左利き肝臓専門医ブログ

2018.02.16更新

ジョン・ノイマイアーさんの バレエ・椿姫

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もうひとつ 驚いたのは
劇中劇というか 劇中にバレエを組込んでくるのです

それも マノン・レスコー

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男を破滅させる妖女・ファム・ファタールのハシリとされる
美少女マノンと 騎士デ・グリューの 激しくも哀しい愛の物語

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オペラの椿姫では 華やかな舞踏会の場面で幕が開きますが

ノイマイアーさんのバレエでは プロローグに続いて

ヒロインのマグリットと 彼女を愛する青年のアルマンが
バレエのマノンを鑑賞する第1幕が展開されます

その後 全てのストーリーを通して
最後に寂しく死んでいくマノンの姿に 椿姫のヒロイン・マルグリットは
自らの姿を重ねるように 愛憎をともないながら見入り

最後のシーンでは
マルグリット・マノン・デ・グリューが一緒に踊るという

現実と幻想が入りまじったシュールな世界が 繰り広げられるのですよ

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こんな 深みがある凝った演出! びっくりしました!


ノイマイアーさんは この演出について

椿姫の原作 デュマの小説が
さまざまな視点から真実を描写する形式をとった 近代的なもので
語りの観点の多層性という点から とても興味深いと考えていて

だからこそ 映画で表現されるような
記憶の光景を変えて フラッシュバックのような手法を用いることが
可能だと思い

そこで マノンを物語に組み入れて
マルグリットの思いに 常にマノンが投影されるような仕組みを考えついた

と 語っておられます

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うひゃー ですよね!(笑)

よくぞ そんなアイデアを思い浮かべることができるものです


そして 

こうした演出を施すことにより
セリフも歌もない ダンスのみによって 物語を語ることが出来る

と 説明します

なるほどです~!


しかも 挿入するのが マノン・レスコー ですよ

大人の世界ですね~(笑)



前回 真夏の夜の夢を見たときに ノイマイアーさんは

原作の戯曲の世界を 忠実にバレエに再現しようとは思っていない
バレエを観た人の想像力に訴えかけるような世界にしたい

現実の世界と妖精の世界 意識と無意識の世界は
密接につながっていることを 観る人にアピールしたい

と語っておられましたが

今回の演出でも そうしたコンセプトが充分に生かされていると感じました


こうしたオリジナリテイーを随所に散りばめることにより
オペラとは完全に差異化された ノイマイアーさんの椿姫の世界は
ホント 見事に観るものを惹きこみました


マルグリットとアルマンがふたりで踊る
ときに情熱的で ときに切なく哀しく ときに痛々しい数々のシーンは
息を呑むような迫力や美しさがあったし

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舞踏会の場面で踊られる群舞のコール・ド・バレエは
オレンジ 青 などの 華やかな衣装の色合いも美しく
群舞も見事で 充分に楽しめました

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カーテンコールは
お約束の 観客全員の スタンディング・オベーション

最後にノイマイアーさんも 舞台に登場して応えられていました


うーん これは
ノイマイアー教に 魅入られてしまうかも?

危ない!(笑)




そうそう プログラムノートの最後で
ノイマイアーさんは こんなことも語っています

アルマンが マルグリットの心をわざと傷つけるために
若い娼婦との親密な関係を見せつける場面こそが
実は最もインパクトのあるシーンであると


マルグリットは傷つき 彼女を傷つけたことを知ったアルマンは
そのあと 狂気のような愛を交わす

ヒトという厄介な生き物の 心の奥に隠れた襞

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いや~ 大人の世界は 奥が深いですね!(笑)



2018.02.12更新

彼は どうやって 料理するのかな?

書き手は 会場に行く道すがら ちょっと楽しみにしていました


昨年末に ソフィア・コッポラ演出のローマ歌劇場オペラで楽しんだ 椿姫

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今度は バレエで同じ演目を楽しみます

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バレエは 踊りとマイムで世界を表現するわけですが

セリフや歌がない世界で 
あの狂おしいまでの愛憎の世界を どう訴えかけるのか?

困難さがともなう分 楽しみでもあります


しかも 演出するのは
ハンブルグ・バレエ団の ジョン・ノイマイアー

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一昨年 真夏の夜の夢で 書き手の度肝を抜いてくれた巨匠は
どんな演出を見せてくれるのでしょう? 

ますます 期待度が高まります


で 会場について
パンフレットを購入して席について開演を待っていたら

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糖尿病専門医さんが 
これ あらすじを読んでいた方が良いかもよ 
と パンフレットを読みながら アドバイスしてくれました

バレエの演出でも 椿姫のストーリーそのものは 変わらないのだろう
と思っていたのですが


ところがなんと ノイマイアーさん
大胆な仕掛けを施しておられるのですよ!


オペラの椿姫は 華やかな舞踏会のシーンで幕を開けますが

このバレエは ヒロインの高級娼婦・マルグリットが亡くなったあと
彼女のアパートで遺品がオークションにかけられる場面から始まります


そして プロローグのあとに繰り広げられる舞台は
そのあと全て ショパンの音楽で彩られます

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オケなしのピアノだけで 全てが支えられる幕もあり
舞台の上でピアノが演奏されるシーンもあって
それだけで オペラの椿姫とは 全く異なる世界が繰り広げられます


ピアノ・ソナタ3番 第3楽章 ラルゴ
ピアノ協奏曲2番
華麗なる円舞曲 第1番 第3番
24の前奏曲 17番 15番・雨だれ 24番
ポロネーズ作品22

いずれも 耳慣れしているショパンの曲なのですが
ノイマイアーさんが紡ぎ出すバレエの世界に まさにぴったりで


しかも ショパン・フェチの糖尿病専門医さんをして

今まで慣れ親しんできたショパンの同じ作品とは思えない 

と言わしめるほどの 劇的な効果があるのですよ


ノイマイアーさんご自身が プログラムノートで語られていましたが

彼はこのバレエの構想を頭のなかで思い浮かべていたときに
ショパンの音楽が流れてきて

その調べに沿って
彼の頭のなかで混沌としていた直観的なイメージが
すんなりときれいに整理整頓され
舞台の流れが あっという間に出来上がってしまったそうで

うーん そういうことが 芸術家の頭の中では 起こり得るのですね!


びっくりしたし 感動したし
そんな経験が出来るなんて 羨ましいと思いました

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ノイマイアーさんは ショパンのことを

時代をどのように感じ取るかという点において共感するし
彼の音楽的感受性は
自分がバレエの振り付けを行うときの音楽に対する感受性と同じだ

と語っています


再度 うーん 凡人にはうかがい知れない世界ですね

羨ましい、、、


でも びっくりするような羨ましいことは もっと続くのです(笑) 


2018.02.05更新

イギリスの そして世界の文学史上に燦然と輝く ルイス・キャロルの名作

背伸びして格好をつけていた高校生の頃
書き手は 対訳版の Alice’s adventures in wonderland を片手に

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その軽快なパロデイやナンセンスな言葉遊びを
さも原語で楽しんでいるかのように振る舞っていましたが
(なんて気障な奴!:苦笑)

本当は 何も理解できていなかったのですよ!(笑)


だって 英語のパロデイが解らないのはもちろんだけれど

日本語訳を読んでも
なんだかよくわからないストーリーなのだもの!(再笑)

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それでも アリスの物語には 何か惹きつけられる魅力がありました

だから 2年程前に
イギリスのロイヤルハウスバレエの日本公演で
演目にアリスを持ってきたときに

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これは見てみたい! と思って チケットの抽選に挑んだのですが
あえなく ハズレ!(苦笑)


でも そのリベンジを果すチャンスが 遂にやってきました!

先日 真夏の夜の夢 を楽しんだ
ロイヤルオペラバレエのシネマシリーズ
なんと 不思議の国のアリス を上映するのですよ!

しかも 2017年 今年10月の シーズン開幕日の公演の録画です

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しっかり発売開始日にチケットをオンライン購入して
お馴染みになったコレド室町の映画館に足を運びました

さすがに 人気演目のアリスだけあって
いつもより観客は多めで しかも若い女性が多く
しかも ポップコーンを手にした人が少ない!

書き手は ちょっと照れながら 
でも しっかりとポップコーンをつまんでいましたよ(笑)

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さて 前述したように このお話の魅力は
奇想天外なストーリーと ウイットに富んだ言葉遊びですが

バレエは ご承知のように セリフを発しないマイムの世界です

はたして バレエで
アリスの世界の魅力を表現することは 可能なのでしょうか?


はい とっても可能でした!

すごく面白かった!


バレエ 音楽 舞台装置

目で見て 耳で聴いた方が
前頭葉で難解なパロデイやナンセンスな言葉遊びを理解しようとするより
ずっと楽かもしれません

考えてみれば 当たり前?(笑)

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アリスが白ウサギを追いかけて ウサギの穴に飛び込んでから
次から次へと経験する 摩訶不思議な世界

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振りつけ師のChristopher と 作曲のJobyは

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ほとんど5分おきに 場面が変わるような勢いで
アリスの世界を 軽快に 華やかに 小気味よく 表現していきます

いやー これは 面白いし 楽しい!

舞台装置も 現代的で 華やかで 美しい!

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バレエのダンスそのものは
クラシックはもちろん しっかりテクニックを見せてくれますが

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コンテンポラリー的な振り付けもあり

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マッドハンターが踊るパートでは なんとタップを踏ませます!

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幕間の解説で
マッドハンターを演じたダンサーがインタビューに答えていましたが
(こういう解説があるのが シネマバージョンの美味しいところ!)

タップは下半身を落とし バレエは逆に下半身を上に上げるので
その連続を繰り返し行うのが 醍醐味であり きついところだそうで

なるほどです!


いちばんの見どころでもある
悪役のハートの女王が踊るシーン

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眠りの森の美女で ヒロインが踊る名場面をイメージしたそうで

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そうか オマージュとパロデイを兼ね備えた演出なのですね!

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しかも 強烈な個性が際立つハートの女王を演じるのは
前回ご紹介した
20年にわたりロイヤルバレエのプリンシパルを務められた
実力者のゼナイダ・ヤノウスキーさん

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そりゃ 舞台が 華やかで 滑稽で しかも美しくなるはずです!


ということで この アリス

原作にあふれる風刺精神を
バレエの舞台の上で しっかりと形を変えて表現しているわけで

まさに 新たなアリスの冒険の世界を 創り出していました!

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これは 観る者は 次から次へとワクワクできて楽しいし
世界中で大人気を博すのも うなずけます


幕間が2回あり 舞台だけで2時間以上
幕間の解説も含めると 全部で3時間を超える長丁場でしたが
全く飽きることなしに 楽しめました!

そして またチャンスがあれば
今度はナマで あの不思議な世界に浸ってみたいと思うのでした!



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