中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報


最近 さまざまな健康系の雑誌などで 
食物繊維に関する話題をよく目にします

食物繊維と書かれたカード


食物繊維は 
ヒトの健康にとって重要な6大栄養素のひとつですが

六大栄養素の説明図

書き手が医学生の頃は
タンパク質 脂質 炭水化物 ビタミン ミネラル 
が5大栄養素とされ

食物繊維は
独立した栄養素として教わらなかった気がしますが

今やビタミンやミネラル以上に 
食物繊維は注目されている

といっても過言ではないかもしれません


でも 食物繊維って なに? 
なぜ必要なの?

書き手も含めて そのあたりをが?? 
という方は多いと思いますので
説明していこうと思います


<食物繊維とは?>

ヒトの腸内で消化されない 
食品中の難消化性成分

植物の細胞壁を構成する不溶性成分 
植物細胞内の水溶性成分など
多彩な種類が存在します

その本質は 炭水化物に属する多糖類

炭水化物 = 糖質 + 食物繊維

という図式が成り立ちます

炭水化物=糖質+食物繊維であることを示す図

大腸などの消化管のなかで活躍して
健康維持に役立つ生理活性を発揮することが 
最近の研究で明らかになり
注目を浴びているわけです


<水溶性と不溶性>

食物繊維は 水溶性と不溶性に 大きく分類されます

水溶性と不溶性食物繊維の説明図



@水溶性

水に溶けゲル状となって

便を柔らかくし 排出しやすくし

有害物質 コレステロール 胆汁酸などを
吸着して便に排泄します

腸内細菌の善玉菌により 
発酵されて短鎖脂肪酸が形成され

短鎖脂肪酸は 
腸内環境の調節などのさまざまな機能を発揮します

この点が 不溶性との大きな差異です

水溶性食物繊維の特徴をまとめた図

果物や海藻
特にヌルヌル ネバネバ系食材に含まれているモノが多い

代表的なのは

ペクチン (果物の皮 野菜)

グルコマンナン (こんにゃく 山芋 里芋)

アルギン酸 (海藻)

βグルカン (大麦 オーツ麦)

イヌリン (ごぼう きくいも)

アガロース (寒天 天草)

アルギン酸 (こんぶ あらめ)

カラギーナン (海藻)

などです


@不溶性

水分を吸収して数倍から十数倍に膨れ

満腹感をもたらし
便量を増やし 
便の硬さを適度にしながら蠕動運動をして
便の排泄を促す効果に優れています

一方で 摂りすぎると
便が硬くなり 逆に便秘につながる恐れもあります

不溶性食物繊維の特徴をまとめた図

野菜に含まれているモノが多いですが

代表的なのが 
果物 野菜 穀類 豆類に含まれるセルロース
最も多く食べられていて
米ぬか 小麦 ふすま などの外皮に多く含まれています

それ以外にも

ヘミセルロース (穀類 野菜 豆類 果物)

ペクチン (野菜 未熟な果物)

リグニン (ココア ピーナッツ 緑豆)

キチン キトサン (きのこ えびかに甲殻)
 動物性で グルコサミンが結合した多糖類で
 抗肥満 脂質改善 整腸 免疫アップ 抗ガン作用がある

コンドロイチン硫酸 (フカヒレ)

βグルカン (きのこ パン酵母)

などがあります

聞いたことがある名前も 多いのではないでしょうか?


水溶性と不溶性の 
理想の摂取バランスは 
1:2 とされ

水溶性と不溶性の理想の摂取バランスは1:2であることを示す図

現代の日本人では
特に水溶性食物繊維の不足が
目立つと報告されています

水溶性食物繊維の不足が目立つことを示す図

あまり果物や海藻などを
食べなくなったせいでしょうか?
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