左利き肝臓専門医ブログ

2016.09.26更新

先週は遅めの夏休みをいただき ご迷惑をおかけしましたが
今日から通常通りの診療ですので 宜しくお願いします


さて 今年も インフルエンザワクチンの話題を提供する頃になりました

1年がたつのは 本当に早いですね


ちょうど去年の今頃の
2015~2016シーズンのインフルエンザワクチンについて 
ご紹介したブログで

*なぜインフルエンザワクチンが有用なのか
*ワクチンの接種は いつ頃した方が良いか?

といった重要な疑問について解説しましたので 興味がある方はご覧ください


ifl201601

 

 

少し復習しますが 

昨年 2015シーズンのインフルエンザワクチンは
2014シーズンまでのワクチンとは 少しモデルチェンジをしました

なぜかというと

ひとくちにインフルエンザウイルスといっても
色々な亜型(サブタイプ)が存在していて

それらのうちのいくつかが 同じシーズンに流行します

ですから たとえば2015年に
W X Y Z という4種類の亜型が流行したとしたら

W亜型のワクチンを接種した人は
W亜型には免疫を有するから かからないけれど 
X Y Z亜型には免疫を有していないから かかるリスクがある

ひどい場合は Xにかかっで治ったあとに Yにかかり
1シーズンに2回もインフルエンザにかかってしまうリスクもある

実際に ワクチンを接種されていない方の中には
そうした不幸な方が毎年おられます


そこで
そのシーズンに流行しそうなインフルエンザウイルス亜型を予測して
それらの全てに対する免疫力ができるようなワクチンを製造する

そこが大きなポイントになります


さて 2014シーズンまでは 3価ワクチンという
3種類(A型2種類・B型1種類)のインフルエンザウイルス亜型
に対する免疫力を誘導するものでしたが

2015シーズンは 4価ワクチンになりました

2014シーズンに流行したインフルエンザウイルスの動態を解析した結果

2015シーズンは
複数の亜型のB型インフルエンザウイルスが流行しそうだと予測されたため
B型インフルエンザウイルスの新たな亜型の抗原が追加されたのです


ifl201602

 

 

さて はたして その予想は当たっていたのでしょうか?

少しオタクな話になり恐縮ですが

今年8月末に 国立感染症研究所と厚生労働省結核感染症課が
2015シーズンのインフルエンザウイルスの流行状況のまとめ
発表しましたので

それを読みながら 検証してみることにしましょう


昨シーズン インフルエンザの流行がスタートしたのは
年が明けた今年1月上旬からで
例年に比べると約2週間 立ち上がりが遅くなりました
(下グラフの赤線が2015シーズン)

2014シーズンは 12月中に流行が開始し
年末年始にはピークに達していたので
(下グラフの緑線が2014シーズン)

それと比べるとずいぶん遅い印象がありました


ピークは2月上旬~中旬にかけてで 例年よりやや遅かったのですが

そのピークの高さ=患者さんの数は例年に比べて多く
過去10年間で2番目の高さとなりました

ifl201603


ゆっくり始まり ゆっくり終わり 患者さんの数は多かった
そんなシーズンでした


さて 流行したインフルエンザのウイルスの亜型ですが

2015シーズン(下図・上段グラフ)は
A・H1亜型(赤)がメインでしたが(50%)

2014シーズン(下図・下段グラフ)では
A・H1亜型の流行は ほとんどみられませんでした(1%)

一方 2014シーズンに85%を占めて主流だったA・H3亜型(緑)
昨シーズンでは8%に過ぎませんでした


また 例年 シーズン当初はA型が流行し 後半にB型が出てきますが

昨シーズンは
最初から B・ビクトリア系統 B・山形系統も多かったのが特徴です

これは 当院に来られるインフルエンザ患者さんを拝見していて実感しました
最初の頃からB型が出てきたので びっくりしたものです

ちなみに A型とB型では症状が異なってきます


また
2014シーズンで 1%に過ぎなかったB・ビクトリア系統(青)
昨シーズンでは 18%に増加し

2014シーズンは12%だったB・山形系統(ピンク)
昨シーズンは やはり22%と増加していました


このように 年によって流行するウイルス亜型のパターンは異なります


ifl201604

 

で 前述したように
昨シーズンのワクチンには 新たなB型亜型が追加されましたが

追加されていたのは
2014シーズンでは1%だったのに 昨シーズンは18%に増加していた
B・ビクトリア系統だったのです!

つまり 予想は大当たり!

しかも 早期から
B・ビクトリア系統もB・山形系統も流行していましたから

早目にワクチン接種を受けていた方は
つらい思いをしなくてすんだことになります


うーん さすがにプロの予測はすごいです!
びっくりしました!



さて 今シーズンのワクチンですが

こうした2015シーズンの流行亜型の解析結果などを踏まえ
以下の4種類のインフルエンザウイルス株で製造されています

*A/カリフォルニア/7/2009(X-179A) H1N1
*A/⾹港/4801/2014(X-263)       H3N2
*B/プーケット/3073/2013        ⼭形系統
*B/テキサス/2/2013           ビクトリア系統

ifl201605


昨シーズンのワクチンと異なるのは
A・H3N2の株が
スイス/(NIB-88)から ⾹港/(X-263)に変更されたことです

これは 昨シーズンに流行したインフルエンザウイルスの解析により
流行したA・H3N2ウイルスの抗原性は
ワクチンに用いられたスイス/(NIB-88)よりも
⾹港/(X-263)に類似していることが判明したからです

一方 残りのA・H1N1 B・山形 B・ビクトリアは
いずれも実際に流行したウイルスの抗原性と
ワクチンに用いた株の抗原性が類似していたことから
前年と同じ株が利用されることになりました

なるほど そういう理由で ワクチンに使われる株が決められているのですね



ちなみに 当院では昨年までは
写真のような 既にシリンジにワクチンが詰められているタイプのものを
使用していました

ifl201606

これだと いちいちバイアルからシリンジに吸い取る必要がないので
防腐剤も入っていなくて良かったのですが

今年は熊本地震で
天草地方にある大手ワクチン製造メーカーの工場が被災したため
このタイプのワクチンは製造されなくなり
製造されるのはバイアルタイプのみです

ifl201607

ワクチン供給量も 前年度より少し減る模様です

こんなところにも 地震の影響が及んでいるのですね



ということで
当院でのインフルエンザワクチン接種は 10月から開始予定です

但し 薬品卸の会社に問い合わせたところ
10月初旬はワクチンの入荷数が少ないかもしれませんので
念のために事前に電話で問い合わせていただいてから ご来院ください



接種費用は昨年同様 税込み3200円 です


今年の流行はいつ頃から始まるかわかりませんが
2014シーズンのように12月から始まる可能性もありますので

11月中には 接種しておかれることをお勧めします


ご不明なことがあれば 遠慮なくお問い合わせください


vaccinecat

あ ネコのワクチンは当院では扱っておりませんので ご容赦ください(笑)



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