左利き肝臓専門医ブログ

2017.07.27更新

ダイエットして摂取カロリーを制限したサルは
生活習慣病にならず 長生きする

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そんなセンセーショナルな実験結果が報告され
長生きしたサルの遺伝子解析から 長寿遺伝子なるものが同定され
一時期マスコミで大騒ぎになったことを 覚えておいでの方も多いと思います

この長寿遺伝子の正体が
今日解説する サーチュイン遺伝子 です

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サーチュイン遺伝子は すべてのヒトが持っているもので
ヒトでは SIRT1~SIRT7 の7種類が同定されています

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7種類のサーチュイン遺伝子は
それぞれ細胞内での局在・役割が異なり

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SIRT3~SIRT5は ミトコンドリアに存在しています


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老化のスピードをコントロールする遺伝子で
主に老化に関連する遺伝子群の転写を抑制しますが

それ以外にも 多種多様な働きがあり
さまざまな臓器で さまざまな機序で 臓器特異的な作用を示します

*細胞を修復するタンパク質を活性化する

*ミトコンドリアの制御により 生命維持に必要なエネルギー量を調節する

*テロメアを保護し 短くなるのを防ぐ

*インスリンの生成やその伝達経路を制御する

*動脈硬化を抑制する

*脂肪細胞の生成を制御する

*記憶調節 アルツハイマーなどの神経変性疾患
 加齢に伴う病気にも関与する

こうした まさに多種多様な機能を有しています


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サーチュイン遺伝子から翻訳されるサーチュインタンパク
ヒストン脱アセチル化酵素

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エピジェネテイクス制御で説明した
ヒストンに付いているアセチル基を切り取る働きを有しています

アセチル基が切り取られると
ヒストンとDNAの結合が強固になり ヘテロクロマチン構造になるので
遺伝子発現を開始させる転写因子がDNAに近づけなくなります


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こうした遺伝子発現のエピジェネテイック制御を行うことで
老化 炎症 生活習慣病などを促進する遺伝子の発現を抑制し

その結果として寿命が延びる と考えられています


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サーチュインタンパクは 体内のあらゆる細胞で発現しています

しかし 残念ながら
サーチュイン遺伝子は普段は働いておらず
働かせるためには スイッチをオンにする必要があります


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サーチュイン遺伝子を活性化させる方法としては

*適度な運動

*カロリー制限

*長寿遺伝子を活性化させる抗酸化成分・レスベラトロールを摂る

といったことが 明らかにされています

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赤ワインには ポリフェノールのレスベラトロール が含まれていますが
活性化に必要な量を赤ワインの量に換算すると
1日にボトル100本前後となり

赤ワインを飲んでサーチュイン遺伝子を活性化するのは
残念ながら非現実的です


また 冒頭に紹介したサルの実験で明らかにされたように
カロリー制限をするとサーチュイン遺伝子が活性化され
30%のカロリー制限を7週間すると ほぼ100%活性化されます

ヒトでもカロリー制限で寿命が延びるかは 今のところ不明ですが
メタボリックシンドロームの患者さんは
サーチュイン遺伝子がオンになっていないことが報告されています

ただし ヒトでこれだけのカロリー制限を持続するのは困難ですし

途中で一度でもカロリー摂取量が戻ると またスイッチがオフになって
振り出しに戻ってしまいます


サーチュイン遺伝子を活性化させるのは なかなか困難なようです

 

 

2017.07.26更新

<老化と発がん>

細胞が老化するということは 不可逆的に増殖を停止すること


この反応を起こす直接的なメカニズムは

細胞がDNA傷害を受けた際に その傷害から守るための反応の
DNA 損傷応答(DNA damage response)であることを説明しました

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DNA損傷は 発がんの大きな原因のひとつですので

その傷害から細胞を守る反応である細胞老化には

細胞ががん化して  無制限に増殖することを抑制する

という 発がん予防的な機能があります


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DNAが傷ついた細胞は 自らが持つ修復機能でDNAの傷害の修復を試みますが

傷害の程度が修復能力の限界を越えている場合は
DNA傷害が蓄積して細胞ががん化しないよう 別の手段を講じます

そのひとつが 自らを死に至らしめる手段で
こうした細胞の死に方を アポトーシスと呼びます

アポトーシスについては 既に解説しましたので
興味がある方は復習されてください


そして もうひとつの手段が

DNA 損傷応答(DDR)により 細胞周期を停止させ
不可逆的に増殖できないようにする

つまり 老化細胞になることです


<p53・がん抑制遺伝子>

さて 細胞の がん化老化 の両方に関わる因子として注目されるのが
p53というがん抑制遺伝子です


p53は DNAに傷が入ったことを察知し

*傷が軽度な場合は 細胞周期の回転を止め修復機構を活性化させ
*傷が重度で修復が不可能な場合は アポトーシスを起こさせます


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発がんを抑制するp53遺伝子の翻訳タンパクのp53タンパク
遺伝子発現を制御する転写因子です

p53タンパクが発現制御に関わる標的遺伝子は多岐にわたり
100個以上のタンパクの発現を誘導します

そのなかには

*細胞周期関連タンパク(p21など)
*アポトーシス関連タンパク(Bax Noxa Pumaなど)
*DNA修復関連酵素

などが含まれていて

それらのタンパクを発現させ機能させることで p53は自らの作用を発揮します

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p53タンパクは 細胞内では 通常はユビキチン化という処理を受け
タンパク質を分解するプロテアソーム系ですぐに分解されますが

がん遺伝子の活性化やDNA損傷が起こると
ATMキナーゼによりリン酸化され ユビキチン化を受けなくなり
上述したような作用を発揮して 発がん阻止に働きます

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多くのがんでは
p53遺伝子は変異を受けて p53タンパクが機能しないので
発がんが起こってしまいます


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<p53と老化>

一方 p53は個体老化にも関連します

個体の老化において p53依存性の細胞老化シグナルが重要で
DNA 損傷応答におけるp53 活性化によって
p53 依存性細胞老化シグナルが活性化し 細胞老化が誘導されます


また p53遺伝子を不活化すると長寿になることが明らかになり

ミトコンドリアでの酸素消費が低下して 酸化ストレスが減ることが
(ミトコンドリアでのATP産生効率は変化していない)
老化の抑制を誘導すると考えられています


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<p53と生活習慣病>

p53シグナルの活性化が
心臓病や肥満・糖尿病の病態に関与することも明らかにされています

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心不全の患者さんでは
心筋内でp53発現が増強することで 老化反応により血管新生反応が減弱
心筋に充分な血流が供給されず 心筋虚血が生じて心不全が発症・進展します

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p5308


また 肥満時には内臓脂肪組織でのp53シグナル活性化を認めますが

p53シグナルを介して誘導された細胞老化により
内臓脂肪内の慢性炎症と全身のインスリン抵抗性が生じる可能性が考えられ


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p53 をノックアウトした糖尿病モデルマウスでは
*内臓脂肪における細胞老化
*悪玉アディポカイン産生やマクロファージの浸潤
が抑制され
全身のインスリン抵抗性や耐糖能異常も改善することが報告されています



このように p53はがん抑制遺伝子として発がんを制御しますが

その過剰な活性化は 細胞老化を促進することにより
さまざまな加齢にともなう疾患の発症進展に関わる可能性があります

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しかし そうした疾患の治療を目的にp53の活性を極端に抑制すると
発がんを招いてしまいます

p53と上手に付き合う方法を検索していくことが大切なようです



2017.07.25更新

老化細胞が生体内で老化細胞関連分泌因子を分泌するSASP状態になり
ヒトの体の老化が促進することを説明しましたが

ここで注目されているのが 慢性炎症 です


<慢性炎症とは?>

炎症反応というと 風邪や怪我などの際に生じ 短期間で収束する
急性の炎症が代表的ですが

最近注目されているのが 長期間にわたりジワジワと持続する慢性炎症です

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しかも 
急性炎症は 痛み 発赤 腫れ 熱感といった自覚症状をともないますが

慢性炎症は「隠れ炎症」とも呼ばれ
自覚症状がない 目に見えない形で持続する炎症なのです

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こうした隠れ炎症・慢性炎症が 加齢にともなって慢性化して

それが生活習慣病などの原因になっているのではないか?

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という考え方が 最近のトレンドになっています



<老化と慢性炎症>

そして 老化にも この慢性炎症が関与していると考えられています

というのも 老化した細胞が分泌するSASP
慢性炎症の誘導に関与する
ことが明らかにされているからです

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*ヒトでは 加齢により血中の炎症性サイトカインが増加する

*100 歳を超える長寿者は 炎症を抑制する遺伝型をもつ

*老化促進マウスでは炎症が促進され
 寿命が延長される老化抑制モデルマウスでは炎症が抑制される

これらの事実は 慢性炎症が老化を促進することを示唆しますし

以前に説明した
老化を促進する 錆び・酸化ストレス 焦げ・糖化ストレス
いずれも炎症を惹起します


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さらに 慢性炎症はテロメアの短縮を促進することも明らかにされています


こうしたことから
組織中に老化細胞が増加し 
老化細胞関連分泌因子(SASP)分泌を介する
持続的炎症誘導が 
慢性炎症のイニシエーションになっていて


さらに 細胞老化は
慢性炎症で産生される炎症性サイトカインによっても誘導される
ことから

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細胞老化→慢性炎症誘導→細胞老化誘導という
ポジティブフィードバックサイクル
の存在が示唆されています


そして

*抗炎症薬であるイブプロフェンやアスピリンの投与により
 炎症が発生した組織での老化細胞の蓄積が阻止され
 組織の再生能が回復すること

*食事制限した長寿マウスでは 炎症が惹起されにくくなっていること

なども明らかにされ

慢性炎症の抑制や改善により 老化が遅延する可能性も示唆されています



<老化・慢性炎症・生活習慣病の繋がり>

一方

生活習慣病の病態形成に 慢性炎症が関与しますが


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肥満 高血圧 糖尿病などの病態に関与する因子も

細胞老化を誘導することが示されています

たとえば 高血圧の原因となる昇圧作用をもつアンジオテンシンⅡは
血管内皮細胞の老化を誘導しますし

糖尿病の病態に関わる
インスリン/PI3K/Akt経路という 細胞内情報伝達経路の活性化も
血管内皮細胞の老化を促進します


このように 

生活習慣病では細胞の老化が促進され
それにより慢性炎症が惹起され さらに病態が進展する可能性

があります


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また 

偏った食生活 糖質 悪い脂質の摂り過ぎ 過度のアルコール摂取
肥満 過労 運動不足 睡眠不足といった

生活習慣病を引き起こす因子が慢性炎症を誘導すること

も明らかにされています


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ですから 細胞の老化を抑制したり 慢性炎症を改善させる薬物が
生活習慣病の新たな治療薬になる可能性を考え
そうした視点からの研究が 精力的に行われています



<慢性炎症が起こるメカニズム>

慢性炎症が誘導される機序の詳細は
未だ完全には明らかにされていませんが

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*細胞の老化が慢性炎症の誘導に関与し


*慢性炎症が細胞老化を誘導する

というループ形成が
生活習慣病などの病態に関与することが明らかにされたことは
大変興味深いものです


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この分野での今後の研究の 更なる進展が期待されます



2017.07.24更新

書き手は 厨房男子 

ではありません

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ひとりで留学していたときは たまにご飯を炊いたりしましたが
おかずを作ることは 滅多にありませんでした

我が家のご飯は 糖尿病専門医さんが作ってくれて
書き手は 食べ終わった食器を流しに運ぶ程度の
台所活動(?:苦笑)しかしません


そんな書き手が 急に食べたくなって
糖尿病専門医さんがいないときに ひとりでゆで卵を作りました

ゆで卵は 作る というほどのものではないでしょうが(笑)

でも

ちゃんとタイマーでお湯が沸騰してから4分間測って
ゆでている間もお箸で適度に転がして

黄身がちょうど真ん中に位置し 
オレンジ色の適度な固さになるように
細かい仕事は加えたのです(苦笑)

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そんな甲斐あって 自分で言うのも何ですが美味しいゆで卵ができました


ふたつゆでたので 残ったひとつは翌朝食べようと思い
冷蔵庫の卵置き場に パック詰めの卵とは分けて置いておきました

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で 翌朝 冷蔵庫をあけて見ると

あれ 分けておいたゆで卵がない!

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もしかして、、、と思い
歯を磨いていた糖尿病専門医さんに

「ねえ 卵置き場に ひとつ分けておいた卵 知ってる?」

と聞いたところ

「パックに戻しておいたよ」とのお返事


「ええっ あれ ゆで卵だったのだけど」 と話すと

「ええっ ゆで卵だったの?」 と びっくり返しの専門医さん


だって ほとんど台所仕事をしない書き手がゆで卵を作るなんて
そんなアイデアは 専門医さんには微塵もなかったそうで

こういうのを
普段の地道な努力が実を結ぶ と言うのでしょうか?(笑)


大笑いしながら台所に来られた専門医さんと
パックにある ゆで卵と生卵の鑑別作業を始めました

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確か戻したのはこれだと思うのだけど と専門医さんが言われる卵と
他の卵を 見比べますが
外見では 違いはわからないなあ

専門医さんは
ゆで卵と思われる方が 表面にほくろのようなものが見える
と言われますが、、、


で 次にとった行動は 卵をたたいてみること

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すると ゆで卵と思われるものと 生卵では
たたいたときの音質が 明らかに異なることがわかりました

ゆで卵と思われる方は 生卵と比べて 音質が低い
中身が詰まっているような音質がします

西瓜の品質を見比べるときと一緒だね と 専門医さんは言われます


そこで 事件が起こらないように
音質鑑別により ゆで卵と思われる方を
流しのシンクの角にコツコツとぶつけてみたところ

わっ 透明な白身が漏れ出てきた!

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ということはなしで
ちゃんとゆで卵であることが判明しました

事件が起こらず 良かったです(笑)


そうか 表面をたたいて低い音がしたら ゆで卵なのだね

ゆで卵と生卵の鑑別法 リアルに会得しました!(笑)



で そのことを医院のスタッフに話したら

卵をまわしてみると鑑別できるそうですよ とのこと

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ゆで卵は 勢いよくクルクルと回りますが
生卵は なかなかうまく回らないとか

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また ネットで調べると

回したあとに指で押さえると ゆで卵はピタッと回転が止まるのに
生卵はなかなか回転が止まらない 

とも書いてありました

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ゆで卵のタンパク質は凝固しているから 安定性があり
クルクル回るし 回転もピタッと止まる

考えてみたら 当たり前ですね


照明にかざす という鑑別法もあるようです

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ゆで卵は影になるけれど 生卵は透けて見えるそうで

これも 中身の液体と固体との性質の差を見ているわけですから
当たり前と言われれば当たり前ですが(笑)


でも たたいたときの音質で鑑別するという方法は
ネットサーフィンしてみましたが どこにも書いてありませんでした

おっ これは オリジナルな鑑別法を発見かな?

もしかして 特許がとれたりする?(笑)



2017.07.22更新

夜中に 頭の上でテロをされて
あまりのショックで しばらくテロのお話をしていませんでしたが
今日は 久し振りにテロの話題です

なんと テロネタ 14回目です!(笑)

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これまで

どうしてテロをするのだろう? とか
テロにどう対処すればよいのだろう? とか

色々と綴ってきました

そして最後に サル知恵で
書き手のベッドの脇に簡易トイレを置いたことは 既にご報告しましたが

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去年の11月末頃
書き手が寝ている間に トイレの砂をかくような音に気がついて
眠くて朦朧とする意識の中で もしかして? と期待をしたのですが

なんと 翌朝起きて 簡易トイレを覗いてみると

ゴジラの卵が トイレの砂のなかにあったのですよ!

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朝からこんなリアルな写真で申し訳ないのですが(苦笑)

これを見た瞬間 思わず糖尿病専門医に報告に行っちゃいました!(笑)


ついに テロが終結する日が来たのでしょうか?

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ねえ 楓さん 期待していいの?(笑)



 

 

2017.07.21更新

スノーデン・ファイルの暴露をきっかけに
世界で諜報活動・情報収集に関する議論がされ始めたことを紹介しましたが

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こうした状況は

*このような諜報活動 情報収集は 本当に必要なのか?

*必要だとしたら 個人のセキュリテイとプライバシーの問題はどうなるのか?

という ふたつの問題を提起するに至ります


前者に関しては

緊迫する世界情勢を考えると当然必要である 
という意見が多いようで

日本は軽武装の国なのだから
逆に 情報収集 インテリジェンス能力は 高くないといけない

自前の情報収集システムを作って
自分で国際情勢を判断できるようにならないといけない

といった意見が 国内の専門家たちの間に根強くあるようです


また アメリカでは
諜報活動に制限はない 国家が行う不正は不正ではない
といった 極端な擁護意見もあるようです

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書き手は ジェームス・ボンドを擁護するわけはありませんが(苦笑)
必要悪というか ある程度は仕方ないのかな と感じています


で この問題に関して ちょっとびっくりしたのは

アメリカは日本も情報収集の監視対象にしていて

日本が世界から非難された捕鯨活動に関して
国際会議に提出して反論の根拠にしようとしていた情報が
あらかじめアメリカに漏れていて 上手くいかなかったそうで

他人事ではないのね という感じで驚きました

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また アメリカが諜報活動で収集した情報は

ファイブ・アイズと呼ばれる
アメリカ イギリス カナダ NZ オーストラリア
の各国は見ることが出来るけれど

日本を含めたサード・パーティと呼ばれるアメリカの同盟国は
機密情報の共有は限定されているそうで

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えっ 日本は仲間はずれなの?

これもちょっと驚きました



さて 後者の セキュリティとプライバシー については

プライバシー権は 人が自由であるための根源的な権利なので
セキュリティとのバランスを どうとるか という
かなりデリケートな問題になります

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イギリスやアメリカでは
プライバシーよりもセキュリティが大事とする風潮があり

一方 ドイツなどでは
セキュリティよりもプライバシーが大事と考える人が多いそうです

この 英米とドイツの国民性の違いは 何気に面白い!



そして この問題は 市民の知る権利との関連 も生まれてきて

セキュリティやインテリジェンスに関することは 当然秘匿されるわけですが
それを市民が知る権利が保障されなれければ 民主主義が成立しない

また

過度に強力なセキュリティやインテリジェンスに関する法案が整備されれば
民主主義や社会が委縮しないか?

という危惧も叫ばれています

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さらに
権力者はあらゆる情報を集めたがる誘惑にかられる傾向があるので
そこを監視するシステムがないと エスカレートしかねない
という声も上がっています

うーん つい最近 どこぞの国でももめていますね(笑)


スノーデンさんは 番組のインタビューに答えて

日本は国民の自由やプライバシーを大切にする素晴らしい国だが
最近は その風潮が変化しているのではないか?
日本の報道の自由度の国際的な評価が低下しているのが気懸りだ

と コメントしていました


池上彰さんをはじめとする 番組のコメンテーターの方たちは

セキュリティとプライバシーの問題に関して
日本はどうするか? という議論を 今すぐにでも開始すべきである

とコメントされていましたが


うーん そんなこと 今まで考えたこともありませんでした


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書き手は
セキュリティの保持のための諜報活動・情報収集活動は必要だと思います

そして 哀しいかな デジタル技術の進歩により
個人のプライバシーに関する情報収集が可能になってしまったなら
諜報活動がその領域にまで及ぶのは 仕方ないのかもしれない

とも思います

自分はやましいことはしていないのだから
プライバシーを第3者に覗かれても 別に問題は感じない とも思いますが

でも セキュリティとプライバシーの問題って
個人レベルに根差しているものの 社会全体のシステム 価値観の問題だから
もう少し真剣に考えないといけないのかもしれません


確かに 一定の歯止めをかけないと リスクがあるように思います

人間性善説が 必ずしも担保されるわけではありませんからね


日本はどうするか? という議論は 確かに必要だと思いました

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今まで スノーデンさんのことは 何か他人事のような気がしていましたが
この番組を見て 身近な問題として認識することができて良かったです



2017.07.20更新

細胞老化のメカニズムについて説明しましたが

老化細胞は
生体内ですぐには死滅せず 加齢とともに体内に蓄積していきます

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(左が正常に増殖している細胞 右が増殖を停止した老化細胞です)

実際に 高齢の方の皮膚や肝臓などで 老化細胞の存在が確認されています


そして興味深いことに

生体レベルでは 
老化細胞を除去すると 老化を遅らせることができ
老化疾患の病態が軽減し寿命延長効果があることが報告されています

ということは 生体内では老化細胞が悪さをしているのでしょうか?


こうした仮説を裏付ける現象のひとつとして
老化細胞は 老化細胞関連分泌因子を分泌することが
明らかにされています

この状態を SASP状態 と呼びます

SASP状態は DNA 損傷を受けた細胞で生じ
前述したDNA 損傷応答(DDR)により
さまざまな種類の老化細胞関連分泌因子が分泌されるようになります

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通常は SASP状態にある老化細胞は
自らが分泌する老化細胞関連分泌因子が 免疫細胞を呼び寄せて
免疫系により除去されますが

歳をとってくると 老化細胞の数が増えてきますし
免疫系の老化・衰えが起こってくるので 除去がうまくいかなくなり

体内で多量の老化細胞関連分泌因子が存在することになります


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こうなってくると SASP状態 老化細胞関連分泌因子は曲者になり

老化細胞関連分泌因子の作用により
周囲の細胞ががん化するリスクが高まることが示され
加齢による発がんリスク増大の原因のひとつと考えられています

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ちなみに 老化細胞そのものは がん化しません

前回説明したように 老化細胞は細胞レベルでは
増殖を促す処理を施しても 増殖が始まることはありませんから
がんが生じる状況になっても がん化はしないのです

しかし 細胞レベルを超えて 生体レベルになると
老化細胞は SASP・老化細胞関連分泌因子の作用により
がん化を引き起こしてしまう

細胞レベルでの研究と 生体レベルでの研究の 微妙な違いの面白さです



また 老化細胞関連分泌因子は 周囲に炎症を起こします

老化細胞関連分泌因子は
炎症性サイトカイン ケモカイン プロテアーゼ等を含むので
それらの作用により組織に慢性的な炎症が生じます

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こうした慢性炎症が 老化につながると考えられていますが
この点については 次回 詳しく説明します


以上のことから

老化細胞関連分泌因子の炎症惹起作用を抑制する物質
抗老化作用を示す可能性が示唆され

放線菌が産生するラパマイシンや糖尿病薬のメトホルミン
抗老化作用が検討されています



このように
細胞レベルでの老化が 生体レベルでの老化に直接関与する可能性が
示されたわけですが

細胞レベルの研究は in vitro研究
生体レベルでの研究は in vivo研究 

と呼ばれます

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生体レベルでの研究は 実行がなかなか難しいので
細胞レベルでの研究の方が盛んに行われますが

in vitroで得られた成果が 必ずしもin vivoでも認められるわけではなく
その逆の現象が認められることもあります

一方で 今回説明したように
片方で得られた研究成果が 他方の研究のヒントになることもあります

これが 細胞レベル・個体レベルでの
研究の醍醐味でもあり難しさでもあります



2017.07.19更新

ヒトの体が老化するメカニズムを明らかにするうえで 
重要な情報を与えてくれるのが 細胞の老化に関する研究です

体を構成する細胞ひとつひとつが どのように老化するのか?

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体全体の老化 = 個体老化は

細胞の老化 = 細胞老化の積み重ね とも言えます

というのも

*生体内で 老化細胞が検出されていること

*細胞老化で見られる現象が 個体老化でもみられること

*個体老化に関わる遺伝子が 細胞老化にも関わること

など 個体老化と細胞老化の間に共通点があることが明らかにされ

細胞と個体 両方の研究の統合が進んでいて
最近では 個体老化の原因は細胞老化ではないかと 考えられています



さて 細胞老化の研究で明らかになった有名な現象が
ヘイフリックの成長限界です

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動物の体を構成する細胞は 限られた回数しか分裂・増殖することができない

という事実で

生体から細胞を分離して 試験管やシャーレの中で培養するときに
一定数の分裂しかできないことから 明らかにされました


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その限界は 細胞が由来する組織 生物の種類によって異なり
また 細胞自身が分裂回数をモニターしている可能性も考えられています



限界まで分裂した細胞は 老化細胞と呼ばれます

老化細胞では増殖が抑制されており
増殖を促す処理を施しても 再度増殖が始まることはありません


どうして老化細胞は増殖しないのか?

そのメカニズムには 細胞周期が関連します


細胞周期とは 細胞が分裂・増殖するプロセスで
通常 G1期→ S期(DNA複製)→ G2期→ M期(細胞分裂)
という4つのステージにより
ひとつの細胞が ふたつに分裂・増殖します


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老化細胞では この細胞周期がG1期で停止して
G0期という静止状態にあるのです

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細胞周期はCDK/サイクリン複合体という物質の作用により
次の期に進行しますが

老化細胞では
通常では存在しないp21 p16Ink4というCDK抑制因子(CKI)が発現し

それによりCDKの活性が低下しているので
細胞周期が前に進まず 細胞が分裂・増殖することが出来ないのです

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では どうして老化細胞では p21 p16Ink4が発現してくるのでしょう?

そこには テロメアの短縮が関わっています

既に説明したように 細胞分裂を繰り返すと テロメアが短小化しますが
そのために起こる染色体の構造変化が DNAがダメージされたとして認識され

細胞がDNA傷害を受けた際に その傷害から守るための反応である
DNA 損傷応答(DDR)が生じます

このDDRにより p21 p16Ink4の活性化 発現が誘導されるのです

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またp21 p16Ink4は 細胞寿命を迎えていなくても
細胞が酸化ストレス 放射線 がん遺伝子の異常活性化
といったストレスを受けたとき 発現が誘導されます

実際に
細胞はある程度の強さのストレスを受けると 分裂を停止して老化細胞になる
ことが明らかにされています

ストレスが弱ければ 細胞はストレスに対する反応系により対処できますが
ストレスが強くて反応系の処理能力を超えれば
細胞は老化して増殖を停止してしまいます



このように 細胞は

DNA傷害を認知したり

ストレスにより生じた細胞内傷害を感知すると

傷害を修復するために いったん細胞周期を止めて増殖を止めます

細胞の老化は 細胞のこうしたストレス対応反応により生じているのです


DNAの異常が蓄積されると やがて細胞はがん化しますが
細胞老化は がんの増殖を抑制しているという防御的な側面もあるのです


細胞老化 なかなか奥深くて 侮れません



2017.07.18更新

老化には 錆び 焦げ も関与します


体の構成成分に錆びを起こさせるのは

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以前解説した 酸化ストレスの原因となる活性酸素です


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活性酸素の働きを抑える抗酸化酵素の量や活性は
加齢により低下しますし

酸化ストレスによって生じるDNA障害の修復能が高い生物種ほど
最大寿命が長いことも明らかにされていますから

酸化ストレスが老化に関与することは明らかです


特に 最も酸化活性が高く 消去する酵素が存在しないヒドロキシラジカル
DNA タンパク質 脂質といった重要な生体構成成分と反応して
遺伝情報や機能を変化させてしまいます

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こうした変化の積み重ねが 老化につながると考えられています

自動車や機械製品は 経年変化により錆びてきますが
ヒトの体でも似たようなことが起こり 老化していくようです



一方 錆びだけでなく 焦げも 老化に関与します

焦げの現象は タンパク質に糖が結合することにより生じ
それによりタンパク質が劣化して 老化につながっていきます

この タンパク質が焦げて劣化した状態を AGE・終末糖化産物と呼びます

高血糖状態では タンパク質と糖が体温で焦がされて 褐色の物質に変性します

この過程は 糖化・メイラード反応と呼ばれ
いちど起きると一方通行で 元には戻りません

メイラード反応は 酵素を必要としない珍しい反応で
体温程度の温度で反応が進むことが特徴です

生体内には カルボキシメチルリジン ペントシジン クロスリン など
数十種類のAGEがあります


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ちなみに 糖の種類により メイラード反応の起こりやすさが異なり

フルクトース・果糖は グルコース・ブドウ糖より
AGE化するスピードが10倍速いとされています

フルクトースは果物などに含まれる糖分ですが
以前にご説明したように グルコースより脂肪に変換されやすく
内臓脂肪や脂肪肝の原因になりやすい

さらにAGEにもなりやすいので なかなか厄介な糖といえます


また ハンバーガー フライドポテトなどのファストフードはAGEを多く含み
それらを食べることによっても 体内にAGEが蓄積されます

ファストフードが体に良くないと言われるのは こうした理由にも依るのです


さて AGEが体内のあちこちに蓄積すると 老化が起こります

血管内皮に存在するタンパク質が焦げると 動脈硬化が起こりますし
皮膚や骨に多く存在するコラーゲンが焦げると
皮膚のたるみ・しわが起こり 骨粗鬆症も生じてきてしまいます

こうした焦げが体内で生じていて 老化につながるなんて驚きです


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錆びと焦げ なかなか厄介な問題です、、、



2017.07.17更新

NHKで放送していた スノーデン・ファイル に関する番組を見ました

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アメリカの国家安全保障局にいたスノーデンさんが
その内部情報を暴露して アメリカ国内で指名手配になり
ロシアに亡命していることは 知っていましたが

正直言って 書き手はそれほど関心がなかったのですよ

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スノーデンさんは
アメリカの諜報活動が 市民のプライバシーを脅かしている危機的状況を
多くの人々に知らしめるために あの暴露行為を行ったそうですが

その行為に対しては 裏切者か? 愛国者か? という賛否両論があります

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ただ アメリカでは国民の55%が
罪を犯した者というより 正当な内部告発を行った者として
好意的に見ているそうです

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さて スノーデンさんが問題視した

情報収集 諜報活動の現状ですが

従来 この手の活動は007の映画に代表されるような
個人としてのスパイの活動などが中心でしたが(今でもあるのでしょうが)

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今や 電話 メールなどのデジタル通信情報を対象にした諜報活動が
そのメインになっているそうです


アメリカのNSA・国家安全保障局は
テロ対策を名目に Collect it all 全てを収集するという施策を極秘裏に行い

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民間の通信会社 電話会社などから
通話記録等を大量に収集していたそうで

その対象は 世界中の一般市民の 電話 メール SNS が含まれており
ドイツのメルケル首相の電話まで傍受していたことは
ニュースにもなりました

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もともと 東西冷戦における諜報・情報活動で出来たシステムが
技術の進歩とともに さらに発展しているそうです


その最前線の様子といえば

XKEYSCOREという
世界中の情報を収集できる 強力な大量監視プログラムがあり

個人のメール 電話の会話 ネットの閲覧履歴などを 全て見ることが出来て
個人のパソコン スマホへの遠隔操作でカメラを起動して
盗撮・盗聴もできるそうです

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世界の通話のほとんどは 海底テーブルでアメリカを経由するので
そこから情報を得るプログラムを使えば こうしたことが可能になるとのこと


さらに PRISMという
インターネット SNSなどの大手IT企業から 
情報を入手できるプログラムもあり 威力を発揮しているそうです

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こうした状況下では 一般市民の生活の全てが傍受 監視可能で
もう 誰にもプライバシーはなく
使い方を間違えれば 民主主義を破壊しかねないと危惧されています

そして テロ対策・安全保障目的以外に
この情報収集システムが利用される危険性に警鐘が鳴らされています

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うーん なんだか 自分とは関係ない 何か違う世界の話のようですが

今回 新たに公開されたスノーデン・ファイルによると
強力な大量監視プログラムXKEYSCOREが
アメリカから日本にも提供されたという記述があるそうで

それについて日本の防衛省の関連部署は
コメントを差し控えているそうです


日本でも 個人のメール 電話の会話 ネットの閲覧履歴などが

第3者に見られている可能性があるということ?

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えっ そうなの?

書き手が XXXなサイトを覗いていたことも ばれてるの?(笑)

なんだか ちょっと妙な気分もしてきて 番組を見続けました

 

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