胃食道逆流症の治療は 
まず生活習慣の改善を試みます

生活習慣の変化により
この病気や症状が現れてきますので
その改善が 治療の第一歩になります

日常生活での改善点をまとめた図

<食習慣の改善>

@酸の逆流を引き起こす食習慣を改善する

*胃酸分泌を増やし LES圧を低下させる
 煙草 チョコ 
 炭酸飲料 アルコール カフェイン
 脂の多いもの 甘いもの 
 刺激の強いもの 酸味の強いもの 
 消化の悪いもの などを控える

*食道での酸暴露時間を延長させる
 煙草 アルコール チョコ 脂肪食 などを控える

食べてはいけない食物をまとめた図

@食べ過ぎ 早食いは やめましょう

*食べ過ぎると 胃に圧力がかかるので
 逆流をまねくLES弛緩が起こってしまいます

*早食いだと 空気も一緒に飲み込んでしまうので
 ゲップが出やすくなります



@食べ過ぎ 夜遅くの食事 を控える

*食後すぐに横にならない

*寝る前の2~3時間は食べない

食事の注意をまとめた図

<寝る姿勢に気をつけることも大切です>

@寝るときに上半身や頭を高くして 
 胃内容物が逆流しないようにする

@右側を下にして寝ると 胃内容物が逆流しやすいので 
 左側を下にして寝る

左を下にして寝ると良いことを示す図

特に症状を悪化させるのは 
煙草 アルコール 右臥位と報告されていますので
注意が必要です

寝るときの姿勢は 
意外にバカにならない重要なポイントなので
気をつけてください


<肥満 姿勢を改善する>

@腹圧が上がらないように 肥満を改善する

腹圧の悪影響を示した図

@背筋を伸ばした姿勢を心掛ける

*前かがみの姿勢はダメ

前かがみの姿勢の悪影響を示した図

@お腹をしめつけない

*しめつけるタイプのベルトや下着などは避ける

*重いものを持たない

@適度な運動を心掛ける


こうした生活習慣の改善は
これから解説する 
酸分泌抑制薬の治療と並行して行うと 
より有効的です



生活習慣の改善で 
思うような効果が得られない場合は 
薬物治療を行います

<治療の目標1: 
 症状のコントロールによる生活の質・QOLの改善>

@週に1回以上の症状発現は QOLに悪影響を与えます

*夜間の酸の逆流は 
 睡眠障害 非心臓性胸痛の誘発原因となるので
 コントロールが必要です

*夜間の胸やけは 
 最も大きなQOL低下の要因となります

こうした症状は
薬物治療により改善でき 
QOL改善につながりますから
症状の完全消失が治療目標になります

特に
プロトンポンプ抑制剤(PPI)
というタイプの酸分泌抑制薬は

ヒスタミン2受容体抑制剤(H2RA)
というタイプの酸分泌抑制薬や
胃運動機能改善薬より
有意にQOL改善効果があることが明らかにされています

PPI H2RAなどの薬については 
次回 詳しく説明します


<治療の目標2: 
 寛解の維持 合併症の予防>

初期治療で 症状の改善ができたら
次は 長期にわたる維持的な薬物治療により
粘膜傷害を治癒させ 
長期間にわたり寛解を維持することが目標になります

PPIにより80~90% 
H2RAにより40~70%
の患者さんで
目標を達成することが可能になります

また 
貧血 出血 食道狭窄 バレット食道 食道腺癌
といった合併症の予防も
維持治療の目標になります

薬物治療の詳細については 
次回以降 詳しく説明します
高橋医院