NHKのステーキ番組を紹介したときに
アメリカ フランス アルゼンチンなどの
ステーキの焼き方事情を説明しましたが

世界の牛肉がどんな味がするか が

炎の牛肉教室! 

という講談社現代新書に書いてありました

炎の牛肉教室! という本の表紙

まず 日本の牛肉事情についてご紹介

日本で消費されている牛肉で 
国産牛が占める割合は
なんと半分以下の40%に過ぎません


国産牛が占める割合は40%に過ぎないことを示すグラフ

60%が輸入肉で
オーストラリアが57% 
アメリカが35% 
ニュージーランドが4%

だそうです

どうしてこういう事情になっているかというと
国産牛に比べて輸入牛は 
圧倒的に安いから!

価格はなんと 1/5らしい! 
(知りませんでした)

牛肉輸入の国別の割合を示すグラフ

では 最初に アメリカンビーフ

アメリカンビーフの写真

日本人は USビーフが大好きだそうで

その理由は
アメリカの牛さんが 
トウモロコシを食べているからだそうです

トウモロコシを食べている牛

アメリカンビーフというと
霜降り和牛と比べると
赤味が強いイメージがありますが

トウモロコシを餌にすると 
適度にサシが入りますから
それで日本人に人気があるのかな?

実際に 
オージービーフやフランスのお肉に比べると
アメリカンビーフは サシの入りが多いとか

サシの入りが多いアメリカンビーフ

でも 筆者の畜産ジャーナリストの山本謙治さんは

アメリカのドライエイジングしたお肉は
柔らかいうえに 
香りやフレーバーが素晴らしいけれど

肉の味そのものは 
日本のお肉のほうが上ではないか?

と指摘されます

そもそも お肉の味が薄いのではないか?
だからバターをたっぷり使って焼くし

バターをたっぷり使って焼かれるお肉

意地悪な見方をすれば
味がないから エイジングさせるのでは? と

どうして 味が薄いかというと

日本の牛さんは 
25~30ヵ月で市場に出されるのに対して

アメリカンビーフは 20~22ヵ月と
より若い時期に出されるので
まだ 味わいと香りが蓄積されないのでは?

と推測されています


で アメリカの牛さんが
若くして出荷されるのには
ちょっとした裏話もありまして

それは 肥育ホルモン

要するに薬を投与されているので
20ヵ月くらいから急激に体が大きくなって 
出荷できるようになる

牛に与えられているホルモン剤について説明した図

アメリカの牛さんの90%以上は
肥育ホルモンを投与されているそうで
その安全性はお墨付きなのだそうですが

再度 そんなこと 知りませんでした!

なんとなく 肥育ホルモンとか言われると
えーっ? と思ってしまいます

ということで

アメリカでステーキを食べたことは何回もあり
確かにバターがしつこいと
思ったことも少なくありませんが

でも 味が薄いと思ったことはなかったです

どうなのでしょうね?

味覚オンチには わからないかな?(苦笑)


で 次は オージービーフ

オーストラリアの牛さんは 
日本の牛さんとは
全く異なる環境で育っているそうです

狭い牛舎で過ごす日本の牛さんと異なり
オージー牛さんは 広大な草原で 
のびのびと放し飼いにされているそうで

広大な草原で  のびのびと放し飼いにされているオージービーフ

しかも 食べている餌が 100% 草だけ

草だけで育てられている牛

草だけで育った牛は 
グラスフェッドビーフ と呼ばれますが

特に 本土南部やタスマニア島で 
高品質の牧草だけを食べて育った牛は
バスチャーフェッドという 
高品質なビーフとされているそうです

トウモロコシなどは 
いっさい食べていないので
サシが全く入っていない 
ピュアな赤味肉

サシが全く入っていない ピュアな赤味肉の写真

すがすがしい香りがあり 
しっとりとしていて
赤味のうま味がたっぷりある

決して軟らかくはないけれど
じっくりと噛めば噛むほど 
旨さを感じられる

食べていて 脂っこさは全く感じず
実に健全なタンパク質を摂取したぞ 
という喜びを感じる

うーん 聞いているだけで 
よだれが出てきそうです(笑)

それにしても ステーキを食べて
すがすがしい香りなんて 
感じられるのですね
びっくりです!

ちなみに 出荷の時期は 
日本と同じく20~40ヶ月だそうです

オーストラリアの南部の土地では 
1年中豊かな牧草が生えているので
こんな贅沢な牛の飼い方が
出来るのだそうです

そして 1年中 放牧なので 
飼育にお金がかからない

1頭1頭手間ひまかけて飼育する和牛と
たくさんを放牧して育てるオージービーフの 
価格差が大きい理由は
この飼育に要するお金の差によるところが
大きいそうです

オーストラリアには 
出荷前の100日間に限り穀物を与える
グレインフェッドという牛肉もあるそうですが

グラスフェッド グレインフェッドの比較を示す図

グラスフェッドとグレインフェッドを
食べ比べると

グラスフェッドの方が 
よりサシが少なく
断然 味に深みがありリッチで 良い香りがして 
食感も軟らかく

グラスフェッド グレインフェッドのお肉

食べ比べた人は誰しもが 
グラスフェッドに軍配を上げるとか

うーん グラスフェッド 
食べてみたくなりますね!


それにしてもお肉の味って
飼料によって 
そんなにも変わるものなのですね

個人的には
グラスフェッドとグレインフェッドの食べ比べに 
とても興味があります

グラスフェッド グレインフェッドのお肉2

どこかのレストランで 
やってないかな?


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