中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報


前回 ビタミンDの説明をしましたが

ビタミンDは 
最近とても注目されています

ビタミンDと書かれたカード

ここ数年の間に発表された
ビタミンDの
病気への影響に関する研究論文の数は
うなぎ上りで

他の全てのビタミンやミネラルの論文数を
上回っています

ビタミンDの病気への影響に関する研究論文の数が増加していることを示すグラフ

どうしてビタミンDが 
それほど注目されているのでしょう?


<ビタミンDは ホルモンであり転写因子である>

最近の考え方では
ビタミンDは 他のビタミンと異なり
ビタミンというよりホルモンと
見做されています

ビタミンは
体内で合成できない微量栄養素 
と定義されていますが

既に説明したように
ビタミンDは紫外線を浴びれば
皮膚の中で合成できます

ビタミンDは紫外線を浴びれば皮膚の中で合成出来ることを示す図

栄養素として食物から摂取しなくても 
まかなえるのです

またビタミンの多くは
補酵素として主に代謝反応に関わりますが
ビタミンDは
もっとダイナミックな働きをします

体内のほぼすべての臓器は
ビタミンDがなければ最適に機能できない
といっても過言ではありません

ビタミンDの多様な作用をまとめた図

さらに 
さまざまな病気の予防に関連することが
近年の研究によって
次々に明らかになってきました

ビタミンDの様々な病気への関与をまとめた図

血中ビタミンD値が増加すると
色々な病気の発症率が低下します

血中ビタミンD値が増加すると 色々な病気の発症率が低下することを示すグラフ

ビタミンDがこうした特徴を有するのは 
前回説明したように

核内受容体のVDRとRXRに結合して
転写因子として働き
さまざまな遺伝子の転写制御を行うからです

核内受容体のVDRとRXRに結合して転写因子として働くことを示す図

さまざまな病気に関わる遺伝子の
発現が変化するため
発症や病態に関与すると考えられています


<病気との関連>

ビタミンDは
さまざまな病気の発症リスクと関連します

@循環器疾患 脳血管疾患

血中ビタミンD値が低いと
循環器疾患の発症リスク・死亡率が
高まります

低い人は高い人に比べて
心臓発作 心不全 脳卒中のリスクは
2倍以上で
心筋梗塞での死亡率は
80%も高くなります

@血圧

血中ビタミンD値が高いと 
血圧は低くなります


血中ビタミンD値が高いと 血圧は低くなることを示すグラフ

血中ビタミンD値が10%上昇すると
高血圧発症リスクは8%低下するとされ

塩分を控えるより
ビタミンDを摂取した方が有効とさえ
言われています

@糖尿病

血中ビタミンD値が低い人は高い人に比べ
糖尿病の発症リスクが40%も高いと
報告されています

血中ビタミンD値が低い人は糖尿病の発症リスクが高いことを示すグラフ

ビタミンDが
膵臓でのインスリン合成を低めたり
肝臓や筋肉でのインスリン抵抗性を誘導したり
高血圧 脂質異常症などの生活習慣病に関与するからと
考えられています

@インフルエンザ

ビタミンDの摂取は
インフルエンザワクチンより
予防効果が高いとされ

1日に1000IU・25μg摂取している人の感染率は
50%低下し
ワクチン接種による感染率低下より
成績が良いと報告されています

ビタミンDの摂取は インフルエンザ予防効果が高いことを示すグラフ

@アルツハイマー病 認知症 統合失調症 注意欠陥多動性障害

血中ビタミンD値が高い人は
アルツハイマー病になりにくい
との報告があります

ビタミンDがマクロファージを活性化して
アルツハイマー病の原因となる
アミロイドβタンパクを取り除くためと
推察されています

血中ビタミンD値が高い人はアルツハイマー病になりにくいことを示すグラフ

血中ビタミンD値が低い人は
認知症 統合失調症 注意欠陥多動性障害
の発症リスクも
2倍近く高くなります

@がん

血中ビタミンD値が高いと
結腸がん 食道がん 前立腺がん 膀胱がん
子宮がん 乳がん 卵巣がんなど
さまざまながんの発症率が抑制されます

血中ビタミンD値が高いとさまざまながんの発症率が抑制されることを示す図

また大腸がん 前立腺がんでは
血中ビタミンD値が高い人は低い人の
2倍の生存率があり
化学療法 放射線治療の有効率を高めると
報告されています

ビタミンD値が高いと化学療法 放射線治療の有効率が高まることを示す図


@肥満とビタミンD

肥満だと 
脂肪にビタミンDが溜められて
血中に出てこないので
血中ビタミンD値が低下してしまいます

肥満だと血中ビタミンD値が低下することを示すグラフ

また上述したように
ビタミンDの欠乏は
肥満や生活習慣病に関与します


こうした多くの病気に対する効果には 
ビタミンDが有する

*炎症を抑制する種々のタンパク質の
 遺伝子発現を促進する

*免疫反応に関わる
 NK細胞 マクロファージを
 活発化する

*細胞内シグナル伝達系を活性化する

といった作用が関与すると考えられています


<ビタミンDは足りているか?>

こうした有益な作用を有するビタミンDは
足りているのでしょうか?

@現代人は欠乏している人が意外に多い

特に女性での欠乏が問題になっています

女性はビタミンDが欠乏している人が多いことを示すグラフ

*日常生活で日光を浴びる時間が少ない

*日焼け止めの使い過ぎ

*牛乳の摂取量が半減し 摂取量が不足している

といったことが欠乏の原因と考えられています

紫外線ブロックによりビタミンD合成ができないことを示す図

女性は 
日焼けによるシミ・そばかすの予防のために
紫外線ブロックに余念がありませんが
ビタミンD不足のリスクを考えると
悩ましいところです

厄介なことに 
ビタミンDの欠乏は
自覚症状がないのでなかなか気がつきません

@日光を浴びるのが 欠乏の一番の解決策

ビタミンDは
紫外線により皮膚で合成されるので
しっかりと日光を浴びれば
たとえ食事から摂取しなくても
1日の必要量を得ることができます

夏は20分 冬は30分 
日光浴してください
散歩するだけでも充分です

日光を浴びるのが 欠乏の一番の解決策であることを示す図

日焼けしたくない女性や 
忙しくて日光浴ができない方は
サプリで補給するのも良いでしょう

但し 摂りすぎると
高カルシウム血症になるリスクがありますので
特に腎臓が悪い方はご注意ください

ビタミンDの1日摂取量の上限は
4000IU=100μg とされています

ビタミンDのサプリの写真

サプリに書かれている1日の目安量を
超えないようにしてください

高橋医院