなこと 考えたことがりませんでした、、


しかし

アメリカでは1975年頃から ドイツでは2000年頃から
実質賃金が増えていません

日本も同じ

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賃金が増えないから 消費も沈滞してしまう
過剰産生と売り上げの落ち込みが 世界の至る所で起きているのです


そこで企業は
利益を出せない「生産性向上」に見切りをつけ 投資をしなくなり
代わりに 金融市場での投機が行われるようになっている


賃金が上がらないのは
労働者が失業を恐れるあまり 賃金の値上げより職の確保を優先した
という理由もあるが

いずれにせよ 世界中で賃金が頭打ちになっている現状は
資本主義にとって危険な状態で

労働者の賃金を上げないと 一握りの経営者ばかりが富んで
ますます格差が広がってしまう

と懸念します


ここで再び マルクスの予言が紹介されます

資本主義は その矛盾ゆえに 滅びる

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なるほどです

書き手にとっては

賃金が上がらないので消費が冷え
利潤が得られなくなった企業は 投資でなく投機をするようになる
 

という解説が とてもびっくりでしたし ショッキングでした

企業経営の厳しさを 思い知らされたような感じがしました


さて この番組の常連の チェコのセドラチェクが登場します

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マルクスは

企業が得た利益は 労働者に還元されるべきだが
労働者の賃金を上げると 経営者の利益は減るので
自主的に賃金は上がらない

だから 賃金を上げるには革命しかない

と説いたと解説します

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実際に ロシアで革命による社会主義は起きたけれど

最終的には上手くいかず
平等な社会が築かれることがなかった

そして 資本主義のカウンターパートである社会主義が消え去り

ひとり勝ち状態となった資本主義は
いったいどこに向ったのか?

続く



2018.09.07更新

リンストロームさんが明らかにした もうひとつの興味深い点は

マーケッテイングは 感性に訴えろ 

ということです

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ブランディングは 理性で考えるものではなく感性で感じるもの


頭では理解できない まったく非合理的な消費をもたらすもの
こそが ブランドであると

しかも
視覚 聴覚 嗅覚などのあらゆる感覚を同時に刺激する
ことが 最も効果的だそうです

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というのも

現代は視覚優位の世界で 多くの情報が目を通して脳に入ってきますが

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視覚の脳へのアピール度は 実はそれほど強くない

少なくともブランド認知を高める効果は
聴覚 嗅覚の方が 視覚よりも勝るそうです

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そこで 視覚と他の感覚を組合せた宣伝の方法がとられ
こうした方法を五感ブランディングと呼びますが


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五感ブランディングに接した際のfMRIやSST分析では

*脳のさまざまな領域が 一斉に活性化される

*心地よい 好ましいと感じるときに活性化する領域も活性化される

*感情に直結するので

商品に対する好感度が上がり 長期記憶も誘導される
といった現象が認められ

視覚と他の感覚を組合せた手法は とても効果的で
商品に対する好印象が得られることが明らかにされました

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@興味深いのは 嗅覚 の重要性です

視覚で活性化される領域の多くが
嗅覚によっても活性化されることが示されましたが

嗅覚は 最も原始的な感覚

鼻の嗅覚受容体から大脳皮質を経ずに
情報がダイレクトに 感情を司る大脳辺縁系に伝えられます


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この点が 嗅覚と他の感覚との重要かつ大きな差異で
他の感覚と異なり 考える前に反応する


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嗅覚により 瞬間 瞬時に直観が働くのです

ですから 潜在意識に訴えかける広告効果も大きい


たとえば

*婦人服売り場で バニラなどの女性的な匂いをスプレーする

*リラックスさせ 南の島にいるように感じさせる甘いメロンの香りを
 売り場に漂わせる

*シャツ店は 洗濯仕立てのコットンの香りを漂わせる

*ファストフード店は 
 料理仕立てのベーコンチーズバーガーの香りを通気口から流す

*スーパーは 焼きたてのパンの香りを漂わせる
 あるいはパン屋を店頭に配置して
 その香りにより お店に来た人々に 新鮮さ 安心感 生活感を呼び起こし
 かつ お腹もすかせる

そうしたことがなされると 売り上げが確実に増えるそうで

うーん お店で知らない間に嗅覚が刺激されて
購買意欲が書きたてられていたのかな?

でも 鼻づまりの方には この方法は効かない?(笑)



@色も マーケッテイングには重要です

商品と色を上手くマッチングさせると
ブランドと感情を結びつけ ブランド認知力を80%増加させるそうで

商品の選択基準の半分以上に 色が影響しているとか


いちばん有名なのが コカ・コーラの赤 ですね

もともとサンタさんは青い服を着ていましたが

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コカ・コーラの宣伝で コーラを飲むサンタさんが赤い服を着て以来
サンタさんの衣装は赤が定番となり
その影響で 人々は赤を見るとコカ・コーラを連想するようになりました

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@音も重要で 音には 強い連想 感情を引き起こす力があります

例えば

*駐車場や地下鉄でクラシック音楽を流すと 破棄行為が減る

*シャンソンを流すと フランスワインがよく売れる

*ビアホールの音楽を流すと ドイツワインがよく売れる


面白いのは
レジで どうしてフランスワイン ドイツワインを買ったのですか? と聞くと

シャンソンやビアホールの音楽が流れていたから 
と答える人はひとりもいない

つまり 客は流れていた音楽の影響に気づいていない


無意識への働きかけにより 意識せずに商品を選んでいたわけで
これは色や香りの場合も同じでしょう

無意識のうちに感性に訴えかける五感ブランディング 侮れません!

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ということで 

ニューロマーケティングにまつわる話題を紹介してきましたが
全く知らない世界 でも 身近な世界 で
とても興味深かったです

ブランドショップを冷やかすことがあったら
眼だけでなく 耳や鼻を充分に働かせて 
いろいろとチェックしてみます(笑)

2018.09.03更新

ニューロマーケティングの研究を行っているリンストロームさんは

ブランドは宗教だ と言われます

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成功を収めているブランドには 宗教的な要素があり


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ブランド品を買うヒトは 単純な消費者というより 熱狂的な信者に近い


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というのです

なんだか 面白そうな話ですね!(笑)


世界で多くの人々を惹きつけている宗教には

*信じる人々の連帯感

*明確なビジョン

*敵に打ち克つパワー

*感覚へのアピール

*物語性

*雄大さ

*布教活動の熱心さ

*上手なシンボルの利用

*神秘性

*儀式の有効利用

といった特徴がありますが

これらのいずれの要素も
人気ブランド・商品と共通性がある 

そうです


そして とても興味深いことに fMRI SSTを用いた検討により

ヒトが教会などで 熱心に信仰しているときと

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お店で ご贔屓ブランドの商品を見ているときは

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脳の同じ領域が活性化していることが判明しました

それは

喜び 平穏 自己認識 愛情などを生み出す領域 と
記憶 感情 意志決定 意味の創生などを司る領域

強力なブランドに関連する画像を見たときと 宗教画を見たときの
脳内の活動パターンは まさに同じだそうで

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ふーん そうなんだ  ちょっとびっくりですね!


また 宗教には儀式がつきものですし
原始宗教と呼ばれるような土着の宗教では 迷信も重要視されます

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ここにもブランドとの共通性があって

儀式的なものが ブランドと商品の感情的な絆を生み出して
購入する商品の印象を高めるそうです

やはり こうした非合理性が大切なのでしょうか?


ここでいう 商品に関する儀式的なものとは

例えば

メキシコのコロナビールの瓶の飲み口に
ライムのかけらを突っ込んでから飲む

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パブでギネスを注文すると
お店の人は ゆっくりと数分以上かけて グラスに泡を注ぎ込む

オレオクッキーを パカッとふたつに分けて
なかのクリームを舐めてから ミルクに浸して食べる
(この儀式 テレビCMでやっていましたね!)

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要するに 儀式といっても宗教のような大掛かりなものではなく
日常生活におけるちょっとした習慣のようなものですが
それが故に 影響力がより大きいのかもしれません
 

ちなみに ギネスの注ぐときの儀式は
会社が意図的に儀式に意味を持たせたそうです

ゆっくりと泡を注ぎ込んでいくやり方は昔からの伝統でしたが

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90年代前半に社会がドンドンあわただしくなってくると
そんなにのんびりと待てない! と人々はギネスから離れ始めました

そこで会社は

待つ人には良いことが来る とか 1パイント注ぐのに119.53秒かかる

といったキャッチフレーズを展開して 儀式に意味を持たせ再生したのです

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人々は そうした会社の目論見にまんまとひっかかって
新たなギネスの魅力として 儀式が生まれ変わったわけです

ちょっと 面白いでしょう?


最近の消費者は
「何かを盲目的に信じて頼りたい」という気持ちが強い傾向にあるそうで

それは
現代社会は 景気の低迷 戦争 高齢化 犯罪といった不安要素が多く
不確実性に満ちているため 安定に対する欲求が高まっているから

そうした状況に 非合理的 非理性的な儀式や迷信は 上手くつけこみます


商品にまつわる儀式は
安心という幻想や 帰属意識をもたらしてくれますし

自分に合った儀式やブランドが見つかると 人々は特別な安心感を抱きます

そして 商品の購入は 意識的判断というより儀式的行動の側面が強い



さらに著者は 蒐集という人間独特の行為にも言及していて面白い

収集という習慣的な無意識の行為は まさに儀式であり
ヒトに安心感や安定感をもたらし
人生に対する支配感を得たかのように感じさせる

ストレスが溜まったり 人生が思い通りに行かなくなると
人々は馴染みの商品やモノに安心を求め 収集するそうです

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この指摘 個人的にはちょっと思い当たる節があります(苦笑)

 
 

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