麻疹(はしか)の解説を続けます

<ワクチン>

麻疹は ワクチン接種 最も有効な予防法 といえます

ワクチン接種のイラスト

麻疹の患者さんに接触した場合は
72時間以内に麻疹ワクチンの接種をすることが
効果的と考えられています

@効果

麻疹含有ワクチン
(主に接種されているのは 麻疹風疹混合MRワクチン
の接種により

95%以上の人が 
麻疹ウイルスへの免疫を獲得できると言われています

麻疹風疹混合MRワクチンのボトル


@2回接種

ワクチンは 2回接種するのが良い

1回だけでは 
約20人に1人(5%)は免疫がつかないことあり

2回接種を受けることで 
1回の接種では免疫がつかなかった方の多くに
免疫をつけることができます


具体的にはワクチンを

1回接種することで 
95%の人に免疫がつくとされていますが

2回接種により 
99%以上の人に免疫がつくとされます


また 接種後の年数の経過とともに 
免疫が低下してきた人に対しては
2回目のワクチンを受けることで 
免疫を増強させる効果があります

2回接種するのが良い理由を説明する図

実際に 
近年は麻疹含有ワクチンの2回接種が行われ
麻疹に感染する方の人数は減っています

また 不幸にも感染された方は
ワクチン未接種 接種歴1回の人が多く
2回接種者からの発生はありません

このように 2
回接種の効果は確実に顕れています


@接種時期

2006年度から 定期接種として

*1歳児と

*小学校入学前1年間の 

幼児の2回接種制度が始まりました

予防接種のスケジュールを示す図

しかし それ以前に生まれた方は
はしかに感染していなければ 
免疫が十分でない恐れが強く
幼少期にかかったことがある人も 
免疫が持続しているか定かではありません

また ワクチンも
1回接種だけでは 免疫が充分でない可能性もあり
記憶に頼らず
抗体検査で免疫の有無を確かめることが大切です


@麻疹に対する免疫があるかどうか明らかでない場合

上述したように

*小さい頃に麻疹にかかったことがあるか
 わからない

*ワクチンを接種したか 
 2回やったかわからない

という方は ワクチン接種をお勧めします

たとえ過去にかかったことがある人がワクチン接種をしても
副作用は増強しませんし

経年変化により弱ってきている免疫を
ワクチン接種により 
再活性化させる効果もありますから

ワクチン接種を躊躇する必要はありません

ワクチン接種歴をたずねるパンフレット


@定期接種対象者以外で ワクチン接種を受けた方が良い人

定期接種の対象者でない方で

*麻疹にかかったことがない

*ワクチンを1回も受けたことのない

方は ワクチン接種の対象になりますから 
かかりつけの医師にご相談ください

医療従事者 学校関係者・保育福祉関係者など

*麻疹にかかるリスクが高い方

*麻疹にかかることで周りへの影響が大きい場合

*麻疹流行国に渡航するような場合は

2回目の予防接種について 
かかりつけの医師にご相談ください

また

*妊娠可能年齢の女性

*約25%が抗体陰性の
 30代後半~50代前半の男性

は人が集まる場所に行く際は 
早目に接種することが望ましいとされています


@副作用

1回目のワクチン接種後の反応として 
最も多く見られるのは発熱で
接種後1週間前後に最も頻度が高いですが
接種して2週間以内に発熱を認める人が約13%います

それ以外に
接種後1週間前後に発疹を認める人が数%いますし
アレルギー反応として 
じんま疹を認めた方が約3%
発熱に伴うけいれんが約0.3%に見られます

2回目の接種では 
接種局所の反応が見られる場合がありますが
発熱 発疹の頻度は極めて低いです


@麻疹単独ワクチンとMRワクチン(麻疹+風疹)の比較

麻疹のワクチンには
麻疹単独ワクチン と 
麻疹と風疹の両方が一緒になったMRワクチン
の2種類があります

麻疹の予防対策として
MRワクチンは  
単独ワクチンと同様の効果が期待されます

麻疹 風疹の単独ワクチン

また 麻疹ワクチンのかわりに 
MRワクチンを接種しても
健康への影響に問題はなく 
むしろ風疹の予防にもつながる利点があります


<妊娠に関する注意>

妊娠中に麻疹にかかると 
流産や早産を起こす可能性があります

妊娠中に麻疹にかかると 流産や早産を起こす可能性があることを注意喚起するポスター

麻疹のワクチンは 
生ワクチンという種類のワクチンですので
妊娠している女性は接種を受けることができません

また 妊娠されていない場合でも 
接種後2カ月程度の避妊が必要です

このように
既に妊娠しているのであれば 
ワクチン接種を受けることができませんので

麻疹流行時には
外出を避け人込みに近づかないようにする
などの注意が必要です


また 妊婦さんの家族は 
自分が麻疹にかかって妊婦さんにうつすことがないように
早目にワクチン接種を受けるべきです


ワクチン接種が勧められる人たちをまとめた図

一方 妊娠前であれば
ワクチン未接種 麻疹未罹患の方は
ワクチン接種を受けることを 積極的に検討すべきです


<海外渡航に関する注意>

@外国での発生状況

南北アメリカ 多くの中東 ヨーロッパ諸国では
年間数例から2桁までの非常に少ない報告数に
とどまっています

依然として多数の患者の報告があるのは 
主にアジア及びアフリカ諸国で
なかでも 中国 インド モンゴル パキスタン ナイジェリアなどからの
報告数が特に多い

海外での麻疹発生状況を知らせるポスター

@渡航に際して

麻疹にかかった(検査で診断された)ことがない方が
海外渡航される時には

渡航先での麻疹の流行の有無を確かめるとともに
ご自身の麻疹の予防接種歴を確認し

麻疹の予防接種を2回受けていない場合 
または接種既往が不明の場合
は予防接種を受けることをおすすめします


大人も麻疹にかかることを注意喚起するポスター





高橋医院