ニコチン依存のある人は
禁煙すると 
吸いたい 集中できない 
イライラする 怒りっぽくなる など
さまざまな離脱症状が現れますが

禁煙補助薬を使うことにより 
これらの不快な症状を和らげることができます


<禁煙の薬物療法>

禁煙を開始するときに
ニコチン代替療法薬は
世界的に広く利用されています

@ニコチンガム ニコチンパッチ

日本でも
ニコチンガムが1996年から 
ニコチンパッチが1999年から
使用が認可され

いずれも禁煙治療を
上手く進めることに貢献しています


@経口薬
 
ニコチンを含まない
経口薬(ニコチン受容体部分作動薬 バレニクリン)
有効性が示されています

禁煙補助薬の写真
ニコチンガム ニコチンパッチの写真


<ニコチン製剤によるニコチン代替療法>

アメリカでは
1991年のニコチンパッチ市販化にともない
禁煙補助にニコチン代替療法薬を利用することが 
急激に普及しました

@ニコチン製剤

ニコチンそのものが含まれており

皮膚や口腔粘膜の接触面から 
ニコチンが徐々に体内に吸収されて
禁煙に際して起こる離脱症状を軽減し 
治療を補助します

ニコチン代替療法についてまとめた図

タバコには 
数百種類の有害物質が含まれていますが

ニコチン代替療法薬には 
ニコチン以外の成分は含まれておらず
吸収されるニコチンの量も
喫煙者が喫煙によって吸収するニコチンより
少量なので 
安全に使用できます

ニコチンパッチ使用時の血中ニコチン濃度の変化を示すグラフ


ニコチンガムの方が簡単に使用できますが

ニコチンガムの使用で禁煙に成功しない場合に
ニコチンパッチに切り替えて成功する可能性があり
また その逆の場合もあり得ます

ニコチン代替療法についてまとめた図

@喫煙とニコチン代替療法薬の併用

一時的に喫煙本数を減少させるものの
ニコチンの過剰摂取につながることがあり
危険なうえ

喫煙でニコチンが効率よく吸収されるために
ニコチン代替療法薬の効果が減弱するので
結果として上手くいきません

ですから
ニコチン代替療法薬の使用中に生じてくる
喫煙要求には
あとで解説する行動療法で対処します


なお ニコチン代替療法薬は 
妊娠中の使用は認められていません

また 心筋梗塞や脳梗塞などの
ニコチンでリスクが増大する疾患に罹患した直後は
使用に注意が必要です


<保険診療による禁煙治療>

このような禁煙の薬物治療の進歩にともない
日本では2006年から
「喫煙は病気 喫煙者は患者」という考えのもと

ニコチン依存症は治療が必要な病気であることをアピールするポスター

保険適応による禁煙治療が
開始されました

これは 禁煙治療における 
エポックメイキングな出来事とされています

保険適応による禁煙治療のメリットをまとめた図

禁煙治療には 上手で示されたような

*比較的楽にやめられる

*より確実にやめられる

*保険診療なので 
 あまりお金をかけずにやめられる

といったメリットがあります


@保険医療で認められる禁煙治療の対象となる患者さん

*ニコチン依存症に関するスクリーニングテスト(TDS)で
 ニコチン依存症と診断された方

*1日の喫煙本数×喫煙年数(ブリンクマン指数)が
 200以上の方

*直ちに禁煙することを希望され
 「禁煙治療のための標準手順書」に則った
 禁煙治療プログラムについて説明を受け 
 文書により同意している方

になります

保険医療で認められる禁煙治療の対象となる患者の条件についてまとめた図

@プログラムの詳細

禁煙治療プログラムの内容は 
12週間にわたり

*初診

*2週間後

*4週間後

*8週間後

*12週間後

の 合計5回の 面談および薬物治療を行います

禁煙治療の流れをまとめた図

最近は
企業の医務室などで
積極的に禁煙治療が行われており

通常の医療機関でも 
禁煙治療を行っているところがあります


高橋医院