左利き肝臓専門医ブログ

2018.09.06更新

CKDの治療の柱のひとつが 日々の食事療法です

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<エネルギー摂取量>


エネルギーが多すぎると CKDの原因となる肥満が助長され
糖尿病などのリスクも増えます

一方 少なすぎると エネルギー維持のために筋肉が壊され
血中の尿素窒素などの老廃物が増え CKDが悪くなってしまいます


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多すぎず 少なすぎず

体重の変化と相談しながら 適切な量のエネルギーを摂取することが肝心です


<食塩制限>

食塩を摂りすぎると 血圧が上がり CKDが悪くなりますから
塩分の制限は とても大切です

高血圧と塩分摂取の項で説明しましたが
日本人の1日の塩分摂取量は10gと多いのですが

CKDでは1日6g未満を目標とします

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食塩制限すると 降圧薬の効きが良くなるという利点もあります


但し 極端な制限で 1日3g未満にすると
低ナトリウム血症になって危険なので 注意が必要です


具体的な対策としては

*めん類の 汁 つゆは飲まない
*醤油は かけずに つけるようにする
*汁ものは 具だくさんにして 飲み干さない
*味付けの濃いおかずを減らす
*加工食品を食べ過ぎない
*ラーメン 牛丼 親子丼などは それだけで7gいくので要注意
*梅干し 漬物 干物・シラス・魚卵系を食べ過ぎない

といったことがあげられます

塩分の多い食材やメニューを避けるとともに
醤油などの調味料の使い方に注意することが大切です

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<タンパク質制限>

タンパク質が分解されると 尿素などの老廃物ができますが
腎機能が低下していると排泄されず 血中値が上がり尿毒症になります

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ですから 腎機能の低下が見られ始めたら タンパク質制限が必要になるのです

タンパク質制限により 腎機能の回復はできませんが 進行は止められます


CKDのステージにより 制限の程度が異なります

*1~2では 過剰にタンパク質を摂らないようにする

*3では1日に0.8~1.0g

*4~5では 1日0.6~0.8g

に制限します

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タンパク質の量だけでなく 質も重要です

体内で合成できない必須アミノ酸の摂取が不足すると
体の働きに色々と支障が出てきてしまいます

そこで 必須アミノ酸をバランスよく含んだ食品の摂取が必要になります

*肉 卵 乳製品

*大豆

などを より選択して食べるようにしてください


一方で むやみにタンパク質摂取量を減らすと エネルギー不足になり
エネルギー補充のために筋肉が壊されて
尿素窒素が増えて CKDが増悪してしまいます

そこで 炭水化物や脂質でエネルギーを補う必要が出てきますが
炭水化物を摂りすぎると 肥満や糖尿病のリスクが高くなり
それはそれで CKDを悪化させてしまいます

ですから 上手にタンパク質摂取量を減らす工夫が求められます


具体的な対策としては

*タンパク質を含む食品の摂取量を 現在量の2/3程度に抑える

*主食を
 低タンパク質のタンパク質調整食品の ごはん パン めん類などにして
 その分 おかずを減らさない

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*アミノ酸スコアが高い肉 魚 卵はなるべく減らさない

といったことが大切です


<カリウム制限>

腎機能が低下すると
カリウムの排泄が低下して 血中カリウム値が上昇しますが
カリウム値が増加すると 危険な不整脈が出て危険です

ですから CKDではカリウムの制限も必要になります

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具体的な対策としては

*タンパク質を減らすとカリウムも減ってくるので タンパク質摂取を減らす
*野菜や果物はカリウムを多く含むので 食べ過ぎないように気をつける
*肉や魚は下ゆでするとカリウムが減る
*野菜はゆでる 切って水にさらす 

カリウムは水に溶けるので 水にさらされると減ってくるのです


<食事療法を持続することの困難さ>

現実的には これまで説明してきた食事療法は
「言うは易し 行うは難し」で 持続はなかなか困難です

*自覚症状がないので 食事療法の必要性がわからない 感じられない
*うまく作れない
*薄味で不味くなり口に合わない

患者さんの多くはそのように言われます


そうした場合の対策としては

*宅配食品などを利用する
*医療機関の管理栄養士に相談する

といったことがあげられます


食事療法は 日々の地道な積み重ね が大事で
それによりCKDの進行を食い止めることができます

是非 頑張っていただきたいと思います

 

2018.09.05更新

生活習慣病の腎臓バージョンとも言える
慢性腎臓病・CKDについて解説してきましたが

最後に CKDの予防と早期発見について説明します


<予防と早期発見>

ポイントは

*生活習慣の改善による発症予防

*健診で早期発見する

*見つけたCKDを放置せず 適切な治療を行い重症化予防する

ことです

これができれば 重症化して透析に至らないようにすることが可能です

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@発症予防

生活習慣病の徹底した管理 が重要です

*糖尿病 高血圧 脂質異常症 高尿酸血症などの
 生活習慣病の治療を適切に開始し 途中で中断しないこと

*適正な体重を維持すること

*CKDを引き起こす
 過度の食塩摂取 大量飲酒 喫煙 鎮痛薬などの常用といった
 生活習慣を是正すること


繰り返しになりますが 基本になるのは こうした地道な日々の努力です


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@早期発見

*尿蛋白(尿検査)

*血清クレアチニン・eGFRの検査(採血検査)

を 最低でも年に1回は行うことが推奨されます

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特に これまでしつこく説明してきたように
生活習慣病はCKDの発症の基盤となりますから

生活習慣病がある方は 必ず定期的に 尿蛋白 GFRの検査を行い
CKDの早期発見に努めてください


また 健診で尿蛋白を指摘された場合に
再検査を受けられる方は やっと半数に届く程度で
残念なことに 半数の方は無視されています

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無視せず 必ず医療機関を受診するようにして下さい


<重症化予防>

@CKDの重症度・ステージを把握する

尿蛋白が頻回に認められ CKDが疑われる場合は
尿蛋白定量検査 GFRなどの腎機能検査を実施して
CKDの重症度を把握して 適切な対処をすることが必要になります

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@原疾患の診断を行い 原因のコントロールを行う

CKDの原因疾患で重要な疾患は
透析導入が多い糖尿病性腎症 慢性糸球体腎炎 腎硬化症ですから
それらの疾患の適切な治療を行うことが肝要です

特に 治療によって蛋白尿を減らすことが大きな目標になります


また 再度 繰り返しになりますが

生活習慣病の治療目標を良好に保つことは
CKD重症化予防の重要なポイントです

目標とすべき最低限の指標は

*BMI 25未満

*禁煙

*塩分 3g/日以上6g/日未満

*血圧は
 糖尿病合併では130/80 mmHg未満 非合併では140/90 mmHg未満

*HbA1c 7.0%未満

*LDL-C 120mg/dL未満

です

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@糖尿病合併CKDの重症化予防

糖尿病性腎症の早期診断のため
尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)の定量検査が必要です

尿アルブミン/クレアチニン比が30~299 mg/gCrの
微量アルブミン尿は
心血管疾患の危険因子でもあります 

微量アルブミン尿の段階で発見される腎障害は
可逆的で治療効果が高いため
この段階での腎障害の発見が非常に重要になります

アルブミン尿の程度によって
同じGFRステージでも
心血管死亡や末期腎不全のオッズ比が異なりますから

糖尿病におけるCKD 重症化予防を予測するうえで 重要な指標となります

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このように
糖尿病の方は 尿蛋白定性検査の結果で重症度を判断していると
持続的蛋白尿の出る顕性腎症まで発見されず
予防可能な時期を逃してしまう危険性がありますから

定期的な尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)を
受けるようになさってください

 

2018.09.04更新

CKDにおける生活習慣病の管理の解説を続けます

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糖尿病

糖尿病性腎症の発症・進展抑制には
厳格な血糖値と血圧のコントロールが重要です

厳格な血糖コントロールにより 糖尿病性腎症の発症・進展を抑制できます


管理の目標は

*HbA1c 6.9%(NGSP)未満 5.8(JDS)未満

*血圧は 130/80 mmHg以下

です

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また 糖尿病網膜症の合併頻度が高いため
初診時に必ず眼科で網膜症の評価を行い
定期的な眼科でのフォローアップが必要です


@脂質異常症

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CKDでは 脂質異常症治療薬のスタチン製剤を用いて
脂質異常症の治療を行うことにより
蛋白尿 微量アルブミン量の減少と 腎機能低下の抑制が期待されます

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目標は LDL-C値を 120~100mg/dL未満 にコントロールすることです

糖尿病 脳梗塞 閉塞性動脈硬化症の合併がある場合も
LDL-C 120 mg/dL未満を管理目標とします


@高尿酸血症

CKDによる腎機能低下にともなう尿酸排泄低下により
高尿酸血症の頻度は高まりますが

痛風関節炎の発症頻度は それほど高くはありません

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しかし 女性で血清尿酸値が6.0mg/dLを超えると
末期腎不全のリスクが有意に高まることが報告されており

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血清尿酸値を下げるために
過食 高プリン・高脂肪・高たんぱく質食嗜好 
常習飲酒 運動不足の改善など
生活習慣の改善を指導することが推奨されています


また 腎障害合併例 尿路結石保有例では
尿酸生成抑制薬を使用します

従来から使用されてきたアロプリノール
腎機能に応じた減量が必要ですが

新たな尿酸生成抑制薬のフェブキソスタット(フェブリク)
中等度までの腎機能低下例では 腎機能に応じた減量は不要です


さらに
痛風関節炎を繰り返したり 痛風結石を認める場合は
薬物治療の対象となり
血清尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することが望ましいとされます

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痛風発作時の治療として行われる
非ステロイド性消炎薬の短期間大量投与は
CKD では腎機能悪化のリスクが高いため 避けるようにします


このように 生活習慣病がCKD発症に関与している場合
CKDの進展を防ぐために 厳密な生活習慣病の管理が必要になり
管理がきちんとできていれば CKDの進展は防げると考えられています

 

2018.08.30更新

CKDの治療は

*その原因となる生活習慣を改善すること

*併存する生活習慣病の治療をしっかりと行うこと

につきます

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まず基本は
生活習慣の改善(禁煙 減塩 肥満の改善など)を行うことです

*バランスの良い食事

*適度な運動

*禁煙

*肥満の是正

などを中心に 地道な努力が必要になります

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CKDにおける生活習慣病の治療について
今日は高血圧について説明します

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@治療目標

CKDにおける降圧の意義は
CKD進行の抑制 および心血管疾患の発症や死亡のリスクの軽減で

目標値は 130/80 mmHg
到達した血圧値が低いほど GFRの低下速度が遅くなります

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@生活指導

まず 生活習慣の改善 特に減塩(3 g/日以上6 g/日未満)
減塩により血圧降下薬の降圧効果が増強されます

食塩制限が困難なときには 利尿薬を少量から併用することもあります

サイアザイド系利尿薬(CKDステージG1~G3)や
長時間作用型ループ利尿薬(CKD ステージG4~G5)を併用することで
食塩排泄を促進できるとされています


@薬物治療 第一選択薬

生活習慣の改善だけでは効果が得られないときは
降圧薬を用いた治療になります

糖尿病がない場合は

尿蛋白が正常なら
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)カルシウム拮抗薬 あるいは利尿薬

尿蛋白がある程度あれば
アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)



糖尿病がある場合は
アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)

が用いられます


ACE阻害薬やARBで降圧すると それらが有する腎保護作用により
尿蛋白や尿中アルブミンが減少し
これら薬剤のCKD進行抑制効果の大部分は 尿蛋白減少に依存しています

また 尿蛋白・アルブミン排泄量が多いほど
これらの薬剤による治療効果が期待できると報告されています

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@高齢者など

脳梗塞や狭心症・心筋梗塞などをすでに合併している患者さんでは
過度の降圧により病気を増悪させ かえって死亡率が高まるリスクがあり

特に高齢者では 過度の降圧は 腎機能を悪化させる可能性がありますから

2~3 カ月かけて経過を観察しながら降圧目標値を達成するよう
緩徐な降圧治療が必要とされます


高齢者では
140/90 mmHg を目標に降圧し

腎機能悪化や臓器の虚血症状がみられないことを確認してから
130/80 mmHg 以下に慎重に降圧します

また 過度の降圧は 腎機能を悪化させる可能性がありますから
収縮期血圧110mmHg 未満への降圧は避けます



@併用療法

第一選択薬を使用し 降圧目標が達成できないときには併用療法が必要で
ARBを第一選択薬として降圧目標が達成できないときは

長時間作用型Ca拮抗薬

サイアザイド系利尿薬(CKDステージ1~3)

長時間作用型ループ利尿薬(CKDステージ4~5)

による併用療法を考慮します

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2018.08.29更新

生活習慣病がCKDの重要な原因であることを説明しましたが

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もちろん 腎臓そのものの病気も CKDの原因になり

その代表例が 慢性糸球体腎炎です

CKDの原因疾患としては
糖尿病性腎症についで2番目に多く 18.8%を占めます


<慢性糸球体腎炎とは?>

糸球体に慢性的な炎症を起こす病気の総称で
下記のいくつかの病気が含まれます

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@IgA腎症

日本人にとても多く 慢性糸球体腎炎の原因でいちばん多い病気です


@膜性腎症

尿に大量のタンパクが漏れて ネフローゼ症候群になります


@膜性増殖性糸球体腎炎

稀ですが 比較的若い人に多く
蛋白尿 血尿の両方を呈するのが特徴で
腎不全に進行しやすい


@巣状分節性糸球体硬化症

稀ですが 小児に比較的多く
ネフローゼの原因として多い病気で
腎不全に進行しやすい


代表的な IgA腎症 膜性腎症 について説明します


<IgA腎症>

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日本人でとても多く 慢性糸球体腎炎の原因の約40~50%を占めます

*年間受診患者数は24000人
*男性が68~85% 女性は15~35%と 男性に多く認められます


@高血圧 脂質異常症の合併も 多く見られます


若年成人に多く発症します

*5~10歳の子供 20代が発症のピークで 約80%を占めますが
*50代での発症もあります


@どうして起こる?

*免疫機能を司るIgAタイプの抗体 それが認識する抗原 補体成分のC3
 からなる複合体が 糸球体に沈着するために起こります

*糸球体の毛細血管と 腎臓に入ってくる毛細血管をつなぐ
 メサンギウム領域に免疫複合体が沈着して悪さをします

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自覚症状がほとんどない

*70%は無自覚 無症状で 健診の尿検査などで 偶然見つかります

*30%は風邪などの扁桃腺炎のあとの血尿で見つかる

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@予後

*10年後に15~20% 20年後には 約40%が末期腎不全に進行します

*診断されたときに
 蛋白尿の量が多い(1g/日以上) クレアチニンが高い 血圧が高いと
 予後不良です


@治療

副腎皮質ステロイド薬が中心になります
 経口薬 または 点滴によるパルス治療 が行われます

*抗血小板薬・抗凝固薬も用いられ 蛋白尿減少に有効です

*降圧薬(主にレニンアンギオテンシン系阻害薬)も用いられます

*免疫抑制薬も使われます


*過労や感染症を避けることも大切です

*治療は GFRが低下する前の早期からの開始が重要です


扁桃炎の関与

*扁桃の炎症時にIgA抗体が産生されることから 
 扁桃腺炎が原因の可能性がある と考えられています

*実際に 特に若年者では 扁桃腺炎のあとに発症することが多く 
 扁桃腺炎のあとに血尿が出たら要注意です

*扁桃腺炎を頻回に繰り返す場合は
 扁桃摘出術と その後のステロイド療法で改善することもありますが
 完全な治癒には至らず 再発が多いのも事実です

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@腸管粘膜が絡むアレルギーも関与する?

*腸管では大量のIgA抗体が産生されるため 関与が推察さ
 現在 盛んに研究が行われています



<膜性腎症>

中年以降では 慢性糸球体腎炎の原因として 膜性腎症が増えてきます

*糸球体の血管壁に沈着物(免疫複合体)が沈着してしまうため
 尿にタンパクがもれてしまう病気です

男性にやや多く 40~70歳に好発します

*自覚症状がないことが多く
 検診で蛋白尿陽性を認め 初めて診断されることもあります

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ネフローゼ症候群になりやすい

*ネフローゼ症候群は
 尿中に多量のタンパクが漏れ出す病態で
 1日に3.5g以上(健康人は150mg)漏れます

*蛋白尿 血中アルブミン低下 むくみ・体重増加 高コレステロール血症
 などを認めます

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*膜性腎症は 成人のネフローゼ症候群の原因の30~80%を占めます


悪性腫瘍の合併に注意

*悪性腫瘍が原因となる場合があります
*欧米ではそうした報告が多いのですが 日本では比較的低いとされています


@予後

寛解と増悪を自然に繰り返したりする経過が多く
 自然に寛解することもあります

*ネフローゼ症候群になると 20年間で40%が腎不全に至ります

*男性 60歳以上での初発 クレアチニン値の増加は 予後不良のサインです


@治療

*副腎皮質ステロイド薬と
 免疫抑制薬シクロスポリン シクロフォスファミドの併用が主です

*抗凝固薬・ワルファリン

*脂質異常症には スタチン

*高血圧にはレニンアンギオテンシン系阻害薬が投与され 蛋白尿が減少します


 

2018.08.28更新

CKDは さまざまな原因で発症します

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<CKDの原因となる疾患>

@糖尿病性腎症

人工透析になる原因のいちばんは 糖尿病性腎症
全体の43.8%と多く 現在もその数は増え続けています
(2位は慢性糸球体腎炎で 18.8%と減少中)

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既に説明しましたが 糖尿病になってから10年ほどで発症し
尿検査では 初期に微量アルブミン尿 その後に顕性蛋白尿が出現します


@慢性糸球体腎炎

若年成人のCKDの原因としては IgA腎症が最も多い

免疫機能を司るIgAが糸球体に沈着して 糸球体が障害される病気で
発症10年後に15~20% 約20年後に約40%が
末期腎不全に進行するとされています

なお 中年以降では 膜性腎症がCKDの原因として増えてきます

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@腎硬化症

13.3%と第3位の多さで

高血圧の持続により生じ
動脈硬化により腎血流量が低下することで 腎機能が低下してきます

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@多発性のう胞腎

成人に起こる遺伝性の疾患です



<生活習慣病としてのCKD>

CKDの大きな特徴は
高血圧 糖尿病 脂質異常症 高尿酸血症 などの生活習慣病が
発症・進行に関与することです


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そして 生活習慣病の管理が悪いと

*CKDの累積発症率 相対危険が高まる

*CKDの重症化が促進される

ことが明らかにされています

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また CKDがステージ3~5(GFR 60未満)となる危険因子は
年齢 蛋白尿 血尿+蛋白尿 高血圧 糖尿病 脂質異常症 喫煙
との報告もあります

つまり CKDは生活習慣病の腎臓バージョン とも言えるわけです


では 個々の生活習慣病とCKDの関わりを見ていきましょう


@肥満

肥満によりインスリン抵抗性が強くなればなるほど 蛋白尿が出やすくなり
腎機能が低下すると インスリン抵抗性も強くなり
肥満とCKDの間で 悪循環が生じてしまいます

特に男性では 肥満の影響が大きいとされています


@高血圧

高血圧が CKDの原因となり 悪化を促し
逆に CKDが高血圧の原因 重症化要因になります

血圧が高いほど
蛋白尿が陽性となるリスクが高まり 末期腎不全の発症率が高くなり

血圧を良好にコントロールすることが 最も重要なCKD対策の1つになります


@糖尿病

前述したように 糖尿病性腎症は末期腎不全に至る最大の原因疾患です

十分な血糖管理を行うことで
CKD発症の予防 進行抑制は可能になります


@脂質異常症

動脈硬化の危険因子なので
合併すれば末期腎不全の発症が多くなると予測されますが
わが国では明確な証拠は報告されていません

但し 尿蛋白が増加するほど 脂質代謝異常の合併が多くなることは
明らかにされています


@高尿酸血症

腎障害をきたしますし CKDには高尿酸血症を伴うことが多く

また 高尿酸血症を伴う症例では
高血圧などの危険因子を伴うことが多いことが 報告されています

さらに 高尿酸血症患者では薬物治療によりCKD進展抑制が期待されます



<CKD対策としての生活習慣病改善>

CKDの進行を促進する生活習慣として

*肥満

*食塩の過剰摂取

*過度の飲酒

*喫煙

*鎮痛剤の常用

などが明らかにされていますから

これらの是正が CKD対策として重要になります

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喫煙
CKD の発症・進展因子および蛋白尿のリスク因子ですから
禁煙は CKDの進行抑制と心血管疾患発症抑制のために必須です


適正飲酒量は エタノール量として
男性は20~30 g/日(日本酒1 合)以下 女性は10~20 g/日以下ですが

この程度の飲酒量により
GFRが維持され 蛋白尿を減少させ 腎保護的に働く可能性があります


また 食塩の摂取制限は 6g/日未満が推奨されており
それにより 高血圧 尿蛋白・微量アルブミン 腎機能低下
心血管疾患リスク 死亡リスクが軽減されます


ということで

生活習慣病の腎臓バージョンであるCKDを発症・進行させないためには
生活習慣の改善 合併する生活習慣病の厳密な治療を行い

また

生活習慣病の患者さんは
CKDの発症を見逃さないために 尿蛋白 血清クレアチニンの測定を
少なくとも年に一度は実施することが推奨されます

 

2018.08.23更新

前回 CKDにおける蛋白尿の重要性について説明しましたが
蛋白尿について もう少し説明します


@自覚症状が乏しい早期のCKDでは 検尿だけが発見の手段となり
 蛋白尿の程度により 重症度が評価されます


随時尿での蛋白尿の評価
尿中クレアチニン濃度で補正した量(尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr))
で行い

*正常(0.15 g/gCr未満) 表の横軸のA1

*軽度蛋白尿(0.15~0.49 g/gCr) 表のA2

*高度蛋白尿(0.50 g/gCr以上) 表のA3

と 重症度が評価されます

(糖尿病では 蛋白尿の代わりにアルブミン尿で評価します)



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@なぜ尿に蛋白がでてくるか?

尿に蛋白が出る機序には 以下のようなものがあります

*慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症などの糸球体性病変による
 糸球体の透過性亢進(主にアルブミンが漏れる)

*間質性腎炎などの尿細管障害による尿細管での尿蛋白再吸収の低下
(主にβ2ミクログロブリン α1ミクログロブリンが漏れる)

*骨髄腫などの血中異常蛋白増加により
 糸球体での濾過量増大
 尿細管での再吸収能を超える量の低分子蛋白の尿中へ漏出
(主にB-J蛋白などが漏れる)

*膀胱炎 腫瘍などの下部尿路疾患による血液の尿への混入


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@蛋白尿の病的意義

これまでの検討により 以下のことが明らかにされています

*蛋白尿を有する患者さんでは 尿蛋白が陰性の患者さんに比し予後は悪い

*蛋白尿の量が多いほど 末期腎不全になりやすい

*蛋白尿 血尿ともに陽性例(1+以上)は
 10 年間で約3%が透析導入されている

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こうしたことから
尿蛋白 糖尿病での尿中アルブミンは CKDの予後の指標と考えられています


@生理的蛋白尿

激しい運動をした後 発熱の後 ストレスのかかったとき
起立したときなどでは
蛋白尿が一過性に陽性となることがあります

また 健康な人でも 尿中にわずかに蛋白が出ています

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したがって

*1日150 mg以上の蛋白尿が

持続的に排泄されている場合

に 初めて病的な蛋白尿と評価します


ですから 健診などで蛋白尿の存在を指摘された場合は

*何回か続けて認められるか?

*早朝の安静時の尿でも認められるか?

といった評価を行い 病的意義の有無を判定します


@尿蛋白の検査法

試験紙法を用いて行いますが 外来で簡単に行える検査です

尿蛋白1+では30 mg/dL 尿蛋白2+では100 mg/dL
の量が推定され

尿試験紙法で1+以上は 尿異常として蛋白定量を行います

CKDを疑った場合は 試験紙法による蛋白尿定性を繰り返し検査します

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@血尿

血尿も 蛋白尿と並んで重要な所見です

顕微鏡的で観察される軽度の血尿は
蛋白尿とは独立した末期腎不全の危険因子であり

同程度の蛋白尿では 血尿を伴うほうが末期腎不全のリスクが増加します

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ですから
蛋白尿 血尿が両方陽性の場合 片方だけ陽性よりも要注意なので
必ず受診してください


また40 歳以上の無症候性血尿では
尿路系(腎臓や膀胱など)の悪性腫瘍の可能性が高いため 注意が必要です

 

 

2018.08.22更新

今日は CKDがどのようにして診断されるかという点と
その重症度分類を説明します

<CKDの診断>

CKDの診断基準は 以下のようになっています

*腎機能のGFRが 60 ml/分/1.73m2未満と低下している

*蛋白尿が認められる
・0.15 g/gCr以上の蛋白尿
・30 mg/gCr以上のアルブミン尿

このどちらか または両方が 3か月以上続くこと

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経過としては まず蛋白尿が出て 次第にGFRが落ちてきます

ですから 蛋白尿の段階で早期発見して 手を打つことが大切になります


<GFR・腎機能>

一般的に腎機能の評価は

*血中クレアチニン値 尿素窒素値

*糸球体濾過量(GFR)

で行われます


@クレアチニン

筋肉中のタンパク質が分解されてできた老廃物
 ほとんどが糸球体で濾過されて 尿に排泄されます

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*腎臓の働きが低下すると 血液中のクレアチニンが増加するので
 肝機能におけるAST ALTのように 腎機能低下の血液マーカーになります

*筋肉量が多いほど高くなるので
 年齢 性別 体格差などで 値が異なり 個人差が大きくなります

@血中尿素窒素 BUN

タンパク質の燃えカス
 尿に排泄されるので 腎機能が低下してくると
 血中の値が高くなってきます

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*消化管出血 脱水などの 腎臓以外の原因でも増加するので
 腎機能評価としての意義は クレアチニンより劣ります


@GFR

*腎臓の機能を示す指標です

*血液をろ過して尿を作る糸球体が
 1分間にどれくらいの血液を濾過し尿をつくれるか
 
を表します

*値が大きいほど 腎臓の働きは良好ということです


@eGFR

*GFRを厳密に求めるのは煩雑ですが
 血清クレアチニン値 年齢 性別から
 下記の計算式でeGFRを求めることができます

*eGFR = 194 x 血清クレアチニン値1.094 x 年齢0.287
 (ml/分/1.73m2)(女性は x 0.793)

*標準体表面積(体格を反映)1.73m2で補正し
 筋肉量の多寡を反映させています

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*腎機能の指標として 広く用いられています

*健常人は100 ml/分/1.73m2ですが
 CKDのステージが進むにつれ 徐々に低下していきます

60未満だと 精密検査が必要になります

*短期間でなく 年単位での変化を評価することが重要です


<GFRと病期のステージ>

@ステージ1では 90以上と正常ですが


@ステージ2になると 60~89と軽度低下し
この時点では 自覚症状はありませんが タンパク尿 血尿が出てきます


@ステージ3では 30~59とさらに低下し
夜間頻尿 血圧上昇 貧血といった症状がみられます

GFR が45未満(ステージ3b)の状態になると
全死亡 心血管死亡
末期腎不全への進行 急性腎障害の罹患率が急激に増加し
尿毒症に伴う合併症も発症し始めます


@ステージ4では 15~29と高度低下し
倦怠感 むくみが出てきて 透析 腎移植の準備が必要となります


@ステージ5は 15未満の末期腎不全の状態で
食欲低下 吐き気 息苦しさ 尿量減少などの症状があり
透析 腎移植の適応となります

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<尿蛋白>

自覚症状が乏しい早期のCKDでは 検尿だけが発見の手段となります

随時尿での蛋白尿の評価は
尿中クレアチニン濃度で補正した量
(尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr))で行い

*正常(0.15 g/gCr未満)

*軽度蛋白尿(0.15~0.49 g/gCr)

*高度蛋白尿(0.50 g/gCr以上)

と 蛋白尿の程度が評価されます

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<CKDの重症度>

CKDの重症度は

*GFR

*尿蛋白ACR(アルブミン/クレアチニン比)

の程度により分類され

CKDにともなう 死亡 末期腎不全 心血管死亡発症のリスクを
軽い方から重い方に
緑 黄色 オレンジ 赤の4段階で評価します

ckd28


また CKDとなった原因により 尿蛋白の評価の指標が異なり

*糖尿病では 尿アルブミン定量 または 尿アルブミン/Cr比

*糖尿病以外では 尿蛋白定量 または 尿蛋白/Cr比

が用いられます

糖尿病性腎症の解説で説明したように
糖尿病では 尿中蛋白よりもアルブミンの方が重要視されているからです


GFRは 上述したステージで5段階に評価され

尿蛋白は 多寡により
正常 微量・軽度 顕性・高度 の3段階で評価されます


そして GFRと蛋白(アルブミン)尿の程度の組合せにより
重症度が評価されます


GFRがステージ2より良ければ
尿蛋白が 正常なら緑 微量・軽度だと黄色 顕性・高度だとオレンジ

GFRがステージ3bより悪いと
尿蛋白の程度に関わらず オレンジ 赤になります


つまり GFRが正常や軽度低下の状態であっても
尿蛋白の程度により 重症度の評価は異なるわけで

このことからも 尿蛋白の重要性が示唆されます

 

2018.08.21更新

今月初めにおしっこの話をしましたが
それに引き続いて今日から 尿を作る腎臓の病気の解説をします


読み手の皆さんは

慢性腎臓病 という病気を ご存知ですか?

Chronic kidney disease 略して CKD と呼ばれています

ckd01


そもそも 腎臓の病気そのものが あまりポピュラーではないので
一般の方には馴染みがないかもしれませんが
最近 特に 生活習慣病との関連から注目されています


<慢性腎臓病・CKDとは?>

@CKDは
 腎臓の働きが徐々に低下してきてしまう さまざまな病気の総称
 単純にひとつの病気の名前を表すものではありません


ckd02


@2002年にアメリカ腎臓財団が提唱した 新たな概念で

*慢性的な腎臓病は 自覚症状が少なく 気付かれるのが遅いので
 透析が必要なほど悪化して発見される人が あまりに多い

*そこで より早く発見して対処することの重要性を喚起したい

という目論見のもとに この病態概念が提出されました

@日本人成人の  8人に1人(13%)がCKDで
 患者さんの数は1330万人ほどと 推定されています

ckd03

意外に多くの患者さんが おられるのですよ!


@重要なのは
 糖尿病 高血圧などの生活習慣病が背景因子となって発症することが多く
 生活習慣病の腎臓バージョン と見做されています

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だからこそ 生活習慣病が急増している現代社会において
CKDが注目され始めているのです


<症状と臨床経過>

@CKDは 自覚症状がないまま 徐々に腎臓の働きが低下してしまいます

*腎臓は その働きが半分くらいになっても無症状で
 30%くらいまで低下しないと 自覚症状は出てきません

つまり 症状がないのが最大の特徴で
 気づかないまま放置され 病気が進んでしまう例が多いのです

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自覚症状がないので 健診などで尿や腎機能の異常を指摘されていても
 継続受診しない患者さんが多く
 自覚症状が出て再度受診したときには
 既に腎不全で手遅れなことも少なくありません

だからこそ CKDの怖さについて 認識していただきたいのです


@病態

*腎臓の中心的な働きを行っている 糸球体 という
 血液をろ過して尿を作る部分がゆっくりと壊れていくのが その病態です

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*糸球体の毛細血管が傷つくことなどが原因で起こり
 その毛細血管のダメージには
 高血圧 糖尿病 脂質異常症 肥満 などが関与しています

*糸球体が障害されると
 タンパク尿が出る 
 → 徐々に腎機能が低下する 
 → 腎不全になり透析に至る
 という経過をとってしまいます


@臨床経過

*腎障害が進行すると 尿毒症の症状が出てきます

 尿毒症とは 腎機能障害のために
 老廃物や余分な水分が排泄されずに体内に溜まってくる状況で
 吐き気 かゆみ だるさ むくみ などの症状を認めます

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*また 腎障害の進行にともない
 腎臓で産生されるレニンという血圧を上げるホルモンの分泌が高まるため
 高血圧になり 動脈硬化が進み 腎血流量が減るので
 ますます糸球体の毛細血管が壊れていく という悪循環が形成されます

*最終的には末期腎不全になり 透析導入 腎移植が必要となりますが
 透析患者さんの数は27万人で 年間1万人ずつ増えているのが現状です

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<心血管疾患のリスクファクターである>

@CKDが危険なのは 心血管疾患発症の危険因子であるからです

*CKDの患者さんでは
 心筋梗塞などの心血管疾患の発症リスクが3倍も高まります
 腎機能が低下すればするほど リスクは高くなるのです

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*CKDの特徴である 蛋白尿・アルブミン尿は
 心血管疾患発症の独立した危険因子で
 蛋白尿の増加に従って リスクは高くなります

*特に 糖尿病や高血圧を原因とするCKD患者さんでは
 腎炎を原疾患とするCKD患者さんよりも 心血管疾患発症リスクが高いことが
 明らかにされています


@CKDと心血管疾患の危険因子の多くは共通しています

*CKDは動脈硬化の進行により生じますし それ自体が動脈硬化を促進します

*また CKD患者さんでは
 高血圧 脂質異常症 睡眠時無呼吸症候群などの
 心血管疾患のリスクを高頻度に有しています

*さらに 心血管疾患患者さんはCKDを合併する頻度が高く
 CKDは 心血管疾患の独立した予後規定因子になっています

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こうしたことから
心血管疾患患者さんでは CKDの有無を確認する必要があります

 

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