前回に引き続き 
厚労省の 睡眠障害対処・12の指針 
を紹介します


6. 規則正しい食事と運動習慣

朝・昼・夕に 
3食きちんと食べることは 体
内時計の維持に役立ちます

逆に 
朝食を抜いたり 
夜遅くに食べると 
体内時計が狂い

夜遅くの食事は 
それ自体が入眠を妨げます

良い睡眠のための食事と運動習慣の重要性を説く図

また 昼間に適度な運動をすると
昼夜のメリハリをつけ 
心地よい疲れが得られ 
自然と眠れるようになります

午前中より夕方の適度な運動が 
夜の睡眠には良いとされますが

無理な激しい運動は 
睡眠にはかえって逆効果ですから 
注意が必要です


7. 昼寝をするなら 午後3時までに 30分以内

体内時計の働きにより 
午後の早い時間には一過性に眠気がきます

昼食後の満腹感や 普段の寝不足から 
昼寝をしたくなりますが
30分以上寝てしまうと 
夜の睡眠に影響が出ます

というのも

適切な睡眠には
一度にある程度の時間を
まとめて寝る(メジャースリープ)ことが重要で

昼寝をしすぎて 
Stage3以上の深い睡眠になってしまうと
夜のメジャースリープが崩れ
いちばん深い眠りの徐波睡眠の時間が
減ってしまいます

そうならないためにも 
深い睡眠に至らない30分以内の昼寝が望ましい

30分以内の昼寝が望ましいことをアピールするイラスト

昼寝そのものの効果は
認められていて

適切な昼寝後には 
集中力 意欲が高まり 
覚醒レベルが最も上がります

シエスタ(昼寝)が
一般的に行われるスペインでは

短いシエスタは
脳卒中や高血圧リスクを減らすが

長いシエスタは
認知症リスクを増やす  
と言われているそうです


8. 眠りが浅いときには 積極的に 遅寝・早起きに

充分な睡眠時間を確保しようとして 
必要以上に早く床につくと
結局眠れず 長く寝床で過ごすことになり
さらに眠りが浅くなり 
夜中に何度も目覚めるようになります

そこで 積極的に遅寝・早起きにして
寝床で過ごす時間を適正化することが大事です

遅寝・早起きを勧めるポスター

遅く寝ることで 
眠気(睡眠圧)が高まる時間帯に
床につくことになり
結果的に入眠までの時間が短くなり 
睡眠効率が上がります


9. 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止 足のびくつき・むずむず感に注意

睡眠中にそうした現象がみられる場合には
不眠症以外の睡眠障害である
睡眠時無呼吸症候群 や 
むずむず脚症候群が疑われます
(これらについては あとで詳しく説明します)

不眠症とは対処の仕方が異なるので 
注意が必要です


10. 充分寝ても日中の眠気が強いときは 要相談

中枢性過眠症群や 
概日リズム睡眠障害の可能性がありますから
医療機関に相談した方が良いでしょう


11. 寝酒は不眠のもと

日本人は 
睡眠に問題があっても医師に相談する頻度は低く
睡眠のためにアルコールをとる方の割合が
高いですが(30.3%)

日本人は睡眠のためにアルコールをとる人の割合が高いことを示すグラフ

飲酒によって 
深い睡眠であるレム睡眠の徐波睡眠は減少し
ノンレム睡眠が 
特に睡眠後半に増加します

飲酒のレム ノンレム睡眠への影響を示す図

また
飲酒によって
睡眠時間が減少すること
長期的には 飲酒が睡眠を質・量ともに
悪化させることが
明らかにされています


12. 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安心

生活習慣や不適切な睡眠習慣を改善しても 
不眠症が改善しないときは
医師に相談して 
睡眠薬の助けを借りるのが良いでしょう

しかし 
自己判断で薬の量を増減したりするのは危険なので
服薬中は必ず医師の指示に従ってください

この点については 稿を改めて説明します


以上 厚労省の 睡眠障害対処・12の指針について解説しましたが

それ以外にも

@中途覚醒時に10分眠れなかったら 
 ベッドでなく寝室から出る

横になっているだけでも
意味があるというのは間違いで

眠れないままダラダラと
ベッドの上で過ごしているのは
不眠に対する恐怖感を増すだけなので

眠れなかったら 
思い切って起きて寝室を出てリビングなどで過ごし
眠くなったら寝室に戻るようにすると
良いでしょう


@どうしても眠れなければ 
 その日は朝まで寝なくても良い

ヒトは必要になったら 
本能的に最低限の睡眠は必ずどこかでとるので
眠れないことに
過度に神経質にならないようにすることが大事

といった注意も必要です


高橋医院