憂鬱な時代のアメリカでは 
欲望の民主主義はどうなっていくのか?

レポートは続きます

アメリカ人は 
ともと内にこもりやすい性質を持っている 
といいます

内向的なアメリカ人の姿

外交政策も
積極的に他国に働きかけていく政策と
他国との交渉を避け内にこもる孤立主義の間を
振り子のように
行ったり来たりしていました

第二次大戦以降は
世界の警察官を自負して 
積極的な外交を行ってきましたが
その流れが 
このところ勢いを潜めているのが現状です

積極的な外交を行っているアメリカの姿

パスク・アメリカーナが終焉し 
孤立主義に向かうのか?

特に9.11以降
アメリカはより内向きになってきた
という指摘もあります

そして

どこにもつながっていない
と感じる個人が増えてきた 
というのです

孤独感を感じている人

かつてのアメリカには
自由な中間共同体 コミュニティ 
市民組織が存在し

それこそが 
アメリカ民主主義を支える光でしたが

それらが この50年余り 
力を失っているというのです

こうしたアメリカの社会基盤が
崩壊したからこそ
人々は孤独・不安を感じ 
どこにもつながっていないと感じるようになり
ますます内向きになる

こうした個人の孤独な思いが
トランプ現象につながっている との指摘もあります

さらに 
グローバリズムの厳しい競争社会が 
その傾向に拍車をかけます

トマス・ホップスが
350年以上前に指摘したような

万人の万人に対する闘争 
欲望と欲望のぶつかり合い

それこそが 
まさにグローバル資本主義がもたらしたもので
それに対する個人の不安が 
アメリカを内向きにさせているというのです

欲望と欲望のぶつかり合いを描いた図

では そんなアメリカは 
この先 どうなっていくのでしょう?

政治学者のヤシャ・モンク(彼の意見は面白い!)は
3つの可能性があるといいます

*独裁的なポピュリストによる 
 独立機関の弱体化 報道の自由の抑圧

*トランプに対する抵抗勢力の立ち上がりにより 
 独立機関は破壊されないが
 それでも 長期的にはポピュリズム人気は持続し 
 民主主義は弱まっていく
 新たなトランプが出現してくる可能性

*現状を愁う若いアメリカ人が 
 民主主義 憲法の大切さを再認識し
 民主主義のために戦う 
 政治に積極的にかかわるようになる

もちろん 
3つ目の可能性がいちばん好ましいのですが
はたしてそうなるのでしょうか?

デモをするアメリカ人

ドイツ人哲学者の
マルクス・ガブリエル(彼の意見も面白い!)は

アメリカで 
トランプを弾劾する動きが出てきたら
それこそが民主主義が独裁政治に勝つ
貴重な瞬間である

それが出来たら 
アメリカは優れた民主主義制度を証明したと
世界は感心するであろう

と述べます

トランプを弾劾しようと訴えるチラシ

そして 今 起きている
トランプと行政機関の対立 
チェック&バランスシステムの存続の可否は
民主主義制度に対する極端なストレステストである
と指摘します

一方で 
政治哲学者のマルセル・ゴーシュグローバリズムの競争主義が席巻する世界では
人々は自分を守ってくれる存在の必要性を感じている
頼れる存在がないと不安を感じる

と指摘します

そこで 守ってくれる存在としての国家が 
注目されてきます

資本主義は破綻した 国家に戻ろう という主張をする人たち

グローバルに広がる 欲望の資本主義

国に守られる 欲望の民主主義

資本主義と民主主義は相いれない と主張する人たち

このねじれの先は どうなるのか?

そもそも 
資本主義と民主主義は 
敵対するものなのか?

議論は 少しずつ佳境に入っていきます
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