Brexitショックが冷めやまぬ 
暴力的な日射しの日曜日の午後

ちょうどタイミングよく(?)
英国ロイヤルバレエの公演に行きました

会場には
ユニオンジャックと日の丸が飾られていましたが
青地にたくさんの星が丸く描かれている旗は
ありませんでした(笑)

演目は ジゼル

英国ロイヤルバレエ公演の宣伝ポスター

ロマンテイック・バレエの代表作です

バレエファンなら
ストーリーはご存知でしょうが
馴染みのない方も多いでしょうから 
簡単にあらすじをご紹介します

ライン地方のある村に遊びに来ていた 
貴族のボンボンのアルブレヒト
村娘のジゼルを見て 
その美しいに魅了され
自らの身分を隠して彼女に言い寄ります

村娘のジゼル

ジゼルもアルブレヒトに魅かれて
ふたりは瞬時に恋に落ちて 
愛のダンスを存分に楽しみます

二人で踊るジゼルとアルブレヒト

しかしジゼルの母親は 
ジゼルと森番のヒラリオンを結婚させるつもりで
ヒラリオンもその気満々でした

そして アルブレヒトにも 
実は貴族の娘の婚約者がいたのです

但し 
彼はこの親が勝手に決めた婚約には乗り気でなく
だからこそ 
ジゼルに一目ぼれしたのですが、、、

アルブレヒトの婚約者とジゼル

アルブレヒトの婚約者と知らないジゼルは
この女性の衣装の美しさに
見とれたりしていますが

ジゼルとアルブレヒトが
仲睦まじくしていたのを見つけたヒラリオンは
アルブレヒトの正体を見破り
 
彼が納屋に隠していた剣を見つけ
ジゼルの前でそれを見せ 
彼が貴族のボンボンであることを明らかにします

さらに 
彼の両親や婚約者をその場に呼んで
アルブレヒトは婚約者がいながら
ジゼルを誘惑したことを 
あからさまにします

全てを理解したジゼルは驚愕し 
嘆き悲しみ 失意のうちに息絶えます

息絶えたジゼルを抱き悲しむアルブレヒト

悲しむジゼルの母親 
アルブレヒト ヒラリオン

ここで 第1幕は終了です

第2幕は ジゼルの墓がある森

この森は 
若くして亡くなった乙女たちの精霊が集る場所で
彼女達には 
自分を裏切って死に至らしめた男への怨念がこもり

精霊の女王・ミルタは 
精霊たちを指揮して
さまよいこんだ男を踊り狂わせて
死に至らしめる

そんな怖いところです

踊る乙女たちの精霊

ジゼルの墓を健気に護っていたヒラリオンは 
ある夜 精霊たちを見つけ
彼女達により踊り狂わされて 
湖に落ちて死んでしまいます

次に迷い込んたのが 
ジゼルの墓を探していたアルブレヒトで
ミルタは彼も踊り狂わせようとしますが

ここに 聖霊の世界の新入りのジゼルが現れ
アルブレヒトの前に立ちはだかり 
ミルタから彼を守ろうとします

アルブレヒトの前に立ちはだかるジゼル

ミルタの力で踊らされ 
ジゼルにより守られ
そんな繰り返しで 
やがてアルブレヒトの息も絶えそうになったとき

アルブレヒトを助けるジゼル

夜が明けて 
精霊たちは立ち去り

アルブレヒトは助かり 
ジゼルは精霊の世界に戻っていく、、、

精霊の世界に戻っていくジゼル

ね ちょっと キモイお話でしょう?(笑)

ジゼルを演じたのは 
ローレン・カスバートソンさんという
イギリス人のバレリーナでしたが

ローレン・カスバートソンさん

第1幕の最後で
ジゼルが全てを知って 
心が壊れていく場面の踊りは圧巻でした!

驚き 悲しみ 絶望 でも わずかな望み

そんな情動が見事に表現されていて
今まで見たジゼルの中で 
いちばんすごかった

ローレン・カスバートソンが演じたジゼル

思わず息をのんで引き込まれました

さて 帰り道 
真夏のような強い陽射しにご機嫌が斜めの同行者は

「私はいつも思うけれど 
 ジゼルのストーリーは嫌い!」

と語られます

どーして? 
ちょっとキモイけれど 
一応ロマンテイックでしょう?

だって アルブレヒトは 
たとえ気に入らなくても婚約者がいるのだから
ジゼルを誘惑するのはダメでしょ!

それなのに そんなアルブレヒトは 
ジゼルに守られて生き残り
彼女の死後も墓を健気に護っていたヒラリオンは 
殺されてしまうのよ

こんなストーリーは いけないわ!

なるほどー 
そこがお気に召さないわけですね

でも 結果的に自分を死に至らしめた
アルブレヒトのことを
死後の世界でも守ろうとするほど 
ジゼルは彼のことを愛していたという
そんな哀しい純愛のお話ではないの?

と 反論しようと思いましたが 
家庭平和のためにやめました(苦笑)

不倫している人は 
ジゼルのストーリーは美しいと思うのかな?

お怒りはなかなかおさまらないようで

そんなこと考えたこともなかったけど なんて
小心者には言えませんでした(苦笑)
高橋医院