とにかく 物語の設定も展開も 
ハチャメチャなのですが 

面白い!

だって 日本が誇る伝統芸能なのに

舞台には 
無機的に組まれた シンプルな金属パイプの骨組み
があるだけ

シンプルな金属パイプの骨組みの舞台

場内が暗くなって お芝居が始まると

まず流れてくるのが 
キリエ そして グレゴリオ聖歌

グレゴリオ聖歌を歌う聖歌隊

金属パイプの舞台装置の一部が 
十字架の形にライトで輝き
そこがキリスト教の教会であることを示します

そして 
着物姿に編み笠を被った信者と思われし人々が
神に祈りをささげ
そんなおごそかな信仰の場面が終わると

舞台は 
外国人神父と日本人女性信者の愛の語らいの場にかわり

バックに流れるのは 弦楽四重奏

弦楽四重奏を奏でる人々

しかも ナマ演奏

普段は太夫や三味線弾きが陣取る 
舞台脇の黒御簾がかかった場所に
ヴァイオリンやチェロを奏でる人たちが構えています

うーん なんだか シュールな感じです(笑)

そこで交わされるのは 
やがて悲劇を迎える許されざる愛の物語

この芝居の主人公の敵役となる
太閤秀吉の命により
国籍を越えたふたりの愛は引き裂かれ
ふたりの愛の結晶のひとり息子は 
哀れひとりぼっちの境遇となりますが

この哀しさ切なさを表現するしらべは

はい 今度は 義太夫です!

文楽劇場で義太夫を演奏する人

三味線の音色と野太い声により 
哀しみの世界が舞台の上にひろがります

キリエ グレゴリオ聖歌 弦楽四重奏 そして義太夫!

なんという奇想天外な カオスの世界!

書き手は 
こういうのは もちろん 嫌いではありませんが
お隣に座られている方は大丈夫でしょうか?
ちょっと不安です(苦笑)

ということで 
新橋演舞場の十月花形歌舞伎に行ってきました

新橋演舞場に行くのは 
お正月に海老蔵さんを見に行って以来です

演目は GOEMON

GOEMONのポスター

主人公の石川五右衛門を演じるのは
今 なにかと話題の 
片岡愛之助さんです

しかも 愛之助さんのズラは 

なんと茶髪!

茶髪のズラをかぶった愛之助

世の中の良識にアンチを唱えた
大盗賊の石川五右衛門が
茶髪のはしりだった 
というわけではありません(笑)

GEOMON は
布教のために日本に来たスペイン人宣教師と
明智光秀に縁のある日本人女性の間に
生まれたハーフだったという

とんでもない奇想天外な設定!

だから 赤毛のズラで 
見得を切ります!(笑)

そして 
秀吉のキリシタン禁止令により 
父をエスパニアに送り返され
明智の縁者の母は 
秀吉の毒牙にかかるまいと自決する

そんな状況で天涯孤独となった少年は 
伊賀で忍術の修行を積み
やがて天下の大盗賊 石川五右衛門となり
両親の仇である 
時の権力者・秀吉に刃向かう機会をさがす

そこに 歌舞伎の元祖 出雲の阿国がからんで 
ストーリーが展開します

”つづらぁ抜けたらぁ どこがぁ悪いい〜”

宙のりする愛之助

第1幕 最初の宙乗りで
秀吉の魔の手から救った阿国が隠れたつづらを背負い
空中浮遊しながら

茶髪のGOEMONが 
そう見得を切るのですよ

第2幕の展開が 
楽しみになったでしょう?(笑)
高橋医院