左利き肝臓専門医ブログ

2017.03.22更新

本格的な慢性膵炎への進行を食い止めるために
より早期の段階の慢性膵炎を発見して 治療を開始しよう という

2009年から 世界に先駆けて日本で開始された
早期慢性膵炎の臨床研究ですが

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時間が経過して その実態が少しずつ明らかになってきました


厚生労働省が主催する難治性膵疾患に関する調査研究班が主体になり
全国の病院を対象に行った調査では

2011年1年間の早期慢性膵炎の年間受療患者数は5410人で

そのうち 新規に診断された患者数は1330人
継続して治療している患者数は4080人 でした

そして 我が国では
慢性膵炎患者総数の約8%が 早期慢性膵炎に該当すると考えらています


では 早期慢性膵炎の患者さんは
進行した慢性膵炎に どれくらい進行するのでしょう?

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数年間にわたり治療経過が観察できた 早期慢性膵炎52例のうち

*5例(9.6%)は 2年後には確診または準確診の慢性膵炎に進行し
*15例(28.8%)は 早期慢性膵炎の状態のままで変わらず
*32例(61.5%)は 改善傾向が認められました

52症例という少ない数での検討ではありますが
本格的な慢性膵炎に進行する率は それほど高くはありません


確診または準確診の慢性膵炎に進行した5症例のうち
4症例は 飲酒が止められなかった患者さんでした

さらに アルコール性の早期慢性膵炎患者33例中5例(15.2%)が
確診あるいは準確診の慢性膵炎に進行しましたが

進行する患者さんの割合は
断酒者では7.7% 飲酒継続例では20.0%でした


これらのことから 

早期慢性膵炎の段階で発見・治療開始できれば
90%近くの患者さんでは 本格的な慢性膵炎への進行を抑止することが
明らかになりました

一方で 

アルコールがやめられない患者さんは
たとえ早期慢性膵炎の段階で発見・治療開始できても
本格的な慢性膵炎への進行してしまうことも 明らかになりました

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本格的な慢性膵炎への進行を防ぐためには
アルコールをやめることがいかに重要か 

再認識された次第です



こうしたことから
慢性膵炎進展につながるリスク因子を 早期段階から除去することが重要で

*膵炎を誘発する高脂肪食やストレスなどを回避する
 生活指導を積極的に行うとともに

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*特に 断酒と禁煙を強く指導することの大切さが 強調されています

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また 現在でも慢性膵炎の治療に用いられている抗トリプシン薬
早期慢性膵炎の段階から使用し始めれば

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本格的な慢性膵炎への進展抑制と 
正常な膵臓への回復につながる可能性があり

慢性膵炎の早期発見 早期治療の重要性が提唱されています


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当院でも
健康診断でアミラーゼの高値を指摘され みぞおちのあたりが痛む
ということで受診され

他の検査では異常がみられず 早期慢性膵炎が疑われる患者さんが
何人かおられますが

いずれも 抗トリプシン薬の服用で痛みは改善し
血液検査でアミラーゼ値も改善されています

ですから 早期慢性膵炎という状態は リアルに存在して
その段階から治療開始は有効なのではないか
と 実感しています


ということで

健康診断の血液検査で アミラーゼが高かったり
みぞおちや背中のあたりが痛むことが多い方

早期慢性膵炎の可能性も考えて 是非 受診していただきたいと思います

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特に 
*お酒をたくさん飲まれる方や
*胆石を持たれている方で

アミラーゼの高値を指摘されたり みぞおちや背中がときどき痛む方は
要注意ですので 早目に受診するようにしてください



2017.03.21更新

急性膵炎 慢性膵炎の解説は既にしましたが
膵臓の病気シリーズで 早期慢性膵炎の話をしていませんでした

実は年末から年始にかけて
脂肪肝に関する取材を受けた ダイワハウスのWEBマガジンさんから

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今度は 膵臓の病気に関する取材を受けまして
早期慢性膵炎の話題も提供し その記事が公開されましたので
ブログでも紹介しようと思います


急性膵炎は アルコールの飲みすぎや胆石が原因で起こることが多く


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治療により膵炎が良くなっても
アルコールをやめられなかったりすると再発を繰り返し
やがて慢性膵炎に進行してしまうことを 説明しましたが


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この慢性膵炎の状態になってしまうと
急性膵炎のように正常な膵臓の状態に戻れないので とても厄介です


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肝臓は 慢性肝炎の状態が長く続いて炎症が繰り返されると
持続炎症により肝細胞が脱落して そこが線維に置き換わってしまい
肝硬変になります

そうなると もとの肝臓の状態に戻れなくなり
さまざまな肝臓の機能が発揮できなくなり
腹水が溜まってきたり 出血しやすくなったりします

これと同じで
慢性膵炎という病態は 肝臓で言えば肝硬変に近い状態で

しつこくて申し訳ありませんが
そうなってしまうと もう正常な膵臓には戻れない


ですから そうなる前の
慢性膵炎の早期の段階で見つけて
適切な治療を行うことで 完成した慢性膵炎に進行するのを防ぎたい

そうしたコンセプトをもとに
日本膵臓学会・日本消化器病学会の膵臓専門医グループが
2009年に世界に先駆けて「早期慢性膵炎」という疾患概念を提唱しました


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*従来の慢性膵炎診断基準では 完成された慢性膵炎しか診断できないので
*慢性膵炎が出来上がる以前の早期の段階で診断し 治療することで
*慢性膵炎から可逆性の病態をひろいあげ
*膵がんの発症母地でもある慢性膵炎への進展を阻止・遅延させる

ことが 目的です

また 従来 慢性膵炎の診断に用いられていた煩雑な負荷試験を省き
臨床症状と画像所見だけで 簡便に診断しようとする方針も打ち出しました


実際に診断に用いられる臨床所見・症状とは

*反復する上腹部痛発作
*血中または尿中膵酵素値の異常
*膵外分泌障害
*1日80g以上(純エタノール換算)の持続する飲酒歴

のうち 2項目以上が認められる ということで

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画像所見としては
超音波内視鏡検査(EUS)と 逆行性膵管造影検査(ERCP)における
早期慢性膵炎に特徴的な画像所見が採用されました


また EUS ERCP検査は専門医療機関でしか施行できないため
画像検査が未施行で 臨床検査所見・症状のみがあてはまる場合も
疑診例として扱われることになりました



一方 アルコールの基準量については 

1日飲酒量が 80gを越えなくても

60~80gの群では

慢性膵炎になるリスクは9.2倍と
60g以下群に比べると急上昇していたことから
高い慢性膵炎リスクを有する要注意例とすることになりました

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1日飲酒量に関しては 従来より厳しい基準が必要との意見が多く

2011年にアルコール医学生物学研究会により改訂された
アルコール性肝障害の診断基準においても

1日あたり純エタノール換算60g以上の飲酒が
過剰な飲酒と定義されました

左利きには 厳しい世の中になってきました(苦笑)


こうした 早期慢性膵炎の定義と
それに基づいた早期発見の試みが どのようになっているか
次回 説明します



2015.09.14更新

多くの方が膵臓の病気でいちばん心配されるのは
膵臓がん だと思います

自覚症状が出にくく 発見されたときには既に進行していることが多い
といったことが喧伝されているため
まわりに膵臓がんになられた方がおられたりすると心配になる

当院にもそうした相談で来院される患者さんがたくさんおられます


実際に 膵臓がんの患者さんは増えています

2014年のがん罹患率では
男性では 前立腺 胃 肺 大腸 肝臓 食道 腎尿路についで第8位
女性では 乳房 大腸 胃 肺 子宮 についで第6位
ですが

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死亡率
となると(2013年)
男性では 肺 胃 大腸 肝臓 についで第5位
女性では 大腸 肺 胃 についで第4位
となり 死亡率も高いのが特徴です
オレンジ色の線が膵臓がんです

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膵臓がんには 何種類かありますが
いちばん多いのは 膵管の上皮から発生するがんで 
全体の80~90%を占めます

このタイプは 
症状が現れにくく 周囲の臓器に転移しやすいので予後が悪い

インスリンやグルカゴンなどのホルモンを産生するがんもありますが
これらは良性のものが多く 悪性でも膵管上皮がんに比べると予後が良い

稀なものとして粘液産生性膵がんがありますが こちらも比較的予後が良く
3cm以下の単発なら それほど心配はありません


発見されたときに既に進行している場合が多い
・初期段階でみられる自覚症状が少ない
周囲の臓器に浸潤しやすいので 手術で完全に切除しきれない
・周囲にリンパ節や血管が豊富なので 遠隔転移しやすい
といった理由によるものです

ですから 早期発見を心掛けることが大切です
そのために有用なのはMRIなどの画像診断です


発症リスクとしては
*喫煙者
*高齢者
*家族に膵臓がんの方がおられる 
*肉 動物性脂肪が好き
*高度の肥満
*運動不足
などがあるので あてはまる方は要注意です


特に気をつけないといけないのは慢性膵炎の方 糖尿病の方です

健常人に比べて
慢性膵炎の方は10-20倍 糖尿病の方は8倍も リスクが高くなります

膵臓がんの25%の方が 糖尿病を合併しており
糖尿病発症後3年以内に1%の方が膵臓がんになるとされています

また 糖尿病の悪化は 重要な膵がんのサインです

糖尿病の治療中に 生活習慣や体重などの変化がないにもかかわらず
血糖コントロールが悪くなった場合は 膵がんの発症を疑わねばなりません


自覚症状を認める方は全体の75%しかありませんが 進行してくると
*上腹部痛(32%) 
*体重減少(53%) 
*黄疸(19%)
がみられます

特に 上腹部痛は最も多く見られる症状で
食事とは関係なく 背中の痛みや夜中の痛みなどが激しく続くのが特徴的です

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膵がんが疑われた場合は
血液検査ではCA19-9 CEA CA50などの腫瘍マーカーを測定しますが
これらの値が上昇しているときは 既に進行している場合が多い

ですから 上にあげたリスクの高い方 特に慢性膵炎や糖尿病の方は 
定期的に腹部エコー 造影CT MRCPなどの画像検査を行い
2cm以下の小さな段階での発見を心掛けることが大切です

CT

膵臓がんを過度に心配される必要はありませんが
特にハイリスク群の方は 定期的な画像検査を受けられることをお勧めします


 

2015.09.10更新

前回ご紹介した急性膵炎は 
膵管が詰まって膵臓が自己消化されてしまう病気ですが

慢性膵炎は 
膵臓の細胞の破壊が長い時間をかけて 少しずつ繰り返されることにより
膵臓の内部が徐々に線維化して固くなり 形が変形したり 
消化液を十二指腸に流す主膵管が狭くなったり 閉塞したりしてきます

臓器の内部で炎症が繰り返されて線維が増えてくるのは
アルコール性肝障害でも見られましたが

肝臓と膵臓で決定的に違うのは 
膵細胞は肝細胞と異なり 炎症が治まっても再生しないことです

そのため 最初のうちは外分泌 内分泌機能が保たれていても(代償期)
やがて線維化が進んで膵細胞が機能しなくなると
膵臓の外分泌 内分泌機能が破綻してしまいます(非代償期)

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そうなると 
数か月も続いた腹部や背中の鈍い痛みは むしろ改善してきますが
代わりに外分泌機能の低下による 
体重減少・食欲低下・全身倦怠感などの症状
脂肪便(水に浮く 臭くて白っぽい未消化の軟便)や下痢
が見られるようになります 

膵臓から消化酵素が分泌されないので
タンパク質や脂肪が消化されないためにこうした症状が出てきてしまいます

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また インスリンが分泌されないので
口渇・多尿などの糖尿病の症状が出現してくることもあります


慢性膵炎の患者さんは 全国で4万7千人ほどおられ
15年前と比較すると倍増しており 
男性に多いものの 女性の患者さんも増えています

原因としては 先に解説したように アルコールが50%以上で(特に男性)
急性膵炎から慢性膵炎に移行する場合が多い

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それ以外の原因としては 胆石 自己免疫性膵炎などがあります

慢性膵炎の80%が喫煙者で 喫煙は大きなリスクファクターなのが特徴です


治療としては
腹痛には 痛み止め
再発・進行予防には たんぱく分解酵素阻害剤

外分泌機能の補充には 消化酵素薬
内分泌機能低下である糖尿病は インスリン治療
などが行われますが


予後はなかなか厳しく 死亡率は健常人の1.55倍高い

特に禁酒できないアルコール性は予後が悪く
アルコール性膵炎は 非アルコール性膵炎より有意に死亡率が高くなります

また 膵臓がんには健常人の8倍もなりやすく
寿命は健常人に比し 男性で10歳 女性で16歳も短いようです


日常生活では 断酒はもちろんですが 脂分の多い食事を控えたり 

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場合によってはインスリンを自己注射したりする必要もあり
さまざまな面で制約がかかり 生活の質が大きく低下してしまいます

ですから 慢性膵炎にならないようにする注意が必要です

上に述べたように 多くの場合 原因は
急性膵炎後のアルコール持続飲酒による慢性化なので
先回もご説明したように アルコールで膵臓を傷めた方は 
それを機会にすっぱりと断酒していただけるよう お願いします

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2015.09.09更新

膵臓の病気で多いのが 急性膵炎・慢性膵炎ですが
今日は 急性膵炎 について解説します

まず 以下にあげた項目に あてはまるかどうか自問してみてください

*男性
*食事の時間が不規則
*太っている
*睡眠不足でストレスが多い
*タバコを吸う
*脂肪の多い食事が好き
*お酒が好きで毎日飲む
*健診で中性脂肪が高いと言われた
*糖尿病にかかっている
*胆石がある

あてはまる項目数が多いほど 急性膵炎になるリスクが大きいので要注意です

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急性膵炎は 年間5万7千人あまりの患者さんが発症している病気で 
ここ20年間で約4倍に増加しています

男性優位で 女性より2倍多く 
50歳代をピークに 30~70歳代の方が多い

男性は50代 女性は70代が中心です


典型的な自覚症状としては
上腹部の激しい痛みで始まり 

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 次第に痛みが強くなり数時間後にピークとなる
 ・みぞおちから左上腹部にかけて痛む
 ・背中を丸めて前かがみになるとよくなる

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*上腹部の背中側の痛み 左肩放散痛も比較的特徴的な症状
*痛みと同時に 吐き気や嘔吐を伴うことが多く見られる
飲酒 脂ものを食べたあと 数時間で起こることが多い
*発熱
*食欲不振 腹部の張った感じ
*軟便 下痢
などがあります


原因としてはアルコールが多く
男性では アルコール42.7% 胆石19.2% 原因不明12.4%
女性では 胆石35% 原因不明25.1% アルコール9.1%
の順番になっています

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何らかの要因により
*膵管の内圧が上昇したり 
*膵液分泌が過剰になったり 
*感染した胆汁が膵管内に逆流したりすると 
タンパク質分解酵素が膵管内で活性化してしまい 
膵臓自体を消化してしまうので 膵炎がおこります

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自らの酵素が 自らの組織を溶かしてしまう

これが急性膵炎の正体です


血液検査で アミラーゼ リパーゼ エラスターゼ1などの膵酵素が高く
腹部CT検査や超音波検査で 膵臓に急性炎症に伴う異常があると
急性膵炎と診断されます


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多くの場合は 入院してベッド上安静
飲食を禁止し 鎮痛剤・たんぱく分解酵素阻害剤・輸液などで治療します


予後は軽症の場合は比較的良好ですが
再発率は20.3% (アルコール性は32.4%)で
約半数が慢性化します (アルコール性では頻度が高い)

前回も解説しましたが
急性膵炎後に断酒をしないと 再発率 慢性膵炎移行率 糖尿病合併率 
が有意に高いので 注意が必要です


重症度が高い急性膵炎は 重症膵炎と呼ばれ
急性膵炎の30%あまりに認められます 

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ショック症状として意識の低下・血圧の低下・頻脈・チアノーゼなどが見られ 
心臓 肺 腎臓など重要な臓器が一度に障害を受ける多臓器不全を呈し
死亡する場合もある(死亡率は10%程度もある)大変危険な病態です


そんな命にかかわる状態にならないようにするために
長くお酒を飲んでいる人が いつも以上に大量飲酒して 
上記の症状が出て調子が悪くなったら 早目に受診してください

 

2015.09.08更新

アルコールと膵臓の話題が出たので 膵臓のはたらきについて解説します

多くの方にとって 膵臓はあまり馴染みがないと思いますが

膵臓は 胃の後ろ 背中側にある 
長さ約15~20cm 幅3~4cm 重さ約100gほどの
トウモロコシのような形をした臓器です
(下図の黄色いオタマジャクシのような臓器が膵臓です)

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膵臓の機能は 外分泌 内分泌 のふたつがあり
外分泌機能には 腺房細胞と膵管が
内分泌機能には ランゲルハンス島が 
それぞれ関与します


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<外分泌機能>

膵臓の腺房細胞は タンパク質・脂質・糖質を消化する酵素を作り 
膵臓の中心部を貫く導管(主膵管と呼びます)から 
膵液として 上図の十二指腸乳頭部 に分泌されます

1日に約1.5リットルもの膵液が分泌されます

胃酸で消化された酸性の消化物が十二指腸に達して 粘膜を刺激すると
セクレチン コレストキニンが分泌されて その刺激で膵液が分泌されます

この消化酵素の働きにより 
食物は十二指腸でさらに細かく消化され 吸収されます

タンパク質を消化するのは
トリプシノーゲン キモトリプシノーゲン 
エラスターゼ カルボキシペプチダーゼ

糖質を消化するのは アミラーゼ

脂質を消化するのは リパーゼ ホスホリパーゼ


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ここで重要なポイントは 
タンパク質を分解する酵素は 膵臓内では不活性型として存在
十二指腸に分泌されてから エンテロキナーゼという酵素により活性化され
タンパク質を分解するトリプシン キモトリプシンになることです

膵臓もタンパク質でできていますから 
膵臓の中でタンパク質を分解する酵素に暴れられたら大変なことになります

逆に なんらかの異常で膵臓の中で酵素が活性化されると 
その作用で膵臓が溶けてしまいます
これが急性膵炎で起こっていることですが それについてはあとでお話しします


<内分泌機能>

膵臓のなかには ランゲルハンス島という 島のように存在する部位があります

ランゲルハンス島の大きさは0.1mmほどで 約5000個の細胞から形成され
膵臓内に100万個以上のランゲルハンス島が存在します

このランゲルハンス島にある細胞から 
糖の代謝に関与するホルモンが血中に分泌されます

*β細胞からは インスリン  
*α細胞からは グルカゴン  
*δ細胞からは ソマトスタチン 

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インスリングルカゴンについては 
既に解説しましたので そちらをご参照ください
 
ソマトスタチンは 
インスリンやグルカゴンの分泌を抑制する働きを有しています


膵臓の病気になると 
この外分泌・内分泌機能が低下して さまざまな症状が出てきます

外分泌機能が低下すると 消化不良になり 
食欲不振 腹部が張った感じ 軟便 下痢などがみられます

内分泌機能が低下すると おなじみの糖尿病になります
慢性膵炎や膵臓がんにより生じてくる糖尿病は 二次性糖尿病と呼ばれます

では 膵臓の病気にはどんなものがあるか? 
どうして膵臓の病気になるか?
膵臓の病気になるとどんな症状が出てくるか?

次回はそうしたことについて解説します

 

2015.09.02更新

アルコールと肝臓の話をしてきましたが
実は肝臓よりも アルコールにより大きな被害を受ける臓器があります

膵臓 です

下図で 肝臓の下 胃の前 十二指腸のすぐ右隣に位置する 
黄色く描かれた横長の臓器が 膵臓です

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というのも
肝臓の細胞はアルコールにより傷害を受けても再生できますが 
膵臓の細胞は再生できません

また 肝障害を生じるより少量のアルコールで膵臓は傷害されます

ですから大酒家は 肝臓だけでなく 膵臓の心配もしないといけません

膵臓については稿を改めて詳しく紹介しますが
主な膵臓の病気は 急性膵炎 慢性膵炎 膵臓がん
アルコールは 急性膵炎 慢性膵炎 に深く関わっています

急性 慢性膵炎ともに 多い原因としては
アルコール 胆石 自己免疫 などがありますが

アルコールが原因となるのは
急性膵炎の33%(男性45% 女性12%)
慢性膵炎の63%(男性73% 女性27%)
に及びます

女性の比率は男性より少ないですが 
アルコール性肝障害と同様 このところ急増しています

アルコール性膵障害は 年代的には30~50歳代に多く
喫煙者が多いことも特徴的です


1日にアルコール80g以上を長期間飲んでいる人に多く
大量飲酒を始めてから10~15年経つと 
慢性膵炎になるリスクが高くなる

1日80gがどれくらいの量のお酒かは 復習されてください


急性膵炎になると みぞおちから左上腹部 背中が痛くなり 
ときに 前かがみにならないといられないほどの激烈な痛み
に襲われます

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大量にお酒を飲んだり 脂の多い食事をしたあとに 
痛みに襲われることが多い

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そうした激烈な痛みはなく
食欲不振 腹部膨満感 軟便 下痢 軽度の発熱
といった症状だけのこともあります


アルコール性の急性膵炎になり 
治療後に改心して断酒できればよいけれど

約30%の方が断酒できずに再び飲み始めてしまい
発作を繰り返していくと 
やがて膵臓細胞が破壊され線維に置き換えられ 慢性膵炎に移行します

急性膵炎後に断酒できないと
膵炎の再発率 慢性膵炎への移行率 糖尿病合併率が有意に高くなり
生命予後も明らかに悪くなる

膵臓はインスリンを産生するので 
壊されるとインスリンが分泌できなくなり 
二次性の糖尿病にもなってしまいます

そして最初に述べたように 膵臓の細胞は再生できませんから
膵臓の機能が破綻してしまうと非代償期になり
今度は腹痛でなく 消化吸収障害 栄養不良 体重減少 頻繁な下痢
などに悩まされ
膵臓がん発症リスクも高まってきます

また そうなってしまう方は 
アルコール依存症の方が多いのも事実です


ですから アルコール性膵炎の治療のいちばんのポイントは
なんといっても 断酒! 

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アルコール性膵炎における断酒の重要性は 
アルコール性肝障害のそれを大きく上回ります

長期にわたりたくさん飲まれている方 肝機能が正常でも安心できませんよ!
是非 膵臓のケアも怠らないよう お気をつけください!


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