左利き肝臓専門医ブログ

2016.05.11更新

前回 解説したように ビタミンDはさまざまな作用を有していますが

そのなかでもいちばん重要なのが 骨造りです


書き手が初めてヨーロッパに行ったとき もう何十年も前のことですが

街の中で 杖をついて歩いている方がとてもたくさんいて 
驚いたのを憶えています

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ヨーロッパの緯度は日本よりかなり高いですから
冬になると日照時間がとても短くなり 日光=紫外線が足りないので
骨が弱くなって 杖を使用しなければいけなくなる方が多かったのでした

初めてその訳を知ったときには ホントにびっくりしたものです


で 骨を作るのに なぜ日光に含まれる紫外線が必要かというと
前回 説明したように 紫外線がビタミンDの合成を助けるからです

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ビタミンDの体内での合成 について簡単に説明すると

*まず 皮下脂肪に存在するコレステロールが代謝されて 
 プロビタミンD3になり
*紫外線のUV-B(波長280~315nm)により 
 プロビタミンD3がビタミンD3に変わります
*ビタミンD3は ビタミンD結合タンパク質によって肝臓に運ばれ
*肝臓で25(OH)D3に代謝されます
*ついで 腎臓の尿細管に移送され
*腎臓で活性型ビタミンDに変換されます

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こうして出来た 活性型ビタミンDが 
体内の色々な臓器に運ばれ さまざまな作用を発揮します

このように 体内で活性型ビタミンDが作られる出発点は

皮膚に存在するビタミンDの前駆体が 
紫外線によりビタミンD3に変わることです

紫外線の大切さを 再認識していただけたでしょうか?


さて 最近の国の統計調査によると

日本人の多くは ビタミンD が慢性的に不足しているそうで
乳幼児・妊婦・若年女性・寝たきり高齢者等での不足が指摘されています

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そして 女性でのビタミンDの不足は
紫外線がシミやしわの原因になるとされるため
美容上の観点から紫外線を避ける傾向にあることに
起因するのではないか と考えられています


では 体内で必要量のビタミンDを作るために
どれくらいの時間 外で紫外線を浴びればよいのでしょう?

夏の都内なら 直射日光を30分浴びれば十分と言われています

お散歩しても 木陰で休んでも良いし
日傘を差していても半分くらいの量の紫外線を浴びることができますから
ちょっと長めの時間 外にいれば大丈夫です

冬は紫外線の量が減りますから
顔や手に日光を浴びながら1時間ほど歩くと良いようです


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但し 日傘は良いけれど
気をつけなければいけないのが UVカット化粧品です

最近では白い肌を保つために 
日焼け止めやUVカット化粧品を使う人も多いのですが

日焼け止めクリームを塗ると 紫外線がリアルにカットされてしまいます

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SPF30の日焼け止めを塗ると
皮膚がビタミンDを生成する能力が97%もダウンします

ですから 外に出るときは必ず日焼け止めクリームを塗るのではなく
1日に30分程度は 直接 紫外線を浴びた方が
ビタミンDを作るためには良いようです


女性の方にとっては 悩ましい問題かもしれませんが
将来 骨粗鬆症などで悩まなくてすむように ご一考いただきたいと思います


ちなみに 書き手が留学していたスウエーデンは 緯度が高い北の国ですから
夏には 老若男女 皆が貪欲に日光浴を楽しんでいました

5月くらいになると 陽当たりのいいバス停や公園で 
シャツを脱いで日光浴をしている人もいて ホント びっくりしましたよ

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もちろん 日焼け止めクリームは塗っていなかったようです(笑)



 

2016.05.10更新

最近 街で見かけるようになった 季節感を感じるものといえば

日傘をさして歩く女性の姿です!

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5月は 1年でいちばん紫外線が強い時期ですからね

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書き手が小さかった頃は
紫外線を避けるために日傘をさす方は それほど多くありませんでしたが
ここ数年で 一気に増えた気がします

そこで今日は 
日傘は良いけれど 過度のUVカットにはご用心 というお話を


紫外線を沢山浴びると 
皮膚が赤く炎症を起こして 軽いやけど状態になります

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そうなると シミやしわの原因になってしまうので
世の女性の方々は 日傘をさして紫外線を避けられる

さらに最近は 日傘だけでなく 
UVカットのローションやクリームも
外出前に露出部にはたっぷり ばっちり塗られます


でも 紫外線は 悪さをしているだけでなく
体にとってとても大切な働きもしているのです

それは ビタミンDの合成を助ける作用です


ビタミンD 

耳にされたことがあると思います

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骨を強くするカルシウムの
腸管からの吸収を促進し 尿への排泄を抑制することで
血中のカルシウム濃度を維持して 骨を強くするのを助けます

また ビタミンDそのものも
骨を壊す破骨細胞の働きを抑え 骨をつくる骨芽細胞の働きを促進して
間接的に骨を強くすることに貢献します

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ビタミンDは あたかもホルモンのように 
骨以外にもさまざまな臓器に働きかけ
免疫反応の調節や 癌の発症を抑える働きもあります

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ビタミンD受容体は さまざまな細胞の核内に発現していて
多くの種類の遺伝子の転写制御に関わるため
このような多種多様な作用を発揮することになります


成人の1日に必要なビタミンD量は 約15 μgです

ヒトがビタミンDを得る方法は 二通りあり

第一は 食物から得る方法

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魚肉 レバー 鶏卵などの動物性食品からは ビタミンD3が得られ
天日干しシイタケ きのこ 海藻類などの植物性食品からは 
ビタミンD2が得られます

しかし 食物から得られるビタミンDの1日平均摂取量は 約5.5μgで
1日の必要量を満たしていません


そこで重要になるのが ビタミンDを得る2番目の方法

日光を浴びて紫外線に 体内でビタミンDをつくってもらうことです

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バランスのとれた食事をしていても 食事からの摂取量は約5.5μgなので
残りの約10 μgは 日光浴によって補わないと 
ビタミンDは不足することになります


ビタミンDが不足すると

骨が弱くなり 子供はくる病 大人は骨粗鬆症になりやすくなり

最近は 心血管疾患 糖尿病 免疫力低下 うつ 自閉症 癌 なども
ビタミンDの不足で生じてくると報告されていますので


ある程度の紫外線を浴びることは とても大切なことなのです


次回は 紫外線とビタミンDの関連について もう少し詳しく解説します



 

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