左利き肝臓専門医ブログ

2017.11.23更新

今まで解説してきたような不眠症とは
異なる機序により 睡眠障害を呈する病気があります

こうした場合は
不眠症とは対処や治療の仕方が異なるので 注意・鑑別が必要です


@睡眠時無呼吸症候群

*睡眠中の呼吸停止(1 時間あたり5 回以上)
*強度のいびき 
*日中の過度な眠気 

などを主症状とする病気で

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高血圧 虚血性心疾患 脳梗塞の発症要因になるので 見逃せません

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有病率は 一般人口の1% 以上で 特に中年期に多く
30~60歳の男性で4% 女性では2%前後にみられます

女性では 
睡眠時無呼吸があってもいびきがないことがあるので 要注意です


肥満 脂肪が多く短い首 舌が大きい あごが小さいなどの理由により
上気道が閉塞することにより起こります

*読書中
*テレビを見ているとき
*会議や映画館などでじっと座っているとき
*他人が運転する車に乗っているとき
*自分で運転中
*昼間に休息しているとき
*座って人と話しているとき
*昼食後に静かに座っているとき

などのとき 眠くなることが多い場合は リスクが大です

肥満の方は痩せるのがいちばんの治療ですが
他にも専門的な効果的な治療法がありますから
心配な方は医療機関にご相談ください


@むずむず脚症候群 レストレスレッグ症候群

入眠時に 下肢の異常感覚を感じ 動かざずにいられず
そのために眠れず 入眠障害 熟眠感の欠如を訴えられます

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コーヒーやアルコールを飲むと症状が出やすくなり

脚の運動によって症状は改善します

患者さんは 不眠のせいでこうした症状が生じていると考えられ
まず眠らせてほしいと訴える場合が多いです

患者数は 200~500万人で
女性は男性の1.5~2倍の有病率で 加齢とともに有病率は増加します

約60%に家族性発症があります


脳内のフェリチンの欠乏 ドパミン神経系の機能異常が関与すると推定され

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治療としては
*パーキンソン病の治療に用いられるドパミンを補うレボドパ製剤
*フェリチン欠乏を改善する経口鉄剤
などが有効です


@睡眠時周期性四肢運動障害

夜間睡眠中に 周期的に何度も足や手がぴくついて 目が覚めるので
深く眠れなくなる病気です

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こうした症状は 睡眠の前半に 1時間に15回以上見られます

年齢とともに発症する確率が高くなり

30~50歳では5%
50~65歳では30%
65歳以上では45%

に見られるというデータもあります

不眠は訴えますが 不随意運動を自覚していないことも多いようです

睡眠薬は無効で
むずむず脚症候群でも使用されたレボドパ製剤が有効です



@概日リズム睡眠障害

体内時計のリズムが狂うことにより 昼夜が逆転してしまう病気です

若年層に特徴的なのが 睡眠相後退型(遅寝遅起き)

著しい入眠障害が起こり 朝なかなか起きられず 
午前中にだるさ 眠気を覚えるが
午後になると改善されるというパターンを示します


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気分障害の合併が多く
協力性の欠如 ストレス耐性の低さ・回避傾向なども
しばしば見られます


一方 高齢者では睡眠相前進型(早寝早起き)が多く
夕方から眠くなり 午後7~9時に入眠してしまい
午前3~5時に覚醒します


概日リズム睡眠障害の治療としては

早朝から午前にかけて光を浴びて
体内時計のリズムをリセットするのが有効で

最近は 体内時計の形成に関与する睡眠ホルモンのメラトニン
入眠時間の7時間ほど前に服用する薬物治療も効果が得られています

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@うつ病

うつ病になると 9 割近くの人が何らかの不眠症状を伴い

なかでも 睡眠による休養感の欠如は 最も特徴的な症状で
次いで 入眠困難 中途覚醒 早朝覚醒がみられます

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また

覚醒しているのに床から出られない
食欲低下 興味の減退 が起こる

といった症状も見られます


一方で 不眠がある人はうつ病にかかりやすい傾向もあり
不眠症で来院される患者さんに隠れているうつ病を
見逃さないようにしなければなりません


2017.11.22更新

前回に引き続き 厚労省の 睡眠障害対処・12の指針 を紹介します


6. 規則正しい食事と運動習慣


朝・昼・夕に 3食きちんと食べることは 体内時計の維持に役立ちます

逆に 朝食を抜いたり 夜遅くに食べると 体内時計が狂い
夜遅くの食事は それ自体が入眠を妨げます

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また 昼間に適度な運動をすると
昼夜のメリハリをつけ 心地よい疲れが得られ 自然と眠れるようになります

午前中より夕方の適度な運動が 夜の睡眠には良いとされますが
無理な激しい運動は 睡眠にはかえって逆効果ですから 注意が必要です


7. 昼寝をするなら 午後3時までに 30分以内

体内時計の働きにより 午後の早い時間には一過性に眠気がきます

昼食後の満腹感や 普段の寝不足から 昼寝をしたくなりますが
30分以上寝てしまうと 夜の睡眠に影響が出ます

というのも

適切な睡眠には
一度にある程度の時間をまとめて寝る(メジャースリープ)ことが重要で

昼寝をしすぎて Stage3以上の深い睡眠になってしまうと
夜のメジャースリープが崩れ
いちばん深い眠りの徐波睡眠の時間が減ってしまいます

そうならないためにも 深い睡眠に至らない30分以内の昼寝が望ましい

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昼寝そのものの効果は認められていて
適切な昼寝後には 集中力 意欲が高まり 覚醒レベルが最も上がります

シエスタ(昼寝)が一般的に行われるスペインでは
短いシエスタは脳卒中や高血圧リスクを減らすが
長いシエスタは認知症リスクを増やす  と言われているそうです


8. 眠りが浅いときには 積極的に 遅寝・早起きに

充分な睡眠時間を確保しようとして 必要以上に早く床につくと
結局眠れず 長く寝床で過ごすことになり
さらに眠りが浅くなり 夜中に何度も目覚めるようになります

そこで 積極的に遅寝・早起きにして
寝床で過ごす時間を適正化することが大事です

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遅く寝ることで 眠気(睡眠圧)が高まる時間帯に床につくことになり
結果的に 入眠までの時間が短くなり 睡眠効率が上がります


9. 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止 足のびくつき・むずむず感に注意

睡眠中にそうした現象がみられる場合には
不眠症以外の睡眠障害である
睡眠時無呼吸症候群 や むずむず脚症候群が疑われます
(これらについては あとで詳しく説明します)

不眠症とは対処の仕方が異なるので 注意が必要です


10. 充分寝ても日中の眠気が強いときは 要相談

中枢性過眠症群や 概日リズム睡眠障害の可能性がありますから
医療機関に相談した方が良いでしょう


11. 寝酒は不眠のもと

日本人は 睡眠に問題があっても医師に相談する頻度は低く
睡眠のためにアルコールをとる方の割合が高いですが(30.3%)


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飲酒によって 深い睡眠であるレム睡眠の徐波睡眠は減少し
ノンレム睡眠が 特に睡眠後半に増加します


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また 
飲酒によって睡眠時間が減少すること
長期的には 飲酒が睡眠を質・量ともに悪化させることが
明らかにされています


12. 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安心

生活習慣や不適切な睡眠習慣を改善しても 不眠症が改善しないときは
医師に相談して 睡眠薬の助けを借りるのが良いでしょう

しかし 自己判断で薬の量を増減したりするのは危険なので
服薬中は必ず医師の指示に従ってください

この点については 稿を改めて説明します


以上 厚労省の 睡眠障害対処・12の指針について解説しましたが

それ以外にも

@中途覚醒時に10分眠れなかったら ベッドでなく寝室から出る

横になっているだけでも意味があるというのは間違いで

眠れないままダラダラとベッドの上で過ごしているのは
不眠に対する恐怖感を増すだけなので

眠れなかったら 思い切って起きて寝室を出てリビングなどで過ごし
眠くなったら寝室に戻るようにすると良いでしょう


@どうしても眠れなければ その日は朝まで寝なくても良い

ヒトは必要になったら 本能的に最低限の睡眠は必ずどこかでとるので
眠れないことに過度に神経質にならないようにすることが大事

といった注意も必要です


2017.11.21更新

前回ご説明したように
不眠症の治療は 薬物治療の前に

不眠を慢性化させている生活習慣や睡眠習慣の改善を行うべきで

患者さんご本人にとって 眠りやすい時間帯に 年相応の睡眠を確保する

ことを目標とします


そうした背景のもと 厚労省は

睡眠障害対処・12の指針

を出していますので ご紹介します

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1. 睡眠時間に拘らない 日中に眠くならなければ大丈夫

前回ご説明したように 8時間睡眠信仰にとりつかれたり
眠れないという不安や恐怖があると
脳の覚醒レベルが上がってさらに眠れなくなるという悪循環に陥ります

過度に心配せずに ドンとかまえることが大切です

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2. 寝る前には 刺激物を避け 自分なりの方法でリラックスする

寝る前のリラックスした環境作りは
快適で速やかな入眠を得るために大切です

具体的な注意としては

*パソコンやスマホは 寝る2時間前までに終わらせる

 器機が発するブルーライトによって
 メラトニンが減少して覚醒してしまいます

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*寝る1時間前くらいに ぬるめの風呂に15~20分入って体を暖める

 入眠には深部体温の低下が必要ですが 低下には時間がかかるので
 寝る直前の入浴は 体温が上がり逆効果です

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*ニコチン カフェインには 強い覚醒作用があるので
 就寝3~4時間前の喫煙やカフェイン摂取は避けましょう


3. 就寝時間にかかわらず 眠たくなってから床につく

眠たくないのに 早く寝ようとして床についても
午後5時~10時は覚醒しやすい「睡眠禁止ゾーン」なので
起きたまま床の上で過ごすことになります

そうすると 眠れない という不安感が増すだけで良くありません

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夕食後すぐに床に就かず 家族との団らんや趣味の時間を過ごすなどして

本当に眠くなってから床につき
すぐに入眠できるように心掛けてください


4. 毎日 同じ時間に起きる

普段の寝不足を解消する目的での 休日の朝寝坊は よくありません

体内時計が乱れて 夜型になってしまうリスクもあります

休日に平日より3時間以上遅く起きている人は かえって不眠になりやすい
というデータもありますから

平日と休日の睡眠時間の差は 2時間以内にするのが望ましい

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どうしても休日に長く寝て 睡眠時間を稼ぎたいなら
前日に寝る時間を1~2時間早めた方が良いです


5. 朝起きたら光を浴びる 夜の照明は控えめに

体内時計のリズムを維持するために
朝起きたら太陽の光を浴びて 睡眠ホルモン・メラトニンの分泌を抑え
体全体を目覚めさせるようにしましょう

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逆に 夜に明るいと せっかく増えてきたメラトニン分泌が減って
眠気がそがれてしまいます

特に寝室では 明るい照明は避けるようにしましょう

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続く

 

2017.11.16更新

不眠症になる要因として 次の3つが挙げられています

@不安 ストレス

@体内時計の乱れ

@間違った睡眠習慣

これらの要因が絡み合って 不眠症になるわけですが

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現代の不眠症で特に重要なのは

体内時計の乱れ と 間違った睡眠習慣 です


<体内時計の乱れ>

現代社会では 夜遅くまで明るく お店も開いているので
どうしても夜型の生活習慣になりがちです

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特にそうした傾向は若年層に多く
若い人の不眠症の主たる原因は 夜型の生活による体内時計の乱れです

要は 夜型生活なので 寝るのが遅くなり
しかし朝の始業時間は変わらないので 必然的に眠る時間が減る

だから眠い

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<間違った睡眠習慣>

また 間違った睡眠習慣も 特に中高年で大きな問題になります

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間違った睡眠習慣の代表的な例が 8時間睡眠信仰 です

なぜか世間では 8時間寝ないとマズイ ということになっていて

それを過度に意識するあまり
「眠れないのではないか」という恐怖心が起こり
そのために かえって頭がさえてしまい不眠になる

という 不眠恐怖症ともいえる悪循環が生じます

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そもそも 適切な睡眠時間は人によって異なりますし

それでなくても
高齢になると 中途覚醒が増え 朝の目覚めも早くなります

特に男性は 
40歳代から早朝覚醒が増加
50歳代後半になるとさらに朝型化していくとされていますから
そうしたことは病気ではなく 加齢にともなう生理的な変化なのです

また 歳とともに 眠りの質も 浅くなっていきます

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それなのに 悲しいかな 
若い頃のようなぐっすりとした眠りを求めてしまうのです

平均的睡眠時間は 60代で6.2時間 70代で5.9時間なのに
8時間寝たい 8時間寝ないと体に悪い と信じ
それが故に 8時間寝られないと 自分は不眠症だと思ってしまう



それ以外にも 世の中にはなぜか信じられている
不適切な睡眠習慣がたくさんあります

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寝られないときは横になり 身体だけでも休ませといい は間違い

そんなことをしたら 眠れない恐怖心が育ってしまいます


眠くなるのを期待して早目に布団に入る のも間違い

夜7~10時は 覚醒レベルが高く眠気も弱いので
寝ようとしても眠れないし
無理して寝ると 生理的な睡眠パターンが乱れてしまいます


昼寝を長めにして寝不足を補えばいい のも間違い

昼に30分以上寝てしまうと 夜の睡眠の質が落ちてしまいます


休日の朝に遅くまで寝て 日頃の寝不足を補えばいい のも間違い

そんなことをすると 体内時計が乱れてしまいますから
休日でも平日と同じ時間に起きるべきです


昼寝にしても休日の朝寝にしても
日頃の寝不足を補いたいなら 
前の晩に1~2時間早く寝た方が効果的です


ということで 現代社会における 不眠症の患者さんへの対応は

*乱れた生活パターンがないか?

*誤った睡眠習慣をされていないか?

を詳しくうかがって

該当する点があれば そこを改善していただくことが
ファーストステップになります


睡眠薬を使うのは そのあとです


2017.11.15更新

夜 眠れません!

との訴えで来院される患者さんは少なくありません

でも 眠れなければ不眠症か? というと
そこは何気に微妙なところなのです


<不眠症とは?>

そもそも 不眠症とは どういう状態を指すのでしょう?


アメリカ睡眠学会の定義によると

睡眠の開始と持続 あるいは睡眠の質の障害が繰り返し見られ

*疲労 気分の低下 いらいら 全身倦怠感 認知障害

*社会生活や職業生活に支障をきたし 生活の質が低下する

*子供では 学業成績の低下などを認める

といった 

何らかの昼間の生活における弊害がもたらされる状況が 
不眠症と見做されます

つまり

睡眠に関するトラブルがあることで 昼間の生活に支障があるか?

その点がポイントになるようで

夜眠れなくても 昼間の生活がOKならば 不眠症ではない


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日本の診断基準でも

入眠困難 中途覚醒 早朝覚醒 
慢性的に回復感がない 質の良くない睡眠が続く

といった訴えがある患者さんで  日中の障害が認められる場合 

となっていて


具体的な日中の障害としては

*疲労 倦怠感
*注意力 集中力 記憶力の低下
*社会生活 職業生活の支障 学業の低下
*気分障害 焦燥感  気分がすぐれず イライラする
*日中の眠気
*やる気 気力 自発性の減退
*職場や運転中の過失や事故
*緊張 頭痛 胃腸症状
*睡眠に関する心配 悩み

が 挙げられています


実際に 日本の統計でも
睡眠障害の症状を訴える人は20%以上いるのに

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そのうち本当に治療が必要な人は6~8%で

睡眠障害があることと 不眠症は 別ものと考えるべきで


睡眠障害により 日常生活の障害があるかどうか?

あれば不眠症 

ということになります



<不眠症のタイプ>

さて ホンモノの不眠症ですが 以下の3つのタイプがあります

@入眠障害型  寝床についても 30分~1時間以上眠れない

@中途覚醒型  いったん眠りについても 
        翌朝起床するまでの間 夜中に何度も目が覚める

@早朝覚醒型  通常の起床時間の2 時間以上前に目が覚め その後眠れない

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日本人の不眠症は
20~30歳代に始まり 加齢とともに増加し 中~老年で急激に増加し
男性よりも女性に多い傾向があります

入眠障害型は 各年代ともみられますが
中途覚醒型は 他のふたつのタイプより頻度が多く 60歳以上で特に多い
早朝覚醒型は いちばん頻度が少なく やはり60歳以上で特に多い

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<不眠症の原因別分類>

また 厚労省の不眠症の診断・治療・連携ガイドラインでは
不眠症を原因別に 以下のように分類しています

一過性の適応障害性 ストレスが原因で急性発症し 3か月未満に消失する

別の病気による 痛み かゆみ 呼吸困難 頻尿 などが原因で起こる不眠

不適切な日常の行動・習慣(寝る前のカフェイン ニコチンの摂取など
 による不眠

薬物による不眠(パーキンソン病治療薬 副腎皮質ステロイドなど)

うつ病などの精神疾患による不眠

精神生理性不眠

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このなかでいちばん頻度が高いのが 最後の精神生理性不眠で
これが世間一般で言われている不眠症です

精神生理性不眠 では

*眠れないことにとらわれ 眠ろうと努力すると 余計に眠れなくなる
*心理的要因 不眠への過度の不安により 覚醒レベルが上昇する
*眠れなかった経験による悪影響も原因となる
*完全主義 神経質な中高年の女性に多い
*寝室でない場所 いつもと違う入眠法により改善することがある

といった特徴があります

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最後に 繰り返しになりますが

たとえ 寝つくまでに時間がかかる 夜中に何度も起きる 
といった訴えがあっても

昼間の生活に支障がなければ問題なく  不眠症とは診断されません

この点を ご理解いただければと思います

 

2017.11.14更新

睡眠の基礎的なメカニズムについて 充分に説明してきたので
そろそろ臨床的な話題に転じましょう

読み手の皆さんにとっては あまり面白くなかったかもしれない

どうして眠くなるのか? 
どうして起きるのか?
そのバランスが どのようにしてとられているのか?

といったことを 事細かに説明してきたのは

そこがわかっていると
多くの患者さんが悩まれている 不眠症 についても
より深く理解していただけると思ったからです

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病気の理解の基礎となるのは
なぜ そうした症状が出てくるかをロジカルに説明する病態生理です

煩わしいことに 
書き手は医学生の頃から 病態生理フェチなのですよ(苦笑)

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病態生理のお勉強をするのは大好きで

”内科医は 病態生理に精通してこそナンボ!” と信じています


でも フェチの言い訳をさせていただくと(再苦笑)

患者さんに きちんとご自分の病気についてご理解いただくには

説明する側の医者が その病気の病態生理をしっかり把握していて

その知識をもとに 
なぜ その病気が起こるか? 症状が出てくるか?
どのような治療をすれば改善するか?
 

といったことを 患者さんに わかりやすく説明できることが

とても大切なこと

だと思っています

患者さんにわかりやすく説明できるように
日々 お勉強を重ねて 精進しているつもりですが

その成果は出ているでしょうか? そこが問題だ!


まあ そんな自問自答はどうでもいいので?(苦笑) 閑話休題


まず 日本人の睡眠の現状 について解説します

日本人は最近 眠らなくなっていると指摘されています

先進国のなかでは 睡眠時間が韓国に次いで短い


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5人に1人が睡眠の問題を抱えていて


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そうした方は 50代後半から増えてきます


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睡眠時間が減少した理由としては

夜型の生活パターンの人が増えていて 入眠時間が遅れている


1941年の平均的な就寝時間は午後11時頃だったのに
2000年の就寝時間は なんと午前1時というデータがあります


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仕事があるから起床時間は遅らせられないので
結果的に睡眠時間が減るのです


また 次回以降詳しく説明していきますが

今の日本では 寝つきが悪い 途中や朝早く起きてしまうといった
不眠に関する悩みを持たれている方が とても多い



で 睡眠と健康との関連ですが

睡眠障害は 体のリズムを狂わせます

睡眠 覚醒のリズムは 体の1日のリズムに大きな影響を及ぼし
昼間の覚醒中は 交感神経がはたらいて活動的になり
夜間の睡眠中は 副交感神経が優位になって心身を休ませます


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しかし

夜型の生活が続くと 
交感神経が優位なままで体の活動モードが続き
本来の体のリズムが乱れ 自律神経活動やホルモン分泌に異常をきたし

高血圧 肥満 糖尿病などの生活習慣病を引き起こす恐れがあるのです


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これまでの多くの検討結果を見ると
睡眠時間が6~8時間だと なにかにつけてベスト
5時間以下 または 9時間以上だと いろいろと弊害が出てきます


平均寿命は 6~7時間睡眠の人がいちばん良くて
それより短くても長くても 良くない

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高血圧と睡眠の関係は
発症リスクが最も少ない睡眠時間7~8時間に比べ
5時間以下だと1.5倍に増加し9時間を超えるとリスクが上がる

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また 入眠障害 中途覚醒がある人の方が発症率が高い


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これは 睡眠障害による交感神経の活性化が関与すると考えられています


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糖尿病に関しては
睡眠時間が5時間以下の人は 発症率が2.5倍上がる

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睡眠時間が短いと
食欲促進ホルモンのグレリンが増え 
抑制ホルモンのレプチンが低下するため
肥満にもなりやすい

また 入眠障害 睡眠維持困難の人は 
糖尿病の発症率が 2~3倍高くなります

不眠があると インスリン感受性が低下するので
糖尿病の患者さんが不眠になると コントロールが悪くなってしまいます

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うつ病との関連では
どの年齢でも うつ得点が高い人は睡眠時間が短く
睡眠時間が5時間以下で急激に高くなり
9時間以上でもうつ得点が高くなります

また 睡眠の質が悪い 睡眠で休息がとれない人も うつ得点が高い

学生時代に不眠の人は
中年になってからのうつ病発症率が2倍になるというデータもあります

不眠に悩まれる方が多い交代勤務の人も うつ病になりやすく
6年以上続けていると 6~7倍 うつ病になりやすい

不眠がうつ病を誘導するかどうかは定かではありませんが
うつ病と不眠は
同じ気質(神経質 几帳面すぎる)から発症する可能性があります

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また うつ病の初期には 不眠しか症状を呈さない可能性もありますから
典型的なうつ症状を示さない不眠症患者に隠れるうつ病を
見逃さないことが大切です


乳がんと睡眠との関連も指摘されています

以前にもご紹介しましたが

睡眠時間が6時間以下では1.62倍 9時間以上は0.72倍とリスクが増え
週3回の夜勤は1.8倍 夜勤専門は2.9倍リスクが増えます

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これには メラトニンの分泌低下が関与すると推測されていて
実際に夜勤者のメラトニン分泌量は 日勤者の20%にとどまっています


このように
さまざまな病気の発症やコントロールに関して

ベストなのは  6~7時間は寝ることで

睡眠時間が5時間以下の方
不眠症状がある方は 要注意ということになります


2017.10.27更新

当院には 糖尿病の患者さんが たくさん受診されており
基本となる食事療法 運動療法に加えて
飲み薬やインスリンの治療を受けておられる方も多くおられます

治療効果は人それぞれですが

糖尿病のコントロールの指標として 
採血時から2~3か月間前の血糖の動態を表す
HbA1cという血液検査項目が用いられ

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その値の変化に 患者さんも医者も 一喜一憂します(笑)

「あれっ 今回は前回よりA1cが上がっちゃいましたね?」
「あ やっぱりそうでしたか
 油断して食べ過ぎて 体重が増えちゃったのですよ」

「おや 今回はA1cが良いですね!」
「頑張って1日1万歩 歩いたのですよ」
「よかった! 努力の成果が数字に出ましたね!」

こうした悲喜こもごものやりとりが 診察室で交わされますが

HbA1c を どれくらいにコントロールすべきなのでしょう?


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基準値上限は 6.2(%)ですが
糖尿病の患者さんで そこまで改善するのは なかなか難しい

日本糖尿病学会の治療ガイドによると コントロール目標値は

*合併症予防のためには 7.0未満

*血糖正常化を目指す際は 6.0未満 

とされています

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ですから HbA1cが6%代になっていれば まあ良いでしょう 
ということになりますが


そんな甘いことではダメだ! もっと厳しくしないと!


という趣旨の臨床研究論文が
一昨日 Lancet diabetes endocrinology という
世界的に有名な権威ある医学誌のオンライン版で発表されました

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この臨床研究を行ったのは 東大の門脇先生をまとめ役とした
日本全国の81施設の医師・研究者からなるグループです


治療を行っている糖尿病患者さんが
心筋梗塞 脳梗塞などの合併症を起こさないようにするためには
治療中の血糖値 血圧 脂質の管理目標値を どのくらいに設定すべきか?

この疑問点を明らかにする目的で
全国81施設の2542人(男女比 6:4 年齢45~69歳)の患者さんを

*現行指針通りのコントロール目標値になるように治療した 従来群
 (HbA1c<6.9% 血圧<130/80mmHg LDL<120mg/dl)

*より厳しいコントロール目標値まで改善するように治療した 強化群
 (HbA1c<6.2% 血圧<120/75mmHg LDL<80mg/dl)

に分け(1271人ずつ)

2006年以降 平均8.5年間 経過観察を続けて
心筋梗塞や脳卒中などの合併症が起きる割合を比較しました


ちなみに 従来群と強化群の 治療の違いですが

強化群では
*インスリン抵抗性改善薬のピオグリタゾン または インスリン
*血圧降下剤のアンギオテンシン受容体拮抗薬
*LDL降下作用が強力なタイプのスタチン製剤
が それぞれ より高頻度に投与されていました


で 結果ですが

両群とも 治療により HbA1c 血圧 LDLはいずれも低下しましたが

改善の程度は 強化群(赤)の方が 従来群(青)より著明でした

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糖尿病専門医さんによると

この折れ線グラフの左端の 最初の下がり具合が大切で
初期治療でしっかりとHbA1c値を改善させること
心血管系合併症の予防に重要なポイントだそうです


さて 心筋梗塞 脳卒中などの合併症の発症率を見ると

時間経過とともに増えてきますが
赤の強化群の方が 青の従来群よりも 低い傾向を認めます


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さらに 合併症の種類別に検討すると

心筋梗塞 狭心症などの心血管系合併症の発症率は
赤の強化群の方が 青の従来群よりも 低い傾向を認めます

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また 脳梗塞 脳出血などの脳血管系合併症の発症率は
赤の強化群の方が 青の従来群よりも
統計学的に有意に低いことが示されました

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さらに 糖尿病の重大な合併症である 糖尿病性腎症 網膜症の発症率も
強化群では従来群より低く
腎症については 統計学的に有意な差があることが示されました

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このように

治療目標値をより厳しく設定して 的確な治療を行うことで
重篤な合併症の発症を予防できることが 明らかにされたのです


糖尿病専門医さんの解説によりますと

治療目標値を厳しく設定することの効果は
過去に欧米からも報告されていましたが

今回の日本からの発表は
糖尿病や脂質異常症の新たな治療薬の効果も反映されているので
業界ではインパクトが強く

2019年に改訂予定の日本糖尿病学会の治療ガイドに
この厳しさが反映されるのではと推測されているようです


*HbA1cは 6.9 でなく 6.2

*LDLコレステロールは 120 でなく 80

*血圧は 130/80 でなく 120/75


実は書き手は 糖尿病の患者さんのHbA1cが7%を下回ると
たとえ6%の後半でも
患者さんと一緒に喜んでいましたが

これからは 6.2まで下がらないと 患者さんに笑顔を見せないようにします!

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糖尿病の患者さん ご覚悟ください?(笑)


HbA1c 6.2 を目指して 一緒に頑張りましょう!


2017.10.19更新

二次性貧血とは 他の病気が原因で生じている貧血のことです

体内で持続的に炎症が続くと
赤血球が十分に作れなくなるので 貧血が生じます

持続的炎症は 膠原病 感染症 悪性腫瘍などが原因で起こってきます

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また 

腎臓の機能が低下すると腎性貧血が生じますし

肝臓の機能が低下して 二次的に脾臓が大きくなってくると
赤血球が多く破壊されるようになって
やはり貧血が引き起こされます


このように貧血は
さまざまな病気の症状のひとつとして現れてきますから

鉄 ビタミンB12 葉酸の欠乏や
骨髄の機能異常といった 
貧血の原因が認められない場合は

背後に貧血の原因となる病気が隠れていないか 検査する必要があります


@慢性関節リウマチ・膠原病

慢性関節リウマチでは 患者さんの6割以上に貧血症状が見られます

貧血の程度は軽度から中程度で 高度な貧血になることは稀です

よく処方される痛み止め(消炎鎮痛剤)が 胃を荒らしやすく
副作用として胃潰瘍を起こすことがあり
出血による鉄欠乏性貧血へとつながる恐れがあります

また 鉄の利用障害 赤血球が壊れやすくなる といった原因が複合して
貧血を引き起こすと考えられています


全身性エリテマトーデスなどの膠原病でも 
しばしば貧血の症状が見られ
原因としては 慢性関節リウマチと同様のことが考えられています


慢性関節リウマチでも膠原病でも
まずはリウマチや膠原病に対する治療を行います

もとの病気がよくなれば貧血も改善しますが 完全に正常化することは稀です


@感染症

結核 感染性心内膜炎などの感染症では
うまく赤血球が作れずに 貧血を起こしてしまうことがあります

特に 高齢の患者さんでは 注意が必要です



リウマチ 膠原病 感染症のような
持続炎症の際に貧血が生じてくる機序には

炎症で産生されるTNF-α IL-6 IFNなどのサイトカインが関与します

これらが 腎臓 骨髄 肝臓など
赤血球の分化・合成に関わる諸臓器に作用して
造血機能を障害して貧血が生じてきてしまいます


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特に IL-6が肝臓に作用して作られるヘプシジン

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マクロファージからの貯蔵鉄の放出を抑制し
腸管からの鉄吸収を抑制して
貧血の発症に深く関わっています



@腎性貧血

腎臓で作られる造血因子のエリスロポエチンが不足して起こる貧血です

以前に説明したように
腎臓で作られるエリスロポエチンというホルモンが
赤芽球前駆細胞に作用して 赤血球が成熟するラインが動き始めますが

慢性的な腎臓病などで 腎臓でのエリスロポエチン産生が上手くいかないと
骨髄での赤血球への分化が滞って 貧血が起こります


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遺伝子工学的に作られたエリスロポエチン製剤の開発により
定期的なエリスロポエチン投与が可能となり
腎性貧血は治療ができるようになりました


@肝臓病 消化器の病気による貧血

胃・十二指腸潰瘍消化器の悪性腫瘍からの出血も 貧血の原因として重要です

貧血の原因が出血による場合は 鉄欠乏性貧血と同様の治療法が考えられ
鉄剤を用いた治療が行われます

また アルコール性肝硬変で葉酸が不足したり
他の肝臓病で骨髄の造血機能が障害されている場合もあり
脾臓が肥大して 赤血球が壊れやすくなっていることもあります


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但しこれらの場合は 貧血の程度 症状はそれほどひどくはならないので
肝臓病の治療に専念し 貧血については経過をみることが多いです


@悪性腫瘍による貧血

胃や大腸の悪性腫瘍の患部からの慢性的な出血により 貧血が起こることがあり
この場合は 鉄欠乏性貧血の症状が現れます

また 出血がなくても
悪性腫瘍が進行すると貧血が見られるようになることがあり
この場合は 腫瘍が組織を破壊していくにつれ 鉄が利用しにくくなり
徐々に貧血が進行していくと考えられています


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特に高齢者で原因不明の貧血が見られる場合には

悪性腫瘍の精密検査を行うことが重要です



 

2017.10.18更新

今日は鉄欠乏性貧血と同様 日々の食生活の栄養不足で起こり得る
巨赤芽球性貧血 について解説します


@巨赤芽球性貧血とは?

ビタミンB12 葉酸 の欠乏により起こる貧血です

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体内のビタミンB12や葉酸が欠乏することによって
細胞分裂が正常に行われなくなり

骨髄中で赤血球が造られるプロセスで
赤芽球の段階で分化がとまってしまいます

ビタミンB12と葉酸がDNA合成に必須で
これらの不足がDNA合成を不可能にするからです


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白血球や血小板も同様の状態となり
赤血球 白血球 血小板のすべてが減少する汎血球減少症になります


@原因

ビタミンB12 葉酸の 摂取不良や吸収障害により起こります

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*ビタミンB12

1日の必要量は2.5μgですが
体内には5~1mgが貯蔵されており
さらに腸肝循環により再利用されるものもあります

しかし 何らかの理由により吸収されていない場合は
徐々に貯金を使い続け 約5年後には使い果たして貧血の症状がでてきます

小腸や胃の摘出手術を受けた場合や
胃酸の分泌が減少している場合などでは
ビタミンB12の吸収率が低下して起こることもあります


摂取されたビタミンB12は 
胃壁の細胞から分泌される内因子と結合した後
回腸から吸収され 主に肝臓で貯蔵されます

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胃壁の細胞を攻撃する自己抗体を持っているヒトでは
内因子が分泌されず ビタミンB12吸収障害が発生します

この自己抗体の存在によるビタミンB12欠乏を原因とする巨赤芽球性貧血は
悪性貧血と呼ばれ 日本人の巨赤芽球性貧血の61%を占めています


胃全摘は 巨赤芽球性貧血の発症原因の34%で
その他のビタミンB12欠乏が2%を占めています

また ベジタリアンは
ビタミンB12の摂取が不十分で発症することがあります


*葉酸

葉酸は 動物性食品とともに植物性食品にも含まれており
特に新鮮な野菜や果物には豊富に存在しています

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しかし アルコールの飲みすぎなどにより 小腸での吸収が障害されますし
葉酸を必要とする妊娠時に欠乏することが多くなります

葉酸の貯蔵量は5~1mgありますが 1日の必要量が50~200μgと多いので
ビタミンB12より早期に貧血の症状が現れてきます

巨赤芽球性貧血の約2%は 葉酸欠乏を原因としています


@症状

一般的な貧血の症状として
動悸 息切れ 全身倦怠感 疲労感 顔面蒼白などがあり

それに加えて

*舌の表面が平滑になり 痛みや灼熱感を生じるハンター舌炎
*味覚低下や食欲不振といった消化器症状

が 他の貧血と比べて特徴的です

ビタミンB12欠乏では
四肢のしびれや歩行障害をきたすケースもみられます

症状は徐々に進行していきます


@検査

*赤血球だけでなく 白血球や血小板も減少する
*鉄欠乏性貧血と正反対の 大球性高色素性貧血がみられる
*間接ビリルビン LDHが高い
*ヘモグロビン結合蛋白であるハプトグロビンの値が低い

のが 巨赤芽球性貧血の特徴です


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@治療

ビタミンB12欠乏は
ビタミンB12が注射か点滴で投与され 経口投与も有効です

ただし根本的な治療とはならないため
定期的なビタミンB12の補充が必要です


葉酸欠乏では 葉酸の経口投与による補充療法が基本になります

葉酸を多量に含む ほうれん草やレバーなどの食品の摂取も指導されます


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2017.10.17更新

前回ご紹介した鉄欠乏性貧血の 治療について解説します

@食事療法

平成16 年の厚生労働省の調査では
男性で1日あたり8.1mg 女性で7.7mgの鉄しか摂っておらず
特に鉄を必要とする20歳台で6.9mg 30歳台で7.0mgと
必要量の半分しか摂取できていません

したがって 女性の半数が
鉄欠乏性貧血 または貧血にまでは至っていないけれど 鉄欠乏状態です

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食事からの鉄の摂取は 年々減り続けているのが現状で
日頃の生活の食事内容に注意が必要です


食事中には ヘム鉄と非ヘム鉄とが含まれています

*ヘム鉄は 肉や魚に多く含まれ
*非ヘム鉄は 穀類、緑黄色野菜、海草に多く含まれています

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ヘム鉄の吸収率が15~25%であるのに対し
非ヘム鉄の吸収率は2~5%と 吸収が不良なのが特徴です

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したがって レバー 肉 魚などを積極的に摂ることが勧められます


また 非ヘム鉄はヘム鉄より吸収率が悪いですが
動物性タンパク質と一緒に摂取すると吸収率が上がりますので
上手に食材を組み合わせて食べることが大切です


消化管での鉄の吸収に影響をおよぼす因子があるので 注意が必要です

コーヒー 緑茶 紅茶にはタンニンが含まれ
このタンニンは鉄吸収を阻害します

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非ヘム鉄は タンニンなどからの吸収阻害を受けますが
ヘム鉄は鉄イオンがポルフィリン環に囲まれているため阻害を受けにくく
そのために吸収されやすいとされています


一方 ビタミンC は
鉄を吸収しやすい形にすることによって 鉄吸収を促進します

消化管における非ヘム鉄の吸収効率は ビタミンCにより改善しますし
後述する経口剤の鉄剤服用時にも ビタミンCを合わせて飲むと効果的です

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ちなみに 意外にバカにならない点として

*鉄鍋や鉄瓶で調理したものからは 鉄分が多く摂れること
*鉄を含む健康食品やサプリメントは 予防に有用であること

があげられます

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欧米では人口の20~30%がサプリメントを使用していますが
日本では 2~3%にすぎません

コンビニなどで売られている鉄剤サプリを服用するだけで
貧血が改善する患者さんもおられますのでお勧めです



@鉄剤を用いた治療

食事療法は 貧血の再発予防には有用ですが
食事療法だけで鉄欠乏性貧血の治療をするのは 困難なこともあります


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そうした場合は 鉄剤を用いた治療が行われます

経口鉄剤は 
1日に鉄分を100~200mg投与し
通常は2か月程度で 貧血は改善します


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副作用としては

食欲の減退 むかつき 吐き気 便秘 下痢などがみられる場合があり

ものを噛んだとき金属の味がしやすい
便が黒くなる 
といったこともあります


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こうした副作用の予防や 前述した消化管での吸収率向上のために
ビタミンC製剤を同時投与することが多いです


また これも前述しましたが
お茶やコーヒーに含まれるタンニンが鉄分の吸収を妨げることから

鉄剤の服用時には お茶やコーヒーと一緒に飲まないようにいわれています


副作用がどうしてもつらくて 薬を継続して飲めない患者さんもおられます

当院でもそうした患者さんがおられますが
その場合は 鉄剤の静脈注射による治療を行います

経口鉄剤の副作用のため 治療に逡巡されている方は ご相談ください


治療を行うと 

まず 血清鉄が最初に増えてきて
それからヘモグロビンが上昇しはじめて
最後にフェリチンが上昇してきます

体内で鉄が減ってくる順番と まさに逆パターンです


そこで 治療の目標は

ヘモグロビンだけでなく 貯蔵鉄のフェリチン値が正常化することで
原則として それまで治療を継続します

そのため 
ヘモグロビンが上昇したからといって鉄剤を自己判断でやめずに

担当医の指示に従って
しっかりとフェリチンを基準値が戻るまで治療を続けましょう


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ちなみに

ピロリ菌に感染していると 鉄の吸収が障害されるので
経口の鉄剤が効きません

除菌治療でピロリ菌を除去してから 治療を行うことが必要になります

 

 

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