左利き肝臓専門医ブログ

2017.12.07更新

健康づくりのための睡眠指針2014・睡眠12箇条 

最終回です

12s21


9. 熟年世代は 朝晩メリハリ 昼間に適度な運動で良い睡眠

@高齢になると 若年期と比べて必要な睡眠時間が短くなる

@寝床で長く過ごしすぎると 熟睡感が減る

*寝床に就いている時間は 生理的な睡眠時間を大きく超えないことが重要

*長い時間眠ろうとして寝床で過ごす時間を必要以上に長くすると
 かえって睡眠が浅くなり 夜中に目覚めやすくなり
 結果として熟睡感が得られない

*9 時間以上寝床にいる人は
 9 時間未満の者と比べて中途覚醒をおこす割合が高い

@適度な運動は睡眠を促進

*週に5 日以上の身体活動が 不眠の発生を抑制する

*昼間の覚醒の度合いを維持・向上し
 睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけることに役立つ  

 主に中途覚醒の減少をもたらし 睡眠を安定させ
 結果的に熟睡感の向上につながる

12s22


10. 眠くなってから寝床に入り 起きる時刻は遅らせない

@眠たくなってから寝床に就く 就床時刻にこだわりすぎない

*就寝する2〜3 時間前の時間帯は一日の中で最も寝つきにくい時間帯

*眠れない人の多くは 望ましい睡眠時間を確保するため
 目覚めなければいけない時刻から逆算して
 寝床に就く時刻を早めに設定しがちだが

 意図的に早く寝床に就くと かえって寝つきが悪くなる

@眠ろうとする意気込みが 頭を冴えさせ寝つきを悪くする

*不眠のことを心配することで 不眠が悪化する

*眠れないときは いったん寝床を出て
 リラックスできる音楽などで気分転換し
 眠気を覚えてから 再度 寝床に就くようにするとよいでしょう

*寝床に入る時刻が遅れても 朝起きる時刻は遅らせず 
 できるだけ一定に保つ

*朝の一定時刻に起床し太陽光を取り入れることで
 入眠時刻は徐々に安定していきます

@眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに

*必要以上に長く寝床で過ごすと さらに眠りが浅くなり
 夜中に何度も目覚めるようになる

*対処としては 積極的に遅寝・早起きにして
 寝床で過ごす時間を適正化することが大事

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11. いつもと違う睡眠には要注意

@睡眠中の激しいいびき・呼吸停止
 手足のぴくつき・むずむず感 歯ぎしりは要注意

*睡眠時無呼吸症候群

*ストレスレッグ症候群

*周期性四肢運動障害

これらの病気があると
一定時間眠っても休息感が得られず 日中に異常な眠気をもたらす

@眠っても日中の眠気や居眠りで困っている場合は専門家に相談

*うつ病は 寝つきが悪く 早朝に目が覚めたり
 熟睡感がないなどの特徴的な不眠を示す

*こうした特徴的な睡眠障害を初期のうちに発見し適切に治療することは
 うつ病の悪化を予防することにつながる

12s23

12. 眠れない その苦しみをかかえずに 専門家に相談を

@専門家に相談することが第一歩

@薬剤は専門家の指示にしたがって使用する

*医師に指示された用法や用量を守り
 薬剤師から具体的な服薬指導を受けることが重要です

*お酒と睡眠薬を同時に飲むと
 記憶障害 もうろう状態等が起こる可能性があり危険です

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ということで
睡眠・覚醒のメカニズム 不眠症 について 解説してきました


当院にも 不眠の悩みで相談に来れらる患者さんは 多くおられます

それぞれの患者さんの状況を詳しくお聞きして

まずは 生活習慣の改善で押すか?
それとも睡眠薬を処方するか?
処方するとしたら どのタイプの睡眠薬か?

個々の患者さんと 説明 相談しながら決めていますので
心配な方は 気軽に相談にいらしてください


2017.12.06更新

健康づくりのための睡眠指針2014・睡眠12箇条 の続きです

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5. 年齢や季節に応じて 昼間の眠気で困らない程度の睡眠を

@個人差はあるものの 必要睡眠時間は6 時間以上8 時間未満

*必要な睡眠時間以上に長く睡眠をとっても 健康になるわけではない

@一晩の睡眠量は 加齢するにつれて徐々に減っていく

*年をとると 徐々に早寝早起きの傾向が強まり朝型化し
 その傾向は男性でより強い

*年をとると 睡眠時間が少し短くなることは自然である

*日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が一番である

12s12


6. 良い睡眠のためには 環境づくりも重要

@習慣としている自分の就寝時刻が近づくと
 脳は目覚めた状態から徐々にリラックスした状態に移り
 やがて睡眠に入っていく

@スムーズに眠りへ移行するには 就寝前の脳の変化を妨げないよう
 自分にあったリラックスの方法を工夫することが大切

*寝床に就く前に少なくとも1 時間は 何もしないでよい時間を確保する

*入浴はぬるめと感じる湯温で適度な時間 ゆったりとするとよい

*およそ30 分以上寝床で目が覚めていたら
 一度寝室を離れるなどして気分を変える

@良い睡眠のためには 環境づくりも重要

*自分の睡眠に適した 寝室や寝床の中の温度や湿度に設定する

*明るい光には目を覚ます作用があるため
 就寝前の寝室の照明が明るすぎたり 特に白っぽい色味であったりすると
 睡眠の質が低下する


12s13


7. 若年世代は 夜更かしを避けて 体内時計のリズムを保つ


@平日と比べて 休日は起床時刻が2〜3 時間程度遅くなる

*体内時計のリズムを乱すことから
 休日後 登校日の朝の覚醒・起床を困難にさせる

*休日の睡眠スケジュールの遅れは 夏休みなどの長期休暇後に大きくなる

*朝 暗いままの寝室で長い時間を過ごすことで
 起床直後の太陽光による体内時計のリセットがうまく行えないことが原因

*体内時計をリセットするには
 起床後なるべく早く太陽の光を浴びることが望ましい

@夜更かしが頻繁に行われることで体内時計がずれ
 睡眠時間帯の不規則化や夜型化を招く

*寝床に入ってから携帯電話 メールやゲームなどに熱中すると
 目が覚めてしまい
 さらに 就床後に長時間 光刺激が入ることで覚醒を助長する

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8. 勤労世代の疲労回復・能率アップに 毎日十分な睡眠を

@日中の眠気が 睡眠不足のサイン

*昼過ぎ以外の時間帯で強い眠気におそわれる場合は
 睡眠不足の可能性がある

*日中の仕事や活動に支障をきたすほどの眠気でなければ
 普段の睡眠時間は足りている

*睡眠時間が6 時間を下回ると 日中に過度の眠気を感じる労働者が多くなる

@睡眠不足は仕事の能率を低下させ 
 睡眠不足が蓄積すると回復に時間がかかる

*人が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは
 起床後12~13 時間が限界で
 起床後15 時間以上では 酒気帯び運転と同じ程度の作業能率まで低下する

*睡眠を「ためる」ことはできないので
 休日にまとめて睡眠をとろうと試みても補えない

*休日に遅い時刻まで眠っていると
 光による体内時計の調整が行われないため 生活が夜型化して
 日曜の夜の入眠困難や月曜の朝の目覚めの悪さにつながる

@午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし 作業能率を改善する

*午後の早い時刻の30分以内の短い昼寝が
 眠気による作業能率の改善に効果的

12s15


続く 


2017.11.30更新

睡眠・覚醒のメカニズム不眠症について解説してきましたが


最後に 2014年に厚労省が出した

健康づくりのための睡眠指針2014・睡眠12箇条

をご紹介します

12s01

この指針が出された背景として

*健康づくりの三大要素(栄養 運動 休養)の中で
 睡眠は最も対策が遅れた分野である

睡眠の異常が 生活習慣病発症 事故の発生 生産効率の低下につながる

という事実があります

睡眠についても本腰を入れなければ というわけです

12s02

これまで解説してきたことのまとめにもなりますので ご覧ください


1. 良い睡眠で からだもこころも健康に

@睡眠には 心身の疲労を回復する働きがある

@睡眠の量的不足 質的悪化により 健康上の問題や生活への支障が生じる

*睡眠時間の不足や睡眠の質の悪化は 生活習慣病のリスクにつながる

*不眠が うつ病のようなこころの病につながる

*睡眠不足や睡眠障害による日中の眠気が
 ヒューマンエラーに基づく事故につながる


12s03


2. 適度な運動 しっかり朝食 ねむりとめざめのメリハリを

@適度な運動の習慣づけは 
 入眠を促進し 中途覚醒を減らすことにもつながる

*1日30分以上の歩行を 週5日以上実施している人
 週5日以上の習慣的運動をしている人は
 入眠困難や中途覚醒を訴える率 不眠症の発症リスクが低い

@しっかりと朝食をとることは 朝の目覚めを促す

*睡眠・覚醒リズムが不規則な人は
 朝食の欠食頻度が多い 朝食の摂取量が少ない 
 昼食や夕食の摂取量が多い といった傾向がある

*朝食を欠食する頻度が多い人ほど
 入眠困難 中途覚醒 早朝覚醒 不眠を訴える割合が多い

*夜食と その後の間食で摂取したカロリーの量の多さは
 入眠に至るまでの長さ 睡眠効率の低さと関係する

*これらの生活習慣の改善によって
 睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけることができる

*一方 就寝直前の激しい運動や夜食の摂取は
 入眠を妨げることから注意が必要


12s04


@睡眠薬代わりの寝酒は睡眠を悪くする

*日本人は 睡眠に問題があっても主治医に相談する頻度は低く
 睡眠のためにアルコールをとる人の割合
(10 カ国の平均19.4% 日本人30.3%)が高い

*飲酒によってレム睡眠は減少し ノンレム睡眠が増加する

*飲酒によって睡眠時間が減少することも示されている

*つまり 飲酒が睡眠を 質・量ともに悪化させる

*飲酒量と睡眠時無呼吸の重症度との関係が示されており
 いびきや睡眠時無呼吸を有する者では飲酒に注意することが必要

@就寝3~4時間前の喫煙やカフェイン摂取を避ける

*ニコチン カフェインには強い覚醒作用があり
 就寝前の摂取は 入眠を妨げ  睡眠時間を短くする


3. 良い睡眠は 生活習慣病予防につながります

@睡眠不足や不眠は 生活習慣病の危険を高める

*短い睡眠時間や不眠が 肥満 高血圧 耐糖能障害 循環器疾患
 メタボリックシンドロームの発症率を高める

*睡眠の変調が 食事や運動などの他の生活習慣の乱れを惹起する

*睡眠不足や不眠を解決することで 生活習慣病の発症を予防できる

@生活習慣病対策で食事や運動指導を行う前に
 まず適切な睡眠が取れているかどうかを確認する必要がある

@睡眠時無呼吸は生活習慣病の原因になる

*治療しないと 高血圧 糖尿病 不整脈 脳卒中 虚血性心疾患などの
 危険性を高める

*減量 禁煙 節酒が睡眠時無呼吸の改善に有効

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4. 睡眠による休養感は こころの健康に重要

@眠っても心身の回復感がなく
 気持ちが重たく 物事への関心がなくなり 好きだったことが楽しめない
 といったことが続く場合は うつ病の可能性がある

*うつ病になると 9 割近くの人が何らかの不眠症状を伴い
 なかでも 睡眠による休養感の欠如は最も特徴的な症状

*次いで 入眠困難 中途覚醒 早朝覚醒が認められる


@不眠がある人は うつ病にかかりやすい

12s06



続く


2017.11.29更新


前回ご紹介した 既に長きに渡り使用されてきた
ベンゾジアゼピン系 非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬に加え

最近は新たな作用機序の睡眠薬が 臨床使用されるようになりました

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@メラトニン

2010年から使用されているのが
メラトニン受容体作動薬の ラメルテオン(商品名・ロゼレム)です

メラトニンは 既に説明したように
体内時計のリズムを整えるのに重要な働きをする物質で

朝 太陽の光を浴びると 分泌が抑制され
その15時間後くらい 夜になると再び分泌されるようになり
ヒトを睡眠に誘います

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メラトニンの分泌は 
糖尿病やストレスで減少し
高齢者では 朝夕の分泌の多寡のメリハリが少なくなり
分泌量そのものも 若年者の半分程度に落ち込んでしまいます


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そこで メラトニンと同じように メラトニン受容体に働きかけて
睡眠を誘導する物質が薬剤として使われるようになりました


メラトニン受容体には M1 M2の2種類があり
M1は催眠作用  M2は体内時計のリズム調節作用がありますが
ロゼレムは その両方に作用して効果を発揮します



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生体内に存在し 睡眠を誘導しているメラトニンと同じ作用を発揮するので
安全性が高く
自然な深い眠りが誘導され 依存症や離脱症状も認めません

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ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の薬は
GABAの作用増強により脳全体を強制的に休ませる作用機序ですから
不自然で浅い眠りになりがちでしたが

ロゼレムは 自然や睡眠が誘導できるのが いちばんのメリットで
入眠障害を訴える不眠症の患者さんに使用されることが多くなってきました


作用発現に1時間ほどかかるので 就寝1~2時間前に投与すると効果的です

また 作用が弱いので 2週間ほど連用しないと効果が出てきません

ですから
ベンゾジアゼピン系などの強くて即効性がある効果になれている患者さんには
最初は満足していただけないのが 唯一の欠点と言えます

時間をかけてゆっくりと 自然な睡眠を取り戻していくという
おおらかな気持ちで服用していただきたい薬です 



@オレキシン受容体拮抗薬

一方 2014年から使用されるようになったのが
オレキシン受容体拮抗薬スポレキサント(商品名・ベルソムラ)です

オレキシンは 既に説明したように 覚醒を維持させる物質ですが

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ベルソムラは2種類存在するオレキシンの受容体OX1R OX2Rに働きかけ
オレキシンが結合できないようにして オレキシンの作用を弱めます


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こうして オレキシンの覚醒維持作用がなくなると
覚醒・睡眠のシーソーが睡眠側に振られ 睡眠が誘導されます


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効果は ベンゾジアゼピン系 非ベンゾジアゼピン系と比べて遜色がなく
即効性があり 服用1日目から充分な効果が得られます

また 入眠効果だけでなく 睡眠維持効果がさらに強いのが特徴で
入眠障害型の患者さんにも 中途・早朝覚醒型の患者さんにも
効果が期待できます


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さらに ロゼレムと同様 自然で深い睡眠を誘導するので
依存症や離脱症状は認めず
今のところは 重篤な副作用も報告されていません

そうした特徴から 発売後5年も経過していませんが
既に処方量は睡眠薬のベスト3に入っているとの話も聞きました


ちなみに 今年2月の某国営放送の某健康関連番組で
ベルソムラは糖尿病の特効薬であるような紹介の仕方をされて
ちょっとケチがついてしまいましたが?(笑)

糖尿病は 不眠があるとコントロールが悪くなるので

自然な睡眠が誘導され依存性が少ないベルソムラが
不眠に悩む糖尿病患者さんへの効果が期待できるのは
決して間違いではありません



@新しいタイプへの切り換えが出来るか?

新たな作用機序の睡眠薬の登場により

ベンゾジアゼピン系 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を
長年使用して依存性などが問題になっている場合

ベルソムラやロゼレムへの変更が 選択肢として使えるようになりました


ただ ベンゾジアゼピン系には
独特のはっきりと眠くなる実感や独特の酩酊感があり
(これは 不自然な眠りの特徴でもあるのですが)

ベルソムラやロゼレムに変えると それらがなくなり満足できない
と訴えられる患者さんも少なくありません

ダメ! と言われる患者さんも少なくなくて
そのあたりが 今後 解決していくべき点と思われます


ということで 

不眠症の薬物治療が ここ10年あまりで大きく変貌したことを
イメージしていただけたでしょうか?

書き手も 新たに睡眠薬を処方する患者さんには
ベルソムラやロゼレムを積極的に使いますし

上述したように ベンゾジアゼピン系を使ってこられた患者さんには
依存や耐性を避けるために 切り換えをお勧めしています



2017.11.28更新

生活習慣 不適切な睡眠習慣の改善では症状が改善しないときは
睡眠薬による薬物治療を行います

日中の活動に支障をきたす不眠が
週3回以上 3か月間以上続いている場合は
薬物治療の適応になります


現在 主に使われている睡眠薬は
ベンゾジアゼピン系 または 非ベンゾジアゼピン系 と呼ばれる種類の薬です

いずれも 神経伝達物質のGABAの受容体の機能を増強します

前に説明したように
GABAは 脳全体に最も広く分布する抑制性の神経伝達物質
覚醒系システムをブロックします

ですから これらの薬により 睡眠が誘導されるわけです


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ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の違いは


睡眠を導入する作用以外に
抗不安作用 や 筋肉を弛緩させる作用 を有しているかどうかです


GABA受容体は ω1 ω2 の2種類があり

ω1は 催眠作用
ω2は 抗不安作用 筋肉弛緩作用 

に関わります


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ベンゾジアゼピン系の薬は
ω1 ω2の両方に作用するので
催眠作用に加えて 抗不安作用があり

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非ベンゾジアゼピン系の薬は
主にω1に作用して ω2への作用は少ないので
抗不安作用はありません

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<ベンゾジアゼピン系>

睡眠導入作用が非ベンゾジアゼピン系に比べ強く
抗不安作用もあるので

患者さんには「よく効く薬」として好評です

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但し その強力さが故に 患者さんはこの薬を使用すると
他の睡眠薬では 効果に満足できなくなってしまう傾向があります

また 抗不安作用が強い薬(デパス ハルシオンなど)は
弱い薬(レンドルミン リスミーなど)に比べると
休薬しにくくなるという欠点があります

さらに 長期にわたり服用し続けると
耐性現象と呼ばれる 効果が次第に減弱する状態が誘導されます

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また 身体的にも精神的にも 
薬に依存する状態が生じるリスクがあります

薬がないと眠れないし 不安になります

さらに
休薬するとすぐに以前よりひどい不眠や不安を感じるようになり
こうした状態を 離脱症状といいます


高齢者では 筋弛緩作用により転んだり骨折したりするリスクもあります

長期にわたり高用量を持続服用していると
こうしたリスクは さらに高まりますから 注意する必要があります

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<非ベンゾジアゼピン系>

抗不安作用がないので
身体依存性は ベンゾジアゼピン系に比べると生じにくく

アモバン マイスリーなどは
軽度の不眠症のファーストチョイスとして使用される頻度が高い薬です

しかし 1年以上服用し続けていると 身体依存が起こる可能性があります



<作用時間>

ベンゾジアゼピン系 非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は
作用持続時間により

*超短時間 半減期1~6時間

*短時間 6~10時間

*中時間 21~36時間

*長時間 65~85時間

に分類され

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入眠困難型の不眠症には 超短時間型 短時間型

中途覚醒・早朝覚醒型には
それより作用時間が長いタイプが用いられます


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<治療の実際>

服用後 15~30分以内には床につくことが大切で
効果を実感するまでには 1~2週間の持続服用が必要です

また アルコールと併用すると
ふらつき もの忘れ 奇異な行動などが起こりやすいので 禁忌です

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睡眠薬治療のゴールは 徐々に減量して いずれは中止することです

服用効果が認められて1か月後くらいから 少しずつ減量します
1/4量ずつを 2~4週間かけて ゆっくりと時間をかけて減らしていきます

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但し ゴールは休薬ですが
適切な用量で日中のQOL(生活の質)の改善が達成されている場合は
絶対に中止する必要はないと言われる専門家もおられます

 

2017.11.23更新

今まで解説してきたような不眠症とは
異なる機序により 睡眠障害を呈する病気があります

こうした場合は
不眠症とは対処や治療の仕方が異なるので 注意・鑑別が必要です


@睡眠時無呼吸症候群

*睡眠中の呼吸停止(1 時間あたり5 回以上)
*強度のいびき 
*日中の過度な眠気 

などを主症状とする病気で

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高血圧 虚血性心疾患 脳梗塞の発症要因になるので 見逃せません

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有病率は 一般人口の1% 以上で 特に中年期に多く
30~60歳の男性で4% 女性では2%前後にみられます

女性では 
睡眠時無呼吸があってもいびきがないことがあるので 要注意です


肥満 脂肪が多く短い首 舌が大きい あごが小さいなどの理由により
上気道が閉塞することにより起こります

*読書中
*テレビを見ているとき
*会議や映画館などでじっと座っているとき
*他人が運転する車に乗っているとき
*自分で運転中
*昼間に休息しているとき
*座って人と話しているとき
*昼食後に静かに座っているとき

などのとき 眠くなることが多い場合は リスクが大です

肥満の方は痩せるのがいちばんの治療ですが
他にも専門的な効果的な治療法がありますから
心配な方は医療機関にご相談ください


@むずむず脚症候群 レストレスレッグ症候群

入眠時に 下肢の異常感覚を感じ 動かざずにいられず
そのために眠れず 入眠障害 熟眠感の欠如を訴えられます

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コーヒーやアルコールを飲むと症状が出やすくなり

脚の運動によって症状は改善します

患者さんは 不眠のせいでこうした症状が生じていると考えられ
まず眠らせてほしいと訴える場合が多いです

患者数は 200~500万人で
女性は男性の1.5~2倍の有病率で 加齢とともに有病率は増加します

約60%に家族性発症があります


脳内のフェリチンの欠乏 ドパミン神経系の機能異常が関与すると推定され

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治療としては
*パーキンソン病の治療に用いられるドパミンを補うレボドパ製剤
*フェリチン欠乏を改善する経口鉄剤
などが有効です


@睡眠時周期性四肢運動障害

夜間睡眠中に 周期的に何度も足や手がぴくついて 目が覚めるので
深く眠れなくなる病気です

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こうした症状は 睡眠の前半に 1時間に15回以上見られます

年齢とともに発症する確率が高くなり

30~50歳では5%
50~65歳では30%
65歳以上では45%

に見られるというデータもあります

不眠は訴えますが 不随意運動を自覚していないことも多いようです

睡眠薬は無効で
むずむず脚症候群でも使用されたレボドパ製剤が有効です



@概日リズム睡眠障害

体内時計のリズムが狂うことにより 昼夜が逆転してしまう病気です

若年層に特徴的なのが 睡眠相後退型(遅寝遅起き)

著しい入眠障害が起こり 朝なかなか起きられず 
午前中にだるさ 眠気を覚えるが
午後になると改善されるというパターンを示します


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気分障害の合併が多く
協力性の欠如 ストレス耐性の低さ・回避傾向なども
しばしば見られます


一方 高齢者では睡眠相前進型(早寝早起き)が多く
夕方から眠くなり 午後7~9時に入眠してしまい
午前3~5時に覚醒します


概日リズム睡眠障害の治療としては

早朝から午前にかけて光を浴びて
体内時計のリズムをリセットするのが有効で

最近は 体内時計の形成に関与する睡眠ホルモンのメラトニン
入眠時間の7時間ほど前に服用する薬物治療も効果が得られています

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@うつ病

うつ病になると 9 割近くの人が何らかの不眠症状を伴い

なかでも 睡眠による休養感の欠如は 最も特徴的な症状で
次いで 入眠困難 中途覚醒 早朝覚醒がみられます

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また

覚醒しているのに床から出られない
食欲低下 興味の減退 が起こる

といった症状も見られます


一方で 不眠がある人はうつ病にかかりやすい傾向もあり
不眠症で来院される患者さんに隠れているうつ病を
見逃さないようにしなければなりません


2017.11.22更新

前回に引き続き 厚労省の 睡眠障害対処・12の指針 を紹介します


6. 規則正しい食事と運動習慣


朝・昼・夕に 3食きちんと食べることは 体内時計の維持に役立ちます

逆に 朝食を抜いたり 夜遅くに食べると 体内時計が狂い
夜遅くの食事は それ自体が入眠を妨げます

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また 昼間に適度な運動をすると
昼夜のメリハリをつけ 心地よい疲れが得られ 自然と眠れるようになります

午前中より夕方の適度な運動が 夜の睡眠には良いとされますが
無理な激しい運動は 睡眠にはかえって逆効果ですから 注意が必要です


7. 昼寝をするなら 午後3時までに 30分以内

体内時計の働きにより 午後の早い時間には一過性に眠気がきます

昼食後の満腹感や 普段の寝不足から 昼寝をしたくなりますが
30分以上寝てしまうと 夜の睡眠に影響が出ます

というのも

適切な睡眠には
一度にある程度の時間をまとめて寝る(メジャースリープ)ことが重要で

昼寝をしすぎて Stage3以上の深い睡眠になってしまうと
夜のメジャースリープが崩れ
いちばん深い眠りの徐波睡眠の時間が減ってしまいます

そうならないためにも 深い睡眠に至らない30分以内の昼寝が望ましい

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昼寝そのものの効果は認められていて
適切な昼寝後には 集中力 意欲が高まり 覚醒レベルが最も上がります

シエスタ(昼寝)が一般的に行われるスペインでは
短いシエスタは脳卒中や高血圧リスクを減らすが
長いシエスタは認知症リスクを増やす  と言われているそうです


8. 眠りが浅いときには 積極的に 遅寝・早起きに

充分な睡眠時間を確保しようとして 必要以上に早く床につくと
結局眠れず 長く寝床で過ごすことになり
さらに眠りが浅くなり 夜中に何度も目覚めるようになります

そこで 積極的に遅寝・早起きにして
寝床で過ごす時間を適正化することが大事です

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遅く寝ることで 眠気(睡眠圧)が高まる時間帯に床につくことになり
結果的に 入眠までの時間が短くなり 睡眠効率が上がります


9. 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止 足のびくつき・むずむず感に注意

睡眠中にそうした現象がみられる場合には
不眠症以外の睡眠障害である
睡眠時無呼吸症候群 や むずむず脚症候群が疑われます
(これらについては あとで詳しく説明します)

不眠症とは対処の仕方が異なるので 注意が必要です


10. 充分寝ても日中の眠気が強いときは 要相談

中枢性過眠症群や 概日リズム睡眠障害の可能性がありますから
医療機関に相談した方が良いでしょう


11. 寝酒は不眠のもと

日本人は 睡眠に問題があっても医師に相談する頻度は低く
睡眠のためにアルコールをとる方の割合が高いですが(30.3%)


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飲酒によって 深い睡眠であるレム睡眠の徐波睡眠は減少し
ノンレム睡眠が 特に睡眠後半に増加します


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また 
飲酒によって睡眠時間が減少すること
長期的には 飲酒が睡眠を質・量ともに悪化させることが
明らかにされています


12. 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安心

生活習慣や不適切な睡眠習慣を改善しても 不眠症が改善しないときは
医師に相談して 睡眠薬の助けを借りるのが良いでしょう

しかし 自己判断で薬の量を増減したりするのは危険なので
服薬中は必ず医師の指示に従ってください

この点については 稿を改めて説明します


以上 厚労省の 睡眠障害対処・12の指針について解説しましたが

それ以外にも

@中途覚醒時に10分眠れなかったら ベッドでなく寝室から出る

横になっているだけでも意味があるというのは間違いで

眠れないままダラダラとベッドの上で過ごしているのは
不眠に対する恐怖感を増すだけなので

眠れなかったら 思い切って起きて寝室を出てリビングなどで過ごし
眠くなったら寝室に戻るようにすると良いでしょう


@どうしても眠れなければ その日は朝まで寝なくても良い

ヒトは必要になったら 本能的に最低限の睡眠は必ずどこかでとるので
眠れないことに過度に神経質にならないようにすることが大事

といった注意も必要です


2017.11.21更新

前回ご説明したように
不眠症の治療は 薬物治療の前に

不眠を慢性化させている生活習慣や睡眠習慣の改善を行うべきで

患者さんご本人にとって 眠りやすい時間帯に 年相応の睡眠を確保する

ことを目標とします


そうした背景のもと 厚労省は

睡眠障害対処・12の指針

を出していますので ご紹介します

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1. 睡眠時間に拘らない 日中に眠くならなければ大丈夫

前回ご説明したように 8時間睡眠信仰にとりつかれたり
眠れないという不安や恐怖があると
脳の覚醒レベルが上がってさらに眠れなくなるという悪循環に陥ります

過度に心配せずに ドンとかまえることが大切です

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2. 寝る前には 刺激物を避け 自分なりの方法でリラックスする

寝る前のリラックスした環境作りは
快適で速やかな入眠を得るために大切です

具体的な注意としては

*パソコンやスマホは 寝る2時間前までに終わらせる

 器機が発するブルーライトによって
 メラトニンが減少して覚醒してしまいます

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*寝る1時間前くらいに ぬるめの風呂に15~20分入って体を暖める

 入眠には深部体温の低下が必要ですが 低下には時間がかかるので
 寝る直前の入浴は 体温が上がり逆効果です

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*ニコチン カフェインには 強い覚醒作用があるので
 就寝3~4時間前の喫煙やカフェイン摂取は避けましょう


3. 就寝時間にかかわらず 眠たくなってから床につく

眠たくないのに 早く寝ようとして床についても
午後5時~10時は覚醒しやすい「睡眠禁止ゾーン」なので
起きたまま床の上で過ごすことになります

そうすると 眠れない という不安感が増すだけで良くありません

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夕食後すぐに床に就かず 家族との団らんや趣味の時間を過ごすなどして

本当に眠くなってから床につき
すぐに入眠できるように心掛けてください


4. 毎日 同じ時間に起きる

普段の寝不足を解消する目的での 休日の朝寝坊は よくありません

体内時計が乱れて 夜型になってしまうリスクもあります

休日に平日より3時間以上遅く起きている人は かえって不眠になりやすい
というデータもありますから

平日と休日の睡眠時間の差は 2時間以内にするのが望ましい

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どうしても休日に長く寝て 睡眠時間を稼ぎたいなら
前日に寝る時間を1~2時間早めた方が良いです


5. 朝起きたら光を浴びる 夜の照明は控えめに

体内時計のリズムを維持するために
朝起きたら太陽の光を浴びて 睡眠ホルモン・メラトニンの分泌を抑え
体全体を目覚めさせるようにしましょう

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逆に 夜に明るいと せっかく増えてきたメラトニン分泌が減って
眠気がそがれてしまいます

特に寝室では 明るい照明は避けるようにしましょう

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続く

 

2017.11.16更新

不眠症になる要因として 次の3つが挙げられています

@不安 ストレス

@体内時計の乱れ

@間違った睡眠習慣

これらの要因が絡み合って 不眠症になるわけですが

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現代の不眠症で特に重要なのは

体内時計の乱れ と 間違った睡眠習慣 です


<体内時計の乱れ>

現代社会では 夜遅くまで明るく お店も開いているので
どうしても夜型の生活習慣になりがちです

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特にそうした傾向は若年層に多く
若い人の不眠症の主たる原因は 夜型の生活による体内時計の乱れです

要は 夜型生活なので 寝るのが遅くなり
しかし朝の始業時間は変わらないので 必然的に眠る時間が減る

だから眠い

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<間違った睡眠習慣>

また 間違った睡眠習慣も 特に中高年で大きな問題になります

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間違った睡眠習慣の代表的な例が 8時間睡眠信仰 です

なぜか世間では 8時間寝ないとマズイ ということになっていて

それを過度に意識するあまり
「眠れないのではないか」という恐怖心が起こり
そのために かえって頭がさえてしまい不眠になる

という 不眠恐怖症ともいえる悪循環が生じます

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そもそも 適切な睡眠時間は人によって異なりますし

それでなくても
高齢になると 中途覚醒が増え 朝の目覚めも早くなります

特に男性は 
40歳代から早朝覚醒が増加
50歳代後半になるとさらに朝型化していくとされていますから
そうしたことは病気ではなく 加齢にともなう生理的な変化なのです

また 歳とともに 眠りの質も 浅くなっていきます

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それなのに 悲しいかな 
若い頃のようなぐっすりとした眠りを求めてしまうのです

平均的睡眠時間は 60代で6.2時間 70代で5.9時間なのに
8時間寝たい 8時間寝ないと体に悪い と信じ
それが故に 8時間寝られないと 自分は不眠症だと思ってしまう



それ以外にも 世の中にはなぜか信じられている
不適切な睡眠習慣がたくさんあります

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寝られないときは横になり 身体だけでも休ませといい は間違い

そんなことをしたら 眠れない恐怖心が育ってしまいます


眠くなるのを期待して早目に布団に入る のも間違い

夜7~10時は 覚醒レベルが高く眠気も弱いので
寝ようとしても眠れないし
無理して寝ると 生理的な睡眠パターンが乱れてしまいます


昼寝を長めにして寝不足を補えばいい のも間違い

昼に30分以上寝てしまうと 夜の睡眠の質が落ちてしまいます


休日の朝に遅くまで寝て 日頃の寝不足を補えばいい のも間違い

そんなことをすると 体内時計が乱れてしまいますから
休日でも平日と同じ時間に起きるべきです


昼寝にしても休日の朝寝にしても
日頃の寝不足を補いたいなら 
前の晩に1~2時間早く寝た方が効果的です


ということで 現代社会における 不眠症の患者さんへの対応は

*乱れた生活パターンがないか?

*誤った睡眠習慣をされていないか?

を詳しくうかがって

該当する点があれば そこを改善していただくことが
ファーストステップになります


睡眠薬を使うのは そのあとです


2017.11.15更新

夜 眠れません!

との訴えで来院される患者さんは少なくありません

でも 眠れなければ不眠症か? というと
そこは何気に微妙なところなのです


<不眠症とは?>

そもそも 不眠症とは どういう状態を指すのでしょう?


アメリカ睡眠学会の定義によると

睡眠の開始と持続 あるいは睡眠の質の障害が繰り返し見られ

*疲労 気分の低下 いらいら 全身倦怠感 認知障害

*社会生活や職業生活に支障をきたし 生活の質が低下する

*子供では 学業成績の低下などを認める

といった 

何らかの昼間の生活における弊害がもたらされる状況が 
不眠症と見做されます

つまり

睡眠に関するトラブルがあることで 昼間の生活に支障があるか?

その点がポイントになるようで

夜眠れなくても 昼間の生活がOKならば 不眠症ではない


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日本の診断基準でも

入眠困難 中途覚醒 早朝覚醒 
慢性的に回復感がない 質の良くない睡眠が続く

といった訴えがある患者さんで  日中の障害が認められる場合 

となっていて


具体的な日中の障害としては

*疲労 倦怠感
*注意力 集中力 記憶力の低下
*社会生活 職業生活の支障 学業の低下
*気分障害 焦燥感  気分がすぐれず イライラする
*日中の眠気
*やる気 気力 自発性の減退
*職場や運転中の過失や事故
*緊張 頭痛 胃腸症状
*睡眠に関する心配 悩み

が 挙げられています


実際に 日本の統計でも
睡眠障害の症状を訴える人は20%以上いるのに

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そのうち本当に治療が必要な人は6~8%で

睡眠障害があることと 不眠症は 別ものと考えるべきで


睡眠障害により 日常生活の障害があるかどうか?

あれば不眠症 

ということになります



<不眠症のタイプ>

さて ホンモノの不眠症ですが 以下の3つのタイプがあります

@入眠障害型  寝床についても 30分~1時間以上眠れない

@中途覚醒型  いったん眠りについても 
        翌朝起床するまでの間 夜中に何度も目が覚める

@早朝覚醒型  通常の起床時間の2 時間以上前に目が覚め その後眠れない

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日本人の不眠症は
20~30歳代に始まり 加齢とともに増加し 中~老年で急激に増加し
男性よりも女性に多い傾向があります

入眠障害型は 各年代ともみられますが
中途覚醒型は 他のふたつのタイプより頻度が多く 60歳以上で特に多い
早朝覚醒型は いちばん頻度が少なく やはり60歳以上で特に多い

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<不眠症の原因別分類>

また 厚労省の不眠症の診断・治療・連携ガイドラインでは
不眠症を原因別に 以下のように分類しています

一過性の適応障害性 ストレスが原因で急性発症し 3か月未満に消失する

別の病気による 痛み かゆみ 呼吸困難 頻尿 などが原因で起こる不眠

不適切な日常の行動・習慣(寝る前のカフェイン ニコチンの摂取など
 による不眠

薬物による不眠(パーキンソン病治療薬 副腎皮質ステロイドなど)

うつ病などの精神疾患による不眠

精神生理性不眠

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このなかでいちばん頻度が高いのが 最後の精神生理性不眠で
これが世間一般で言われている不眠症です

精神生理性不眠 では

*眠れないことにとらわれ 眠ろうと努力すると 余計に眠れなくなる
*心理的要因 不眠への過度の不安により 覚醒レベルが上昇する
*眠れなかった経験による悪影響も原因となる
*完全主義 神経質な中高年の女性に多い
*寝室でない場所 いつもと違う入眠法により改善することがある

といった特徴があります

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最後に 繰り返しになりますが

たとえ 寝つくまでに時間がかかる 夜中に何度も起きる 
といった訴えがあっても

昼間の生活に支障がなければ問題なく  不眠症とは診断されません

この点を ご理解いただければと思います

 

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