左利き肝臓専門医ブログ

2015.10.29更新

2014年の食中毒発生状況によると ノロウイルスによる食中毒
*事件数では総事件数976件のうち293件(30%)
*患者数では総患者数19355名のうち10506名(54.3%)
で 年々増加傾向にあります

そこで ノロウイルスによる食中毒の予防法を解説します

<家庭での予防法>
家庭で発生するノロウイルス食中毒は 二枚貝 によるものがほとんどです

二枚貝は大量の海水を取り込み プランクトンなどのエサを体内に残しますが 
海水中のウイルスも同様のメカニズムで取り込まれ 体内で濃縮されます

したがって ノロウイルス感染が盛んな冬になると
海に排出される生活用水にノロウイルスが多く含まれるようになるため
ノロウイルスに汚染された二枚貝の頻度が増えることになります

nimaigai

しかし 二枚貝の摂取による食中毒は 生や加熱不足のもので発生しており 
十分に加熱すれば食べても問題ありません

二枚貝の加熱調理でウイルスを失活させるには 
中心部が 85~90℃で 少なくとも90秒間 の加熱が必要とされていますので
そうした条件を満たすように調理して食べれば安心です

kanetsu

特に子供やお年寄りなどの抵抗力の弱い方は 
加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱することが重要です

noroshokucyuudoku


<飲食店での予防法>

食品取扱者や調理器具からの二次汚染を防止することが とても重要です

ノロウイルスに感染した人の糞便や吐物は大量のウイルスを含むため
調理施設の食品取扱者がノロウイルスに感染していると 
ノロウイルスによる食中毒が発生してしまう可能性があります

ですから 食品取扱者は日頃からご自身の健康状態を把握され 
下痢や嘔吐 風邪のような症状がある場合には 
調理施設等の責任者(営業者 食品衛生責任者等)に
その旨をきちんと伝えるべきです

また 調理施設等の責任者は 下痢や嘔吐等の症状がある方を 
食品を取り扱う作業に従事させないようにすべきです


ノロウイルスは 下痢等の症状がなくなっても 
通常では1週間程度 長いときには1ヶ月間もウイルス排泄が続き得るので 
症状が改善後も しばらくの間は
直接食品を取り扱う作業をさせないようにするよう 注意すべきです


調理器具などからの二次汚染防止に関しては
汚染された貝類を調理した包丁 まな板等から 
生食用食材に汚染が広がる可能性があるので注意が必要です

汚染された可能性のある調理台や調理器具は
*洗剤等を使用し十分に洗浄した後 
*次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸すように拭く
*まな板 包丁 へら 食器 ふきん タオル等は 
 熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効
*二枚貝などを取り扱うときは 専用の調理器具を使用する
といった注意をしてください

noroshoudoku


また 飲食店には不特定多数の方々が来店されるため
そのなかにノロウイルス感染者がおられる可能性も考慮して
特にトイレおよびその周囲を清潔に保つことが重要です

トイレでの注意は昨日のブログに詳記しましたが
便座 ドアノブなどは 
必要に応じて迅速に次亜塩素酸消毒液で処置できる体制を
あらかじめ作っておいた方が良いかもしれません


以上3日間にわたりノロウイルスの解説をしてきましたが
適切な方法での手洗いを習慣的に行うことが 一番大事です

ノロウイルスは 予防が一番大切です

このブログの内容を ノロウイルス感染予防に役立てていただければ幸いです



2015.10.28更新

昨日のブログで説明したように ノロウイルスの感染
人から人へ感染する場合 と 食中毒による感染 に大別されますが

noro20


人から人へ感染は 多くの場合

ウイルスが大量に含まれている 患者さんの糞便や吐物 が感染源となります

noro21


家族や会社の方が 万が一 自宅や職場で吐かれたりした場合 
誰かがその処理をせざるを得ません

その時点では 吐かれた方がノロウイルスによる感染性胃腸炎かは不明ですが
ノロによる可能性を考えて 適切な処理を行う必要があります

そこで そうした状況での対処法と注意を解説します


<手洗い>
ノロウイルス感染予防の基本は 手洗いの励行です

手洗いは 手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法で
*調理を行う前(特に飲食業を行っている場合は食事を提供する前も) 
*食事の前
*トイレに行ったあと
*患者さんの汚物処理やオムツ交換等を行った後
 (手袋をして直接触れないようにしていても)
には 必ず行いましょう

norote

常に爪を短く切って 指輪等をはずし 石けんを十分泡立て 
ブラシなどを使用して手指を洗浄します

すすぎは温水による流水で十分に行い 
清潔なタオル又はペーパータオルで拭きます

norote2

石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが 
手の脂肪等の汚れを落とすことにより 
ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります

消毒用エタノールによる手指消毒は
石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりませんが
すぐに石けんによる手洗いが出来ない場合 補助として用い得ます


<次亜塩素酸溶液で消毒する>
ノロウイルスの予防に関して まず知っておきたいことは
アルコールやエタノールではウイルスを消毒できないことです

ノロウイルスを消毒できるのは 次亜塩素酸だけです

noro22

糞便や吐物が付着した床やトイレ 衣類などの消毒には 
次亜塩素酸ナトリウム0.1%(1000ppm)の消毒液

おもちゃ 調理器具 直接手で触れる部分などの消毒には
やや薄めの0.02%(200ppm)の消毒液を用います

家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できますが
使用に当たっては 必ず「使用上の注意」を確認してください

@漂白剤を使っての消毒液の作り方
*次亜塩素酸ナトリウム0.1%(1000ppm)の消毒液は
 500mlペットボトルに 
 通常飲料が入っている程度の水と キャップ2杯分の漂白剤を入れればOK
*0.02%(200ppm)の消毒液は
 2Lのペットボトルに 
 通常飲料が入っている程度の水と キャップ2杯分の漂白剤を入れればOKです


<患者さんの糞便や吐物を処理する際の注意>
ノロウイルスによる胃腸炎患者に接する場合は
ウイルスが大量に含まれている患者さんの糞便や吐物を適切に処理し 
感染を広げないようにすることが大切です

こうした状況は 医療機関だけでなく 家庭や職場でも起こり得ます


注意したいことは 糞便や吐物に汚染されたものから 
汚染されてからかなり長い期間たっても 感染するリスクがあることです

10日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて
感染が起きた事例もあり

時間が経っても 患者の吐物や糞便により汚染された床や手袋などには
感染力のあるウイルスが残っている可能性があります
このため これら感染源となるものは必ず処理する必要があります


実際に処理を行う際の手順 注意は
*使い捨てのガウン(エプロン) マスク 手袋を着用
 (手袋は2枚重ねで着用する)
*処理者以外を近くに立ちよらせない

*汚物中のウイルスが飛び散らないように 
 糞便 吐物をペーパータオル等で静かに拭き取る
*拭き取った後は 次亜塩素酸ナトリウム溶液で浸すように床を拭き取り 
 その後しばらくたってから水拭きする
*広範囲に洗浄する

*おむつ等は速やかに閉じて糞便等を包み込む
*おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は 
 ビニール袋に密閉して廃棄する 
 この際 ビニール袋に廃棄物が充分に浸る量の
 0.1%(1000ppm)の次亜塩素酸ナトリウム溶液を入れるのが望ましい

ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い 
 これが口に入って感染することがあるので
 吐物や糞便は乾燥しないうちに床等に残らないよう速やかに処理し
 処理後はウイルスが屋外に出て行くよう
 空気の流れに注意しながら十分に喚気を行う

*処理後には 手洗い うがいを忘れずに行う

noro29


特に感染源になりやすいのはトイレで 充分な注意が必要です
トイレのドアノブも 忘れないように消毒してください 

*トイレの便座は ノロウイルスに非常に感染しやすく 
 気付かないうちに感染している恐れが大いにあるため 
 座る前に便座の除菌はしっかりと行う
*便座クリーナーをトイレットペーパーにつける
*便座を拭き 拭いたペーパーを流す
*これを2~3回繰り返し行います
*1度使ったペーパーで再度便座を拭かないようにすること!

norotoilet

ドアノブ以外にも カーテン リネン類 日用品などからも
ウイルスが検出されることがありますから注意が必要です


たとえこうした注意を読まれていても
実際に患者さんが急に吐かれたりした場合は 
きっとびっくりしてしまい あたふたして 
感染を広げるような不適切な行動をとってしまう可能性がありますから

家庭や職場で どなたかがリーダーとなり
皆さんで一度シュミレーションされることをお勧めします



2015.10.27更新

冬の感染性胃腸炎といえば ノロウイルスが有名ですが
今年はノロウイルスによる感染性胃腸炎の大流行が懸念されています

<2015年シーズンのノロウイルス感染性胃腸炎は 変異ウイルスに要注意!>
既にノロウイルスによる感染性胃腸炎の感染が広がっていて
この時期としては 大きな流行となった2006年に次いで
過去10年で2番目の多さとのことで 厚労省が注意を呼びかけています

noro1

というのも 今年流行しているノロウイルスは
昨年まで流行していたウイルスとは遺伝子型が異なるため
誰もこのウイルスに対する免疫を有していないので 
大流行する危険性があるのです

noeo2

2014年12月まではGII.4という遺伝子型のノロウイルスが流行していましたが
2015年1月からGII.17変異株(正式にはGII.P17-GII.17)が検出され始め 
2月にはGII.17変異株が優位となり 
今年10月になり新たに感染が増え始めても その傾向が続いているのです

noro2015



上の表に示されているように
昨年は下から6番目のGII.4が多かったのですが
今年に入って1番下のGII.17変異亜株が急に増えてきているのがわかります

このGII.17変異株は 
これまで流行した遺伝子型とは全く異なる新規の遺伝子型で

これまでノロウイルスに感染したことがあり 
ノロウイルスへの抗体を有していても
その抗体はGII.17変異株の感染防御には役立たないと考えられます

つまり 現段階ではGII.17に対する免疫を持っている人は稀で
それだけに 予防や対策をしっかり行わないと 
今年は例年以上に 多くの方が感染する確率が高いと推測されているのです

厚労省が注意を喚起するのには こうした事情があります


<ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒の概説>
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は
例年 11月くらいから発生件数は増加しはじめ 
12月~翌年1月が発生のピークになる傾向があります

冬に多い胃腸炎の代表選手です

ノロウイルスは 
わずか1日で100個ほどのウイルスが10万~1億ほどに急激に増え
感染力のみならず増殖力も高い厄介なウイルスです

手指や食品などを介して経口的に感染してヒトの腸管内で増殖して
感染から1~2日の潜伏期を経て
嘔吐 下痢 腹痛などの症状を起こします

noroshoujyou

突発的な腹痛や吐き気を催すことが多く
トイレにこもりきりにならざるを得ないような激しい嘔吐や下痢
認めることが少なくありません

norogeri

頭痛 発熱 悪寒 筋痛 咽頭痛 倦怠感などを伴うこともありますが 
発熱は軽度な場合が多い


健康な方は これらの症状が1~2日続いた後に治癒して 
後遺症も残りませんが 

子供やお年寄りなどでは 脱水症状を起こして重症化する可能性があるので
充分な注意が必要です


残念ながらワクチンはないので 治療は輸液などの対症療法に限られます


感染経路は主に経口感染
人から人へ感染する場合 と 食中毒による感染 に大別されます

nororoot

人から人への感染は
*ノロウイルスが大量に含まれる患者さんの糞便や吐物から
 人の手などを介して二次感染する
*家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いところで
 飛沫感染等により人から人へ直接感染する 
といった場合があり

食中毒による感染は
食品取扱者(食品製造等に従事する方 飲食店で調理する方など)
 が感染しており その方を介して汚染した食品を食べた場合で 
 近年増加傾向にあります
*汚染されていた二枚貝を 生あるいは十分に加熱調理しないで食べて感染する
といった場合があります


ノロウイルスに感染しているかは 
糞便中のノロウイルスを検査キットで検出して調べますが
健康保険では 3歳未満 65歳以上の方に適用が限られており
それ以外の年齢の方の検査は自費扱いになります

ただし 検査でノロウイルス感染が明らかになっても
前述したように治療は輸液などの対症療法に限られます


ノロウイルスによる感染性胃腸炎は
不幸にして感染された患者さんが出た場合に 
いかにして感染を拡大させないかが 重要なポイントです

冒頭に書きましたように
今年は新しい遺伝子型のウイルスによる大流行が危惧されていますので
例年以上に注意する必要があります

次回はノロウイルスの予防法について 詳しく解説します



entryの検索

月別ブログ記事一覧

カテゴリ

高橋医院 メールでのお問い合わせはこちら 高橋医院 メールでのお問い合わせはこちら