書き手さんは左利きだそうですが 
どんなお酒がいちばんお好きですか?

ときどきそんなことを聞かれますが
こういう質問は 
答えに窮して困るのですよ

だって
ビールもワインもウイスキーも
ジンもウオッカもラムも
テキーラもアクアビットも
焼酎も泡盛も
グラッパもマールもリキュールも

何でもお好きなのだもの(苦笑)


でも 冬はやっぱり 
日本酒でしょう!

湯の中で温められている燗酒

書き手は若い頃は 
あまり日本酒が好きではありませんでした

というか ほとんど飲む機会がなかった

おじさんが飲むお酒 
ちょっと甘ったるい 
というイメージがあって
日本酒を勉強するチャンスがなかったのです

そのうちに世の中では大吟醸ブームがはじまって
“果物の香りがする 上品な冷えた日本酒” 
なぞを 
生意気に飲む機会がだんだん増えてきて

それから辛口日本酒ブームもあって
「辛口の日本酒ください」と
お店で冷酒を頼むことも度々ありました

冷酒の徳利

で そうこうしているうちに
書き手は基本的にお勉強が大好きですから

日本酒のことも
ちゃんといろいろと
勉強するようになったのですよ(苦笑)

ただ かなり勉強を積んでも
お燗をした日本酒 を飲む機会は 
全くありませんでした

あれこそまさに オジサンが飲むもの 
というイメージが強くて

お酒をあたためて飲んで 何が美味しいの? と
はなから燗酒は選択肢の対象外でした

今から思うと 
だからお子ちゃまは
困るのですよね(苦笑)

さむ―い冬の日に 
小走りに駆けこんだ
小料理屋のカウンターに座り
凍えた両手をさすりながら 
お酒のお品書きを見て

「この山廃のお酒をお燗してください 
 ひと肌よりちょっと熱めで」 

と お願いする

これこそが 
大人の冬の夜の過ごし方でしょう?(笑)

お猪口に注がれる燗酒

世界広しといえども 
温めて美味しいお酒はほとんどありません

書き手が知る限りでは 
日本酒と紹興酒くらいかな

ワインを温めたグリュ―ワインもありますが
あれはクリスマスのお遊びだし

でも 日本酒のお燗は 奥が深いのですよ

だって同じ日本酒でも 
冷やと燗では全然味が違う

しかも同じお燗でも 
温度の違い 暖かさでの違いで
微妙に味が異なってくる

まるでマジックです!

30℃だと 日向燗  
35℃だと ひと肌燗  
40℃だと ぬる燗
45℃だと 上燗  
50℃だと あつ燗  
55℃だと 飛びきり燗

温度の違いにより 
お燗も呼び方が異なります

そして
50℃ あつ燗 だと 
香りがシャープになり より辛口に感じる

45℃ 上燗  だと 
味・香りがきりっとしまる

40℃ ぬる燗 だと 
香りを最も大きく感じ ふくらみのある味わいに

35℃ 人肌燗 だと 
米や麹の香りが感じられる

30℃ 日向燗 だと 
香りが引き立ち なめらかな味わいになる

蘊蓄の世界が 
どんどん広がりますね(苦笑)

さまざまな温度の燗酒の名称を示した図

「ぬる燗とひと肌燗のあいだ 
 ちょうどネコの体温くらいのお燗に
 してください」

なんてお店でお願いしたら 
ホントに変なオヤジ?(苦笑)

熱燗で頼んでおいて 
ちびりちびりと飲みながら

だんだん温度が下がってくるのにしたがい 
変化してくる味わいを楽しむのも 
意外に楽しいのですよ

だんだんと 
ぬるく やわらかくなってくる

書き手は勝手に
「グラデイエーション飲み」
と称しています(苦笑)

そして 
ひとりお猪口を傾けながら

うーん 
書き手も立派なオヤジになってきたなと
しみじみと感じるようになりました(苦笑)

徳利に注がれる湯気の立つ燗酒

どうしてお燗をすると
日本酒がおいしくなるかは 
次回ご説明しましょう

えっ このネタ ひっぱるの?(笑)


高橋医院