左利き肝臓専門医ブログ

2015.05.20更新

腎臓と高血圧は 切っても切れない関係にあります

高血圧だと腎臓が悪くなるし 腎臓が悪いと血圧が上昇する
お互いが悪い影響を与え合って 負のスパイラルが形成されてしまいます

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腎臓が悪いと高血圧になる理由
ですが

既にご紹介したように 
腎臓は塩分(ナトリウム)を排泄・再吸収して体内ナトリウム濃度を調節しています

腎臓が悪くなると
糸球体(血液をろ過して尿を作る部位)のろ過機能が低下するので

ナトリウムの排泄も低下して体内に蓄積します

そんな状態で塩分を過剰摂取したら ますますナトリウムが蓄積し
既にご説明したように浸透圧調整により細胞外液の水分量が増えますから 
血圧が上昇します

これが腎臓が悪くなると血圧が上がる第一の原因です

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また腎臓が悪くなると血圧が上がる原因にはホルモンも関係します

腎臓はレニンという酵素を分泌します

レニンは 肝臓で作られるアンギオテンシノーゲンを分解して
アンギオテンシンⅠにします

アンギオテンシンⅠは アンギオテンシン変換酵素(ACE)により
アンギオテンシンⅡに変換されますが

このアンギオテンシンⅡ
ナトリウムのろ過量が減らし再吸収量を増やすので 血圧が上がります

アンギオテンシンⅡは副腎に働きかけて アルデステロンという
腎臓でのナトリウム再吸収を促進するホルモンを産生させます

これらの機序によりさらに体内にナトリウムが蓄積し 
結果として血圧が上がります


もともとレニンは糸球体への流入血液量が少ないとたくさん分泌されます
たくさん分泌されたレニンがアンギオテンシンⅡを介して血圧を上げて
糸球体に流入する血液量を増やして 
どんどんろ過をして体内の不要なものを排泄させようとするわけです

しかし全身の血圧は正常でも 
糸球体に入る血管に動脈硬化があると流入血液量は減りますから
腎臓は血圧が低いと勘違いしてレニンをたくさん分泌し 
さらに血圧が上がります

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このようにレニン・アンギオテンシン系は血圧を上昇させるため
アンギオテンシンⅡの働きを阻害するアンギオテンシン受容体阻害薬(ARB)
アンギオテンシンⅡへの変換を阻害するアンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)
代表的な降圧剤として多くの高血圧患者さんに処方されています

また慢性腎臓病があると 生理的な夜間の血圧低下がみられなくなり
狭心症や心筋梗塞の発症リスクが高まると言われています


では どうして高血圧だと腎臓が悪くなるのでしょう?

慢性的な腎障害が生じる3大原因は 糖尿病 慢性糸球体腎炎 高血圧です

高血圧による腎障害は腎硬化症と呼ばれ
持続する高血圧により腎臓の血管に動脈硬化が起こり 
血流量が減って腎臓にダメージを与えます

高血圧患者さんの糸球体のろ過機能が加齢とともに低下するスピードは 
高血圧がない方の10倍以上と報告されています

そして腎臓が障害されると 
上記の機序によりさらに血圧が上がり悪循環が生じます
 

このように腎臓と高血圧は悪循環系を形成しているため

腎臓が悪い人は常に高血圧発症の注意をしなければなりません
尿にタンパクが出ている人が高血圧になった場合は
通常の高血圧よりもより厳しい130/80mmHgを治療目標にします

一方 高血圧の人は常に腎機能低下に注意しなければなりません
そのためには尿にタンパクが出ていないか定期的に検査することが大切です

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高血圧で治療をされている方は多いですが
高血圧により腎臓が悪くなることは なかなか実感できないと思います

だからこそ気をつけて 悪循環に陥らないように注意しなければなりません

高血圧で治療をされている方は 是非いちど 
ご自分の腎臓 特に尿タンパクの検査について主治医に相談されてください

2015.05.19更新

塩分過剰の怖さ 食塩感受性高血圧の危険性を説明してきましたが
現実的な日々の減塩について説明したいと思います

健診で血圧が高目だと指摘され医療機関を受診された方は
耳にタコが出来るほど「減塩 減塩」
繰り返し聞かされていることと思います

そうした成果により
高血圧や生活習慣病の予防・改善のために減塩が重要
との認識は高まっていますが

ところがその意識が
必ずしも日々の生活での食塩摂取量の低下には結びついていないようです

日本人の食塩摂取量はやっと1日10gまで減ってきましたが
日本高血圧学会が推奨する目標値:1日6g
世界保健機構WHO推奨の目標値:1日5g
最近の欧米の食に関するガイドラインが勧告する1日3.8g
までは まだまだ大きな隔たりがあります

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しかも 本来ヒトは塩分は1日1gあれば生きていけるわけで
現代人の食塩摂取量は生理的必要量をはるかに超えている事実を
再認識すべきです


では 現代人はなぜそんなに多くの塩分を摂取してしまうのでしょう?

その原因は外食と加工食品です!

お家での食事の際の醤油や味噌の使い過ぎに気をつけましょうと言われますが
実は家庭の調理での塩分摂取量は20~30%に過ぎず 
あとの70~80%の塩分は全部外食や加工食品に含まれているのです

外食では必要以上の塩分が安上がりの満腹感を与えるために添加されているし
鍋焼きうどん ラーメン かつ丼などは それ1品だけで5g越えです

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家庭で食事をしていても加工食品を利用すると一気に食塩摂取量が増えます
魚の焼き物・練り物やハムには塩分が多い 
 カップラーメン インスタントラーメンはそれだけで5g越え!

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忙しい奥さまにとっては 悩ましい限りです、、、

しかも厄介なことに
いちど添加塩分が高い食べ物の味を覚えてしまうと 
食材そのものの味覚に対する感覚が鈍ってしまい

さらに多くの塩分が含まれている食べ物でないと
美味しく感じなくなってしまう

舌にある塩味を感じる味蕾(フグのお話を覚えていますか?)の
ナトリウムチャンネル活性が低下
するために
そのような悪循環スパイラルが進行してしまうのです

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昔と違って現代は塩は安く 人の嗜好にもあっているから 
食産業では大量に塩を使う

また日々のストレス食塩に対する欲求を高めるので 
さらに多くの塩分を摂取してしまう

これが現代社会における塩分中毒の実態です


ですから なるべく外食や加工食品を避けるようにして
しかも出来る限り調味料を使わずに 食材そのものの味を楽しむようにする

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・麺類の汁 スープは飲まない

・丼物は避ける
・醤油は控えめに
・塩の代わりにレモンで味付ける

そして 一気に無理な減塩を推し進めるのではなく
徐々に気長にそうした習慣を身につけるようにすれば 
減塩を現実的に行うことが可能です

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特に先日ご紹介したように
肥満 メタボ 糖尿病などの食塩感受性が高い患者さんは
充分に気をつけていただきたいものです 


それから幼少児がおられるお母さんたちに気をつけていただきたいのは
日本の幼少児の食塩摂取量が多い事実です

幼少期の減塩は大人になってからの血圧上昇を抑制する可能性が報告されていますから
お子さんが欲しがるのはわかりますが 
出来るだけ加工食品は使わないようにしてあげてください

でも 塩っ辛いもの 美味しいのですよね、、、(苦笑)

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2015.05.15更新

血圧の値は一日の間でかなり変動します

一般的には
・朝 目覚めとともに急上昇し 午前中は高いまま維持する
・午後少し下がり 夕方にまた高くなる
・夜には下がり 寝ているあいだは10~20%ほど低下する
といった1日の変動パターンを呈します

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高血圧の人も同様の日内変動パターンを呈します

このような日内変動サーカディアンリズムと呼びますが
朝から午前中にかけては 
血圧を上げる作用を持つ交感神経の働きやホルモンの分泌が活発になり
夜はそれらの働きが弱まることによって血圧が下がります

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この血圧のサーカディアンリズムに異常が見られることがあり
特に夜間から早朝にかけての血圧低下に異常をきたすパターンが
臨床的に重要です

・夜間血圧があまり下がらないタイプ : non-dipper型
・早朝血圧の上昇が著明なタイプ   : Riser型

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睡眠時無呼吸症候群 心不全 腎不全 糖尿病による自律神経障害
などが原因で生じますが
この血圧のサーカデイアンリズムの異常は侮れません

というのも 
夜間血圧が下がらないタイプは心血管病の危険因子となると報告されているからです

特に危険なタイプが早朝高血圧です

早朝血圧が寝る前の血圧より15mmHg以上高く 135/85mmHg以上ある場合で
薬による血圧治療を受けている患者さんの 半数以上が早朝高血圧との報告もあります
(寝る前にも血圧測定してほしいのは この早朝高血圧を見つけるためです)

夜間の血圧低下がわずかで さらに早朝に上昇するタイプ 
夜間は血圧が低下するが 早朝に急激に血圧が上昇するタイプがあり

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早朝に急激に上がるタイプは危険
で 
心血管病 脳卒中のリスクが通常の高血圧と比べても高くなります

早朝には 血圧上昇作用がある交感神経系 ホルモン系(レニン系 コルチゾール系)が活性化し
さらに血管のなかで血が固まり血栓ができやすくなる傾向があるため
脳や心臓の血管が詰まりやすくなると考えられています

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実際に心血管病や脳卒中は午前6時~11時頃の時間帯に多発しますが
その原因に早朝高血圧が大きく関与していると思われます

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このような早朝高血圧による心血管病や脳卒中を避けるためには
・目覚めて10分間くらいは布団やベットで安静にしていて 
 交感神経系が急に活性化するのを防ぐ
・起きたあとも余裕をもって行動する
・起床後に室温が低いため急な温度の変化が起きると余計に血圧が上昇するので
 起床後に寒いと感じないようにすぐに暖かい上着を着る 部屋を暖かくする
といった「起床の仕方」に注意する必要があります 

早朝高血圧は危険なタイプの高血圧ですから
高血圧で薬を飲まれている方は家庭血圧を測定され
ご自身に早朝高血圧の傾向があるか確認されることをお勧めします


サーカデイアンリズムがあるのは血圧だけではありません
この問題は奥が深くて 睡眠障害はもちろん 
糖尿病などの生活習慣病にも関わってきます
またサーカデイアンリズムが形成される機序もだいぶわかってきました

このあたりは興味深いですので また別のシリーズでご説明します

2015.05.13更新

高血圧の患者さんは 診察終了時に「血圧手帳」を渡されて
家で測定した血圧の値をこれに記録して次回見せてください
と言われたことがあることでしょう

診察室で血圧を測ったのに 家でも測る必要があるの? と
不思議に思われる方もおられると思いますが
家庭で血圧を測って記録していただくことは とても重要な意義があるのです

というのも 白衣高血圧という現象があって
病院や医者の前では緊張して血圧の値が実際より高くなってしまう
ことがあるのです

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その点 家ではリラックスして測定するので
リアルな値を把握することが出来ます

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家庭血圧は診察室血圧より5mmHgほど低いとされています

もし診察室での血圧と家庭での血圧が異なる場合は 
家庭での血圧値が診断に用いられます

家庭血圧値は診察室血圧値より予後予知因子として優れている
との報告もあります

また これも大事な点ですが 家で血圧を測っていただくことは 
患者さんが血圧に関する意識を持ち 治療への理解を深めていただく動機付けとしても有用です


逆に診察室での血圧より家庭での血圧の方が高い場合もあります
このようなケースは仮面高血圧と呼ばれますが 
診察室での血圧だけでは見逃されてしまいます

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仮面高血圧は 診察室血圧が正常な人の10~15%に見られます

早朝に血圧が高くなる場合 夜間に血圧が高くなる場合 
昼間に血圧が高くなる場合がありますが

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早朝高血圧は心筋梗塞などの危険因子になりますので注意が必要です
(早朝高血圧については次回詳しく説明します)

夜間高血圧は 心臓 腎臓 自律神経に障害がある方に多く
睡眠時無呼吸症候群でも夜間血圧は上昇します

昼間に職場や家庭で血圧が上がる場合は 
精神的ストレスが関与していることが多いようです

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注意が必要なのは 
高血圧の薬による治療をしていて 
診察室での血圧が140/90mmHg未満でコントロールが良好
とされている患者さんの20%ほどが仮面高血圧であることです

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ですから たとえ診察室での血圧が良好でも 家庭血圧を測定しないと
治療効果が不十分なことを見逃してしまうリスクがあります

喫煙者 お酒をたくさん飲む人 ストレスの多い人 心拍数が多い人 
肥満の人 糖尿病の人 メタボな人 などが仮面高血圧になりやすいので 
そうした方は是非とも家庭で血圧を測定してください

また 家での血圧測定は 朝と夕方または寝る前の測定をお願いしますが
これにより危険な早朝高血圧を見逃さずに診断することが出来ます


このように家庭での血圧測定は色々と有意義ですが 
実際に測定する際に注意していただきたい点があります

まず使用する血圧計ですが 
手首より上腕に巻くカフを巻くタイプの方が正確です

測定するときの姿勢は
・イスに腰をかけて 1-2分安静にしてから
・カフを巻く上腕は心臓の高さで
・カフは肘の少し上に巻いて
・いつも同じ姿勢で測定してください

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朝の測定のポイント

・起きてから1時間以内
・トイレをすましたあと 朝ごはんの前 薬を飲む前
・イスに座って1-2分落ち着いたあと
に測定します

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朝だけでなく夜にも測っていただいて 
朝と夜の家庭血圧が比較できると とても有意義な情報になります

夜の測定のポイント
・夕食後2時間以上経過したあとか できれば就寝前
・トイレに行ったあと イスに座って1-2分落ち着いてから測定する

測定は原則として2回行い その平均値を記録します
 

毎日の測定が理想ですが 無理をする必要はありません

また 測定した値についてとても心配される方がおられますが
1回1回の測定値の高低に神経質にならないように気をつけてください

血圧はちょっとしたことで変動するものです
だからこそ毎日記録していただくことが大切なので 
値にこだわらないようにしてください


いちばん気をつけていただきたいことは

血圧を下げる薬を既に飲まれている方が 
家庭血圧の値が良いからという理由で 
自己判断で薬を飲まれるのをやめてしまうことです

そういう患者さんは少なくないのですが これは大変に危険なことです

薬を飲まれているから値が良いのであって
急に飲むのをやめると反動で血圧が急上昇して 
脳出血を起こす危険性すらあります

この点だけは充分にご注意ください

2015.05.12更新

過剰な塩分の有害性について説明しましたが 
塩分と血圧の関係についてもう少し詳しく解説します

食塩感受性高血圧という概念があります

食塩の摂取により 
体内のホルモンバランス 腎臓での水分や塩分(ナトリウム)の出し入れが変動し
それにより血圧が上昇する病態を示します

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食塩感受性は 有るか無いか 0%か100%のどちらか 
というものではありません

ヒトによって感受性が強い人もいれば弱い人もいる
90%の人もいれば10%の人もいる といったイメージでとらえてください

上図のオレンジ色の線の人は青色の線の人に比べると
塩分摂取量が一定量増した際(横軸の変化)の 血圧上昇の度合い(縦軸の変化)がより大きいので
オレンジ色の人は青色の人より食塩感受性が強いわけです

食塩感受性が強い人は 塩分摂取量増加に敏感に反応して血圧が上がる

欧米人に比べると日本人は食塩感受性が強い人が多く 
日本人の高血圧患者さんの40%ほどは
食塩感受性が強い

一方 感受性が弱い人は 食塩摂取による血圧変動の影響をあまり受けない
日本人の高血圧患者さんの60%は 食塩感受性はそれほど強くない


食塩感受性の強さも 
これまで何回も登場してきた「遺伝因子と環境因子」により規定されます

遺伝因子に関しては
・両親のいずれかが食塩感受性高血圧だと 子供も同じ傾向を示しやすい
・血圧調節に関わるホルモン系を制御するアンギオテンシン変換酵素の
 遺伝子多型
が関与する
といった報告があります

遺伝子多型 覚えていますか?


興味深いのが環境因子です

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なんと肥満が食塩感受性を増大させる重要な環境因子なのです!

・非肥満の人は食塩を摂取しても血圧は上がらないが 
 肥満の人は食塩をとればとるほど血圧が上がる
・肥満の人は 摂取する塩分量を控えると血圧が著明に下がりやすい
・減量すると食塩感受性は弱くなる
・メタボリックシンドロームの人でも 同様の傾向がみられるだけでなく
 食塩摂取量が増えると心臓や腎臓の障害の頻度が増える

といった成績が報告されています

肥満と高血圧は こんな機序でつながっているのですね!

肥満やメタボの人が食塩感受性高血圧になる機序としては
・肥満によるインスリン抵抗性が 腎臓でのナトリウム再吸収を亢進させる
・腎臓でのナトリウム再吸収を亢進させる副腎ホルモンのアルドステロンが高い
といったことの関与が考えられています
(アルドステロンについては また稿を改めてご紹介します)

さて 肥満以外に食塩感受性を増強させる要因としては
・歳をとっている
・女性
・腎障害がある
・糖尿病がある
・脂質代謝異常がある
・ストレスが強い
といったことがあります

糖尿病脂質異常症がここでも顔を出してきます
生活習慣病の方の高血圧は 食塩感受性高血圧である可能性があります


なぜ食塩感受性高血圧が取り沙汰されるかというと 
食塩感受性高血圧は危険な高血圧だからです!

食塩感受性高血圧の人は そうでない人と比較すると
・心臓病や脳卒中を発症するリスクが2倍以上も高い

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・夜間血圧が下がらなくなり
 それ自体が心臓病や脳卒中のリスク因子になる
(夜間血圧については あとでまた詳しく説明します)
・1日の総心拍数が増加し それ自体が心臓病や腎臓病のリスク因子になる
といった事実が明らかにされています

ですから 
食塩感受性高血圧の患者さんはしっかりと血圧の管理をする必要があります
特に夜間血圧の管理を行うことが重要です

もちろん日常生活での徹底した減塩が前提になることは言うまでもありません


食塩感受性がどの程度かは
一定量の食塩水を決められた時間内に点滴した際の血圧変化
を評価しないといけないので そう簡単にはわかりません

しかし肥満 糖尿病 高齢などの食塩感受性高血圧の危険因子がある方は 
まず充分な減塩を心掛けるべきです


また既に降圧薬治療を開始されているが その効果がもうひとつ という方も
ご自分が食塩感受性高血圧である可能性を考えた方がよいでしょう

というのも 食塩感受性高血圧は降圧薬の効き目が悪いことがあるからです

特に現在多く使用されている降圧薬は 
血圧調節ホルモンのレニン・アンギオテンシン系に作用するタイプ
・ACE阻害薬:アンギオテンシン変換酵素阻害薬 
ARB:アンギオテンシンⅡ受容体ブロッカー
肥満やメタボの方の高血圧にはこのタイプの降圧薬がよく使われますが

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食塩感受性高血圧では
このタイプの薬だけでは充分な降圧効果が得られないこともあり

そうした場合は少量の利尿剤を併用するとうまくいくことが多いのです

ということで 現在服用中の降圧薬の効果について不安に思われている方
特に肥満 糖尿病 高齢などの方は 食塩感受性高血圧の可能性があります 
是非 主治医に相談されてみてください

2015.05.09更新

塩分過剰ともいえる現代の食生活ですが 
塩分を取りすぎると具体的に何がマズイのでしょう?

最初に塩分(ナトリウム:Na)と血圧の関係について説明します

ヒトの体には 
細胞を取り囲む液体(細胞外液)の塩分濃度を一定に保つ仕組みがあり
この仕組みに最も深く関係している臓器が腎臓です

ナトリウム濃度が濃くなれば腎臓の糸球体でろ過・排出されますし 
薄くなれば腎臓の尿細管で再吸収されます

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この尿細管におけるナトリウムの再吸収システムこそが
塩分摂取量が少なかった太古の昔に 
体内に塩分を貯めこむためにヒトが身に付けた仕組みで
一端排出したナトリウムをあとで再吸収して保持する巧妙なシステムです

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レニン・アンギオテンシンから連なるアルドステロン
というホルモンが
このシステムに関与しています
(このホルモン系については稿を改めて説明します)


また 浸透圧平衡という生理的な仕組みも 
細胞外液のナトリウム濃度維持に関わっています

浸透圧平衡とは 
膜で隔てられた分画の一方の水分に溶けている成分(溶質)の濃度が上がると
それを薄めるために 溶質濃度の低いもう一方の分画から水分が移動する現象です

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過剰に塩分を摂取して細胞外液のナトリウム濃度が濃くなると
浸透圧が上がります
細胞外液の浸透圧が高くなると 
それを薄めるために細胞内の水分が細胞外液に吸い取られる現象が起き得ます


実際にそんなことが起きたら 
細胞はダメージを受けて意識障害が生じたりして大変です
(下図左の平たくつぶれた細胞のイメージです)

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そこで 細胞内から水分を移動させずに
細胞外液の浸透圧を下げようとする生理的機構が働きます
 
尿を出すのをやめなさい 水をたくさん飲みなさい
という指令が 脳から発せられるのです

細胞外液の高い浸透圧を感知した脳は 
バソプレシンというホルモンを分泌します

バソプレシンの働きにより 
腎臓の遠位尿細管で水分が再吸収されるので 
尿の量が減り水分が保持されます 

また浸透圧上昇により喉の渇きを感知した脳の刺激で 
たくさん水を飲むようになります

その結果 細胞外液の量が増えて血管内の水分量も増えるので
血圧が上がります

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一方 ナトリウムには自律神経の交感神経を緊張させる作用もあります

交感神経が緊張すると血管の平滑筋が収縮するので 
さらに血圧が上がってしまいます

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こうしたもろもろの原因により 塩分をとりすぎると血圧が上がるのです

塩分の過剰摂取が高血圧を引き起こすことを裏付ける証拠として
・食物に自然に含まれる以外の塩分を摂取しないインディアンでは
 高血圧がほとんど見られない
・食塩摂取量が多い民族や集団ほど 高血圧の有病率が高い
・加齢による血圧上昇は 食塩の過剰摂取の累積効果である
といったことが 大規模な疫学調査で明らかにされています

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塩分の過剰摂取により血圧が上昇する仕組み
 
なんとなくイメージしていただけたでしょうか?

もう少し続けますから頑張ってください(笑)


塩分には血圧を上げる以外にも臓器を傷害する働きがあります
これを「血圧非依存性の臓器毒性」と称します

つまり 塩分を摂りすぎると たとえ血圧が上がらなくても
脳出血 脳梗塞 心筋梗塞 狭心症 心臓肥大 腎障害
といった病気になりやすいことが

多くの疫学調査により明らかにされています

また 胃癌 骨粗鬆症 気管支喘息といった 
心臓や腎臓以外の病気も悪くします

塩分は血圧上昇を介さない臓器に対する直接的な有害作用を有しており 
まさに過剰な塩分は体にとって毒なのです

ナトリウムが有する動脈硬化促進作用 交感神経非依存性の血管収縮作用が 
その原因として想定されており
それら以外にも 
酸化ストレスの亢進 インスリン抵抗性の亢進 交感神経の活性化
などが関与すると考えられています

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かなり込み入った話になったので ウンザリされてしまったかもしれませんが
過剰な塩分摂取が血圧を上昇させ 心臓や腎臓を傷めつける 
というイメージを持っていただければ幸いです


前回もコメントしましたが
塩分は生きるために必要で かっては貨幣と同じくらい価値があったので
ヒトは進化の過程で再吸収というシステムまで作って
体内に保持しようとしましたが

塩が豊富に手に入る今の世の中では 
その過剰摂取による高血圧などの塩毒性が健康上の問題になってきている

なんとも皮肉なことですが
より大きな問題は 多くの人々がこうした問題点を実感できず 
塩分中毒ともいえる日々の食生活を何の疑問もなく続けていることでしょう

確かに血圧はかなり高くならないと自覚症状が出ませんが 
だからこそマズいのです

日々の食生活でどれだけ塩分を摂りすぎているか 
それがどれだけ危険なことか

これを機会にちょっと考えてみていただけたらと思います

2015.05.08更新

日本人の高血圧と切っても切り離せないのが 塩分のとりすぎです

血圧が高くなるから塩分を控えましょう!

患者さんは耳にタコが出来るほど聞かされていることと思います

書き手が医学生の頃は 目標とされる塩分摂取量は1日10gでしたが
2011年の国民健康・栄養調査では10.4gまで低下しています

しかし2012年に発表された2022年までの国の目標値は 1日8g
日本高血圧学会の推奨では 1日6g未満
世界保健機構(WHO)のガイドラインでは 1日5g未満
日本人の塩分摂取量は着実に減少してきているものの 
まだまだ理想には程遠いのが現実です

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では どうして塩分のとりすぎは高血圧によくないのでしょう?

その答えを得るには まずヒトと塩分の関わりについて
太古の昔にまでさかのぼって見る必要があります


ヒトの体の60%は水分で出来ていますが 
その1/3は細胞を取り囲んでいる細胞外液です

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細胞外液にはナトリウム(塩分)や塩素などが含まれていて 
その組成は海水にとても似ています

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太古の昔 ヒトの祖先は海の中に住む生き物でしたから 
海を懐かしんだのかどうか定かではありませんが
海から上がって陸に住むように進化したヒトは 
自らの細胞の周りを海水で取り囲むような体
を作り上げました

下のグラフをご覧になってわかるように
細胞内液はカリウム(K)が主体ですが 
細胞外液は海水成分のナトリウム(Na)が主体です

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しかし 塩分が豊富な海と異なり 陸では塩は大変な貴重品でした

給料を意味する英語のサラリーの語源はソルトという話もありますし

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昔は塩は貨幣の代わりとして使われたり 
ヨーロッパでは塩山の争奪をめぐり戦争が起きたこともある
日本でも「敵に塩を贈る」ということわざもあるくらいです

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ちなみに旧石器時代のヒトの塩分摂取量は1日1.5g程度でした
そしてヒトが生きていくために必要な塩分は1日1gです

1日1gの塩分があれば生きていける体に 陸に上がったヒトは進化したのです

海にいたご先祖様が陸に上がって進化したヒトは 
塩分に親しみがある生き物ですが
陸では塩分が不足していたため 少ない塩でも生きていける体質
つまり塩不足に耐性のある遺伝子を持つヒトが 
淘汰されて生き延びてきた
のです


しかし文明の発達とともに 
食塩の生産技術の向上や各地での塩山の採掘により 
豊富に塩分を享受できる世の中になり 
人類の塩分摂取量も徐々に増加してきました

さらに資本主義社会が進んで外食産業が発達してくると
コストが安価でヒトの嗜好性に合い 安上がりで満腹感を与えられる塩は 
食品加工品に大量に用いられるようになり

今や社会全体が塩中毒になっていると言っても過言ではありません

ところが 
塩分不足対策で体内に塩分を貯めこみやすい体質を作り上げた人類は
塩分過剰となった環境変化に対応して体質を変化させることができず

過剰に体内に入ってくる塩分を蓄積してしまい 
その結果 高血圧を発症しやすくなりました

以前 日本人の糖尿病になりやすい体質について解説したとき
農耕民族だった日本人は飢餓に耐えやすい節約体質を作り上げ
その体質が残っているのに飽食の時代になったので
糖尿病を発症しやすいこと
を説明しましたが

それに似たようなことが塩分に関しても起こっていて 
現代人は高血圧になりやすいのです

ご先祖様が作り上げた体質にはあがらえないというか
文明が進んで便利で豊かな世の中になったが故に 
ご先祖様から受け継いだ体質があだになってしまっている現実

いずれ紹介しますが 日内リズムの変調と生活習慣病の関連においても
このご先祖様から受け継いだ体質と現代社会の環境変化のコンフリクト
がみられます

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こう考えると 馴染みの薄かった太古の生活が妙に懐かしく感じられるのは
気のせいでしょうか?(笑)

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塩分の取りすぎで高血圧になる理由を説明する前に
どうしてヒトの体は塩分を貯めこみやすいかを
ご先祖様に思いを馳せながら(笑)説明しました

次回こそ なぜ塩分が多いと高血圧になるのか説明します

 

2015.05.07更新

診察室で測った血圧の値が140/90mmHg以上だと高血圧と診断されます

どうして140/90mmHgが正常値に決まったかというと 
多数の人達を対象にした長期にわたる検討(久山町研究などが有名です)で
140/90mmHgより高い人々は 低い人々に比べて 
脳卒中 心血管病(狭心症・心筋梗塞)発症頻度が
統計学的有意差をもって高い
ことが明らかにされたからです

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高血圧の治療の目標は 脳卒中や心血管病を起こさせないこと
です

血圧が10mmHg下がるだけで 
脳卒中は40% 心血管病は20% それぞれ発症リスクが減少します

こうした効果は ・治療開始時の血圧の値が高いほど ・高齢者ほど 
大きいことが明らかにされています
また治療効果に男女差はありません

高血圧は 下図に示すように
・Ⅰ度(軽症) : 140/90~160/100
・Ⅱ度(中等症): 160/100~180/110 
・Ⅲ度(重症) : 180/110<
の3群に分かれ 

軽症から重症に上がるにしたがい 脳卒中や心血管病の発症頻度は高まります

 1153


一方 140/90mmHgより低いから絶対大丈夫というわけではありません

正常血圧は 上図に示すように
・正常高値血圧 : 130/85~140/90
・正常血圧   : 120/80~130/85
・至適血圧   : <120/80
の3群に分かれ 

正常高値血圧から至適血圧に下がるにしたがい 
脳卒中や心血管病の発症頻度は低くなります

また 正常血圧 正常高値血圧の人は 
いずれ高血圧に移行する確率が高いとされています

ですから たとえ血圧が正常域にあっても
別の心血管病変のリスクがある方は
喫煙者 糖尿病 蛋白尿陽性の腎臓病 脂質異常症 肥満 メタボ 
 家族に心血管病の人がいる
など)
できるだけ至適血圧まで血圧を下げた方が安心です

但し 両側頚部動脈に閉塞がある方などは 
過度に血圧を下げるとかえって危険ですから注意が必要です


こうした事情を背景に 降圧剤を用いて血圧を下げる治療を行うとき 
・どれくらいの血圧の値で治療を開始するか?
・どれくらいの値まで血圧を下げるべきか? は 
そのひとが有するバックグラウンドにより異なり 
全ての人が均一というわけではありません

2014年に日本高血圧学会が示した高血圧治療ガイドラインによると

@心血管病変の危険因子が高血圧以外にない方 つまり高血圧単独の方は
・180/110mmHg以上(重症高血圧)だと ただちに降圧剤治療開始

・140/90mmHg~160/100mmHg(軽症高血圧)の方はまず3か月
・160/100mmHg~180/110mmHg(中等症高血圧)の方はまず1か月間
それぞれ生活習慣の改善を試みて 
それでも140/90mmHg以下にならなければ降圧剤による治療を開始

治療目標値は140/90mmHg未満

糖尿病以外の危険因子が1~2個あるか メタボと診断された方は
・160/100mmHg(中等症高血圧)以上だと ただちに降圧剤治療の対象
・140/90mmHg~160/100mmHg(軽症高血圧)の方は まず1か月生活習慣の改善を試みて
それでも140/90mmHg以下にならなければ 降圧剤による治療を開始

治療目標値は140/90mmHg未満

ご覧になってお解りのように 
心血管病変の危険因子がある方 メタボな方は 高血圧だけの方に比べると
薬剤治療開始の基準が一段厳しくなっています

糖尿病がある方 尿蛋白陽性の慢性腎臓病がある方 心臓病がある方 は 
・130/80mmHg以上が治療開始対象
・治療目標値は130/80mmHg未満

つまり糖尿病や尿蛋白陽性の方は高血圧単独の方より 
薬物治療開始の基準も治療目標値もさらに厳しくなっています

糖尿病 尿蛋白陽性の慢性腎臓病は 心血管病変のハイリスク因子
であることが明らかにされていますから 

そうした方の血圧はより厳密にコントロールされるべきである 
という強い意図があるわけです

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一方 お年寄りは加齢により血圧が高めになりますから 
後期高齢者では150/90mmHg未満が治療目標値になります 


このようにひとくちに高血圧といっても 
患者さんの背景によって
降圧剤治療を開始すべき血圧値も治療目標値も異なります

まさに個人個人の状況を考慮したテーラーメイド医療
スタンダードとなっているのです

一方 患者さんが認識されていなくても
すぐに治療を開始した方がよい場合もあり得ますから 

健診で血圧が高めと指摘されたら 面倒がらずに相談に来てください

 

 

2015.05.02更新

高血圧の解説シリーズの最初に 血圧計のお話をします

レトロな医院のブログで紹介したように 
当院で使用している血圧計は水銀式ですが 
今や水銀式血圧計は少数派になりつつあります

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血圧の単位はmmHgですが 
この単位が水銀式血圧計の歴史を物語っています

1905年にロシアの軍医のニコライ・コロトコフが 
現在の血圧の測定法を発見しました

彼は患者さんの上腕に腕帯(カフ)を巻いて加圧して動脈を圧迫し 
そのあとカフを減圧し始めると 動脈に血流が流れ始めて
そこで音が生じることを見出し
その音を聴診器で聞き取って血圧を測定したのです

この血圧測定法は聴診器で聞き取るので聴診法と呼ばれますが 
発見者に敬意を表しコロトコフ法とも言われています

ちなみに医学生の頃 内科診断学実習で初めて血圧測定をしたとき
この音(コロトコフ音と言います)がなかなか聞き取れなくて
苦労した思い出があります(笑)


水銀柱は当初から目盛として利用されていました

というのも 水銀は比重が大きいので
押し上げるのにかなりの圧力を要します
もしも水銀でなく水を利用して血圧を測ろうとしたら 
4m以上もの高さの目盛が必要になります

だから血圧の単位は水銀の元素記号のHgを使い
水銀を何mm押し上げられる圧力かということでmmHg

この水銀式血圧計は使用している水銀の処理が問題となっているので 
遠からず医療現場から姿を消す運命にあります


代わって医療現場で用いられているのが電子血圧計です

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カフで上腕の動脈を加圧して圧迫してから減圧するメカニズムは同じですが
測定者が聴診器でコロトコフ音を聞いて測定するのではなく
カフに仕込まれたマイクロフォンがコロトコフ音をひろって点滅したときの
圧力計の目盛を見て測定します

さらに1980年代半ばからは コロトコフ音でなく
動脈に血流が流れ始めるときに生じる血管壁の振動(脈波)
カフに仕込んだセンサーが感知して検出する
オシロメトリック法の血圧計が登場して主流となりました

この血圧計はシンプルな構造で 誰でも簡単に測定できます

聴診器の位置やカフのマイクロフォンの位置により
コロトコフ音がうまく拾えず測定誤差が出ることもないので 
測定値に信頼性もあります

また水銀柱でないので加圧の際にそれほど力が要りませんし 
聴診器で聞き耳を立てる必要もありません

しかも測定値が数字として表示ざれるので 
圧力計の針の動きを注意深く見入る必要もない

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初めてこの方式の血圧計を使ったとき 
あまりに簡便で楽なので驚いたのを憶えています


ただ このタイプの血圧計は年配の患者さんからは受けが悪い

昔から行われてきた
腕にカフを巻いてそこに聴診器をあてて聴診する行為こそが血圧測定
と感じておられる患者さんにとっては

腕にカフを巻いて加圧するだけで 
聴診器もあてず デジタル表示の数字を見るだけの行為は
手を抜いているように感じられるのかもしれません

うーん 患者さんのそんな気持ちはわかるのですが、、、(苦笑)

そうした患者さんの声を聞くと
当院で使用中の水銀式血圧計が壊れたら 次はどうするか考えてしまいます

せめて測定結果が数字でデジタル表示されるタイプではなく
医者にも患者さんにも見やすい円形表示のこんなタイプが良いかな
と思っていますが いかがでしょう?

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ちなみに 家庭での血圧測定は
診察室での血圧測定に勝るとも劣らぬほど大切
ですが

その場合は 手首でなく上腕にカフを巻くタイプが測定誤差が少ないですし
結果が数字でデジタル表示されるタイプがわかりやすくてお勧めです

家庭での血圧測定の重要性については また詳しくご紹介します


皆さん 楽しいGWをお過ごしください!

2015.05.01更新

血圧が高いので受診してください! 

と健康診断で指摘されても 自覚症状がないのでついつい放置してしまう 
そんな方は少なくないでしょう

高血圧は たとえ自覚症状がなくても 
放置すると知らぬ間に全身の動脈硬化が進んで

脳卒中や心筋梗塞・狭心症になる可能性が高いのでとても危険です

心筋梗塞・狭心症の50% 脳卒中の50%以上が 高血圧が原因で発症します


このグラフをみると ちょっとびっくりされませんか?

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これは 感染症以外の病気で亡くなった日本人の死因に関与する因子を 
亡くなった方が多い順番に並べたものです

いちばん多い原因は喫煙ですが
高血圧は2位で 喫煙と並んで他の原因を大きく引き離しています

また 高血圧は男性の平均寿命を2.2年 女性の平均寿命を2.9年も
短縮
させています

高血圧は放置するとコワい病気なのです!


日本人の高血圧の原因で多いのは塩分の取りすぎで 
以前から社会全体で警鐘が鳴らされています

書き手が医学生の頃は 塩分制限の目標は1日あたり10gと覚えましたが
今やその目標は達成されつつあり 
2011年の国民健康調査では1日あたりの摂取量は10.4gでした

2015年の目標は 男性が8g 女性が7g未満ですが 
世界保健機構(WHO)の目標値は5g未満で 
まだまだ世界基準には程遠いのが現状です

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さて 塩分制限の成果もあり 
最近の日本では高血圧の有病率は年を追うごとに減少していますが

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左のグラフの上から3番目に示されているように 
50歳代 70歳代の男性の有病率だけは この10年間で増加しています

お父さん 大丈夫ですか?

そして減少しているとはいえ 
50代以上の男性 60代以上の女性の半数以上が高血圧である事実は
忘れてはいけません


2010年の統計では 全国で4300万人(男性2300万人 女性2000万人)が
高血圧に罹患していると試算されています
この患者数は糖尿病 脂質異常症 癌などを抑えてダントツの1位です 

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一方で 国が率先して高血圧の危険性を人々にアピールしている成果か 
薬を飲んで治療している患者さんの数(高血圧治療率)は年々増加しています

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しかし下のグラフに示すように
薬の服用により血圧が目標値まで下がっている方の割合(高血圧管理率)は
年を追うごとに増加しているものの 
まだ男性では30% 女性では40%にすぎません

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つまり 血圧の治療効果が充分に得られているのは3人に1人にすぎない
ということです

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このデータには ちょっとびっくりしました、、、

国が行っている第2次健康日本21計画では 
収縮期血圧(上の血圧)が4mmHg低下するだけで
脳卒中で死亡する人は全体で1万人 男性で8.9% 女性で5.8%減り 
狭心症 心筋梗塞で死亡する人は全体で5千人 
男性で5.4% 女性で7.2%減少する
と試算しています

血圧の管理や治療の重要性を改めて痛感します

健診で血圧高値を指摘されている方は 
たとえ自覚症状がなくても 早目に相談にいらしてください

また 高血圧に加えて
糖尿病の方
尿タンパク陽性を指摘されている方
家族に脳卒中 狭心症 心筋梗塞で治療されている人がおられる
といった 別の心血管病リスクをお持ちの方は 
より一層の早目の治療が必要
ですので充分にお気をつけ下さい

 

今回から何回かに分けて高血圧シリーズを連載します
血圧が高めの方 高血圧で治療中の方にとって役に立つ 
興味深い話題を紹介しますので 是非ご笑覧ください

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