ガラスの天井を打ち破る女性が
増えてきた話題を紹介しましたが

書き手は政治や経済は専門ではないので
男と女の違いを 
生物学的に解説しましょう

今日のタイトルの

女は存在 男は現象

という文言は
免疫学の権威で 
自作の新作能も作られた多田富雄先生が
座談会で述べられた名言です

多田富雄先生の写真

でも どういう意味なのでしょう?

文化的 社会的な観点からも
とても奥が深い含蓄のある言葉のようにも
思えますが

実はこの言葉

ヒトの発生における性の決定現象についての 
趣のある表現です

書き手は多田先生のことは 
免疫学の教科書や
名著「免疫の意味論」をはじめとする
数々の著作を読ませていただき
とても尊敬していますが

それにしても 
うまい表現をされたものだと 
感心しています

男と女は 
どのようにして誕生してくるのでしょう?

精子と卵子が結合して受精卵を作り
お母さんの子宮のなかの胎盤の上で 
受精卵が分裂を繰り返して
徐々に胎児の体ができあがってきます

こうしたプロセスの途中で
胎児は 
男の子になるか 女の子になるか 
が決定されます

その時期は 
妊娠してから8週目頃とされています

胎児の性別が決まる妊娠8週目を示す図

つまり 受精卵が作られて7週目までは
胎児は男の子になるか
女の子になるか決められていない
いわば雌雄同体のような状況で 
発育しているのです

では 妊娠8週目で 
いったいどんなイベントが起こるのでしょう?

実はこの時期に 
性染色体のY染色体が働き始めるのです

Y染色体の説明図

Y染色体

聞いたことがあると思います

性染色体については 
次回詳しく説明しますが

Y染色体は
男性になる受精卵にしか存在しておらず

女性になる受精卵には 
Y染色体は存在しません

そして 
Y染色体上に存在する遺伝子の働きにより
精巣が作られるようになり

やがて精巣から
男性ホルモンが分泌されるようになり
男性の生殖器が作られるようになります

こうして 胎児の性が 
男に決定される

つまり 
Y染色体がなければ 男にならない

Y染色体が存在しなければ
胎児は妊娠11週目くらいから 
自動的に女性生殖器が作られ始めます

多田先生が 女は存在 と表現されたのは 
こうした理由によるものです

ね なかなかウイットに富んだ表現でしょう(笑)

性分化のベース・元型として
存在しているのは女性で

Y染色体というインパクトがなければ 
男性は分化してこないのです

胎児の性分化を決定するX Y遺伝子の説明図

なるほど 女が存在 である理由は
わかりましたが

では どうして 
男は現象 なのでしょう?

メルケルさんや メイさんや ヒラリーさんや 
小池さんをはじめとした
多くの女性たちに

あなたも 男は現象だと思われますか? 
と聞いてみたいものです(笑)

読み手の “存在”の皆さん “現象”の皆さんは
この文言 
どのように思われますか?

書き手は 
さすが多田先生 けだし名言!
と思っていますが

それ以上のコメントは 敢えて避けます(笑)
高橋医院