左利き肝臓専門医ブログ

2018.04.23更新

もう1ヶ月ほど前のことになりますが
3月17日は アイルランドにキリスト教を伝導した聖パトリックを祝う日

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アイルランドでは 国を挙げてのお祭り騒ぎの日でした

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そんな日に行われたのが
ラグビー Six nations の最終節の イングランド vs アイルラン ド戦

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イングランドが 3連覇をかけて挑んだ今年のSix nationsでしたが

なんと3戦目でスコットランドに敗れ
さらに翌週は フランスにも敗れてしまいます


一方 昨年のSix nationsの最終戦で
イングランドの19連勝を止めたアイルランドが順調に勝ち星を重ね
最終節を待たずに優勝を決めていました

ちなみに オールブラックスの19連勝を止めたのも
アイルランドでした

アイルランド 侮れません

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そんなアイルランドは 全勝のグランドスラムを目指して
イングランドの本拠地である ラグビーの聖地トゥイッケナムに乗り込みました

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そして なんと 聖パトリックの夜に
24-15でイングランドを倒して グランドスラムを達成!

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アイルランドカラーのグリーンのジャージの選手たちは
喜びを爆発させていました!

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きっとアイルランドの首都ダブリンでは 
街のパブから ギネスがなくなったことでしょう(笑)

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この試合 アイルランドのしぶとさと イングランドのもろさが 目立ちました

アイルランドの攻めには 派手さはないのですが
ボールを手にすると 着実につないで攻撃のフェーズを重ねていきます
絶対にボールを失わず 最後はしっかりとトライに結びつける

そして 防御も固くて 相手の連続攻撃を許さない

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一方のイングランドは
おそらく個々のタレントや層の厚さでは アイルランドを上回るのでしょうが
要所での反則が目立ちます

攻め込んでのラックでの ノットリリースザボール(ボールを離さない)とか
ゴールラインを背にした守りでの 危険なハイタックル(首に手をかける)とか

自分たちの実力を上手く発揮できず 反則で自滅していく感じでした


終わってみれば 3連敗で なんと想定外の5位の沈んでしまい

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試合終了後 イングランドの選手たちは さすがに落胆していましたね

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一方 昨年に続きイングランドを撃破し グランドスラムを成し遂げた
アイルランドのヘッドコーチ ジョー・シュミットさんは
記者会見で 驕り高ぶるわけでもなく淡々と勝利の弁を語っていました

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シュミットさん 実はニュージーランドのご出身で
来年のワールドカップ後には アイルランドを離れてNZの戻る予定とか

エデイさんと並んで その手腕が大きく注目されています


ということで ミーハーな書き手は
早速ネット販売で見つけた
アイルランド優勝記念Tシャツを買ってしまいましたよ!(苦笑)

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来年のワールドカップでは 日本チームはこのアイルランドと
予選リーグで戦わなければなりません

なかなかの強敵 どう対処するのでしょうか?


ということで
来年の日本開催ワールドカップまで そろそろ1年となりましたが

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個人的には やはりNZのオールブラックスを応援です!

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Six nationsは存分に楽しめて
昨年 日本相手にふがいない試合をしたフランス
イングランドを破って見事に復活しましたし
なかなか面白かったのですが

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やはり北半球のラグビーには
オールブラックスが見せるような 
ワクワクするような美しい連続した流れがない


セットプレーを中心にして ガツガツと体であたっていく武骨な感じで
華麗な連続攻撃を目にすることは 滅多にありません

そこが どうも物足りない、、、


ということで はたして来年のワールドカップは どうなるのでしょう?

エデイさん率いるイングランドも
しっかり軌道修正して巻き返してくるのか?

今から楽しみです!

 

2018.04.16更新

ラグビー Six nations は 北半球の王座決定戦で

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イングランド アイルランド スコットランド ウエールズ
フランス イタリア

の6か国が
ほぼ毎週末に対戦して 北半球のラグビー王者を決定する大会です

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普段は大英帝国でひとつになっていますが
ラグビーになると
イングランドも スコットランドも ウエールズも 別チームとして戦います

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左上の赤のクロスが イングランドのオリジナルの国旗

ここに 左列2番目のスコットランドの国旗
アイルランドのオリジナルの国旗だった赤斜めクロスが
それぞれ重ねられて 現在のユニオンフラッグが出来上がりました

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イングランドの歴史は複雑ですが そこが面白い(笑)


さて Six nations ですが
昨年まで イングランドが2連覇中で 今年は3連覇を狙っていました

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イングランドラグビー協会のシンボルは バラの花

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(ちなみに 日本協会のシンボルは 桜の花です)

で ヘッドコーチとキャプテンが
優勝カップとともに 記念写真におさまっていますが

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このヘッドコーチの姿を見て あれ? と思った方は
なかなかのラグビー通ですね(笑)


そう 2015年のラグビーワールドカップで
日本が強豪南アフリカを破るという大金星を上げたときに
日本チームを率いていた名将 エデイ・ジョーンズさんです

ワールドカップ後
一時 南アフリカの強豪チームのコーチに招かれていましたが
なんと その後 電撃的にイングランドのヘッドコーチに就任したのです

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当時のイングランドは
2015年ワールドカップ 自国開催であったにもかかわらず
なんと 予選リーグで敗退してしまい
ラグビーの母国のプライドを 完全に失っている状態でした

そこで カンフル剤のように
エデイさんを監督に登用したわけですが


さすが 名将 エデイさん

予選リーグ敗退のショックに打ちひしがれていたイングランドチームを
意識改革させることにより 見事に復活させ

さらに有能な新人を発掘したりして

短期間で 連戦連勝のチームに立て直したのです

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そして2016年のSix nationsで 見事に優勝

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その後も チームは勝利を続けて
昨年のSix nationsでは連覇するとともに
他国の代表チームとの試合であるテストマッチも連戦連勝

NZ オールブラックスが有するテストマッチ18連勝の記録に並び

南半球の王者 オールブラックス に対して
北半球の王者 イングランド

という 確固たる地位を築き上げました

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両者の対戦は しばらくありませんが

来年2019年に日本で開催されるワールドカップでは
オールブラックスとイングランドが
決勝で世界一をかけて対戦するのではないか?

ラグビーファンの間では そんな話題で持ちきりになっていました


そして 今年のSix nations


エデイさんは 

ヨーロッパの各チームをハンテイングする!

と 勇ましいキャッチフレーズを掲げて挑みましたが

はたして どうなったのでしょう?


 

2018.04.13更新

NHK・eテレで放送していた 弦楽四重奏の特集番組

最初に登場したアルデッテイ・カルテット
再びインタビューで 

なぜ そこまで現代音楽に固執するか 問われると

リーダーのアルディッテイさんは

ピュアでシンプルだから と まさにシンプルに答えます

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フォローするように チェロのルーカスさんが こう語ります

弦楽四重奏は 基本的には伝統的で古典的なものだが
20世紀後半からの作曲家は 新たな未知の表現を求めるようになり
彼等が作る弦楽四重奏曲では
演奏家と聴衆の間に 独特の緊張感を生み出されるようになった

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なるほど 書き手が聴きながら感じていた
姿勢を正さなければというニュアンスは まさにその緊張感だったのですね

納得です!(笑)


確かに現代音楽作曲家は 作品に深みを出したがるが故に
曲が難解になりがちだけれど
現代音楽は特別なものではないし 我々が生きている時代の一部なのだから
もっと興味を持たれていいのではないかな?

と ルーカスさんは まとめていましたが


うーん 確かに 現代音楽は
ちょっと近寄りがたいというか 馴染みにくいところもあります(苦笑)

書き手も 若い頃は嫌いではなかったのですけれどね(再苦笑)

その“緊張感”は 確かに惹きこまれる部分ではあるのですが
ちょっと しんどい気がしないでもないのが 正直なところで(再々苦笑)

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彼等は最後に 日本人の細川俊男さんが作曲された
沈黙の花 を演奏しました

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間のとり方や音色が まさに日本的で
まるで雅楽を聞いているような気すらしましたが

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彼等は 

この曲は間違いなく日本の伝統音楽の影響を受けていると感じ
こうした曲を西洋の弦楽四重奏が演奏するのは
異なる文化の重なり合いを具現していることにほかならず
独特の緊張感が生まれて面白い 

と語っていました

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うーん やっぱり 緊張感なのですね、、、



2時間にわたった番組の後半には エマーソン・カルテットが登場し
伝統的で古典的な弦楽四重奏曲が演奏されました

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ハイドンが基礎を作った弦楽四重奏曲に

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歌を加えたとされる モーツアルトの弦楽四重奏曲15番

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祈りを加えたとされる ベートーベンの弦楽四重奏曲11番

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はやり 安心して聴けるというか 穏やかな気持ちになります

緊張感は 感じないけど(笑)


アルゲッテイと比べて エマーソンの4人組は

演奏しているときの目線を交わしてのコミュニュケーションが
より頻繁で しかも柔和な感じがしました

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それに 作曲家が曲を作った時に抱いていたであろう感情も
喜怒哀楽が容易に想像できて わかりやすいように思いました

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現代音楽では
聴きながら作曲家が何を訴えたいのか必死に探らなければならないのと
まさに好対照です(笑)



同じ弦楽四重奏の形式をとりながら

前衛的な現代音楽を得意とするアルデッテイ・カルテット
伝統的な古典音楽を奏でるエマーソン・カルテット

対照的なふたつのグループの演奏の聴き比べは とても面白かったのですが

うーん 現代音楽 もう少し勉強しようか 聴き込んでみようか
正直 迷うところですね(笑)



で ふたつのグループが演奏する姿や インタビューでの受け答えを見ていて
ちょっと気になったのですが

弦楽四重奏におけるチェロの役割って どんな位置付け 役割なのかな?

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興味があります!



2018.04.09更新

それは 音楽の最も精神的な形をとったもので
精神が音楽の形をとった 精神とそれらの究極の姿である

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かの吉田秀和さんが そう評されたのが 弦楽四重奏

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NHK・eテレのクラシック音楽館で放送していた
弦楽四重奏の特集番組の冒頭で いきなり こうした言葉が引用されて

さらに

きしむ弦 交錯する視線 共鳴する魂  そして 究極の対話

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こんなものものしいキャッチコピーがナレーションされるのですよ


えーっ 弦楽四重奏って
個人的には サロンで優雅に楽しむイメージなのですが

そんな おどろおどろしい言葉で形容されるものなの?(笑

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で 登場してきたの アルディッテイ・カルテット

お好きな方は 文頭のつかみの流れから
この4人組の登場を予期されたかもしれませんが

不勉強の書き手は 皆さん はじめまして! です(苦笑)

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そして いきなり演奏が始まったのが バルトークの弦楽四重奏曲3番

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確かに 4人の掛け合い 対話 共鳴 という雰囲気は
ひしひしと伝わります

でも なんというか 姿勢を正さなければ という気もしてくる
リラックスして楽しむ という感じでないかな、、、

でも 徐々に4人が奏でる世界に惹きこまれていくのですよ


ただ 癇に障る というか 不協和音のように聴こえる部分も出てきて
書き手は それはそれでいいかもと 更に深みにはまりそうになりますが

一緒に見聞きしていた糖尿病専門医さんは この時点で
どうもバルトークは苦手だなあと 席を立たれてしまいました(笑)


アルデッテイ・カルテットは
現代音楽のエキスパートの弦楽四重奏団で
その圧倒的な表現力と超絶技巧は 世界的に高く評価されているそうです


バルトークの曲が終わったあとに 彼等のインタビューが入ります

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弦楽器は さまざまな音を奏でるのに適していて
ビヴラートの使い方で 多様な音を生むことが出来る

だから弦楽四重奏では 曲をどのように表現するかは 演奏家次第
作曲家の楽譜を忠実にコピーするわけではない自由さがある

現代音楽では 作曲家をリハーサルに招いて
作曲家と演奏家が共同で 作品を解釈し 理想を追求していくことができる

これは 作曲家が生存していない古典音楽では経験できないことで
古典音楽は 慣習を追い求めるものだが
現代音楽は 現在進行形で伝統を築いていくものだ

だからこそ 我々は現代音楽にこだわりたい


彼等は そんな風に語ります

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聞くところによると アルデッテイ・カルテットは
難解とされる前衛的な現代音楽の曲に敢えて挑戦することが多いそうで
なるほど そういうスタンスだからかと 納得しました


そして ハンガリーの現代音楽家・リゲティの弦楽四重奏曲 第2番

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現代音楽ねえ

書き手も若い頃は嫌いではありませんでしたが
正直言って 最近は 少し耳障りが悪く感じることも増えてきて
歳はとりたくない?(苦笑)

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長くなりそうなので 次回に続きます

 

 

2018.03.23更新

世界の名だたるバレエ学校の現役生徒たちの競演

そんな面白い企画を楽しんできました

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企画されたのは あの 熊川哲也さん

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不勉強な書き手は
熊川さんの踊りや監督された舞台を拝見したことはないのですが
この企画には興味を持ちました


熊川さんがこの催しを主宰された意図は

ご自分が若き頃の
バレエを学ぶなら外国でなければダメ という時代と異なり

今では日本のバレエ学校も実力をつけてきたし
外国で学んだあとに日本のバレエ団を選択して活躍する人も増えてきた

外国も日本も 本物しか残らない時代

そんな時代だからこそ 敢えて 出来上がったダンサーでなく
日々 バレエ学校で切磋琢磨している世界の若者たちを一堂に集めて
その様子を 日本の若者に見てもらって
世界レベルでの自分の位置を確認してもらいたい

ということのようです


どうりで 会場には若い人たちがとても多い

20歳以下を対象にした 各バレエ学校のオーデイションも行われるそうで
なかなか面白い企画です


でも そうしたことを望むべくもないオヤジの楽しみはというと

原石探し でしょうか?(苦笑)

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これからスターダムに昇りつめていく可能性がある若者の見定め?
うーん ホントにオヤジ臭いですね(再苦笑)


ちなみに 席は 2階 2列 22番

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図らずも ネコ好きの専用席?(笑)


で 参加された世界のバレエ学校は

*ロシアの ワガノア・バレエ・アカデミー
*ウイーン国立歌劇場バレエ学校
*カナダ国立バレエ学校
*ドイツの ハンブルグ・バレエ学校
*オランダの ハーグ王立コンセルヴァトワール
*オーストラリアン・バレエ・スクール


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フランスやイギリスの学校がないのは ちょっと寂しいかな?


それぞれの学校では 小さい子供から 10代後半の若者まで
さまざまな年代のクラスがあって バレエ教育を深めているのですね

そういえば 日本でも 町中のバレエ教室は よく見かけます

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で 前後半1時間ずつ 各学校の選りすぐりの生徒さんたちが
それぞれオリジナルの演目で 日々の鍛錬の成果を披露されたのですが

さすがに若い学生さんたちだけあって
普段見るプロのダンサーさんたちが作る世界とは
ちょっと異なります(笑)


個々人の技術はしっかりされているのでしょうが
まあ 間違いなく踊ることに一生懸命で なかなか余裕は見せられませんね

それから 群舞になると 仲間との距離感のとり方が上手くいかず
舞台全体の統一感が無くなってしまう

自分の踊りに一生懸命で そこまで気が回らないのでしょうか?


そんななか 凄かったのが ワガノア

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さすが1738年創立の ロシアの名門だけあります!
なんと 入学の競争率は65倍を超えるそうな!

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4人の女性が踊る フローラの目覚め は 美しいの一言!

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もう いつでもデビューOKです! という感じで びっくりしました

こういうのを 栴檀は双葉より芳し と言うのでしょうか?

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でも そんな素晴らしかった彼女達をしても
別の演目では 決めのポーズでちょっとこけちゃったりして
図らずも若さを見せてくれたのは ご愛敬?(笑)



プログラムには 各国のダンス事情の解説が記載されていましたが

ロシアのバレエは 18世紀になってから始まったので
ルネサンスから始まった フランス イタリア デンマークのバレエの
後塵を拝しましたが

逆に 先行する各国のバレエをよく検討して 良いとこどり をしたので
古典作品を最高に見せるメソッド・スタイルが確立できたそうです

なるほどね

確かに ロシアの古典バレエは美しいし 観ていて安心感があります

歌舞伎のような 伝統芸能的な感じかな?



一方で ノイマイアーさんが率いる
ハンブルグ・バレエ学校の舞台も 印象に残りました

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最近 ノイマイアー教に はまりつつありますからねぇ(苦笑)

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とにかく 彼のコンテンポラリー的な統一されたスタイルとともに
心理的 情緒的な表現を行おうというスタンスを
きちんと各ダンサーが体現しているので
古典を見るのとは異なる意味での 安心感がありました

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オーストラリアの アクティブで身体を強調したダンス
ハーグの 宗教性を感じさせるようなオリジナルな表現も
それぞれ印象に残りました


学校の個性というものは 大きいですよね

指導陣が バレエというものを どのように捉え
それをいかにして若者たちに伝えていこうと試みているか
学生さんたちのダンスに それが見事に表現されているように思いました


今回 観ることができた原石たちが
この後 どんなに輝いていくか 楽しみです

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ちゃんと 名前を憶えておかないと!(笑)

 

 

2018.03.19更新

昨年は 一昨年のクラーナハ展のように
これは見に行きたい! と思う企画展がありませんでした

運慶は行きたかったけれど すごい混雑だったようで パス(苦笑)

そのなかで 唯一 食指が動きそうだったのが
東京都美術館で開かれていた テイツィアーノとヴェネツィア派展でした

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でも 開催期間中はなにかと忙しくしていて 残念なことに行く機会を逸した

幸い この展覧会について特集していた
NHK番組の日曜美術館を録画しておいたので
それを見て我慢することにしました(苦笑)


それにしても 番組のタイトルが 欲望の色彩 ですか?

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最近 いろいろな分野で 欲望 がキーワード?(笑)


テイツィアーノは 16世紀のヴェネツィア派を代表する画家ですが

正直言って ヴェネツィア派には馴染みがありませんでした

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あの頃のイタリア絵画というと
どうしてもフィレンツェとかローマが 興味の対象の中心となり
ヴェネツィア派まで守備範囲が広がらない

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というか 日本にはあまりプロパガンダされていない?(笑)


でも NHKさんがいみじくも 
欲望の色彩 というタイトルをつけられたように

フィレンツェが 素描にこだわった  のに対し

ヴェネツィアは 色彩にこだわった


ミケランジェロが テイツィアーノの作品を見て
彩色は良いのに素描がなっていなくてもったいない
と語ったという話もあるぐらいで(ホントかな?:笑)

それくらい フィレンツェとヴェネツィアでは
目指す方向が対照的だったようです


で 個人的にどちらが好みかといえば

天邪鬼な書き手は
素描を重視する正統派・フィレンツェより
感性にうったえかける色彩を重視するヴェネツィア派の方が好みかな


今回の展覧会の目玉作品のひとつが テイツィアーノのフローラ

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20代に描いた彼の出世作ですが 番組のゲストたちが絶賛します

*匂い立つリアリティ 官能美
*内側から色香がにじみ出ている
*可愛らしく品がよく いやらしさがなく 癒しすら感じる
*肌がなまなましくふくよかで さらに透明感がある

確かに魅力のある作品ですが そこまで誉める?(笑)


美術評論家の方たちは

*自分の世界を押し付けず 見る人を楽しませる工夫がある
*視線がはっきりしない 手の動きも曖昧 といった曖昧さが
   立体感を醸し出し 見る人の想像力に訴えかけるリアリティがある

とも 指摘されます

見る人の想像力をくすぐる 大切なことですね


この作品は それ以降 美人画の定番とされ 

その革新的な色使い 奔放な筆使いは 近代絵画の先駆けともされ
ベラスケス ゴヤ ルーベンス そして印象派の画家達に
大きな影響を与えたそうです



また テイツィアーノは
それまで神話のモチーフとして描かれていたヌード画を
よりリアルな身近なものとして描いた先駆者でもあり

彼のヌード画には
ヴェネツィアの成功した商人たちからリクエストが殺到したそうです


書き手は ウルビーノのヴィーナス がお気に入りですが

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円熟期にバチカンの枢機卿からのリクエストで描いたとされる ダナエ

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ギリシア神話に登場する王女ですが
その美貌に目をつけゼウスが 自らを黄金の雨に姿を変え関係を持った
とされていて

この絵は まさに天から降ってくる金貨と交わらんとする瞬間を描いています


快楽に身をゆだねる恍惚とした表情が 生々しくエロテイックで

これに比べると
ウルビーノのヴィーナスなんて修道女程度にしか見えない
などという過激な(?:笑)コメントもされていました

書き手は ウルビーノのヴィーナスの方が好みですが
まだ 大人の世界がわからないお子ちゃま ということ?(笑)


ちなみに ダナエは何枚も描かれていて
最初の頃の作品では 脇に天使がいたのですが

後の作品では 天使の代わりに
降ってくる金貨を袋に入れようとする老婆が描かれています

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人間 歳を重ねると 世の中が良く見えてくるということでしょうか?(笑)



それにしても思ったのですが
以前ご紹介したクラーナハのヌード画とは 全く異なりますね

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両方とも 官能にうったえかけてくるのですが うったえ方の質が異なる

この差は面白いです
イタリアとドイツの自然環境 文化 人々の性格の差によるものでしょうか?

そんなことを考え始めると また色々と楽しめそうですね(笑)

 

 

2018.03.16更新

そこの音は もう少し青っぽくならないかな?

ロマン派のアイドル(?)だったフランツ・リストは 
オーケストラが自分の曲を演奏しているのを聞いて
突然 そのような注文をつけた

という逸話が残っているそうです

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どんな曲の どんな場面で どんな楽器の奏者にリクエストしたのか
ちょっと興味深いですね


パウル・クレー展の思い出を綴っているうちに

それに相前後して
丸の内の三菱一号館美術館で カンディンスキー展
を見たことを思い出しました

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カンディンスキーも 書き手の贔屓の画家さんです

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クレーとカンディンスキーの関係は深く

まだ自分の画風を確立できていなかったクレーが
ミュンヘンで華々しく青騎士運動を立ち上げていたカンディンスキーを訪れ
交流を深めて やがてバウハウスで ともに教鞭をとることになります

クレーの画風には どことなくカンディンスキーの影響があるように感じるのは
気のせいではないかもしれません

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で そのカンディンスキー展ですが
初期の頃の試行錯誤段階にある作品が数多く見れて 面白かったのですが

いちばん興味をひかれた作品は
画面いっぱいに黄色の帯が爆発するように広がる
「印象Ⅲ・コンサート」 でした

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この黄色には 見る者を圧倒する迫力があります

カンディンスキーはシェーンベルグのピアノコンサートを聴きに行き
その調べに感動して 家に帰ってすぐにこの絵画の制作に取り掛かったそうです

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著書 「芸術における精神的なもの」 のなかで

この黄色は 輪郭を飛び出し周囲にその力を撒き散らす作用を持つ と表現し

黄色は 次第に高く吹き鳴らされるトランペットの鋭い音色のように響く

とも語っています


なるほど カンディンスキーにとって
トランペットの音色は黄色だったのですね

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世の中には シナスタシア・共感覚 という感覚があるそうです

ある刺激に対して 通常受ける感覚以外の異なる感覚が無意識に生じることで
文字を見て色を感じたり 形に触れて味を感じたり

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なかでも一番多いのが
音を聴いて色を感じる色聴と呼ばれる共感覚 だそうです

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文頭に記したように
リストがオーケストラに「その音をもっと青く!」とリクエストしたり
カンディンスキーがシェーンベルグのトランペットの音色に黄色を感じたり

そういうのも 広義の色聴感覚に含まれるのでしょう

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絶対音感を有する人は 色聴感覚を併せ持つ人が多く
また 高い音ほど明るい色に聴こえる(?)傾向があるそうです


また その逆で 色や形を見て音を感じる音視という共感覚もあるとのこと

薔薇の花を見たら どんなメロディーが聞こえてくるのでしょう?

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幸か不幸か 書き手はシナスタシアのセンスは持ち合わせていませんが
ちょっと世の中が変わって見えていそうで 共感覚がある人が羨ましく感じます


で リストが望んだ青い音はどんな音色だったのでしょう?
青色フェチの書き手としては かなり気になります(笑)


ちなみに シナスタシア

視覚と聴覚だと 鋭敏過ぎてバッテイングするかもしれませんが
視覚と嗅覚だと喧嘩せず むしろ視覚効果を高めるかもしれませんから
絵画と香りのコラボなんて 面白いかも?

でも シナスタシアの大きな特徴のひとつは 共通性がないことだそうで

美術館で万人受けするBGMや香りをみつけるのは 難しいかもしれません

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それにしても 凡才な書き手としては
シナスタシアを感じられる方がうらやましいです



で 最後にカンディンスキーの作品に話を戻しますが

書き手は個人的には
彼が若き日にミュンヘンの青騎士グループで活躍していた頃の作品より

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後年 バウハウスで教えていた頃の作品の方が

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より洗練された感じがして なんとなく好みです

いやはや(苦笑)



2018.03.05更新

凄いタイトルに魅かれて
思わずここに訪ねてこられた読み手の方 おられますか?(笑)

島田雅彦さんが書かれた 深読み日本文学 という新書を読みました

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島田さんの文学作品は 未だ読んだことはないのですが(ゴメンナサイ!)

いつぞやご紹介した 谷崎の春琴抄にまつわる番組
(最近 再放送されていましたよ! リクエストが多いのかな?:笑)

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いろいろなところでのコメントのユニークさで
島田さんには興味があったので おもわず買ってしまいました


日本文学史を

*色好みの日本人 源氏物語

*ヘタレの愉楽 西鶴と近松

*恐るべき漱石

*俗語革命 樋口一葉

*ボロ負けのあとで 太宰治 坂口安吾

*現代文学の背景 世代 経済 階級

*テクノロジーと文学

といった とてもキャッチーで魅力的な切り口で語るのですが


そのなかの白眉の1章が エロス全開 スケベの栄光

もちろん 谷崎文学の賞賛です!(笑)

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かの番組でも 島田さんは礼賛されていましたが

*源氏以来の伝統がある 日本固有の文化でもある“色好み”を
 20世紀に見事に再現して見せた

*西洋近代の性にまつわる最新の科学的・文学的知見を
 自分の変態性 日本文化の色好みの伝統を うまく調和させて
 世界文学にまで育て上げた

*世間から嘲笑されようとも 侮蔑されようとも
 確固たる意志を持ち 愚行とも思えかねない色好みをエスカレートさせ
 戦時中の軍部の圧力にも屈しなかった

*視覚のみならず
 嗅覚や触覚といった 言語化しづらい五感の表現を 敢えて駆使して
 圧倒的なスケベの描写を極めた

*近代以前の文学の伝統でもあった 口承文学
 声に出して言葉を読む音読の重要さを 再認識させた

などと 賞賛の限りを尽くします(笑)

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そして 谷崎文学の良き読者になるためには

*根っからのスケベであること

*既成の道徳観に縛られない 人間を愛する寛容さを持つこと

*漱石を好むような  悩める知識人であってはならない

*常に何かを崇拝し続け その対象を節操なくコロコロ変えること

*権力と  一切の関わりを持たないこと

*老いても  なお悟らないこと

といった条件を挙げています

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どうです?
読み手の皆さんは 良き谷崎読者になれそうですか?

書き手はもちろん、、、?(苦笑)


そして最後に

谷崎がもう2~3年長生きしていたら
間違いなく 川端より先に ノーベル文学賞を獲ったであろう
と語ります

谷崎の独特の美の世界は 特にイタリアでの評価が高かったそうで
なるほど! という感じもします(笑)


ちなみに 当時 谷崎 川端 三島の3人が
ノーベル文学賞の候補とされていた理由として

同性愛を積極的に作品世界に取り入れていた点があり
それが世界の文学世界に高く評価されていた可能性があるそうです

宗教の縛りがない日本では 古来からの色好み文化も相俟って
同性愛が堂々たる文学テーマとして取り上げられていて

それが 当時の世界にとっては 先進的なものの見做されたそうです

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そうなんだ~

なんだか ちょっと 面白いですね!


まあ 確かに 漱石も 大江さんも 良いけれど

やっぱり ねえ?(笑)


この島田さんの 日本文学史

谷崎礼賛以外にも 興味ある指摘が随所にあって

*雅 と 野蛮 は 決して矛盾しない概念で
 古来の雅とは 暴力的で破壊的なものも含んだ複雑な美意識であった

*太宰が描く世界は はまると危険でもあるけれど
 絶望は 最初は苦いけれど 噛みしめると結構甘くなることを
 教えてくれる

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*世代交代を推し進めるとき ひとつ前の世代との確執の過程で
 二世代前を ロールモデルや理想とする傾向がある

*文学は経済と連動している
 日本の経済規模 世界経済におけるポジションにより
 書かれる小説の中身が ずいぶん変化してきた

*文化は多様性を失うと衰退するが
 多様性の確保に必要なのは
 歴史に学び それを応用してリニューアルすることである

などといった
文学以外の世界にも関わる事柄についても言及されています

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新書だったので ササッと読めて

なおかつ 谷崎礼賛のみならず(笑)
色々と面白いコンセプトに接することも出来て
読後にお得な気分になりました!


うーん それにしても 最近 文学を読んでいませんねえ

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カズオ・イシグロさんも パスしちゃったし

人生に潤いがなくなっちゃうかな?(苦笑)



2018.02.16更新

ジョン・ノイマイアーさんの バレエ・椿姫

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もうひとつ 驚いたのは
劇中劇というか 劇中にバレエを組込んでくるのです

それも マノン・レスコー

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男を破滅させる妖女・ファム・ファタールのハシリとされる
美少女マノンと 騎士デ・グリューの 激しくも哀しい愛の物語

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オペラの椿姫では 華やかな舞踏会の場面で幕が開きますが

ノイマイアーさんのバレエでは プロローグに続いて

ヒロインのマグリットと 彼女を愛する青年のアルマンが
バレエのマノンを鑑賞する第1幕が展開されます

その後 全てのストーリーを通して
最後に寂しく死んでいくマノンの姿に 椿姫のヒロイン・マルグリットは
自らの姿を重ねるように 愛憎をともないながら見入り

最後のシーンでは
マルグリット・マノン・デ・グリューが一緒に踊るという

現実と幻想が入りまじったシュールな世界が 繰り広げられるのですよ

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こんな 深みがある凝った演出! びっくりしました!


ノイマイアーさんは この演出について

椿姫の原作 デュマの小説が
さまざまな視点から真実を描写する形式をとった 近代的なもので
語りの観点の多層性という点から とても興味深いと考えていて

だからこそ 映画で表現されるような
記憶の光景を変えて フラッシュバックのような手法を用いることが
可能だと思い

そこで マノンを物語に組み入れて
マルグリットの思いに 常にマノンが投影されるような仕組みを考えついた

と 語っておられます

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うひゃー ですよね!(笑)

よくぞ そんなアイデアを思い浮かべることができるものです


そして 

こうした演出を施すことにより
セリフも歌もない ダンスのみによって 物語を語ることが出来る

と 説明します

なるほどです~!


しかも 挿入するのが マノン・レスコー ですよ

大人の世界ですね~(笑)



前回 真夏の夜の夢を見たときに ノイマイアーさんは

原作の戯曲の世界を 忠実にバレエに再現しようとは思っていない
バレエを観た人の想像力に訴えかけるような世界にしたい

現実の世界と妖精の世界 意識と無意識の世界は
密接につながっていることを 観る人にアピールしたい

と語っておられましたが

今回の演出でも そうしたコンセプトが充分に生かされていると感じました


こうしたオリジナリテイーを随所に散りばめることにより
オペラとは完全に差異化された ノイマイアーさんの椿姫の世界は
ホント 見事に観るものを惹きこみました


マルグリットとアルマンがふたりで踊る
ときに情熱的で ときに切なく哀しく ときに痛々しい数々のシーンは
息を呑むような迫力や美しさがあったし

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舞踏会の場面で踊られる群舞のコール・ド・バレエは
オレンジ 青 などの 華やかな衣装の色合いも美しく
群舞も見事で 充分に楽しめました

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カーテンコールは
お約束の 観客全員の スタンディング・オベーション

最後にノイマイアーさんも 舞台に登場して応えられていました


うーん これは
ノイマイアー教に 魅入られてしまうかも?

危ない!(笑)




そうそう プログラムノートの最後で
ノイマイアーさんは こんなことも語っています

アルマンが マルグリットの心をわざと傷つけるために
若い娼婦との親密な関係を見せつける場面こそが
実は最もインパクトのあるシーンであると


マルグリットは傷つき 彼女を傷つけたことを知ったアルマンは
そのあと 狂気のような愛を交わす

ヒトという厄介な生き物の 心の奥に隠れた襞

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いや~ 大人の世界は 奥が深いですね!(笑)



2018.02.12更新

彼は どうやって 料理するのかな?

書き手は 会場に行く道すがら ちょっと楽しみにしていました


昨年末に ソフィア・コッポラ演出のローマ歌劇場オペラで楽しんだ 椿姫

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今度は バレエで同じ演目を楽しみます

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バレエは 踊りとマイムで世界を表現するわけですが

セリフや歌がない世界で 
あの狂おしいまでの愛憎の世界を どう訴えかけるのか?

困難さがともなう分 楽しみでもあります


しかも 演出するのは
ハンブルグ・バレエ団の ジョン・ノイマイアー

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一昨年 真夏の夜の夢で 書き手の度肝を抜いてくれた巨匠は
どんな演出を見せてくれるのでしょう? 

ますます 期待度が高まります


で 会場について
パンフレットを購入して席について開演を待っていたら

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糖尿病専門医さんが 
これ あらすじを読んでいた方が良いかもよ 
と パンフレットを読みながら アドバイスしてくれました

バレエの演出でも 椿姫のストーリーそのものは 変わらないのだろう
と思っていたのですが


ところがなんと ノイマイアーさん
大胆な仕掛けを施しておられるのですよ!


オペラの椿姫は 華やかな舞踏会のシーンで幕を開けますが

このバレエは ヒロインの高級娼婦・マルグリットが亡くなったあと
彼女のアパートで遺品がオークションにかけられる場面から始まります


そして プロローグのあとに繰り広げられる舞台は
そのあと全て ショパンの音楽で彩られます

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オケなしのピアノだけで 全てが支えられる幕もあり
舞台の上でピアノが演奏されるシーンもあって
それだけで オペラの椿姫とは 全く異なる世界が繰り広げられます


ピアノ・ソナタ3番 第3楽章 ラルゴ
ピアノ協奏曲2番
華麗なる円舞曲 第1番 第3番
24の前奏曲 17番 15番・雨だれ 24番
ポロネーズ作品22

いずれも 耳慣れしているショパンの曲なのですが
ノイマイアーさんが紡ぎ出すバレエの世界に まさにぴったりで


しかも ショパン・フェチの糖尿病専門医さんをして

今まで慣れ親しんできたショパンの同じ作品とは思えない 

と言わしめるほどの 劇的な効果があるのですよ


ノイマイアーさんご自身が プログラムノートで語られていましたが

彼はこのバレエの構想を頭のなかで思い浮かべていたときに
ショパンの音楽が流れてきて

その調べに沿って
彼の頭のなかで混沌としていた直観的なイメージが
すんなりときれいに整理整頓され
舞台の流れが あっという間に出来上がってしまったそうで

うーん そういうことが 芸術家の頭の中では 起こり得るのですね!


びっくりしたし 感動したし
そんな経験が出来るなんて 羨ましいと思いました

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ノイマイアーさんは ショパンのことを

時代をどのように感じ取るかという点において共感するし
彼の音楽的感受性は
自分がバレエの振り付けを行うときの音楽に対する感受性と同じだ

と語っています


再度 うーん 凡人にはうかがい知れない世界ですね

羨ましい、、、


でも びっくりするような羨ましいことは もっと続くのです(笑) 


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