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健康のための栄養学に関する情報


今日は ビタミンE ビタミンKの解説です

<ビタミンE>

@トコフェノール

ビタミンE作用をするトコフェロールは
数種類ありますが(α β γ δ)
広く天然に存在し最も作用の強いのは
α-トコフェロールです

α-トコフェロールの構造図

@働き

抗酸化物質として働くのが 
いちばんのポイントです

生体膜を構成するリン脂質のなかの
多価飽和脂肪酸
酸化ストレスにより過酸化脂質に変化する反応を
抑制して脂質を酸化から守ります

ビタミンEの抗酸化作用の機序を説明する図
ビタミンEの脂質を酸化から守る作用の機序を説明する図

また 
リポタンパク中に存在して
LDLコレステロールの酸化を抑制して
動脈硬化を防ぎます

動脈硬化を防ぐ機序を説明する図

こうした体内の脂質の酸化を防ぐ作用により
生活習慣病や老化と関連する疾患の予防が
期待されています

抗酸化作用は 
ビタミンCと協調して起こります

抗酸化作用をはたし酸化型になったビタミンEは
ビタミンCの作用により
再び抗酸化作用を持つ還元型に
再生されるのです

ビタミンEとビタミンCの協調作用をまとめた図

ですから ビタミンEとビタミンCは
一緒に摂取するとより効果的です

ビタミンEとビタミンCは 一緒に摂取するとより効果的なことを示す図

また 血行の促進作用も有しています

@ビタミンEを多く含む食品

アーモンドなどのナッツ類 植物油
うなぎ たらこをはじめとした魚介類
西洋かぼちゃ アボカド

ビタミンEを多く含む食品をまとめた図

などに多く含まれています

@上手にとるコツ

ビタミンEは ビタミンC ビタミンAとともに
ビタミンACE(エース)とも呼ばれ

抗酸化作用を持つ代表的な栄養成分です

ビタミンEとビタミンAは 細胞膜

ビタミンCは 体液中

それぞれの持ち場で
活性酸素による弊害から体を守っています

ビタミンACEの相乗効果を説明する図

このため 緑黄色野菜を植物油で炒めるなどして
それぞれを豊富に含む食品を一緒に摂ると
より効果的です

@欠乏症

ビタミンEが不足すると
細胞膜の脂質が酸化され損傷され
感覚障害や神経症状がみられることがあります

未熟児では
赤血球が壊れて起こる溶血性貧血が
知られています

@過剰症

過剰症では出血傾向になるので
サプリメントや薬などからの過剰摂取には
注意が必要です

しかし
日常の食生活では
とり過ぎになる心配はほとんどなく
むしろ積極的にとりたい栄養素のひとつと
されています


<ビタミンK>

@種類

ビタミンKの構造式

*緑葉野菜から摂取する 
 ビタミンK1(フイロキノン)

体内の腸内細菌や組織でつくられた
 ビタミンK2(メナキノン)

腸内細菌でもつくられることを示す図

の2種類があります

@働き

*補酵素として 血液凝固を促進します

ケガなどで出血したら
体内ではそれを止める凝固・止血反応が起こります

この反応では
多くの凝固因子が次々と連続して活性化され
カスケード反応が起こり
最終的に血液凝固して止血します

この反応を活性化するのが ビタミンKです

まず 
血液凝固に関わる凝固因子のⅦ Ⅸ Ⅹ
合成・活性化をサポートします

血液凝固への関与を示す図

ついで
最終的に止血に関わる
凝固Ⅱ因子(プロトロンビン)
合成・活性化します

凝固Ⅱ因子(プロトロンビン)を合成・活性化することを示す図

医学生の頃 
このあたりは覚えるのが大変で

ビタミンKは納豆に豊富に存在していて
ビタミンKがないと合成できない血液凝固因子は
”ニクナットウ(2・9・7・10)”と
語呂合わせで覚えました

今でも医学生さんは
ニクナットウ と言ってるのかな?(笑)

ところで 心筋梗塞や脳梗塞は
血管内で血液が凝固して血栓を作るために
血流が途絶えてしまい起きる病気です

ですから 
予防のために血液凝固を防ぐために
(サラサラにするという表現がよく使われますが)
ワーファリンという薬を使用します

このワーファリンは
ビタミンKの働きを阻害して
血液凝固を起こさせないようにします

ワーファリンがビタミンKの働きを阻害して血液凝固を起こさせないようにしていることを示す図

*補酵素として 骨の健康維持にも関わります

骨を造る骨芽細胞内にある
オステオカルシンを活性化し
骨形成を促します

オステオカルシンを活性化し 骨形成を促すことを示す図

活性型ビタミンK(還元型)が
オステオカルシンのグルタミン酸残基の
カルボキシル化反応を
補酵素として活性化し

カルボキシル化したオステオカルシンが
カルシウムを骨に沈着させます

活性型ビタミンKでカルボキシル化したオステオカルシンがカルシウムを骨に沈着させることを示す図

このため
ビタミンKは骨粗しょう症の治療薬としても
使われています

*血管の健康にも役立っています

@ビタミンKを多く含む食品

納豆に非常に多く
1パック(40g)には
240μgも含まれています

こまつ菜やほうれん草などの
緑黄色野菜にも
多く含まれています

ビタミンKを多く含む食品をまとめた図

上述したワーファリンを飲んでいる⼈は
日常の食生活で納豆や青汁などを避けるように
指導されますが

これは納豆に豊富なビタミンKが
ワーファリンの効き弱めてしまうからです

納豆に豊富なビタミンKがワーファリンの効き弱めてしまうことを示す図

@欠乏症

ビタミンKは腸内細菌によってもつくられますし
いろいろな緑黄色野菜に多く含まれるため
通常の場合は 
不足する心配はほとんどありません

但し 抗生剤を長期間飲み続けている人では
体内の腸内細菌からの供給が不十分になるため
不足する場合があります

@過剰症

通常の食生活では 
過剰症の報告はされていません

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