左利き肝臓専門医ブログ

2016.05.31更新

NAFLDが
脂質異常症や高血圧などの 生活習慣病不良グループ仲間とつるむことを
前回ご説明しましたが

NAFLDと最高にウマがって 最悪の腐れ縁を形成するのが糖尿病です


そもそも NAFLDの概念が確立する前から

糖尿病患者さんで多いがんは 
膵がん 大腸がんについで 肝細胞がんだったり

糖尿病患者さんの死因の17.5%が 肝疾患であることが
報告されていました

一方 肝臓が悪くなると 糖尿病の治療効果が悪くなる
逆に 糖尿病があると 肝臓病の治療効果が悪くなる

そうした臨床的な経験から
糖尿病と肝臓は関係がありそうだな? と疑われていました


そして NAFLDという病気の存在が確立されたことで
NAFLDと糖尿病の腐れ縁が 明らかとなったのです


どれくらいひどい腐れ縁か

まずは糖尿病の NAFLD NASHとの関連を見ていきましょう

アメリカでは 糖尿病患者さんの65%にNAFLDを認めます


dmnafld1


日本での NAFLD有病率は
空腹時血糖正常群では27% 異常群では43% 糖尿病患者群では62%
やはり糖尿病患者さんで高率にNAFLDが発症しています


また たちが悪いNASHの有病率は 糖尿病があると1.9倍増加し
糖尿病はNAFLDの線維化進行の危険因子と考えられています


dmnafld2


以前ご紹介したように
糖尿病のコントロール状態が悪いと
NAFLからNASHに進行するという報告もあります

さらに これも既にご紹介しましたが
糖尿病が合併していると 合併していない場合に比し
NAFLDにおける肝がんの発症を数倍も高める

というデータもあります


dmnafldhcc


このように 糖尿病があるとNAFLDになりやすいだけでなく
NAFLDの肝内線維化を進ませてしまうリスクがあります



一方 NAFLDの糖尿病との関連を見てみると

糖尿病がないNAFLD患者さんの30~40%に
糖尿病を発症する前段階ともいえる耐糖能異常を認め

NASHでは 20~75%に糖尿病や耐糖能異常を認めます


nashdm1



NAFLDと診断された時点で糖尿病でなくても
経過中に高率(NAFLDでない人の3.5倍)に糖尿病を発症します

つまり NAFLDは独立した糖尿病の発症危険因子なのです


また一般的に 
肝臓の状態が悪いと 糖尿病のコントロールは悪くなりますから
NAFLDやNASHが糖尿病の経過に悪影響を及ぼしているのは
想像に難くありません

NAFLDがあると 糖尿病になりやすいだけでなく
糖尿病の治療効果を弱めてしまうリスクがあるのです


ですから NAFLDの方を経過観察したり治療する場合は

定期的に血糖やインスリンの状態を評価して
糖尿病の早期発見を心掛けなければなりません


このように NAFLDと糖尿病は お互いの発症リスクを高め
併発していると 互いの病気の進行を促進しあってしまう

まさに 腐れ縁 といえます


naflddmkusareen



まあ 前にもご説明したように

NAFLDも糖尿病も その根っこには 
インスリン抵抗性という 共通した原因が存在するわけですし

肝臓は 糖質や脂質の代謝の中心的臓器ですから
もともと糖代謝状態の影響を受けて 脂肪をため込みやすい

ですから NAFLDと糖尿病が最悪の腐れ縁を形成するのも
致し方ないこととも言えます



しかし 腐れ縁で悪影響を及ぼし合いますが
腐れ縁が転じて 良い成果をもたらすこともあります

NAFLDの状態が改善しない方の糖尿病発症率は16.1%ですが

生活習慣を改善されてNAFLDが良くなった方は
糖尿病発症率が3.1%に低下します

NAFLDが良くなれば 糖尿病の発症リスクも減る


つまり 生活習慣を改善して NAFLDまたは糖尿病がよくなれば 
互いに及ぼし合っていた悪影響がなくなり


糖尿病が改善すれば NAFLDは良くなりますし
NAFLDが良くなれば 糖尿病は改善します


不幸にして NAFLDと糖尿病の両方を患っておられる方は
ご自分の努力次第で
こうした「一粒で二度おいしい」効果を得られるわけですから

やはり大切なのは 地道な努力による生活習慣の改善

これに尽きるのですね


でも それがいちばん難しいのも事実で、、、



2016.05.26更新

生活習慣病は その名の通り
食事・運動・喫煙・飲酒・睡眠といった生活習慣の乱れにより
発症進展する病気の総称で

糖尿病 高血圧症 脂質異常症 肥満 高尿酸血症などが
代表的な病気ですが

metsnash

NAFLDもこれらの病気の仲間で 生活習慣病の肝臓バージョンです


生活習慣病は 不良グループのようなもので
厄介なのは グループ内で仲間同士でつるんで悪さをすること

それぞれの病気が 互いに関連しあって発症進展していくのです


たとえば

NAFLDになりやすい危険因子

第1位は 肥満
第2位以下には 脂質異常症 空腹時高血糖
生活習慣病・不良グループの代表メンバーが並んでいます

nafldmets

逆に NAFLDは
高血圧 脂質異常症 糖尿病などになりやすくなる 
独立した危険因子です

つまりNAFLDだと 
年齢や体重に関係なくそれらの病気になりやすい

実際に 肝機能異常でALT値が増加すると
生活習慣病 メタボリックシンドロームになりやすいことが
データとして示されています


ALTmets

また NAFLDにおける 他の生活習慣病の合併率
メタボリックシンドロームが40% 
高血圧が30% 脂質異常症が50% 糖尿病が30%

NASHでは
メタボリックシンドロームが50% 
高血圧が60% 脂質異常症が60% 糖尿病が30%と
さらに高率になります


NAFLDは 脂質異常症ともしっかりつるみます

脂質異常症患者さんの26~58%はNAFLDで
脂質異常症になると NAFLDの発症リスクが23倍も増加します

まあ 脂質の増加がNAFLDの病態の基本ですから
あたりまえといえば あたりまえです


高血圧も NAFLDになる独立危険因子です

NAFLDと糖尿病の関わりは 
話が長くなるので 次回詳しく説明します


ということで 

ほらね NAFLDは不良グループの一員として
糖尿病などの生活習慣病の他のメンバーたちと 
しっかりとつるんでいるでしょう?(笑)


彼等が皆でつるんで何をしているかというと

動脈硬化を進展させて 
心筋梗塞 脳梗塞といった心血管疾患を発症させることです


NAFLDが 心筋梗塞や脳梗塞につながるなんて イメージできますか?


naflmetsheart


書き手が肝臓専門医の試験を受けた頃は
そんなアイデアはなかったし 
そんな問題も出題されませんでした(笑)


NAFLDになると 心血管疾患の発症率を2倍も高めます

しかも NAFLDの方の多くは 脂質異常症もありますから
余計に動脈硬化が進んでしまう

また NAFLDになると 血管の拡張能といった機能が低下していて
NAFLDが改善すると 血管機能も改善すると報告されています

NASHまで行くと 
発症率だけでなく 心血管疾患による死亡率も高くなります

NASHが原因の肝硬変の患者さんは
ウイルス肝炎が原因で肝硬変になられた患者さんと比べて
心筋梗塞や脳梗塞で亡くなる確率が高くなっています


NAFLDの方々は 生活習慣の改善をせずに放っておくと
糖尿病などの他の生活習慣病になりやすいだけでなく
将来 心筋梗塞や脳梗塞にもなりやすいのです

また NAFLDは 生活習慣病以外にも
慢性腎障害(CKD) 骨粗鬆症 肝臓がん以外のがんの発症にも
影響を及ぼすと報告されています


どうですか?

NAFLDの思いもよらない怖さを 認識していただけたでしょうか?


次回は 生活習慣病・不良グループのなかでも
最高に腐れ縁が強力な 
NAFLDと糖尿病の関連について説明します



2016.05.25更新

NAFLDの80~90%は 
単に肝臓に脂肪が溜まったNAFLな状態で

NAFLDの10~20%が
炎症が加わり 線維化している状態のNASHである

そしてNASHは NAFLと異なり
肝硬変や肝がんに進展するリスクがあり
生命予後も健常人に比べて悪いことを説明してきました


以前は NAFLとNASHは別個の独立した異なる病態で
NAFLからNASHに進行することはないと考えられていましたが
最近は NAFLがNASHになることもあると推定されています

では 

*どんなNAFLの方が NASHに進展するか?
*NASHの線維化は改善するか?
*NAFLとNASHを どのようにして鑑別するか?

健診で肝機能異常を指摘されて NAFLDが疑われている方は
そうしたことが とても気になると思います


NAFLの方が 
肝生検という 入院して肝臓の組織を採取する検査を行い
顕微鏡で肝臓内部の線維化がどれだけあるかを評価して

nashbiopsy

診断されてから5年後にもう一度肝生検をして 
再度 線維化の程度を評価した検討では

5年間の経過中に

*線維化が進行したのは 32~53% 
*変わらなかったのが 30~50%
*改善したのが 16~29% 

とされています

nashsenikakaizen

そして前回説明したように
肥満や 既に説明した食生活などの生活習慣が改善されないと
線維化は進行するし

経過中に糖尿病を発症すると やはり線維化が進行する

線維化の進行 つまりNASHになるリスク因子としては

*肝機能のAST(GOT)が高値
*年齢が高い
*糖尿病がある 経過中に発症する
*肥満 経過中に体重が増える
*高血圧を合併している

などがある

こうしたことが 明らかになりました

やはり 生活習慣を改め 
肥満や糖尿病のコントロールを充分にしないと
線維化が進行してNASHになってしまうリスクが高いようです

nashdmprogression


では NAFLかNASHかは どのように鑑別できるのか?

実は ここが頭の痛いところでして


NASHかどうか? 

つまり肝内で炎症があり線維化が進んでいるかどうかは
入院して肝生検検査を受けていただき
顕微鏡で実際の肝臓の状態を目で見ないことには 
正確に評価できないのです

エコーやCT MRIなどの画像検査では 
残念ながら炎症や線維化の程度は評価できませんし

血液検査でも NAFLとNASHを明確に鑑別できる項目はありません

しかし NAFLDが疑われている方 全てに入院していただいて
肝生検検査を受けていただくことは 非現実的です


そこで いくつかの検査項目を組み合わせて
NAFLとNASHを鑑別するスコアリングシステムの開発が試みられ

フェリチン インスリン 4型コラーゲン
の3つの血液検査項目の組合せで評価するNAFIC score
有望視されていますし

nashnafic

血小板という 血液を凝固させる働きを持つ血球細胞の数

nashplate

肝障害を反映するAST(GOT)とALT(GPT)の比率

nashastalt


を用いた NAFLとNASHの鑑別も行われています


AST ALTに関していうと 
ともに肝細胞がダメージを受けたときに血中に放出される物質で

肝障害の程度を評価するときは ALTが指標になりますが
ALTの値は線維化の程度は反映しません

だから NAFLの経過観察をしていくときに
ALT値が安定しているから大丈夫 NASHにはなっていない
とは言えないのです

線維化が進んでくると ALTよりASTの方が高くなってきますから
上述したようにASTとALTの比をみたり
血小板や4型コラーゲンなどの線維化を反映する項目を
あわせて評価していくことが大切になります


また NAFLとNASHを鑑別できるバイオマーカーとして期待されているのが
CK18 fragment という物質です

この物質は 以前にお話しした 
アポトーシスという細胞死に関連するものですが

NASHになると NAFLと比べて 
肝細胞がアポトーシス状態になることが多いので

CK18 fragmentを測定して 
NASHかどうか鑑別しようという目論見です

実際にNASHでは非NASHに比べ 高い値を示します


nashck18 

まだ保険適応はされていませんが
将来 NAFLとNASHを鑑別する強力な武器になるかもしれません


ということで NAFLとNASHの鑑別は一筋縄ではいきませんが

NAFLの方が 生活習慣を改めずに
太ったままでいたり 糖尿病を発症したりすると
NASHになってしまうリスクが高いのは 
間違いないようです

次回は NAFLDの生活習慣病としての側面を紹介します



 

2016.05.24更新

NAFLD 脂肪肝は 贅沢な食事をしている証しだよ
と 自慢して(?)いられないのは

たちの悪いNAFLDである

NASHから 肝硬変や肝がんに進展してしまうことがある

ということが明らかにされてきたからです


このシリーズの最初にも書きましたが

脂肪肝が肝硬変になるなんて 従来の医学では考えられていませんでした
ましてや 肝がんにまでなるなんて 全くの想定外!


だから 医者も 脂肪肝を重視していなかった


しかし NAFLDの10~20%は
炎症や線維化をともなう たちの悪いNASH・脂肪性肝炎で

NASHの5~20%が 5~10年の経過で肝硬変になり

それからおよそ5年間の経過で 
肝硬変の0~15%が 肝がんになってしまう

nashlchcc



ウイルス性肝炎に比べれば 肝がんになる率は少ないものの
良性疾患と考えられていた脂肪肝が 
がんになることがあるなんて、、、

最初にそのデータを見たときには 本当に驚きました

しかし 今やそれが常識です


NASHから10年以上の経過を経て 70歳くらいで発がんすることが多い

発がん率は 男性に多い傾向があります

また 糖尿病や脂質異常症をともなっている方は 発がんしやすい


今やNASHは
日本の肝硬変の原因の2~6%
肝がんの原因の2~5%

C型肝炎がベースの肝硬変に比べ 
発がん率は少なく 予後も良いのですが

経口抗ウイルス薬の普及で 
C型肝炎からの発がんの減少が予測される近い将来
肝がんの原因でいちばん多いのはNASH という日が来るかもしれません


欧米では日本より状況が凄くて
肝がんの原因の10~24%はNASHによるもので

肝硬変や肝がんのために肝移植をしなければいけなくなる原因の第一位は
既にNASHになっています


しかし NASHの方でも 
線維化が進行して 肝硬変や肝がんになる方は少数派です

どんなNASHの方が 病気が進行しやすいのでしょう?

検討によると

*年齢が高い
*糖尿病を併発されている
*肥満が高度
*生活習慣の改善が見られない

といった方では 病態の進行のリスクが高いようです

nashprogression

ということは たとえNASHであっても
張って生活習慣を改善して 
体重を減らしたり 糖尿病にならないように努力すれば
肝硬変や肝がんに進展するリスクを減らせるということです


なお NAFLDの多数を占めるNAFLからの発がん率は低いので
日本で1000~2000万人いると推定されるNAFLDの患者さん全てが
発がんの心配をされる必要はありません


また 肝がんを発がんしなくても
NAFLDになると生命予後が悪いことが明らかにされていますから
注意が必要です

アメリカやドイツからの報告では
NAFLDは健常人に比し生命予後が不良で 死亡率が10%ほど高い

死因は 心筋梗塞などの心血管疾患 悪性腫瘍 肝疾患 の順番で

死亡に関わる因子として

*年齢が高い
*糖尿病を併発している(2.7倍も死亡率が高くなる)
*肝硬変に進展している

といったことが報告されています

特にNASHの予後は NAFLと比べても不良で
肝関連死が有意に高率で(NAFLの13.9倍) 
心血管疾患による死亡率も高率です


但し ここでも
NAFLの生命予後は健常人とほぼ同等との報告もありますから

生命予後に関してもリスクが高いのはNASH ということになります


NASHの危険性を ご理解いただけたかと思います


そうなると 健康診断などで 肝機能異常を指摘されて
NAFLDが疑われている方は

ご自分が NAFLなのか
それとも 
肝がんになるリスクがあり 生命予後が悪いNASHなのか

が とても気になると思います

次回は その点について説明します


もう1点 今日のお話で 気に留めておいていただきたいことは

NASHに糖尿病を併発すると
肝硬変への進展 肝がんの発がん 生命予後
の全てに悪影響を及ぼす 

ということです

NASHと糖尿病の関連については あとで詳しく説明しますから
憶えておいてください

 

2016.05.19更新

NAFLDの患者さんは 
糖尿病の患者に匹敵するくらい たくさんおられることを説明しましたが

では どんな方が NAFLDになりやすいのでしょう?

あとで詳しく説明しますが 

NAFLDは生活習慣病です!


ということは NAFLDになる原因のいちばん大きなものは 
肥満 特に内臓脂肪の増加です

前回ご説明したように 
BMIが25以上の肥満の方は そうでない方に比べて
NAFLDの有病率が有意に高くなる


nafldobesity

なぜ 肥満の人は NAFLDになりやすいのか?


以前ご説明しましたが 内臓脂肪が増えると
脂肪細胞からのアディポカイン産生パターンが変化して
善玉アディポカインが減り 悪玉アディポカインが増えてくる

そうなると 
インスリンが分泌されているのに効きが悪くなる
インスリン抵抗性になってしまいます


insulinR muscle


インスリン抵抗性

前にもお話ししたように 糖尿病の大きな原因のひとつですが

NAFLDの原因でもあります

NAFLD NASHの病態については 稿を改めて説明しますが
インスリン抵抗性の存在が 大きなバックグラウンドになっています

irnaizoushibou


これも 稿を改めて詳しく説明しますが
だからこそ 病態形成にインスリン抵抗性が関わっている
糖尿病とNAFLD・NASHは とても密接に関連しているのです

そんなわけで 肥満の人はNAFLD NASHになりやすい

肥満でなくても 体重増加傾向にある方も要注意なのは 
前回お話しした通りです



「NAFLDになりやすいヒト・チェックリスト」というのがあります

*毎日 お酒を飲む
*太っている または 最近太ってきた
*夜食を食べる
*早食い ストレス食い まとめ食い が多い
*偏食傾向がある 野菜や魚は食べない
*甘いもの 脂っこいものが好き
*カロリーを摂りすぎ
*塩分を摂りすぎ
*運動不足
*不規則な生活をしている

読み手の皆さん 特に お父さん 大丈夫ですか?

NAFLDで受診された患者さんに このリストをお見せすると
「全部 当てはまります!」
と 元気よく答えてくださる方が少なくありません(苦笑)


そんな NAFLDになりやすい方の食事内容を分析すると

とにかく食べる量が多いので 摂取総カロリーが高く

肉類 甘いもの 糖分の入ったソフトドリンクが大好き

脂肪の内容を見てみると
肉 バター クリーム チーズなどの動物性脂肪に多く含まれる
飽和脂肪酸量が多い

いずれ詳しく説明しますが 飽和脂肪酸は悪玉脂肪酸と呼ばれ
動脈硬化を進展させます

一方 魚や食物繊維はあまり食べず
魚油やエゴマ油などの植物油に多く含まれ 
動脈硬化を改善するω3不飽和脂肪酸が少ない

fahouwafuhouwa



このような食事をされていると
体内で飽和脂肪酸が増えて 
さらにインスリン抵抗性が増悪します

ですから 既にNAFLDの方や NAFLDが心配な方は

脂身がたっぷりのお肉や甘いものを控えられ
魚や食物繊維をたくさん食べるように 心掛けてください

なお 果物に含まれる果糖
他の糖質に比べて 肝臓に中性脂肪を貯めやすいので
果物の食べ過ぎは要注意です

fructose nafld



今日のブログを読まれて
 
我が身の生活習慣や食事内容を思い起こされて
急にNAFLDを身近に感じるようになった方!

本当に身近になってしまわないように 充分にお気をつけください!



2016.05.18更新

前回 説明したように
NAFLDには たちが悪いタイプのNASHが存在します

NAFLDの10~20%が NASHと考えられています

nafldnashlc


では NAFLDやNASHの人は どれくらいおられるのでしょう?

NAFLDの有病率は

*欧米では20~40% アジア諸国で10~30%
*日本では10~30% (最新の調査では29.7%) 

日本では1000~2000万人の方が NAFLDを患っていると推定され
この数は糖尿病の方の数に匹敵するほどです

とても多くの方が NAFLD なのです


また たちが悪いNAFLDであるNASHの有病率は

全人口の3~5%

高度肥満者では非肥満者に比し NASHの有病率が高い



今やNAFLDは
慢性肝疾患のなかで最も高頻度に存在する疾患と見做され 

欧米では慢性肝疾患の20~49%程度がNAFLDで

日本でも ウイルス性肝炎の患者さんより
NAFLDの患者さんの方が多いと推定されています

そして ウイルス性肝炎の患者さんの数は年々減少しているのに対して
NAFLDの患者さんの数は 全世界で年々増加していて

日本では1994年の12.9%から 2004年の34.7%と 
10年間で約3倍に増えていて

健診受診者の少なくとも30%は 
脂肪肝・NAFLDを有する
と考えられています


nafldkenshin



男女比を見てみると
男性の40.0% 女性の17.7%がNAFLDで 男性の方が多い

男性では 
30~60歳代の有病率は軒並み30%以上で 各年齢層でほぼ一定
つまり 中高年の男性の3人に1人!は NAFLDの患者さんです

女性では 若い頃はNAFLDの有病率は低いですが
閉経後の高齢の女性では 有病率が著明に上がります

nafldgender


既に何回も 
女性はエストロゲンにより生活習慣病から守られているけれど
閉経後はそのお守りがなくなってしまうので
生活習慣病になりやすくなることを解説しましたが

NAFLDもそれと同じで 閉経後の女性に増えてくる


また NASHも中年男性 閉経後の女性で多い傾向を認めますが

興味深いのは 
NAFLDは男性優位なのに NASHは男女で差がないことで

女性の方が男性より 高頻度かつ短期間で 
NASHへ進行してしまうと推測されています

閉経後の女性は 要注意です!

nafldfemale



ちなみに 男性と女性で NAFLD予後に差異はありません



脂肪肝ですから 当然 肥満と関連し

NAFLDの約80%の人が肥満

肥満の指標のBMI(25以上が肥満)の増加にともない
男女ともに NAFLDの有病率が急激に上昇します


nafldbmi


肥満のある40歳以上の
男性の約50% 女性の25%が NAFLDと見做されています


一方 肥満でない方でも NAFLDになってしまう場合があり
非肥満のNAFLDは全体の約20%を占めます

たとえ BMIが25以下で肥満でなくても
成人後に10Kg以上の体重増加は NAFLDのリスク要因ですし
年齢とともに体重が増えている人は NAFLDになりやすい

BMIが正常な若い人でも
結婚 単身赴任による食生活の変化
運動をしなくなったなどの生活習慣の変化を契機に 

わずか2~3Kgほど体重が増加されたことで 
NAFLDになってしまうことがあります

当院でも 検診で肝機能異常を指摘されて相談に来られ
お酒も飲まないし 肥満でもないのに どうしてでしょう?
と心配される方に色々とよくうかがってみると

上記のような理由で わずかに体重が増加されていて
それが原因でNAFLDになられたと考えられる方が 
とてもたくさんおられます

是非 気をつけていただきたいポイントです


また 子供でもNAFLDになり得ます

小児のNAFLDの有病率は 3%程度で
最近は 年齢とともに増加しているのが特徴的です

2~4歳では0.7% 5~9歳では3.3% 
10~14歳では11.3% 15~19歳では17.3% 
と 大きくなるにつれて 有病率も増加します

小児でも大人と同じで
NAFLDの20~30%がNASHと考えられています

最近は小児のメタボが増えてきていますから 要注意です

nafldchild




NAFLDが どれだけポピュラーな病気か 認識いただけたでしょうか?

特に 中高年の男性 閉経後の女性は 要注意です!

次回は どんな生活習慣の方がNAFLDになりやすいか解説します



2016.05.17更新

健康に関する記事などで
NASH という単語を見かける機会が増えたのではないでしょうか?

NASH ってなんだ?

またダイゴさんが 新しい略語を作った?(笑)


書き手も 十数年前にアメリカ肝臓学会に参加したとき
NASHというアルファベット4文字を あちらこちらで見聞きして

日本ではまだ聞いたことがなかったので 
いったい 何なの? 
と面食らったのを覚えています

NAFLD NASH 

読み方は ナッフルド ナッシュ ですが
最初はそんな読み方も知らなかったので

エヌ・エー・エス・エイチ って なに?

という感じでした(苦笑)

liverdisease


肝臓の病気 と言われて 一番すぐに思い浮かべるのは
おそらくB型肝炎C型肝炎だと思いますが

B型肝炎もC型肝炎も 飲み薬だけで治療できるようになったこの時代

肝臓の病気のトレンドは このNASH なのです


NASHは 
NAFLD:非アルコール性脂肪性肝疾患
Non Alcoholic Fatty Liver Disease
の一部です

NAFLDは NAFLとNASHに分類されます

@NAFL
非アルコール性脂肪肝
Non Alcoholic Fatty Liver

@NASH
非アルコール性脂肪性肝炎
Non Alcoholic Steato Hepatitis

アルコールが関与しない脂肪肝 のことです

nafldnaflnash


肝臓に 単に脂肪が溜まった状態が NAFL
そこに炎症や線維化が加わり 肝炎になっているのが NASH

肝炎の有無が NAFLとNASHの違いです

そして NAFLとNASHをまとめたのが NAFLD


さて 脂肪肝
というと 
読み手の皆さんは どのようなイメージをお持ちでしょう?

贅沢な食生活のシンボル という感じで

ネガティブなイメージでなく
むしろ お金持ちのステータスの贅沢病 といった 
ポジティブなイメージがあるかもしれません

foregras

まあ 要するに ヒトのフォアグラ ですからね(苦笑)


肝臓病専門医のあいだでも かつてはそうしたイメージが主流で
つまり 
それほど重要な病気ではないと認識されていました

実際に 書き手が肝臓病を専攻し始めた頃は
克服すべきはB型肝炎 C型肝炎 肝硬変 肝細胞癌といった病気で
脂肪肝は 全くといっていいほど注目されていなかった

肝臓に脂肪が溜まっているだけでしょ? という感じ(笑)


それが 今や NAFLD NASH といった
ちょっと格好良い(?)アルファベットの名前がついて
学会でもウイルス性肝炎にひけをとらない大きな話題になっています

いったい どうして 
脂肪肝はそれほど注目されるようになったのでしょう?


そもそもNAFLD・脂肪肝は
確かに 単に肝臓のなかに脂肪が溜まった状態で

ウイルス性肝炎のように
肝硬変になったり 肝がんになったりすることはない

と思われてきたのですが


NAFLDのなかには NASH という たちが悪いのがいて

NASHでは 
単に脂肪が溜まっているだけではなく 炎症が起こっていて

ほおっておくと 肝臓のなかに線維がたまってきて
やがて 肝硬変になったり 肝がんになってしまうこともある

nafld2



そうしたことが だんだん明らかにされてきて

脂肪肝は 単なる贅沢者のステータスシンボルではないぞ!
ちゃんと診断して治療をしないといけない病気なのだ!

という認識が 広まってきたのです


しかも あとで詳しく説明しますが

NAFLDやNASHは 現代病ともいえる生活習慣病との関わりが強く
特に糖尿病との腐れ縁が大きいことも 

明らかにされました

foregras2

気の毒な鴨さんたちは 強制的に餌を胃袋に詰め込まれて
脂肪肝であるフォアグラを作らされますが

それを美味しそうに食べるヒトさまは
自ら進んで ヒトのフォアグラ・NAFLDになるのです?(笑)

foregras3


おりしも B型肝炎やC型肝炎の治療が進歩して
それらの病気の克服が視野に入るようになってきた昨今

これまでの肝臓病の主役とも言えた B型肝炎やC型肝炎に代わって
NAFLD NASHが 一躍 脚光を浴びています

まさに スター交代! という感じです


NAFLD NASHは 侮れない脂肪性肝疾患 脂肪性肝炎

健康診断で肝機能異常を指摘され NAFLDが疑われて
心配になって当院を受診される方は とてもたくさんおられます


次回から NAFLD NASHについて 詳しく説明していきます



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