花粉症の治療のポイントは
症状が出る前の初期から
治療を開始することです

<初期療法のお勧め>

*花粉が飛散する前
*症状が出る前 もしくは 
 まだ症状が軽いうち

から開始する治療を 初期療法といいます

初期療法を行うと
発症を遅らせたり
症状を軽くできる可能性 があります

逆に 症状が悪化すると
粘膜の炎症が進行してしまうので
薬が効きづらくなります

早期治療開始の有用性を示すグラフ

ですから
毎年花粉症で悩まれている方
特に例年の症状が強い方は

花粉の飛散が始まる前から 
早目に初期療法を始められることを
お勧めします

<維持治療 の必要性>

現在行われている薬による治療は
症状を和らげますが
アレルギー体質を改善するわけではありません

ですから
花粉が存在している間は
治療をやめれば
症状は再び悪化してしまいます

したがって
たとえ症状が軽くなっても
シーズン中は継続して
薬を服用(維持治療)する必要 があります

維持療法の説明

スギ花粉の飛散は
4月にはピークを過ぎますが

約1か月遅れで ヒノキ花粉が飛散し始めるため
ヒノキ花粉にもアレルギーがある場合は 
5月頃まで症状が持続することが多いようです

毎月の花粉飛散量と症状の強さの関連

<鼻の症状を和らげる薬>

花粉症は 鼻の症状の特徴により

*鼻漏型くしゃみ 鼻水 がつらい

*鼻閉型鼻づまり がある

*充全型 : 全ての症状が同じくらいある

の3つのタイプに分けられます

ちなみに 花粉症の鼻水は無色でサラサラです
鼻水がネバネバしていたり黄色っぽかったら
風邪も疑う必要があります

花粉症の症状が起こる機序の解説で
肥満細胞から放出される
ヒスタミンロイコトリエンの差異と
引き起こされる症状の関連について説明しましたが

ヒスタミン ロイコトリエンの作用

くしゃみ・鼻水ヒスタミンにより引き起こされるので
鼻漏型には
抗ヒスタミン薬

一方 鼻づまりロイコトリエンにより引き起こされるので
鼻閉型には
抗ロイコトリエン薬点鼻の血管収縮薬

が主に用いられます

くしゃみ・鼻水に効く薬 鼻づまりに効く薬

なお 抗ロイコトリエン薬
効果が発現するまでに
3-4週間かかりますから
早目の服用が必要です

ですから
毎年 鼻づまりで悩んでおられる方は
早目の治療開始をお勧めします

これらの代表的な薬で改善が得られない場合は

*Th2サイトカイン阻害薬 

*ケミカルメディエーター遊離抑制薬 

*ステロイド 

などが用いられます

@鼻炎症状の重症度分類と治療

くしゃみ または 鼻をかむ回数が
1日で
5回以下は軽症
5-10回は中等症
10-20回は重症
20回以上は最重症
とされます

鼻づまりのために口をあけて呼吸することが
全くなければ軽症
ときどきなら中等症
かなりの時間なら重症
1日中ずっとなら最重症
とされます

こうした症状の重症度により 
治療に用いられる薬のタイプが異なってきます

重症度に応じた花粉症治療の選択




<目の症状を和らげる薬>

目のかゆみ・充血・涙 
が 花粉症の目の3大症状で

これらの症状の改善には
抗ヒスタミン薬の点眼薬 が主に用いられます

改善が得られない場合は
*他の作用機序の抗アレルギー点眼薬 
*ステロイド点眼薬 
などが用いられます

花粉症の点眼薬

また 目がかゆいときに
かいてしまうと
かえって炎症が悪化する可能性がありますから

冷たいタオルを
目の部分に乗せて冷やすなどして 
かゆみの改善を試みてください

コンタクトレンズ
涙による花粉を洗い流す効果を
妨げる可能性がありますから

花粉症の方はシーズン中は
花粉ブロック効果の点からも
メガネ着用が良いでしょう

<花粉症の医師が服用している抗ヒスタミン薬>

花粉症の治療に
最も使われるのは抗ヒスタミン薬ですが
困った副作用に 眠気があります

鼻粘膜で効いてくれるときは
鼻水などの症状を改善してくれますが

脳内で作用すると
眠気や集中力の低下が起きてしまいます

抗ヒスタミン薬の鼻との脳での作用の違い

最近の第二世代の抗ヒスタミン薬は
そうした副作用はかなり軽減しましたが
それでも
多少の眠気を感じることは少なくありません

また 同じ薬でも
ヒトによって効果や眠気が異なることがあり
自分にあった抗ヒスタミン薬に出会うまでは
試行錯誤を余儀なくされることも少なくありません

たくさんの種類がある抗ヒスタミン薬の 
効きめと眠気の関係は
下図のようになっています

花粉症の薬の効きめと眠気の関係

効きめが強い薬は
どうしても眠気も強くなってしまう傾向があります

ちなみに
日経メディカルが 2014年2月に
1951人の医師を対象に行った
花粉症に対する抗ヒスタミン薬治療の
オンラインアンケート調査によると

*花粉症の医師の 76%は
 抗ヒスタミン薬を服用 しており
*その 約1/3は
 症状が出る前から服用を開始 していました

抗ヒスタミン薬には
上記のように色々な種類がありますが

医師が自ら服用している薬は
アレグラがダントツの一番人気で(27%)
次いで ザイザル アレロック アレジオン クラリチン タリオンでした

医師が自ら使用している花粉症の薬


副作用としての眠気 の少なさを重視している医師に
人気だったのは
やはりアレグラが1位でしたが
全体では5位だったクラリチンが2位で
眠気が嫌な医師には クラリチンも人気が高いようです

一方 有効性を重視している医師に人気だったのは
これもアレグラが1位でしたが
ザイザル アレロック を使う医師の割合が増加していました

効きめを重視するか 眠気のなさを重視するか

かなり悩ましいところですが
まずは試してみるのがいちばんなので
気軽に相談してください





高橋医院