左利き肝臓専門医ブログ

2017.09.15更新

パウル・クレーの話を続けますが

彼は 音楽と絵画 の両方に強く惹かれていて
音楽の分野で用いられている ポリフォニー というコンセプトを
絵画にも導入しようとしました

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ポリフォニー って なんだ?

ポリフォニーとは もともとは音楽用語で

全く異なる旋律を歌う複数の声が 同時に進行し
それら複数のパートが互いに影響しあうことによって
協和したひとつの曲を形成する

18世紀に生まれた そのような音楽形式を指します


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中世の教会音楽でよく用いられた技法のようで
教会全体を共鳴させるような響きわたる宗教音楽の音響効果は
ポリフォニーに依るところが大きいと言われています

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この技法のポイントは 

複数の異なる動きの音による構成で
それぞれが勝手に自己主張をしながら
その混沌の中で なにか予定調和的なものを創造する

それが 聞く人の心の琴線にうったえるのかもしれません



さて クレーは

自立した複数の主題が同時に存在するのは 音楽に限ったことではない

と語り


最初は 水彩画で透明な色層を重ねていく画法

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やがて 点描と太い線による区切りを用いて
画面の多声性を構成する画法を駆使することにより

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絵画におけるポリフォニー表現を試みたそうです


前回のブログ
こうした画法により 時間の流れを表現しようとしたのではないか
と推測しましたが

展覧会で購入した本を読むと 彼が表現したかったのは

「時間の流れ」 ではなく 「過去と現在の同時性」 だったようです


なるほどです

経時的な流れの中で立ち止まる のではなく
タイムワープするような感覚 意識を 表現したかったのでしょうか?


そして 絵画におけるポリフォニー表現で最も重要なもの

それこそ まさに色彩!

クレー 奥が深いです!

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もうひとつ忘れてならないのが 運動というコンセプト

ポリフォニーで表現したいことのひとつは
世の流れを表す 運動 なのでしょう



複数の主題の同時多発性と相互作用

全体の流れとしての運動


クレーが表現しようとした このようなコンセプトが妙に気にかかるのは

現代社会や科学の主流である 分析主義的なパラダイムに
行き詰まり感を憶えているからかもしれません


書き手のブログでは
度々 木を見て森を見ず という表現が出てきますが

大学で研究をしていた頃も
いつも 分析主義的なパラダイムには疑問を持っていましたし

今 ブログを書きながら 世の中の色々なことについて考えるときも
それは変わりません


分析的なスタンスや手技は 慣れると意外に簡単で
ある意味で 何の疑問もなくその世界に没頭することが出来ます

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一方で

世の中で起こっているさまざまな事象を
包括的に解析したり 俯瞰的に見ることは
想うのは簡単ですが 実際にはなかなか困難です

だけど それをやらないと 根本的な理解はできないのかもしれない


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クレーの作風を詳しく学んで ふと そんな思いを再認識した次第です


そんなこと AIなら簡単にできるのかな?(笑)



2017.09.11更新

パウル・クレー

書き手が若い頃に彼の作品を見て感銘を受けた ご贔屓な画家のひとりです

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ずいぶん前のことですが
竹橋の国立近代美術館で 大々的なクレーの企画展が開かれ 見に行きました

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国立近代美術館
上野の国立西洋美術館や 六本木の国立新美術館に比べると
落ち着いた感じがして とてもお気に入りです

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週末に午後8時まで開いているときは それほど混んでいないので
のんびりと好みの絵画を鑑賞できて 幸せな気分になれます


で あの時のクレー展は

クレーという画家が いかにして絵画表現を創り上げて行ったかに迫る

という明確なコンセプトが貫かれた構成だったので

今まで知ることがなかった クレーの創作過程の一面を知ることができて
とても印象の残る展覧会でした

キュレーターや編集者の存在意義というのは とても大きいと思います


クレーの作品を特徴づけるのは 線と色

画家の仕事というのは
見えているものを 単に描写することではなく
見えていないものを 描き出すことである

クレーの創作に対する姿勢は
彼が語ったそのひとことで 充分に語り尽くしているでしょう


初期の彼の作品では
線のみによって ものごとの本質を抉りだそうとしていて

そうした作品はとても見事で 観る者の琴線にうったえかけるものがあります

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線の本質を運動ととらえ
線の運動こそが 目に見えないものを描き出すことができるという考えは

とても斬新で とても印象深く感じます

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ただ 線だけでも充分に美しいのですが
やはり世の中 何かにつけて 色もないと、、(苦笑)


線のみでものごとの本質を抉りだす域に達したクレーは

チュニジア旅行で色彩に目覚め
その作風を大きく発展させることになります

クレーの作品を特徴づけているもうひとつの特徴は
やはり美しい色遣いでしょう

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個人的に好きなのは 色の展開というか グラディエーションです

線の本質を運動であると捉えていたクレーは

おそらく
色彩の本質も 運動や展開だと考えていたのではないでしょうか?

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水彩の塗り重ねによってグラディエーションを表現することにより
二次元的で静止した画面構成に
光のうつろいとか 時間の流れとか
そうしたものを表現しようとしていたのではないかなと思っています

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そして そうした「色」の展開による表現をより効果的にするのが
実は出発点の「線」にほかならない

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線だけでは物足りないし 色だけでも表現しきれない
色は大切だけれど それだけではダメだよ

ということで クレーの作品がインスパイアしてくれることは
絵画だけでなく 人の生き方にも共通する 意外に奥が深いものでしょうか?

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ところで こんな作品もあるということは
うーん クレーもネコ派だったのかな?(笑)



2017.09.08更新

非日常のブレイクファスト・ブッフェのあと

毎年 クリスマス・イルミネーションを楽しむこの通りを歩いて
お出かけの本当の目的地に向いました

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さすがに朝だと人通りが少なくて
都心の繁華街の 意外な素顔が見られて面白いです


で 目的地は 隣のビルのココ

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日曜日の朝8時から12時過ぎまで どうやって外で時間を過ごすか?

朝早くから開いているレストランで 非日常の朝ごはんをして
そのあと美術展にでも行こうかと考えたのですが

ちょうどインフォメーションメールで
興味がある映画が 朝9時半からやっていることがわかり

この映画館のそばのレストランを選んで 非日常の朝ごはんとなったわけです


で 見たかった映画は

スパイダーマン? ワンダーウーマン? 関ヶ原?

個人的には あとの2作品にも少し興味はあるのですが(笑)
お連れの方が不機嫌にならないように こちらの映画を選択しました

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英国ロイヤルバレエの

真夏の夜の夢 シンフォニック・ヴァリエーションズ マルグリットとアルマン

の3本立て

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去年のクリスマスには
ボリショイバレエのくるみ割り人形を シネマで見ましたが

最近はNYのメトロポリタンオペラも ロンドンのロイヤルオペラもバレエも
シネマで楽しむことができるのですね


上映期間が限られていますし(1週間 1日1回だけ)
当然のことながら 臨場感はいま一つですが

舞台裏の光景をのぞけたり レポーターの解説が聞けるのは面白い


真夏の夜の夢は 去年 ハンブルグバレエの公演を楽しみましたが

珍しく(苦笑) 書き手も糖尿病専門医さんともにご贔屓な作品ですから
選択に迷いはありませんでした


今回の舞台では 昨年プリンシパルに昇格された
日本人の高田茜さんが ヒロインのテイターニアを舞っておられました

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初めて拝見しましたが スタイルも遜色ないし 表情も豊かで
おー さすがプリンシパル! というオーラが出ていました

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解説の方も 気品とピュアさが踊りに出ていると 誉めておられました


でも この舞台の主役は
個人的には やっぱり トリックスターのパックです(笑)

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ここで 15分間の休憩

ロンドン コベントガーデンにあるロイヤルオペラハウス
こんな雰囲気のようですが

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映画館はこんな感じで 残念ながら華やかなムードは楽しめませんが

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でも 映画館ならではの これが楽しめます!(笑)

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ボリショイ・シネマのときも感じましたが
バレエをみながらポップコーンをつまむのも 妙な雰囲気です(笑


さて 第2幕は コンテンポラリーの シンフォニック・ヴァリエーションズ

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男女3人ずつのダンサーが 20分間舞台に出ずっぱりでずっと踊っているという
ダンサーにとっては苛酷な演目でしたが

妙に緊張感があって キレがあり躍動感がある踊りに引き込まれました



そして再度15分間の休憩をはさんで 最後の演目は マルグリットとアルマン

椿姫をモチーフにしたバレエです


いや~ これも引き込まれました!

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哀しくも情熱的な愛情の表現が 秀逸でした

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バックに流れる音楽は フランツ・リスト

どことなく哀しげで切ない調べが 雰囲気を盛り上げます


ヒロインを演じたのは
この舞台を最後に 英国ロイヤルバレエでの約20年にわたるプリンシパルを
引退されるという

ゼナイダ・ヤノウスキーさん

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ちょっと失礼な言い方かもしれませんが

まさに椿姫のヒロインを演じるのにふさわしい貫録を
体全体で表現されているように思いました


カーテンコールは 賞賛の嵐で凄かった

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突然の日曜日の停電のおかげで
思いがけず楽しい時間を過ごすことができてラッキーでした


シネマ・バレエ ちょっとしたマイブームになるかもしれません

来シーズンのロイヤルバレエ・イン・シネマでは
舞台を観に行けなかった アリス・イン・ワンダーランドもやるようだし
楽しみです!

その頃に また都合よく停電になるかな?(笑)



2017.08.11更新

今日からお盆休み!

という読み手の方も多いことでしょうから
小難しい 欲望と民主主義のお話 は中断して、、、(苦笑)


7月末の週末の夜にWOWOWを見ていたら

今年5月に行われた スガシカオのデビュー20周年ライブ の録画が
放映されていました

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スガシカオ
 書き手は何気にファンなのですよ

ファンキーなメロデイも良いけれど
ちょっとナイーブでセンチメンタルな香りがする歌詞もお気に入りで

元気が欲しいときに 彼の曲をYouTubeで見聞きしたりします

そうか スガさんも 苦節20年なのですね

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だけど 今日の主役はスガさんではなくて
ライブにゲスト出演していた 初めて見聞きしたグループです

Unison Square Garden

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ギター ベース ドラム のシンプルな3人編成のグループで
もうデビューして10年になるそうです

アニメの主題歌やゲームのBGMに多用されて
そこから徐々にヒットが広がっていったようなので

アニメやゲーム好きの読み手の方がおられたら
このグループをご存知かもしれません


そんな彼らが スガさんとのコラボで演奏していた曲が

シュガーソングとビターステップ

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イントロで流れてきたギターソロで始まるポップで軽快なメロディラインに
年甲斐もなく 思わず惹き込まれてしまいました(笑)

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スガさんも 3人の中に入って 楽しそうに歌っていましたね!


で この曲 気になったので YouTubeで探すと
血界戦線というアニメの主題歌のようです

ギターの男の子がボーカルも担当していますが
ブラインドで聴いていたら 女性が歌っているのかと思うような
男性にしては繊細な声質です


そして 歌詞が気になるのですよ


超天変地異みたいな狂騒にも慣れて こんな日常を平和と見間違う
rambling coaster 揺さぶられながら 見失えないものは何だ?

平等性原理主義の概念に飲まれて 心までがまるでエトセトラ
大嫌い大好き ちゃんと喋らなきゃ 人形とさして変わらないし

宵街を行く人だかりは 嬉しそうだったり 寂しそうだったり
コントラストが 五線譜を飛び回り 歌とリズムになる

ママレード&シュガーソング ピーナッツ&ビターステップ
甘くて苦くて 目が回りそうです

南南西を目指して パーティを続けよう
世界中を驚かせてしまう夜になる

I feel 上々連鎖になってリフレクト

蓋然性合理主義の正論に揉まれて 僕らの音楽は 道具に成り下がる?
こっちを向いてよ 背を向けないでよ それは正論にならないけど

祭囃子のその後で 昂ったままの人 泣き出してしまう人
多分同じだろう でも言葉にしようものなら 稚拙が極まれり

、、、、



いったい何を言っているの? といった感じがする歌詞ですが
妙にメロデイと合っていて 節回しも絶妙で 耳に残るのですよ(笑)


ボーカルの隣で ベースの男の子が
ものすごい勢いで ステージの上を弾きながら跳ね回っていて

彼が作詞作曲をしている田淵さん

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YouTubeで彼らのインタビューを見つけたのですが

田淵さんは「ポップな曲なのに 詩が難解で哲学的ですね?」と問われると 

「どうしたらメロデイがより強く印象に残るか考えて
  わざと聞きなれない難解な単語を多く使った歌詞にしている」

と答えていました

確かに 書き手の琴線に触れたのも
まさに田淵さんが意図した メロデイと歌詞のアンバランスさでした

文語調で妙に難解な言葉が
ポップでキャッチーなメロディラインにのっているのは
不思議な新鮮さです

オヤジ いい歳をして 田淵さんの思惑にしっかりはまっています(笑)

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でも ボーカルの男の子が言っていましたが

トータルで歌詞を眺めると
ちゃんとストーリーが出来上がっていて メッセージもあり
単なる言葉遊びではないことがわかります


熱しやすく冷めやすい書き手は
すぐにAmazonで彼等のライブDVDを見つけて
即買いしてしまいましたよ

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そして もう2週間以上たつのに まだ飽きていません(苦笑)


まだ 明るいノリとポップさが前面に出ている彼等ですが
この先 どんなふうに作品が変化していくのか ちょっと楽しみです


ちなみに シュガーソングとビターステップのエンディングの歌詞は

goes on 一興去って一難去ってまた一興

一難去ってまた一興 この感覚 好みです!(笑)



2017.07.07更新

近松門左衛門の名作といえば なんといっても 曽根崎心中

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ナマの文楽で見たい 見たい と思いつつ
いまだに実現できていません

だって すぐにチケットが完売になってしまうのだもの(苦笑)


大阪一の醤油問屋の若き手代で 不条理な借金の返済に窮する徳兵衛
徳兵衛を愛しているのに 他の男に水揚げされそうな遊女のお初

徳兵衛は25歳 お初は21歳

ともに世をはかなんだ愛し合うふたりが 曽根崎の天神の森で心中を果す


このリアル心中事件を見聞きした近松は
わずか1か月で 彼にとって初めての世話物を書き上げ
(世話物は その時代の人々日々の出来事を題材にしたジャンルの浄瑠璃)

竹本義太夫率いる竹本座での公演は大当たり!

以後 名作として 何度も繰り返し上演されたそうです


曽根崎心中は 歌舞伎や映画にもなっているので
ご覧になった方も多いと思いますが

書き手は ホント 文楽で見たい!

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で 最近 近松の人となりを紹介している面白い本を読みました

小野幸恵さんがかかれた 

週刊誌記者 近松門左衛門

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近松は 世話物浄瑠璃の作者として有名ですが
実際に文楽で世話物を書き始めたのは50歳を過ぎてからで

それ以降 新聞の三面記事や
今で言うなら 怪しげな週刊誌で取り上げられるような事件を
実際に自分で取材に行き 自分の眼 感性で事件を把握し

早い筆で あっという間に世話物浄瑠璃を書き上げて
盟友 竹本義太夫に供給していたそうです

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心中事件の一報を聞き 早駕籠で現場に駆けつけ
遺体に掛けられた菰からのぞく 女性の白い足を見て

衝撃を受けた近松が仕事場に取って返して
一気に書き上げたのが
名作 心中・天の網島 だったとか


うーん まさに 事件記者 という感じですね!

近松が そんな風にして世話物を書いていたなんて
全く知りませんでした

ビックリです


それにしても どうして近松は
下卑た心中事件などに 強い興味を持ったのでしょう?

また 心中だけでなく 

前回ご紹介した女殺し油地獄のような
姦通 横領 強盗 殺人などなどの
いわば俗の極みのような事件にも 大いに興味を持って
作品に仕上げていったそうで

何が彼を そうさせたのか とても興味があります


著者の小野さんは

武士の子供として生まれながら 生活のために刀を捨て
生きていくために世俗に埋没せざるを得なかった状況

そして 教養ある公家の人々に奉公するうちに身に付けた深い教養

捨て去り難い武家のプライドと 深い教養の合間に燻ぶり続けた
近松の ある種のエキセントリックな情念が

曽根崎の心中事件を契機にして 堰を切ったようにあふれだしたのでは?

と 推察されています

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そして 人間の本質を克明に描くことで
俗を俗に終わらせず 文学の高みにまで昇華させ

彼が題材として取り上げた リアル事件の俗が持つ普遍性ゆえに
日本人独特の感性に強く訴えかけ
名作として大人気を博し後世まで残り続けたのであろう

と 考えられます


近松は 芸について

芸というものは 実と虚との皮膜の間にあるもの也
虚にして虚にあらず 実にして実にあらず
この間に慰みがあったもの也

と語っていたそうです

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なるほどねえ

近松が 東洋のシェイクスピアと称される理由は
そんなところにもあるのかもしれません


それにしても そんな近松の世話物を産んだ大阪
濃いですね!

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やっぱり 曽根崎心中を見るのは
大阪の国立文楽劇場じゃないとダメでしょうか?



2017.07.03更新

やくざな放蕩息子が勘当されて 花道で見得を切る

パパンッと拍子木の音が響くと
そこに間髪入れずに 高麗屋! の掛け声

さらに絶妙のタイミングで
七代目! と別の場所から掛け声が続く


あの観客席からかかる掛け声は
芝居小屋のなかに一種独特の雰囲気を醸し出して なかなか良いものです

声の音色 イントネーションがまた渋くてね

オペラやバレエの会場で聞こえるブラボーよりも
数段手慣れているように思います

日本人のDNAですね(笑)


最近は 歌舞伎も文楽も見に行けていませんが
数年前に見に行った 歌舞伎の 女殺し油地獄 が
書き手にとっての 近松門左衛門の世話物 デビューでした

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女殺油地獄

それにしても 凄いタイトルです!(笑)

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門左衛門さんが 脂の乗り切った晩年に

ヤクザ者の放蕩息子が 昔馴染みの油屋の若女房を金目当てに殺した
という実際にあった事件をネタに書いた作品だそうで

油屋で油にまみれながら女を殺すシーンがウリですが

うーん 正直言って
その場面は それほど感動しなかったかな(笑)

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この作品 主人公の与兵衛があまりに残忍非道で
江戸時代では考えられないようなキャラクターだったためか
当時はさんざんな不評で すぐにお蔵入りになったそうで

大衆が 近松のセンスに追いついていけなかった

とも言われているそうです


明治の世になって 再評価されましたが
むしろ今のご時世では こんなキャラはごく普通なので?(苦笑)
逆に近松の時代を先取りする先見性が見直される契機になったとか

さて この現象 どう評価したらいいのでしょう?(再苦笑)


ヤクザものの与兵衛を演じ切ったのは 染五郎

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彼のお育ちの良さが この役を演じるのに邪魔になるかな
と邪推していましたが

あにはからんや 品のあるワルも意外に良いものです


品の良さと弱さは 表裏一体のようなところがある と思いますが

それが 与兵衛が内面に抱える弱さの表現に
うまく生かされていたような気がしました

ちなみに 惨殺されるお吉を演じたのは
猿之助を襲名する少し前の亀治郎

亀治郎 意外に色気のある女形を演じるものだと思ったのが
印象に残っています

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さて 近松の世話物の世界

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正直言って のめり込むほど素晴らしいとは思いませんが
一定の抗し難い魅力があることは 間違いありません

最近 その近松の人となりを描いた 面白い本を読みましたので
次回ご紹介したいと思います



2017.06.30更新

佐野さんの  スポークンワーズ  の続き


ユニオンスクエアでパフォーマンスしていたミュージシャンに
佐野さんは こう問いかけられます


「アーテイストとして 今 いちばん大事にしている気持ちは?」

その答えは 「検閲に対抗する気持ち」


「大きく社会が変わる中で アーテイストがやるべきことは何か?」

その答えは

「ワードとビートで 人々が気がつかないことを 気づかせてあげる」


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佐野さんらしい答えですが

2番目の問いへの答え そこまで考えているのか とも思いました


まあ トランプが世の中を荒らしまくっている2017年のNYの路上で
こんな問答が行われるのは 旬といえば旬かな?(笑)



番組では 佐野さんがスポークンワーズにたどり着いたバックグラウンドも
紹介されました

1950年代のアメリカで
企業 メデイア 近代文明 資本主義 差別 検閲 富といった
あらゆる矛盾に反抗の矛先を向けていた
ビートと呼ばれる文学者たちへの共感

ボブ・ディランの 言葉とビートによるレジスタンス への共感

そうした共感から生まれた 言葉と音楽の融合のための基礎実験


さらに 1980年代 日本での大ヒットの渦中に
その状況から逃避するように 突然NYに移り住んだときに

社会の底辺の若者たちが
自らのアイデンティティを証明するために作った
ヒップホップとの衝撃的な出会い


そうした土壌のなかから スポークンワーズが生まれてきたそうで

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なるほど 背景が少しわかったような気がします

10代で感じた言葉へのこだわりを ずっと追求し続けてきたのですね


歳を重ねて
さらに表情に色濃くにじみ出るようになった彼の意志の強さの源を
垣間見た気がしました

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さて 2001年から スポークンワーズを一緒に作ってきた
佐野さんの盟友とも言えるミュージシャンは

彼ほど メッセージを真剣に鋭く発する人は それほどいない
歌を超えた 広がりと深みを求めている

と 佐野さんのことを評します


メッセージ性の強さ

確かにそこが 惹きつけられるポイントなのかもしれません


番組のタイトルにもなった Not yet free という曲のなかで

世の中のさまざまな生き方を例示したあと

「君はどっち? 僕はこっち」 と 彼は問い 答えます

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そう 自分のスタンスは はっきり明示するけれど
ヒトに敢えて自分の意見に従わせようとしない

そんな彼の優しさも 惹きつけられるポイントなのでしょう


セッションの最後の曲となった

What makes us mad? 何が俺たちを狂わせるのか

という ちょっと刺激的なタイトルの曲では

俺たちは 3個のダイアモンドを掘り当てて 4個のダイアモンドを失う
と アメリカ生まれのエゴなグローバル資本主義を批判します

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そして 番組のエンディングには

NY滞在中に インスピレーションを受けて書き上げた新しい曲

こだま アメリカの友人 日本の友人に

の スポークンワーズが流されます

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今の分断された世の中でできることは 友達の痛みに寄り添うこと

でも 寄り添うことしかできない


僕は問う 君はどこにいるか?

亡びに抗うか? 亡びに酔うか? 亡びを炊きつけるか?

亡びをただ待っているだけの野蛮な今か?
眼を開いて 前に一歩進むか?


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確かに 佐野さんは
「ワードとビートで 人々が気がつかないことを 気づかせてあげる」
ことを トライしているようです


でもなあ そんなことを いきなり正面から問われてもなあ

いつものように 
彼の真摯さをはぐらかすかのように そんなことを思いつつ

でも この先も佐野さんのことは フォローしていくのですよ(苦笑)


それにしても 今回の番組での佐野さんの表情は厳しかった

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2017年 春のブルックリン

まさに あの変人が好き放題に掻き回しているアメリカの街の雰囲気は
それまでとは違う何かを 彼に感じさせたのでしょうか?


2017.06.26更新

ニューヨーク ブルックリンのライブハウスのステージに立った彼


いつものラフな衣装と違って
珍しく 黒のタイトなスーツに 白いワイシャツに黒のネクタイ

でも いつものように
左手に詩が書かれた紙を持ち バックに流れるビートに合わせながら
マイクに向かってポエトリーを語り

語ったあとに 響きを確認するように あるいはリズムをとるように
右手でハートのあたりを 小刻みにたたきます


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そう 彼は 言葉を大切にするのですよ

彼のそんな姿勢は 以前にもご紹介しましたが


いつの間にか彼は そんなスタンスを突き進めて

スポークンワーズ という 

彼独特の表現形式にたどり着いたようです


そして トランプ現象で揺れるニューヨークで

自ら作曲したビートをバックに
日本語で 自ら紡ぎ出したポエトリーを語ります


もちろん オーデイエンスはアメリカ人なので

日本語で詩が語られるステージには
映像と キーワードの英訳が 同時進行で映し出されます

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言語が異なっても ポエトリーはユニバーサルだと思うけれど
異文化との接触だから これくらいはしないと

彼はそんな風に説明していました


うん その試みは 面白いかもしれない

オリジナルな言語の 響き は 確かに大切かもしれない



Not yet free 何が俺たちを狂わせるのか


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NHKのBSプレミアム

佐野元春さんが
彼が大切にする言葉の力を最大限に生かす表現法
と考えるスポークンワーズを 初めてNYでセッションするために

日本で準備して
現地でアメリカ人のベーシストやドラマーたちと さらに練り上げる

その準備風景を 彼のインタビューも交えながら
ドキュメンタリー風の番組に仕立て上げて 放送していました

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NHK・BSさん
かなり高頻度に面白い番組を作ってくれて ありがとうございます(笑)


以前のブログでも紹介しましたが
書き手は 佐野元春のことは どうも気になるのですよ、、、

だから ついつい見てしまいます(笑)


でも 冒頭に記したようなスタイルで
ビートをバックに詩を語る光景は なんとなく奇妙に見えます

というか 見慣れない


佐野さんは

詩とビートの融合こそが 言葉の力を最大限に生かす と語ります


ここで言うビートとは
ベース ドラム フルート バイオリンによるセッション


言葉とビートのハーモニーにより 言葉の意味が変化し広がる

言葉とビートが 良い次元でコンバインすると
とても強力なメッセージになり 解き放たれ
聴く人の心 脳を直撃し そこから新しい意味が生まれていく


うーん 正直言って 理解できるような できないような


歌とも違う 朗読とも違う

あくまでメインは言葉で 音楽は引き立て役だけれど
でも 引き立て役がなければ 言葉はより一層響かない

確かに そうなのかな?



番組冒頭のインタビューで 彼はこんな風に語るのですよ

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僕の仕事は 詩を書くのではなく
メロディに内在している言葉を 丹念に引っ張り出すこと


うーん この感覚がいまひとつ理解できないので
どうもしっくりこないのかな?

ちょっと戸惑っている書き手など放っておいて
番組は進行していきます



2017.06.23更新

最近ちょっと気になっている バスケットボールのBリーグ

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先日 当院にいらした初診の患者さんが
Bリーグのロゴが入ったポロシャツを着ていらしたので

お ブースターですか? 

と 覚えたての業界用語を使ってうかがったら
なんとホンモノのBリーグ事務局にお勤めとのことで
勝手に親近感が増しています(笑)


昨年から始まったばかりの 出来立てホヤホヤですが

リーグを開始するにあたっては さまざまな紆余曲折があり
それが故に主催者側は 相当の覚悟で 綿密に成長戦略をたてたそうです

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朝日新聞のWEBLONZAのコラムに書かれていましたが

そもそも日本のバスケットボール・リーグは
企業チームが主体のNBLと 地域チームが主体のbjの
ふたつのリーグが存在していて

お互いが足並みをそろえるどころか 
意地を張りあい いがみ合うような関係で

そのため 世界バスケットボール連盟に呆れられて
日本の男子バスケットボールは 世界から無期限の資格停止処分を受け

そのせいもあって世界との差がどんどん広がり
オリンピックも なんと最後に出場したのがモントリオール大会で
長きに渡り 出場が叶わぬ状況になっています


そんな状況に危機感を持ったバスケットボール協会の幹部が
サッカーのJリーグチェアマンだった川渕三郎さんをトップに招いて
多くの優秀なスタッフをかき集めて
満を持して作り上げたのが このBリーグだそうです

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彼等がブースターのターゲットにしたのは
野球やサッカーのサポーターとは異なる 若い世代 そして女性

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試合中継のテレビ放送の視聴率に一喜一憂せず
スマホで独占ライブ配信を行い(300万人が視聴したそうな)
ネット上の公式サイトを充実させ(400万PVあるそうな)

プロ野球ともJリーグとも異なる
新たなプロスポーツのマーケティングを開拓中だそうです


しかも 重視するのは エンターテイメント性

スポーツでエンターテイメントか やりますねえ(笑)

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さらに興味深いのは

スマホやネットでの独占ライブ配信やチケット購入システムにより
ブースターの性別 年齢 地域 好きなクラブ グッズ関連の購入履歴などを
リーグが一括管理し すでに数十万件のデータを保持していること

こうしてリーグが一括管理しているデータは
日本代表やクラブ間で共有でき 各クラブの切符販売にフィードバックもできる

まさに Bリーグが
日本のバスケット全体の振興の旗を振りましょう というわけです

なるほどです、、、

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そして 積極的にキャッチーな話題を発信し 社会へのアピールも忘れない

初代年間チャンピオンチームに贈られるトロフィーは
アメリカのNBAと同じで 
燦然とキラキラに輝く なんとティファニー製

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こんな努力が実り
初代王者を決めるチャンピオントーナメントの決勝戦のチケットは
発売開始わずか10分間で完売されたとか


これからの課題とされるのは

*選手のプロ意識の徹底と成長
*ファンの拡大
*選手の年俸アップ

昨今は サッカーのJリーグなどで
選手のプロ意識が疑問視されるような出来事もありましたから

選手のファンやマスコミ対応も含めて
主催者側がしっかりと教育しているようです


また ファンの拡大のために
地域密着型のクラブ運営を徹底する方針だそうで

チームの名前そのものに 地域の名前が織り込まれていますし
選手が着るユニフォームにも 地方自治体の名前が書かれています

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そして 

子供達が将来はBリーグの選手になりたいと思うような
お金をたくさん稼ぐ大スターの出現

が 今後いちばん求められるそうで

まあ ごもっともですね(笑)

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Bリーグが 今後どのように発展していって
男子バスケットボールの実力が世界に認められるようになるか
楽しみですし 注目していきたいと思います



2017.06.19更新

世界でいちばん競技人口が多いスポーツは 何でしょう?

日本なら 野球 サッカー という答えが返ってきそうですが
世界だとバスケットボールがダントツで1位です

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競技人口4億5千万人で
2位のサッカーの2億5千万人を 大きく引き離しています

なんとなく意外ですね

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でも 日本でも 2015年のよくやるスポーツの人気度調査では

1位 サッカー 44%
2位 バスケットボール 27.3%
3位 野球 23%

バスケットボールが初めて野球を上回ったそうです

また バスケットボールの実際の競技人口は約63万人で
野球の93万に人に次ぐ規模だそうです


バスケ人気 意外に根強いのですね!
野球を上回っているなんて びっくりしました


そういえば 最近はニュース番組でも
昨秋に新たにスタートしたバスケットボールのプロリーグ
Bリーグの話題がよく取り上げられています

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先日は 初代チャンピオン決定戦で 大いに盛り上がっていました

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書き手も個人的には
サッカー 野球 バスケのうち どれかひとつ と問われたら
バスケと答えるかもしれません

いちばんの理由は

試合がダラダラと続かず メリハリがあること

Bリーグの試合時間は 1クオーター・10分間で 4クオーター

10分間の短い間ですが
攻守の切り替えが早く スピード感にあふれ しかも点がよく入る

シーソーゲームになることも多く 見ていて手に汗を握ります

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しかも 野球やサッカーのように フィールドが広くない

というか 体育館の狭いコートで行われるので
コンパクトに集中して 飽きずに見続けることが出来ます

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それに プレーそのものも 単純でいながら なかなかスゴイ

基本的に空中戦ですから
パスされたボールがバスケットに向い宙を舞い
いつの間にかそこに 選手の手が伸びてきてバスケットに叩き込まれる

そのパスの連携の妙や意外性を楽しんだり
ゴール下の密集から敢えて離れた位置に立つ選手が放つ
3ポイントシュートを 思わず口をあけて見たり、、、

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試合中に バスケットシューズがコートの床にこすれて生じる
キュッ キュッ という音も 耳に心地よいです(笑)

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そういえば 1990年代後半 アメリカのNBLで
マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズが強さを誇っていた頃
日本にも中継されていた番組をよく見て
バスケットボールの面白さを堪能したことを思い出しました

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実際にBリーグの試合を見に行ったことがある方に話をうかがうと
とにかく 会場内の盛り上げ方が凄いそうです

会場全体が
LEDライトによる派手な演出と アップテンポなBGMで満ち溢れていて

試合中のわずかな時間のタイムアウトでも
あっという間にチアリーダーたちが登場して 雰囲気を盛り上げるそうな


Bリーグの主催者は
試合会場や体育館とは呼ばず 敢えてアリーナと呼び

試合内容の充実はもちろんのことですが
いかにしてアリーナ全体を ある種の異次元空間に仕立て上げ
観客に楽しんで喜んでもられるかを 徹底的に追及しているそうです

話を聞いていると なんだか面白そうで
新しいものに目がない節操がない書き手は
アリーナに足を運んで その空間に身を置いてみたくなってしまいます

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ちなみに Bリーグでは
応援に来てくれる人たちのことを ファンやサポーターと呼ばず
こだわりをもって ブースター と呼ぶそうです

NBLでそう呼ばれていて それを導入したようですが

プロ野球やサッカーのJリーグとは ひと味違うのだぞという
差別化を意識しているのは 何気に好感が持てます(笑)

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Bリーグ

チャンスがあったら 
キュッという音を聞きに アリーナに行ってみようかな、、、



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