左利き肝臓専門医ブログ

2016.06.27更新

ヤン・リーピンさんのシャングリラの続きですが

元気いっぱいの躍動感あふれる群舞が続いて
面白いけれど ちょっと飽きてきたかな と思い始めた頃に

遂に ヤン・リーピンさんの 月光のソロダンスが始まります

巧みな舞台構成です!


初めて拝見する ヤンさんのダンスですが

バックの丸い月光に 全身の姿が影絵のように映し出され
とても美しくて 幻想的です

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印象的なのが 彼女の指使い

インドネシアやマレーシアで観た 女性が踊る民族舞踊では
手の指を反らして踊る表現が特徴的ですが

ヤンさんのダンスでは
指はむしろ 伸ばしたり 軽く曲げたりして表現しているのが
とても斬新で 惹きつけられます


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また 両腕を背中の方にそらす姿も 目新しくて気になります

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そして 動きがとても静的なのですよ

基本的に体幹は固定していて あまり動かさず

主に両腕 ときに下肢を ゆっくりと ときに素早く動かすのですが
こうした動きはバレエなどでは見慣れないので とても印象深い


このダンスは 女性の愛らしさややわらかさを表現するだけでなく
神秘性や気高さの表現をも追及したもので

ヤンさんは この踊りについて
「女性は月光のように 有形であり 無形なのです」
とても哲学的なコメントをされていますが

うーん わかるような わからないような?(苦笑)

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エピローグの 孔雀の精霊の舞 
タイ族という民族が 太陽の化身と崇める孔雀を描いた踊りで

もともとは男性が踊る演目だったものを ヤンさんがアレンジして
孔雀が象徴する神聖で安らかな世界への憧れと祈りを
踊りに込めたそうです


このダンスも 指の細やかな動きや体全体の動きで 
孔雀の優雅さを表現していて とても印象的でしたが

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衣装の孔雀の羽の模様の部分に ネオンカラーで装飾が施されていて
それがライトアップされて とてもきれいに輝いて 目を奪う美しさでした

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シルエットのように見えた月光の舞と異なり 
この踊りでは ヤンさんはライトアップされていましたが
背中の筋肉などは バレリーナのように引き締まって鍛えられていました

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きっと日頃のトレーニングは 厳しいのでしょうね


カーテンコールでは 客席からの写真撮影が許可されていたので
こんな感じです

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ヤンさんは 長い時間をかけて 雲南省にある小さな部落をこまめに回り
継承されているオリジナルな舞踏をハンティングするとともに

才能ある若い踊り手たちをスカウトして
自らのチームに加えていっているとか


彼女が故郷の雲南省にこだわって
こうした地道な活動を継続していく理由は

近年の中国の急速な経済発展にともなって
地方の伝統文化が失われていく危機感を持ったからだそうで

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そうした活動はホントに大切なことだと思い 感心しました


日本の地方の伝統文化や芸能だって 似たような状況にあると思います
決して他人事ではありませんね


いやー それにしても
確かにヤンさんのダンスは美しかったけれど
全体を通して言えば パワフルでエネルギッシュな印象が強かった

生きていくことの力強さのようなものを 妙に感じた公演でした

なんだかこういうのは久し振りで 刺激的で良かったです(笑)



2016.06.24更新

以前 どこかで このポスターを目にしたことがあり
一体何のポスターなのかな? と なんとなく気になっていました

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で 企画展を見に行ったBUNKAMURAで
再度 このポスターに出会い やっとわかりました

ヤン・リーピン の シャングリラ

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はい 確かに名前を聞いたことがあります

でも 具体的に何をやっている人なのか わからないので
チラシをとって見てみたら

中国の民族舞踊の踊り手なのですね


この満月の月光を背景に
鳥のような姿に身体をくねらせているポーズは 
とても気になります

それから チラシの裏の群舞の写真を見ると
コスチュームがとても色鮮やかで美しい!

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しかも このシャングリラという演目を 
彼女が演じるのはこれが最後ということなので

これは観ておかねばと思い チケットを購入しました


初めてのヤン・リーピンの公演

例によって 開演前のロビーの客層チェックですが
意外なことに おばさんグループが多い!

もっと男性や若い人が多いのかと予想していたので びっくりでした
どうしてなのかな? 謎です(笑)


プログラムを購入して 舞台が始まる前に予習しましたが

中国の雲南省周辺の地域に在住しているさまざまな少数民族の
伝統的な民族舞踊をアレンジした構成のようです


そして シャングリラとは 雲南省の理想郷のイメージとか

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雲南省 

全くイメージがなかったのですが 中国南西部の端っこで
タイ ベトナム ラオス ミャンマーなどの国々や
チベット自治区と接する地域
なのですね


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ヤンさんご自身も この地方の
大理という自治州に住むペー族という少数民族のご出身だそうです

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こういうところは 辺縁部なので
さまざまな文化や伝統を持つ多くの民族の交わりがあって
まるでカオスのような雰囲気があって面白そうです

なんとなく 期待が持てます



舞台は プロローグの混沌初期から始まり
太陽 大地 家園 巡礼 と進み
エピローグの孔雀の精霊で終わります


火 太陽 月光 収穫 雨乞い 神聖な動物である虎
といった 農耕民族の生活にまつわる いかにもプリミティブな事柄が 
踊りのテーマとしてとりあげられ

音楽は 太鼓やシンバルといった シンプルな打楽器のみで
それにコーラスが絡みます

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このコーラスがとても印象的で
女性のみで しかも 音色はかん高くて不協和音

昔 ブルガリアンボイスという
ブルガリアの女性コーラスが流行しましたが
それにとてもよく似た響きです

うーん これは 耳に残ります(笑)


ブルガリアンボイスも ブルガリアの伝承民謡でしたが
古くからある民族音楽には 
東西の文化の垣根を越えた共通性があるのでしょうか?


また 衣装が 原色を多用したとてもカラフルなもので 
その鮮やかさには びっくりしました

それに 男性は身につけているのは腰巻だけで
上半身は裸で踊ることが多いのですが

とてもカラフルなボディペインティングが施されていて
そこには鮮やかさというより 力強さを感じました

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さらに 全体的に躍動感に満ち溢れていて とても元気が良い

まあ 農村の収穫を祝う踊りだったりするので
力強くてエネルギッシュなのはむべなるかな とも思いますが

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ちょっと元気が良すぎて もう少ししっとりした雰囲気もほしいなあ
と 感じ始めたところに

ヤン・リーピンさんの 月光のソロダンスが始まります

はい よくできたプログラム構成です(笑)


ヤンさんのダンスの感想は 後篇に詳しく書くことにして
それ以外で印象に残ったことは


女人国というタイトルの 女性賛歌の内容の踊りがあって

男のそばに女性がいなければ 男はすぐに病に倒れる
太陽も月も休むことがあるけれど 女性は決して休まない

といった内容の詩が朗読されて

プリミティブな農耕文化では
やはり女性が崇め奉られるものなのだなと
妙に納得しました


但し 実はこのダンス

女性の力強さ たくましさを表現するために
メインダンサーは女性でしたが それ以外は男性が踊っていたとのこと

お恥ずかしいことに
書き手は 観ているときはそのことに気がつきませんでした(苦笑)

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エピローグ直前の 聖地巡礼をテーマにした踊りも 印象的でした

ご察しのとおり これはチベット仏教を信仰する少数民族の踊りで

敬虔な信者が聖地巡礼の際に行う五体投地が 舞台の上で行われ
読経の際に使われる お経が書かれた回転する円筒形の道具の
巨大なオブジェが舞台に現れたりして

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おー チベット仏教の世界だ~ と 感心して観ていました


つづく



2016.06.06更新

先週のロミオとジュリエットから
シェークスピアでつながる話題を展開しますが

生まれて初めて観たシェークスピア劇は

RSCの来日公演の「真夏の世の夢」でした

確か演出は ピーター・ブルック だったかな?

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小学生の高学年か中学生だったと思いますが

いやー すごく感動しました! こんな世界があるのか と思った


初めて聴くメンデルスゾーンの音楽にも とても惹かれましたが

何といっても いちばんインパクトがあったのは
舞台をかき回す役目を演じた 妖精パックの存在でした

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目覚めていちばん最初に会った人に 一目惚れさせてしまう

そんな厄介な作用も持つ媚薬を
いたずら半分に 色々な人に振り掛けて
世の恋模様を複雑にして その騒ぎを見て楽しんでいる

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まさに トリックスターの典型ともいえるパックは
ませたガキの心を しっかりととらえてしまったのですよ


当時はトリックスターなどという言葉は知りませんでしたが

それ以来 
世間の秩序を破り 世の中をひっかきまわす
いたずら者のトリックスター的存在に 
憧れに近い気持ちを持ってたかな?

なんて いやらしいガキでしょう!(苦笑)



ということで 真夏の夜の夢は 書き手のお気に入りなので

ハンブルグ・バレエ団の来日公演の演目に
真夏の夜の夢があるのを知って 観に行くことにしました

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バレエの真夏の夜の夢を観るのは初めてですが

ロミオとジュリエットのバレエを観て感じたような
シェークスピアの戯曲をバレエ化することの違和感があるかなと
一抹の不安は感じていました


で その不安は 当たったような 当たらぬような、、、


パックや 妖精の王オベロン 女王タイターニアが活躍する森の場面では
舞台装置が思い切り現代風なデザインに変わり 

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なんと音楽も メンデルスゾーンでなく
リゲティ・ジェルジュという作曲家の 現代音楽に変わるのですよ

しかもこの音楽が 意外に耳触りがよくなくて

さらに 妖精役のダンサー達の踊り方がとても現代風で
なんだか 昔流行ったインベーダーゲームの画面を見ているようでした

確かに 妖精の世界の特異な世界観は よく伝わってくるのですが
どうも居心地が悪いというか

パックがいたずらして回る楽しい世界という雰囲気が伝わってこない

妖精の世界のネガティブな面が 強調されすぎるような気がしました


ただ これが観ているうちに徐々に慣れてきて
段々と違和感がなくなり むしろ美しさが伝わってくるようになってきます

これは意外で びっくりしました


そして 現実の世界に戻り

ハッピーエンドの大団円の舞踏会を 儀典長として仕切ったのが
実は妖精のパックだったことが判明し 

最後に彼が いたずらっぽく 例の媚薬を観客に見せびらかして去り

いったん幕が下りたあとに 再び幕が上がり

現実の世界で婚約したアテネ公爵シーシアスとヒッポリータの
幸せな様子を 清楚な踊りで表現したふたりのダンサーが

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妖精の世界で 王と女王として妖艶なデュエットを踊り 

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最後の幕が下ります


この構成には 惹きこまれましたね!

観終わると 最初はネガティブな印象があった妖精の世界が
むしろこのバレエのハイライトのように感じられました


これはまさに 演出の力でしょう

ハンブルグ・バレエ団を率いる演出家兼舞台監督は ジョン・ノイマイヤー

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書き手は勉強不足で知りませんでしたが
ノイマイヤーさんは 斯界に名を轟かせる有名な演出家さんだそうで
日本にも熱烈なファンが多いそうです 

どうりで 終演後はお客さんが総立ちのスタンディングオベーションで
あれだけすごいスタンディングオベーションは久々に見ました


家に戻ってプログラムを読むと
ノイマイヤーさんが語っていたので印象的だったのは

原作の戯曲の世界を 忠実にバレエに再現しようとは思っていない
バレエを観た人の想像力に訴えかけるような世界にしたい

ということと

現実の世界と妖精の世界 意識と無意識の世界は 
密接につながっていることを 観る人にアピールしたい

ということ

なんだか お能の世界観のようで とても興味深いです


マリンスキーやボリショイのような正統的なバレエも美しいですが

こういう凝った演出の 深読みを要求されるバレエも 
たまには悪くないと思いましたよ


それにしても あの現代音楽 耳に残ります、、、(苦笑)



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