左利き肝臓専門医ブログ

2018.04.27更新

風疹の解説を続けます


<ワクチン>

弱毒生ワクチンが実用化され 広く使われており
 風疹予防のためには ワクチン接種が最も有効な方法といえます

msn22


@我が国での歴史

*1977年8月〜1995年3月までは 中学生女子のみが定期接種対象でした

*1994年の予防接種法改正により
 1995年4月から 対象は生後12カ月以上〜90カ月未満の男女
(標準は生後12カ月〜36カ月以下)に変更になりました

fsn11


*2006年度から MR(麻疹・風疹)混合ワクチンが定期接種に導入され
 1歳 と 小学校入学前1年間(6歳になる年度)
 2回接種となりました

fsn12


@2回接種の必要性

1回接種で
95%以上の人が風疹ウイルスに対する免疫を獲得することができますが

2回接種により
1回接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができ
免疫ができる割合は約99%に向上します

fsn13


さらに 接種後年数の経過とともに免疫が低下してきた人に対しては
追加のワクチンを受けることで免疫を増強させる効果があります


@抗体保有率

定期予防接種率の上昇と 2回接種制度の効果により
小児の抗体保有率は高くなり
2歳以上の保有率は90%以上になっています

fsn14

一方 成人では
男性の30代(73〜84%)40代(81〜86%)では
女性(97〜98%)と比較し
11〜25ポイント抗体保有率が低いことが報告されています


@抗体検査

風疹にかかったことが確実な場合
(検査で高い抗体価があることが確認された)は
免疫を持っていると考えられ 予防接種を受ける必要はありません

一方
抗体価が低い場合(HI抗体価が16以下)は予防接種が必要になります


fsn15


しかし
抗体価が高い 以前にかかったことがある人がワクチン接種をしても
副作用は増強しませんし

また 過去に風疹に感染していても
予防接種を行うと
風疹に対する免疫をさらに強化する効果が期待されます

ですから 予防接種の前の抗体検査は 必ずしも必要とは言えません


@ワクチン接種を受けた方が良い人

定期接種の対象者は 1歳児 小学校入学前1年間の幼児ですが

定期接種の時期にない人で
*風疹にかかったことがなく 
*ワクチンを1回も受けたことのない人は
かかりつけの医師にご相談ください


@男性も受けるべし

男性が風疹にかかると
妊娠中の女性が近くにいた場合 風疹をうつし
その赤ちゃんが先天性風疹症候群となって生まれる可能性があります

風疹の合併症から ご自身の身を守り
家族や周りの人への感染を予防するためにも

男性も 可能な限り早く 風疹のワクチン接種をうけて下さい

fsn16

特に
30代後半から50代の男性の5人に1人
20代から30代前半の男性の10人に1人は
風疹に対する抗体を持っていませんから 要注意です


@副作用

1回目のワクチン接種後の反応として最も多く見られるのは 発熱です

接種後1週間前後に最も頻度が高いですが
接種2週間以内に発熱を認める人が約13%います

2回目の接種では 接種局所の反応が見られる場合がありますが
発熱 発疹の頻度は極めて低いとされています



<妊娠に関わる注意>

風疹に伴う最大の問題は

感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が感染したことにより
風疹ウイルス感染が胎児におよび
先天異常を含む様々な症状を呈する先天性風疹症候群が出現することです

fsn17

妊娠1ヶ月でかかった場合50%以上 妊娠2ヶ月の場合は35%
子どもに異常が見られるとされています

fsn18


先天異常として発生する主なものは
先天性心疾患(動脈管開存症が多い)難聴 白内障 色素性網膜症などです

fsn19


妊娠中の女性は ワクチン接種が受けられないため

特に流行地域においては 抗体を持たない または低い抗体価の妊婦は
妊娠初期には可能な限り人混みを避ける必要があります


fsn20


また 妊婦の周りにいる人(妊婦の夫 子ども その他の同居家族等)は
風疹を発症しないように予防に努め

ワクチンを1歳以上で2回受けたことがない妊婦の家族は
出来るだけ早くワクチン接種をうけることが勧められます

fsn21


そして 

妊娠可能年齢の女性は
非妊娠期に2回のワクチン接種をすることが奨められています

fsn22



<海外渡航に関わる注意>

現在も感染が見られるのは 主にアジアおよびアフリカ諸国で
中国 インド モンゴル パキスタン ナイジェリアなどからの報告数が
特に多いのが現状です

ですから
*風疹にかかったことがない方
*ワクチン接種を2回受けていない方 接種既往が不明の方は

海外渡航される時には
渡航先の風疹流行状況を調べ
予防接種を受けることをおすすめします


2018.04.26更新

前回説明したように
麻疹ワクチンは 風疹ワクチンとセットで接種されることが多いので

ここで風疹についても解説します


<風疹とは>

風疹は 発熱 発疹 リンパ節腫脹 を特徴とする ウイルス性発疹症です

風疹で特に問題なのは あとで詳しく解説しますが

風疹に感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると
出生児が先天性風疹症候群を発症する可能性があることです

fsn01


ですから

男女ともがワクチンを受け まず風疹の流行を抑制し
女性は非妊時のワクチン接種により
感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要です


風疹ウイルスの感染経路は飛沫感染で ヒトからヒトへ感染が伝播します



<流行>

流行は 春先から初夏にかけて多くみられます

1990年代前半までは 5〜6年ごとに大規模な全国流行がみられていましたが

男女幼児が定期接種の対象になってから
大規模な全国流行はみられなくなりました


しかし 2011年頃から
海外で感染を受けて帰国した後に風疹を発症する成人男性と
職場での集団発生が散発的に報告されるようになりました

渡航先は
インドネシア フィリピン タイ インド モロッコ
イタリア/スイス ドイツ等でした

その報告患者の9割が成人で 男性が女性の約3.5倍です

男性は20〜40代に多く 女性は20代に多いと報告されています

fsn25


<症状と経過>

fsn02

@感染から14〜21日(平均16〜18 日)の潜伏期間のあと
 発熱 発疹 リンパ節腫脹(ことに耳介後部 後頭部 頸部)
 が出現しますが

 発熱は風疹患者の約半数にみられる程度です

@多くの場合 発疹は淡紅色で小さく 皮膚よりやや隆起していて
 全身に広がるには さらに数日間を要することがあります

fsn04

@リンパ節は 発疹の出現する数日前より腫れはじめ 3〜6週間位持続します

@カタル症状 眼球結膜の充血を伴いますが 麻疹に比し軽症です


fsn23


@ウイルスの排泄期間(感染力がある期間)は
 発疹出現の前後約1週間 とされていますが

 解熱すると排泄されるウイルス量は激減し 急速に感染力は消失します

 また 感染力は麻疹や水痘ほどは強くありません


@基本的には予後良好ですが
 *高熱の持続
 *血小板減少性紫斑病(1/3,000〜5,000人)
 *急性脳炎(1/4,000〜6,000人)
 などの合併症により 入院が必要になることがあります


成人では 発熱や発疹の期間が子供に比べて長く
 手指のこわばりや痛みを訴えることも多く
 関節炎を伴うこともありますが(5〜30%)
 そのほとんどは一過性です

 ちなみに 書き手は高校生のときに 風疹に罹りましたが
 1週間ほど 熱と発疹のかゆみに悩まされ
 結構つらかったという記憶があります


<治療>

発熱 関節炎などに対しては解熱鎮痛剤が用いられますが
特異的な治療法はなく
症状を和らげる対症療法が中心になります


 

2018.04.25更新

麻疹(はしか)の解説を続けます


<ワクチン>

麻疹は ワクチン接種 最も有効な予防法 といえます

msn21

麻疹の患者さんに接触した場合は
72時間以内に麻疹ワクチンの接種をすることが効果的と考えられています


@効果

麻疹含有ワクチン(主に接種されているのは 麻疹風疹混合MRワクチン
の接種により
95%以上の人が 麻疹ウイルスへの免疫を獲得できると言われています

msn22


@2回接種

ワクチンは 2回接種するのが良い

1回だけでは 約20人に1人(5%)は免疫がつかないことあり
2回接種を受けることで 1回の接種では免疫がつかなかった方の多くに
免疫をつけることができます

具体的には
ワクチンを1回接種することで 95%の人に免疫がつくとされていますが
2回接種により 99%以上の人に免疫がつくとされます

また 接種後の年数の経過とともに 免疫が低下してきた人に対しては
2回目のワクチンを受けることで 免疫を増強させる効果があります

msn23

実際に 近年は麻疹含有ワクチンの2回接種が行われ
麻疹に感染する方の人数は減っています

また 不幸にも感染された方は
ワクチン未接種 接種歴1回の人が多く
2回接種者からの発生はありません

このように 2回接種の効果は 確実に顕れています


@接種時期

2006年度から 定期接種として

*1歳児と

*小学校入学前1年間の 

幼児の2回接種制度が始まりました

msn24

しかし それ以前に生まれた方は
はしかに感染していなければ 免疫が十分でない恐れが強く
幼少期にかかったことがある人も 免疫が持続しているか定かではありません

また ワクチンも1回接種だけでは 免疫が充分でない可能性もあり
記憶に頼らず抗体検査で免疫の有無を確かめることが大切です


@麻疹に対する免疫があるかどうか明らかでない場合

上述したように

*小さい頃に麻疹にかかったことがあるかわからない

*ワクチンを接種したか 2回やったかわからない

という方は ワクチン接種をお勧めします


たとえ過去にかかったことがある人がワクチン接種をしても
副作用は増強しませんし

経年変化により弱ってきている免疫を
ワクチン接種により 再活性化させる効果もありますから

ワクチン接種を躊躇する必要はありません


msn26


@定期接種対象者以外で ワクチン接種を受けた方が良い人

定期接種の対象者でない方で

*麻疹にかかったことがない

*ワクチンを1回も受けたことのない

方は ワクチン接種の対象になりますから かかりつけの医師にご相談ください


医療従事者 学校関係者・保育福祉関係者など

*麻疹にかかるリスクが高い方

*麻疹にかかることで周りへの影響が大きい場合

*麻疹流行国に渡航するような場合は

2回目の予防接種について かかりつけの医師にご相談ください


また
妊娠可能年齢の女性
約25%が抗体陰性の30代後半~50代前半の男性は 
人が集まる場所に行く際は 早目に接種することが望ましいとされています


@副作用

1回目のワクチン接種後の反応として 最も多く見られるのは発熱で
接種後1週間前後に最も頻度が高いですが
接種して2週間以内に発熱を認める人が約13%います

それ以外に
接種後1週間前後に発疹を認める人が数%いますし
アレルギー反応として じんま疹を認めた方が約3%
発熱に伴うけいれんが約0.3%に見られます

2回目の接種では 接種局所の反応が見られる場合がありますが
発熱 発疹の頻度は極めて低いです


@麻疹単独ワクチンとMRワクチン(麻疹+風疹)の比較

麻疹のワクチンには
麻疹単独ワクチン と 麻疹と風疹の両方が一緒になったMRワクチン
の2種類があります

麻疹の予防対策として 
MRワクチンは  単独ワクチンと同様の効果が期待されます

msn27a

また 麻疹ワクチンのかわりに MRワクチンを接種しても
健康への影響に問題はなく むしろ風疹の予防にもつながる利点があります



<妊娠に関する注意>

妊娠中に麻疹にかかると 流産や早産を起こす可能性があります

msn27


麻疹のワクチンは 生ワクチンという種類のワクチンですので
妊娠している女性は接種を受けることができません

また 妊娠されていない場合でも 接種後2カ月程度の避妊が必要です


このように
既に妊娠しているのであれば ワクチン接種を受けることができませんので

麻疹流行時には
外出を避け人込みに近づかないようにするなどの注意が必要です


また 妊婦さんの家族は 

自分が麻疹にかかって妊婦さんにうつすことがないように
早目にワクチン接種を受けるべきです


msn28

一方 妊娠前であれば
ワクチン未接種 麻疹未罹患の方は
ワクチン接種を受けることを 積極的に検討すべきです



<海外渡航に関する注意>

@外国での発生状況

南北アメリカ 多くの中東 ヨーロッパ諸国では
年間数例から2桁までの非常に少ない報告数にとどまっています

依然として多数の患者の報告があるのは 主にアジア及びアフリカ諸国で
なかでも 中国 インド モンゴル パキスタン ナイジェリアなどからの
報告数が特に多い

msn29


@渡航に際して

麻疹にかかった(検査で診断された)ことがない方が海外渡航される時には

渡航先での麻疹の流行の有無を確かめるとともに
ご自身の麻疹の予防接種歴を確認し

麻疹の予防接種を2回受けていない場合 
または接種既往が不明の場合
予防接種を受けることをおすすめします


msn30

 

 

2018.04.24更新

最近 当院には

「麻疹(はしか)の予防接種はできますか?」

という問い合わせが 大人の方から何件かきています

沖縄で麻疹が流行していることが ニュースで報じられていますし
先日は 厚労省からワクチン接種の勧めが呼びかけられました

msn01

そこで 急遽 麻疹(はしか)について 解説します


<麻疹とは?>

麻疹は 麻疹ウイルスによって引き起こされる 急性の全身感染症

msn02


感染経路は 空気感染 飛沫感染 接触感染

ヒトからヒトへ感染が伝播し
その感染力は 他のウイルスに比べ非常に強いのが特徴です

msn03

麻疹に対する免疫を持っていない人が感染すると ほぼ100%発症します

麻疹は感染力が強く 空気感染もするので
インフルエンザなどと異なり 手洗い マスクのみで予防はできません

msn04


ちなみに書き手は 亡き父が小児科医をしていたので
小さいときに 麻疹のお子さんの患者さんが来院された際に
診察室に連れていかれ 強制的に感染させられた記憶があります

msn05a

まさに 空気感染で 感染させられたわけですね(笑)


<流行>

毎年春から初夏にかけて流行が見られ

発症する患者さんは 0~1歳が中心ですが
最近は 20歳以上の成人例の割合も増加しています

msn12

かつては 小児のうちに麻疹に感染し 自然に免疫を獲得するのが通常でしたが

後述する麻疹ワクチンの接種率の上昇で
自然に感染する人は 少なくなってきています

このように 麻疹そのものが減っているので

ワクチンを1回接種しても
その後の感染者との接触による免疫強化(ブースター効果)が得られず
時間経過とともに免疫が徐々に弱まって来ている人がいるため
成人での発症が増加している可能性があります


平成27年3月 世界保健機関西太平洋地域事務局により
日本は 麻疹の排除状態にあることが認定されました

msn05

しかし その後も
海外からの輸入例を発端として 集団発生事例は起こっています

東南アジアなどからの帰国者や訪日客が持ち込む例が
相次いでいるのです


2018年の動向としては
海外から訪れた人が感染源となって
麻疹にかかる人が  沖縄を中心に急増しています

台湾からの旅行者が感染源で
訪日前にタイを旅行しており そこで感染したとみらます

4月20日時点で
沖縄県内でこの旅行者と接触のあった人 その家族 同僚など
患者数は計67人に上り 沖縄に行った名古屋市の男性も麻疹と診断されました

msn06

そのため 人の行き来が増える連休に感染が広がる恐れがあり
専門家は適切なワクチン接種を勧めている状況です


<症状 臨床経過>

@潜伏期

感染すると 約10~12日の潜伏期を経て
発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が出現します

msn07


@カタル期

2~3日熱が続いた後
39℃以上の高熱 倦怠感 咳 鼻水 くしゃみ 咽頭痛 結膜充血
などが出現し  2~4日間続きます

この時期は 最も感染力が強いので 要注意です

msn08


カタル期の後半 発疹出現の1~2日前には 口の中の奥歯の対面の粘膜に
隆起した1mmほどの白色斑点(コプリック斑)がみられるのが特徴です

msn10


@発疹期

カタル期の発熱が1℃ほど下降したあと
半日ほどして再び39℃以上の高熱が出現する 二峰性の発熱がみられます

それと同時期に 特有の発疹が出現します

msn09

発疹は 耳後部 頸部 前額部から始まり
翌日には 顔面 体幹上腕 2日後には 四肢末端に及びます

初めは鮮紅色で扁平 徐々に隆起して 融合して不整形な斑丘疹になりますが
一部には健常な皮膚も残ります

発疹が全身に広がるまで 39~40℃の高熱が3~4日間続き
症状はカタル期もよりも ひどくなります

やがて発疹は 次第に暗赤色となり 出現順序に従って退色します


@回復期

発疹出現後 3~4日すると解熱し 全身状態も改善してきます

発疹は退色しますが しばらく色素沈着が残ります



@合併症 予後

肺炎 中耳炎を合併しやすく
患者1,000人に1人の割合で 脳炎が発症すると言われています

死亡する割合も 先進国であっても1,000人に1人と言われていますので

はしかは 命の危険も伴う 意外に侮れない疾患と言えます

msn11

その他の合併症としては
10万人に1人程度と頻度は高くないものの
麻疹ウイルスに感染後 特に学童期に
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という中枢神経疾患を発症することもあります


@麻疹を疑うポイント

麻疹の患者さんとの接触の有無 が重要で

*症状が出現する10~12日前に 麻疹患者さんとの接触があったか?

*人が多く集まる場所にいかなかったか?

*麻疹が流行している国に行かなかったか?


初期のカタル期でみられる 普通の風邪と似たような症状があり
上記の条件にあてはまる方は
麻疹の感染を疑い 早目に医療機関に連絡してください


<治療>

残念ながら 麻疹に特異的な治療法はありません

発熱などの症状を和らげる治療が中心になります

また 感染から回復期までの1か月間は 免疫機能低下を招くので
細菌の二次感染に注意が必要です


最大の防御策は 平時のワクチン接種です

ワクチンについては 次回 詳しく説明します



entryの検索

月別ブログ記事一覧

カテゴリ

高橋医院 メールでのお問い合わせはこちら 高橋医院 メールでのお問い合わせはこちら