患者さんが 
お医者さんを受診される理由で 
最も多いもののひとつが

お腹が痛い!

お腹が痛いと訴える人

腹痛が主たる症状の病気は
他の症状を主訴とする病気より 
はるかに種類が多いと言われています

腹痛はそれだけポピュラーな症状で 
さまざまな病気によって起こってきます

お腹は 
他の体の部位に比べて面積が広いですからね

胃や腸の病気はもちろん

肝臓 胆のう 膵臓の病気

泌尿器系の病気

血管や筋肉の病気

*稀ですが 心臓の病気

*そして女性では 婦人科系の病気

みんな お腹が痛くなります


そこで これだけポピュラーな腹痛について 
解説したいと思います

そもそも 
どうしてお腹が痛くなるのでしょう?

腹痛は 大きく分けて3種類あります

@内臓痛

文字通り 
胃 腸 胆のう 尿管などの 
お腹にある臓器(内臓)が

無理やり伸びたり 
強く縮んだりした時に起こる痛みで

内臓そのものに分布する知覚神経によって 
痛みが自覚されます

うずくような痛みが
一定の時間をおいて繰り返し起こるのが特徴で

こうした腹痛は 疝痛と呼ばれます

お腹の調子が悪いときに感じる
腸管の蠕動運動にともなう 
波がある間歇的な痛みも 
内臓痛です

*痛みの場所が
 漠然として限局していない

*どんな痛みか具体的にうまく説明できない 
 漠然とした痛み
 (キリキリやズキズキではない)

であることが多く

吐き気 嘔吐 顔面蒼白 冷や汗などの症状を
伴うこともあります

内臓痛と体性痛の差異を示す表

@体性痛

内臓そのものの痛みではなく 
腹膜というお腹を包んでいる膜で感じる痛みで

腹膜そのものの炎症や刺激
炎症が内臓から腹膜まで波及した刺激 
による痛みです

内臓痛と異なり

*痛む場所ははっきりしていて 
 炎症を起こしている場所を押すと強く痛む

*突き刺すように鋭く 
 内臓痛より強い痛みが長く(30分以上)続く

*内臓痛のような 
 波がある間歇性の痛みではない

*体を動かすことで痛みが増すことが多く 
 歩くと「ひびく」ことがある

*内臓痛より重症で 
 自然に治まらず 手術が必要になることが多い

といったことが特徴です

内臓痛と体性痛の特徴を比較する表

@関連痛

内臓に生じた炎症の刺激があまりにも強いとき
周囲に隣接する神経線維が刺激されることにより 
別の部位に起こる痛みです

腹部が原因の痛みでも
腹部以外の部位に痛みを感じることがあり 
放散痛と呼ばれます

胆のう系の異常では 
 右肩や右側胸部
膵臓や十二指腸の異常では 
 背部

それぞれ 関連痛を認めることがあります

ち
なみに 
心筋梗塞や狭心症では
左肩や下顎に痛みを感じることがありますが
これも関連痛です

関連痛を感じる場所を示す図


このように 
腹痛は 
さまざまなメカニズムによって起こってくるため

医者は 
患者さんの痛みの訴えを詳細に聞いて 
診察して
痛みが起きている場所や 
その性状をはっきりさせて
痛みの原因として疑わしい病気を
思い浮かべ診断する必要があります

腹痛の診断は 
何気に医者の腕のみせどころでもあります

でも 患者さんは
なかなか上手にお腹の痛みを
表現することができないことが多い

そこで お医者さんに 
自分のお腹の痛みをどのように説明したらいいか
次回 解説します
高橋医院