左利き肝臓専門医ブログ

2018.05.31更新

幼少時にかかっていなかったり ワクチンを接種していないと

大人でも おたふくかぜになってしまいます

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しかも

大人がおたふくかぜに罹ると 子供と違って重症化しやすい傾向にあります


大人は子供に比べると免疫力が高く
免疫がおたふく風邪のウイルスに対して強く抵抗するため
炎症などがひどくなってしまう と考えられています


<大人の症状>

高熱や頭痛がひどくなり
熱が39度まで出る場合があります

耳の下が腫れあがるだけでなく あごや頬まで炎症が広がり
食事を取るのもままならなくなる

ひどい場合は 下痢 頭痛 うわごとなども出てくるといわれています

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また 一時的に難聴となってしまう場合もあります

基本的には片方だけに現れるといわれていますが
症状が重いときには両方の耳が聞こえづらくなります

おたふくかぜが治るとともに回復するようですが
まれに難聴が後遺症として残ることがあります


<大人の合併症>

@髄膜炎

大人になっておたふくかぜになった場合
特に注意したい合併症が 無菌性髄膜炎です

髄膜炎は 子供もかかりやすい病気ですが

大人になっておたふくかぜになると
約1割の確率で出てくる可能性があります

髄膜炎は 脳や脊椎に炎症が起こる症状で 頭痛や吐き気とともに熱がでます
また 意識障害やけいれんなどもでることがあります


@膵炎

発熱とともに 腹部の圧迫感や吐き気がある場合
軽い膵炎にかかっている場合もあります

こちらは2万人に1人の割合で発生しているようですが
放っておくと腹膜炎になる可能性もあります


このように 髄膜炎や膵炎の可能性がある場合は
おたふくかぜが治ったとしても 症状が続いてしまいます

耳の下の腫れが引いても 4〜5日も症状の改善がみられないときは
すぐに医療機関を受診しましょう



@睾丸炎 卵巣炎

大人のおたふくかぜは 睾丸炎・卵巣炎など合併症が出やすいのが特徴です

男性なら約20〜30% 女性なら約7%といわれています

睾丸炎になると
おたふくかぜ発症後およそ3〜5日目に
陰部が約5倍にまで膨れ上がり 疼くような痛み 発熱、頭痛、吐き気が出ます

通常は1週間程度で自然に症状がおさまりますが
症状が長期化したり 片側だけでなく両側の睾丸で腫れや炎症が起こると
睾丸の中の精子をつくる細胞が死んでしまい
無精子症 不妊の原因となります

睾丸炎から生殖能力の障害に発展するのは 10%程度と報告されていますが

睾丸に痛みや腫れが現れて症状が長引く場合は
早めに泌尿器科を受診しましょう

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<妊娠への影響>

女性の場合は 卵巣炎になったとしても
不妊になるとは断定はされていないようです


しかし 妊娠中に おたふくかぜになると
低体重児出産や流産などのリスクは高まるといわれています

特に妊娠3か月までの妊娠初期では 流産の危険性が高まります


但し 妊娠中におたふくかぜにかかっても
胎児が先天性奇形をもって生まれてくるリスクはほとんどありませんし
母体に後遺症が残ることも ほとんどありません

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他のワクチンと同様
妊娠中は おたふくかぜのワクチン接種を受けられません

また ワクチン接種から2か月間は 避妊する必要があります


ですから これから妊娠の予定や可能性がある人は
早めにワクチン接種を受けておく必要があります

うがい 手洗い マスク 人ごみを避ける 他の人からの感染に注意するなど
基本的な予防が 妊婦さんのおたふくかぜへの唯一の対策です


また 家族にワクチン接種を受けてもらうことも大切です
妊婦がいる家庭では 妊婦以外の人がワクチン接種を受けるべきです

おたふくかぜは 家庭や集団施設で流行しやすいので
妊婦さんと一緒に生活している人が学校や会社で感染し
家で妊婦さんにうつしてしまう可能性も 十分に考えられます


ということで

これから妊娠の予定や可能性がある人や その家族は
早めにワクチン接種など おたふくかぜへの対策をとりましょう


<大人もワクチン接種を>

おたふく風邪の最も有効な予防法は ワクチン接種です

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ワクチン接種で
約90%の方が体内に有効な抗体を獲得することができますが

ワクチン接種で体内にできた抗体の効果があるのは 約8〜10年です

このように
ワクチン接種による 抗体持続期間や抗体力価は
終生免疫と同じではありませんが

ワクチン接種により おたふくかぜにかかりにくくなり
かかったとしても ほとんどの場合は軽い症状で済みます

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また 子供の頃にワクチン接種を行っていても
上述したように 大人になり結婚して子供ができる頃には
体内の抗体は徐々に減少し 感染のおそれが出てきます

したがって おたふくかぜのワクチン接種は
時期を分けて2回受けることが推奨されています

2回受けることで
自然にかかった場合と同じくらい有効な抗体を体内に作ることができます

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幼少時におたふくかぜに罹ったかわからない場合は
おたふくかぜの抗体検査を受けることで
体内におたふくかぜへの免疫があるかどうか調べることができます

特に 女性は 妊娠する前には抗体検査を受けて免疫の有無を調べ
免疫がない場合はワクチン接種を受けましょう


おたふくかぜワクチンの軽度な副反応として
接種部位の痛み 微熱 軽度の耳下腺腫脹を呈する場合があります


わが国では 1981年より
国産おたふくかぜワクチンが 任意の予防接種として使用されています

麻疹や風疹のワクチンは定期接種ですが
おたふくかぜのワクチンは 任意接種です

おたふくかぜによる難聴の出現頻度が
従来の報告より高い可能性があり
そうした点からも ワクチンの定期接種化が望まれています

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厚労省の感染症分科会予防接種部会などで
おたふくかぜワクチンを
予防接種法の対象となる疾病ワクチンに加えるか検討されていますが
未だ 定期の予防接種の対象疾患とはなっていません

 

 

2018.05.30更新

おたふくかぜの解説を続けます


<症状>

基本的には軽症です

2〜3週間の潜伏期(平均18 日前後)を経て

唾液腺の腫脹・圧痛 嚥下痛 発熱を主症状として発症し

通常1 〜2週間で軽快します

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唾液腺腫脹は
両側 あるいは片側の耳下腺にみられることがほとんどですが
顎下腺 舌下腺にも広がることがあります

通常は 48時間以内にピークを認めます

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接触 あるいは飛沫感染で伝搬し
その感染力はかなり強いとされています

ただし 感染しても症状が現れない不顕性感染も  30〜35%にみられます


鑑別を要するものとして
他のウイルス(コクサッキー パラインフルエンザ)などによる
耳下腺炎があります

反復性耳下腺炎も おたふくかぜと鑑別すべき疾患で
耳下腺腫脹を何度も繰り返すもので
軽度の自発痛がありますが 発熱を伴わないことがほとんどで
1〜2 週間で自然に軽快します


<診断>

*臨床症状
*おたふくかぜの既往の有無
*ワクチン接種の有無
*周囲の流行状況
*ムンプス以外の耳下腺腫脹を呈する疾患の除外

などにより 診断します


確定診断のためには

唾液 尿 髄液などからのウイルス分離または遺伝子の検
EIA 法による血清IgM抗体の検出
またはペア血清でのIgG 抗体価の有意な上昇(通常2倍以上)

などが用いられます

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<合併症>

@中枢神経合併症

無菌性髄膜炎および脳炎の頻度は それぞれ1〜10% 1%未満で
前者は予後良好ですが 後者は後遺症や死亡につながり得ます

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@聴力障害

ムンプスウイルスの内耳感覚神経障害により 難聴をきたします

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多くは片側性で
永続的な高度の感音性難聴を呈します

幼少児に多く見られます

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わが国の疫学調査では
1000人に1人の頻度で発症すると報告されていますが

近年の耳鼻咽喉科学会の調査では もう少し多いとされています

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@精巣炎・卵巣炎

思春期以降に感染した場合に 発症することがあり

精巣炎・精巣上体炎および卵巣炎の合併頻度は
それぞれ25 % 5%といわれています

多くは片側性で 不妊を来す例はまれです


@膵炎

合併頻度は数%という報告が多いです


<重症度・予後>

一般的に予後良好ですが
感染力が強く 種々の合併症を呈することがあります

耳下腺腫脹は
発症3日目頃がピークで 通常7〜10日で軽快します


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<治療>

ウイルスそのものに対する 有効で特異的な治療法はなく
発熱 疼痛 経口摂取不良などに対する対症療法を行います

発熱 疼痛に対しては 必要に応じて解熱鎮痛薬を使用し

経口摂取不良に対しては
脱水の程度に応じて経口補液療法や輸液療法を行います


2018.05.29更新

沖縄から始まった はしか の流行がマスコミで報道されて以来
ワクチンの問い合わせがとても多い状況が続いています

その影響か はしかワクチンはメーカーで欠品
はしかと風疹の混合ワクチンのMRワクチンも在庫僅少で
なかなかスムーズに入荷してくれず
お問い合わせくださる方にはご迷惑をお掛けしていて 申し訳ありません


で そんな時期に 某週刊誌から取材の申し込みがあり

そのお題が なんと おたふくかぜ

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なんでも 6月の死に至る危険な病 という特集で
そのなかで おたふくかぜ を取り上げるのだそうです


なぜに6月に おたふくかぜ?
だったら トレンドの はしか にすればいいのに

などと思いましたが(笑)

良い機会なので 改めて おたふくかぜについて勉強しました


おたふくかぜは 小児科領域の病気なので
内科医が患者さんに接したり 勉強する機会は意外に少ないのですよ

でも 大人がおたふくかぜにかかると 危険な面もあるのです



<ムンプス おたふくかぜ とは?>

ムンプス(流行性耳下腺炎 おたふくかぜ)
有痛性の唾液腺腫脹や発熱をともなうウイルス感染症です

唾液など気道分泌物の飛沫や接触により ヒトからヒトへ感染します

潜伏期間は通常 12〜25日間 と長いのが特徴です

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ムンプスという名前の由来は不明ですが
ひどい耳下腺炎を起こした患者さんが ぼそぼそ話す(mumbling speech)
ことによるのではないかと 報告されています


子どもにとっては重要な病気のひとつで
学校保健安全法に定める第2種学校感染症疾患で

「耳下腺 顎下腺 舌下腺の腫脹が発現後5日を経過し
 かつ 全身状態が良好になるまで」

は 学校への出席停止となります


<患者さんの年齢層>

患者さんのほとんどが幼少児で

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4歳以下(クリーム色)の占める割合が45 〜47%で
0歳は少なく 年齢とともに増加し 4歳が最も多い
続いて5歳 3歳の順に多く 3〜6歳で約60%を占めています


<原因ウイルス>

本疾患の原因であるムンプスウイルスは
パラミクソウイルス科のウイルスで

表面にエンベロープをかぶった
マイナスセンスの1本鎖RNA ウイルスです

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大きさは100 〜600nm で 主に6つの構造タンパクを有しています

表面のエンベロープに 2種類の糖タンパク質を有し
この2 つのタンパクに対する抗体が 感染から宿主を防御します

ワクチンも この抗体を作らせるものです


<感染経路>

耳下腺腫脹の1〜2日前から腫脹後5日までが 他人への感染源となりやすい

感染力は 麻疹には劣るものの 比較的強いとされています


ウイルスは唾液中に含まれるため 咳やくしゃみでもうつる飛沫感染です

飛沫で汚染されたものに触れる接触感染でも 感染します

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自覚症状がないまま感染する 不顕性感染もありますが
その場合でも 唾液中はウイルスが含まれています

おたふくかぜにかからないために
マスクの着用や身の回りの消毒を心がけましょう



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