左利き肝臓専門医ブログ

2015.12.03更新

健康診断などで 内視鏡検査もバリウム検査も行わず
血液検査だけで胃がんのリスクを判定するABC健診が普及しています

負担にならない血液検査で 胃がんのハイリスクの方を見つけ出して
リスクが高い方には内視鏡検査を受けていただこうという趣旨の検査です

ただ 唐突に胃がんのリスクが高いと言われても
いったいどうしてそんな結果が得られたのか 戸惑う方も多いことでしょう

そこで 胃がんリスク健診ではどのようなことが行われているか説明します


この健診では 採血により
*ピロリ菌抗体の有無
*ペプシノゲンという物質の動態
を調べて 胃の粘膜の委縮や炎症の有無を調べています

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これまでに説明してきたように
胃がんの発生にはピロリ菌の感染が密接に関わっていますから
ピロリ菌抗体の有無を調べることの重要性はご理解いただけると思います


では もうひとつのペプシノゲンとは なんなのでしょう?

ペプシノゲンは 
胃の細胞から分泌される消化酵素・ペプシンのもとで
ペプシノゲンの約1%が血中に流れ出すので 
血中濃度を測定することにより 
胃粘膜でのペプシノゲン生産動態がわかります

pepusinogen

ペプシノゲンには ペプシノゲンI とペプシノゲンII の2つのタイプがあります

ペプシノゲンIは 主に胃の体部にある胃底腺から分泌されるのに対し
ペプシノゲンIIは 胃底腺に加え
噴門腺(胃の入り口)や幽門腺(胃の出口)からも分泌されます

胃粘膜の萎縮が進行すると 
胃の体部にある胃底腺の領域は萎縮するので ペプシノゲンIは低下
また出口にある幽門腺の領域が相対的に拡張するため

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ペプシノゲンIに対してペプシノゲンIIの量が相対的に増加して 
ペプシノゲンI/IIの比が低下してきます

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したがって ペプシノゲンI/II比を見ることによって
胃底腺領域の胃粘膜の萎縮の程度を予測することが出来るわけです

胃粘膜の萎縮の程度が強いと 発がんの可能性が高くなりますから
こうした予測は非常に重要です

実際に ペプシノゲンI/II比と内視鏡検査の結果を照合すると
ペプシノゲンI/II比が低い人ほど胃がんの発見率が高く
胃がんの80%はペプシノゲン検査で診断することが出来ました

そこで ペプシノゲンIの量ペプシノゲンI/II比の両方の値を評価して
強陽性(3+)
 :ペプシノゲンIが30ng/ml以下 かつ ペプシノゲンI/II比が2以下 
中等度陽性(2+)
 :ペプシノゲンIが30~50ng/ml かつ ペプシノゲンI/II比が2~3 
陽性(1+)
 :ペプシノゲンIが50~70ng/ml かつ ペプシノゲンI/II比が3以下 
陰性(-)
 :ペプシノゲンIが70ng/ml以上 または ペプシノゲンI/II比が3より大きい
と 評価します

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ただし 血液中のペプシノゲン値に影響を及ぼすため
胃酸分泌抑制剤やプロトンポンプ阻害剤服用中の方
*胃切除後の方
*腎不全の方
は正しく評価できないので注意が必要です


さて 実際のABC健診の判定は
A群 ピロリ菌抗体陰性 ペプシノゲン検査陰性
B群 ピロリ菌抗体陽性 ペプシノゲン検査陰性
C群 ピロリ菌抗体陽性 ペプシノゲン検査陽性
D群 ピロリ菌抗体陰性 ペプシノゲン検査陽性
の4群に分けて

A群はもっとも胃がんのリスクが少なく
B群 C群 D群の順番にリスクが高くなると判定します

A群は ピロリ菌もいないし 胃粘膜の萎縮もないので大丈夫
B群は ピロリ菌はいるけれど まだ胃粘膜の萎縮はないので心配ない
C群は ピロリ菌がいて 胃粘膜の萎縮があるので心配
D群は 胃粘膜の萎縮があり 
しかもピロリ菌がいなくなるほど萎縮が進んでいる可能性があるので最も心配
というわけです

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ですから ABC健診で胃がんリスクありと判定されたら
必ず内視鏡検査を行い 実際に胃の中がどうなっているか確認すべきです

リスクがあると診断されても 必ずがんがあるわけではありませんから
必要以上の心配は無用ですが 
しかし内視鏡検査は是非とも受けられた方が良いでしょう

がんは 早期発見がいちばん大切です!

 

2015.12.02更新

さて 実際の除菌治療ですが 
慢性胃炎でのピロリ菌除菌治療が保険で認められているのは 
世界で我が国のみです

胃がんが多い我が国ならではの 
先進的な医療体制として誇れることと思います


除菌治療(1次除菌)
2種類の抗生剤と1種類の胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤(PPI)
(潰瘍などの治療に用いられる薬です)
合計3種類の薬を 1日2回 1週間連続して服用します

それだけで終了です 

使用される抗生剤は
*ペニシリン系抗生物質  
 アモキシリン (商品名 パセトシン サワシリン
*マクロライド系抗生物質  
 クラリスロマイシン (商品名 クラリス クラリシッド
です


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抗生剤は ピロリ菌を殺菌するため
プロトンポンプ阻害剤は 胃酸を抑えて
抗生剤が効きやすい状況を作るために使用します

この治療での除菌成功率は約70~80%ですが

抗生剤が効きにくい人では約50%程度になります
*抗生剤にアレルギーがある 
*慢性呼吸器疾患(慢性気管支炎など)で抗生物質を服用している していた
*中耳炎 慢性副鼻腔炎で抗生物質を服用している していた
*風邪 肺炎などの呼吸器感染症で抗生物質を服用している していた
といった方では 除菌成功率が低下しています

また クラリスロマイシン抵抗性のピロリ菌が増えているのも問題で
風邪でクラリスロマイシンを服用する機会が
増えているためと考えられています


1次除菌が不成功だった場合
クラリスロマイシンの代わりに メトロニダゾールという抗原虫剤を使って
2次除菌治療を行います

2次除菌の成功率は約90~95%と高率です

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なお 2次除菌を行っている1週間は 飲酒を控えることが勧められています

というのも
2次除菌で使用するメトロニダゾールは 
アルコールの代謝を妨げて吐き気や腹痛を生じることがあるので
原則的に内服中は飲酒の中止が必要なのです

左利きの皆さん ご注意ください


最近のトピックとして
PCABという新しい種類の胃酸分泌を抑える薬を用いた除菌治療があります 

このPCAB(タケキャブ)は
従来使われていたプロトンポンプ阻害剤とは異なる仕組みで
胃酸分泌を強力に抑制するので
1次除菌の成功率は92.6% 2次除菌でも98.0%と 
非常に高い成功率が得られます


不幸にして2次除菌でも除菌できなかった場合は
さらに抗生剤の種類を変えて3次除菌を行うことになりますが
残念ながら3次除菌は保健医療では認可されていないので
自費診療となります


さて 除菌治療で心配なのは 副作用だと思います
これまでの統計学的解析により 
約40%の方で副作用がおこると考えられています

いちばん多いのが 下痢 軟便・水様便で 5%以上で認められます

1~5%の頻度でみられるのが 
味覚異常 腹部膨満感 便秘 かゆみや発疹などの薬剤過敏症状です

頻度が1%以下の比較的珍しいのは
肝障害 動悸 血圧上昇 吐き気 口の渇き 口内炎 舌炎 胸焼け  
下血 血便 腸炎 食道炎 胃部不快感 食欲不振 
頭痛 めまい 倦怠感 顔のむくみ
といった副作用です

これらのなかでも薬疹 発熱 動悸 腹痛 下痢 血便などがあったら 
服薬を中止してすぐに受診されることをお勧めします

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うまく除菌できたかどうかの判定は 治療終了後4週間以上の間隔をとり
尿素呼気試験便中抗原測定で検査して評価します

ただし 
PPIを服用している場合は 30-40%に偽陰性になるので
それを防ぐために 
判定前の2週間はPPIを休薬する必要があります


ピロリ菌の除菌治療のイメージをしていただくことができたでしょうか?

当院では ピロリ感染胃炎の診断のための内視鏡検査は
聖路加国際病院か中央区内の専門施設に依頼し
除菌治療および判定は 院内で行っています

ピロリ菌について何か不明な点 相談したいことがありましたら 
お気軽にお問い合わせください


2015.12.01更新

ピロリ菌は胃潰瘍や胃がんの発症に深く関連することを解説してきましたが
今日はピロリ菌の診断と治療について説明します

まず ピロリ菌に感染しているかどうかを明らかにする検査ですが
内視鏡を用いる検査法と 用いない検査法があります

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内視鏡を用いる検査には
*迅速ウレアーゼ法 :ピロリ菌のウレアーゼが作るアンモニアの有無を調べる
*組織検査法 :顕微鏡で胃の組織にピロリがいるか調べる
のふたつが代表的で
迅速ウレアーゼ法を使えば 
内視鏡検査終了時にピロリ菌感染の有無がわかります

但し たまたまピロリ菌がいない部分の胃粘膜を採取してきた場合は
たとえ他の部位にピロリ菌がいても 結果が陰性になるリスクがあります

一方 内視鏡を用いない検査には
*尿素呼気試験法 :息の中のウレアーゼにより作られる二酸化炭素量を調べる
*血中抗体測定法 :血液中のピロリ菌に対する抗体の有無を調べる
*糞便中抗原測定法 :糞便中のピロリ菌抗原の有無を調べる
といった検査があります

このなかで 尿素呼気試験法糞便中抗原測定法は 
ピロリ菌の存在そのものを同定する検査ですから 
除菌治療の効果判定にも 信頼性の高い検査として用いられています



さて これから 多くの方が興味を持たれているであろう 
ピロリ菌の除菌治療について説明しますが

まず 治療の詳細について説明する前に 
患者さんたちに ご理解していただかないといけないことがあります

それは 内視鏡検査をしないと除菌治療はできない ということです

上記の内視鏡を用いない検査をすれば ピロリ菌感染の有無かわかるのだから
わざわざ苦しい思いをして内視鏡検査を受ける必要はないだろう 
と思われるでしょうが

現行の保険医療では 内視鏡検査をしないと除菌治療はできないのです

その理由はこういうことです

これまで説明してきたように 
ピロリ菌に感染している場合は慢性活動性胃炎を起こしており 
胃がんをはじめとするピロリ関連疾患が併存している可能性があり

特に日本では胃がんが多いので 
胃がんのチェックをしたのちに除菌治療を行うべきである

との意見から 内視鏡検査が必須となりました


除菌治療を行う際には その前に必ず現場をチェックしておきましょう 
という意味合いです

ですから 健康診断などで血中抗体測定を行い 結果が陽性だった場合も
除菌治療を行う際には 必ず内視鏡検査を受けていただく必要があります

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当院でも 健診でピロリ菌抗体が陽性だったと相談に来られる患者さんが多いですが
上記のことをご説明して 聖路加国際病院や他の専門施設で
内視鏡検査を受けていただいています

こうした事情をご理解いただけると幸いです

少し長くなりましたので 除菌治療の実際については 次回詳しく説明します

 

2015.11.27更新

ピロリ菌が ヒトの胃のなかに持続的に住みつづけることができる
特異な細菌であることを説明しましたが

では ピロリ菌が持続感染していると 胃はどうなってしまうのでしょう?

ピロリ菌が感染した胃では ほぼ100%の確率で ピロリ感染胃炎が生じます
この段階では自覚症状もなく さほど大きな問題ではありませんが
やがて萎縮性胃炎胃・十二指腸潰瘍を引き起こし 
その一部が胃がんに進行する可能性が大きいことが問題です

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ピロリ菌が産生するアンモニアは 胃の粘膜を直接傷つける作用がありますし
アンモニア以外にも 胃粘膜に有害な活性酸素毒素も作りだし
それらが胃粘膜に慢性的な炎症反応を起こさせるので
がんが発生してくる母地となるリスクが大きいのです

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またCagA VacAといったピロリ菌が産生 分泌するタンパク質が
胃の上皮細胞を破壊したり 細胞の異常な増殖を促進することが
がんの発生に関与していると考えられています

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萎縮性胃炎とピロリ菌の関連については
*ピロリ感染者の80%以上が 萎縮性胃炎を起こしている
*萎縮性胃炎の大半が ピロリ菌感染により生じる
*ピロリ菌の除菌治療により 萎縮性胃炎の約50%が改善する
ことが明らかにされています

また 胃・十二指腸潰瘍とピロリ菌の関連については
*胃・十二指腸潰瘍の約90%はピロリ菌に感染している
*ピロリ陽性だと 潰瘍の治療後再発率は60%以上
*除菌治療により 再発率は10%程度に著しく低下する
ことが明らかになりました

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これまで 胃・十二指腸潰瘍は
ストレス 喫煙 消炎鎮痛剤服用と 深い因果関係があると考えられてきました

しかし上に記したように
胃・十二指腸潰瘍の患者さんの90%は ピロリ菌に感染しており
ピロリ菌非感染者の患者さんの80%は 消炎鎮痛剤を服用していることが示され
ピロリ菌非感染者や消炎鎮痛剤を服用していない人に
胃潰瘍が起こることは稀で1%もおらず 
ピロリ菌がいなければ ストレスがあっても潰瘍にはならないことが示されたのです

これは従来の潰瘍発症に関する常識を覆すものでした


一方 胃がんとピロリ菌の関連については
*日本人の胃がんの95%以上は ピロリ菌感染によるものである
ピロリ菌感染者は非感染者より 20〜30倍も胃がんになる確率が⾼い
ピロリ菌感染者約3%は10年後に胃がんが発生する
ことが 明らかになっています

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日本では以前より胃がんで亡くなる方は毎年約5万人と非常に多いのですが
このように胃がんとピロリ菌感染の深い関連が明らかになり
胃がんは感染症であるという概念が示されました

したがって 胃がんを減らすには 
ピロリ感染胃炎 萎縮性胃炎 潰瘍の段階でピロリ菌を除菌すれば良い 
という方針が立てられました

こうした背景により 2013年2月から 
胃炎に対するピロリ菌除菌治療が 健康保険で行えるようになりました

除菌治療に関しては 次回詳しく説明します


さて 興味深いことに ピロリ菌は
胃炎や潰瘍以外の胃の病気や 胃と関係ない病気にも関連することが
明らかにされています

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たとえば 胃MALTリンパ腫という悪性度の低いリンパ腫がありますが
*この病気はピロリ菌による慢性胃炎が母地となり発生する
*90%はピロリ菌が陽性
*除菌治療で60~80%が改善し 予後は良好
なことが報告されています

また 特発性血小板減少性紫斑病という 
血小板という血液を固まらせる働きを持つ細胞が減少する病気がありますが
*特発性血小板減少性紫斑病の60%でピロリ菌が陽性
*除菌治療で40~60%が改善し 予後は良好
であることが示され 
現在では血液の病気である特発性血小板減少性紫斑病の第一選択の治療は
ピロリ菌の除菌治療なのです   

さらに 動脈硬化 蕁麻疹 糖尿病 シェーグレン症候群などでも
その病態形成とピロリ菌感染との関連が疑われています                                

ピロリ菌とヒトの病気との関連は なかなか奥が深いようです

 

 

2015.11.26更新

健診などで「ピロリ菌に感染しています」と指摘されて 
来院される患者さんは少なくありません

マスコミなどでもピロリのことはよく話題になりますので
名前を聞いたことがある方も多いでしょうが
いったいピロリ菌ってナニ? 
と思われている方が たくさんおられるのではないでしょうか?

そこで ピロリ菌の解説シリーズをします


ピロリ菌は 正式名称を ヘリコバクター・ピロリ と言います

ヘリコ は らせん という意味
バクター は バクテリア つまり細菌 という意味
ピロリ は 胃の幽門部(出口に近い部分) の名前

つまり 胃に住みつく らせん形をした細菌 ということです

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ピロリ菌は 1983年に
オーストラリアのウォレンとマーシャルによって発見されました
彼等はこの功績により 2005年にノーベル賞を受賞しています

胃の中には胃酸がありますから強い酸性で 
細菌が生存するには過酷な状況ですから 
胃に住みつく細菌がいるなんて全く想像されていませんでした

しかし ヒトや一部のサルの胃の中には ピロリ菌が生息していました


ピロリ菌は どのようにして強い酸性の状況で生きていけるかというと
自らが有するウレアーゼという酵素により  
胃粘膜の尿素を分解してアンモニアを発生させ
アンモニアのアルカリ性が胃酸を中和して胃酸から身を守るので 
胃の中で生息できるのです

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日本では約3500万人がピロリ菌に感染しているとされますが
感染率は年齢によって異なります

*10代 20代では10%以下
*30代では15~20%
*50歳以上では 50%
*65歳以上では70%以上

このように 年をとるにしたがって感染率が増加していきます

この理由は 年をとるとピロリ菌に感染しやすくなるからではありません

ピロリ菌は経口感染し(口から菌が体内に侵入する)
その感染時期は 幼小児期と考えられています

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離乳食が開始される生後4~8か月の時期に
ピロリ菌が陽性の保護者が'離乳食を噛んで子供に与えるときに
感染する可能性が高い

幼少児期は胃酸の分泌や胃粘膜の免疫能の働きが不十分なので
感染したピロリ菌を排除することができず 
持続感染が成立してしまうと考えられています

そして ひとたび持続感染が成立すると 自然に消滅することは稀で 
ピロリ菌はずっと胃の中に住み続けます

また 大人になって感染すると 
急性胃粘膜病変を起こすことはあり得ますが
一過性感染で終わり 持続感染はしないと考えられています


これは B型肝炎ウイルスと同じです

B型肝炎ウイルスに感染しておられるお母さんから生まれた赤ん坊が
生まれてくるときにお母さんの血液からB型肝炎ウイルスに感染し
幼少時の免疫能が未熟なために持続感染してしまうのと
同じ機序と思われます

ちなみにB型肝炎ウイルスも
大人になって感染すると 急性肝炎を起こすことはありますが
一過性感染で終わり 持続感染はしません
幼少時に感染したときにだけ 持続感染するのです


話が少し脇道にそれてしまいましたが
このようにピロリ菌に感染するのは幼少時と考えられるので
感染を規定する因子は 生まれたときの衛生環境と推定されます

昔は衛生環境が劣悪だったので 高年齢層での感染率が高く
衛生環境が整備されたことにより 若い世代では減少している
と考えられています

それを示唆するデータとして
開発途上国では10代の感染率が80%を越える国もあるという報告があります

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ですから 日本人では上のグラフに示すように
茶色の線のように 昔は若い人でも陽性率が高かったですが
年代が経過するにしたがい オレンジや緑の線のように 
若い人の感染率は減り 高齢者のみで高い感染率を示すようになっています


ピロリ菌とは どのような細菌なのか?
どうしてヒトの胃のなかに持続的に感染しているのか?
日本人におけるピロリ菌の感染動態はどうなのか?

そうしたことをご理解いただけたでしょうか?

次回は ピロリ菌がどんな悪さをしているか説明します



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