11日に近所の鐵砲洲稲荷神社で 
寒中水浴大会・寒中禊がありました

寒中水浴大会・寒中禊の旗

鐵砲洲神社江戸時代の八丁堀界隈を紹介したブログにも書きましたが

平安時代初期の841年に 飢饉を祓う目的で
この辺りの土地を作られた
産土神(うぶすなのかみ)の
生成太神(いなりのおおかみ)を祀り
御守護を祈願したのが由来で

その後 
江戸湾の埋め立てが進み
海に向かって土地が広がるとともに
次々に海沿いに遷座を繰り返し
江戸時代の寛永元年(1624年)に
現在地に移られたそうです

その頃は 
江戸の町で消費される米・塩・酒などの
ほとんどの生活物資は
全国からまずこの鐵砲洲の湊へ入ってきたため

鐵砲洲生成太神の名は
船乗人の海上守護の神として全国にとどろき
船乗りさんたちから崇敬を集めたとか

ブログに書いたとおり
湊から江戸城下に物資を運ぶために
作られたのが八丁堀です

ちなみに八丁堀は 
氏子エリアからはわずかにはずれていますが
いちばん近い神社なので親しみがあります


先日 お昼休みにお参りにでかけましたが
近隣の会社の方々が集団で初詣に来られていて
社殿では15分間隔のスケジュールで
御祈祷が行われていて大賑わいでした

初詣客でにぎわう鉄砲洲稲荷

さて 寒中禊

今年で第61回を数える歴史ある行事で 
年々参加者が増えているそうです

寒中禊のちらし

今回は100人ほどの参加者 
200人以上の見物客で大賑わいでした

お天気が素晴らしく良く 
例年よりも暖かかったので
水浴される方のコンディションとしては 
少しは楽だったのでしょうか?

今年は神社の敷地が工事中だったので
隣の公園に 
大きな円形プールのような水浴の場が設けられ
氏子の会の弥生会の方々が 
お揃いのいなせなはっぴ姿で準備されています

準備の様子

神社の敷地内では 
越中褌で頭に鉢巻を巻かれた方々が 
ウオーミングアップ中

ウオーミングアップしている越中褌で頭に鉢巻を巻かれた人たち

なんと水浴場には氷柱が! 
それを見ているだけでも
凍えてきそうです!

水浴場に入れられる氷柱

さて 書き手は不勉強で知りませんでしたが

寒中水浴・禊は 
れっきとした神道の行事なのですね

ですから 
神社本庁から来られた専門家の講師の指導の下に
執り行われます

まずは神社に向って一礼し 
鐵砲洲神社の宮司さんが安全を祈願されます

一礼する参加者たち

そして 
体を暖めるために神社の周りをランニング

ランニングする参加者たち

それにしても まさに非日常の世界で
不謹慎な表現かもしれませんが 

正直言って 
インパクトが大きいです!

そして 水浴場を囲んで 
準備運動が始まります

準備体操する参加者たち

あとで勉強して知りましたが
この準備運動の一連の動作は
「鳥船」と呼ばれる神道の儀式で

身体の邪気を発散させつつ 
心と霊魂を浄化統一する行事だそうで
船の櫓をこぐ姿勢で足腰を踏ん張り 
ひじを曲げて 力強く両手と腰を使って
両手で櫓をこぐように上下させます

櫓をこぐように体操する参加者たち1
櫓をこぐように体操する参加者たち2

体を動かしながら講師が和歌を歌われ 
参加者が続いて斉唱します
和歌が大きなのぼりに記されていて 
皆さんそれを見ながら歌われます

和歌が書かれた大きなのぼり

終わりに「
イーエッ エーイ」とか「エーイッ ホ」
と掛け声がかかりますが

皆で斉唱するとその声が大きくて 
周囲に響き渡るようでした

この運動と和歌の斉唱は初めて見聞きしましたが 
とても印象深かったです

今でも 独特な節回しや 
普段は聞き慣れない言葉が並ぶ歌詞が
耳に残っているような気がします

そして両手を腹の前で上下に重ねて振りながら
祓戸大神(はらえどのおおかみ)と唱えます

これは「振魂(ふりたま)」という
やはり心と霊魂を浄化統一する作法だそうです

ふりたまする参加者たち

それから「雄健(おたけび)行事」

生魂(いくたま) 
足魂(たるたま) 
玉留魂(たまたまるたま)

空に向って叫びます

生魂は 創造 発展 完成の神さま
足魂は 不足を豊かに充実させる神さま
玉留魂は 遊離した魂を再び静め 死者の魂を復帰させる神さま
だそうです

おたけびする参加者たち

さらに「雄詰(おころび)行事」

凶事をもたらす禍津霊(まがつび)を断ち 
大地の霊気を受ける目的で
左手を腰に当て 右手人差し指と中指を額に当ててから
自分の前に己の悪い部分があると想定して
それを斬るように指を振り下ろします

おころびする参加者たち

これはビジュアル的に
印象的(不謹慎でごめんなさい!)な行事でした

そして最後が「気吹(いぶき)行事」

息を吐きながら上体を前に傾け 
息を吸いながら両手を開いて上に伸ばし
広げた両手を頭の腕で重ね合わせ
それを静かに下ろして腹の前で
臼を回すように動かします

いぶきする参加者たち

こうした一連の行事を終えてから
水に入って 
腰を落として肩までつかります

水に入る参加者たち
肩まで水に浸かる参加者たち

水浴している間は 
振魂しながら唱えています

水浴時間は3分ほどでしょうか

待機されている方のなかには 
女性の方々もおられました

そして順番に次の方々と交代します

交代して水に入る参加者たち

初めて見学しましたが
寒中水浴は禊を目的とした
神道の行事だということを
全体を通して見て 
まさに身をもって知ることができました

ひとつひとつの所作に意味があって
その意味するところが 
普段の生活では考えたこともない
体の中から邪気を払うとか 
神さまに呼びかけて魂と霊魂を統一するとか
そうしたことだったので

ある意味でカルチャーショックというか 
面喰いました(苦笑)

水から上がった参加者たちの後ろ姿

書き手は 
神道にシンパシーを感じる部分は多々ありますが
きちんとした神道行事を見聞きする機会が
ほとんどなかったので

今回の寒中禊は 
とても印象的で勉強になりました

も 勉強したら奥が深そうですね

見物される方の数がすごくて 
後ろから眺めるとこんな感じ

写真を撮るたくさんの見物客

報道の方々も 
たくさんいらしていました

水浴中は神楽の音色が響き渡り 
耳に心地が良く 印象深かったです

お囃子の様子1
お囃子の様子2

季節の風物詩の見学といった 
軽い気持ちで行きましたが
想定外に色々とインスパイアされて 
興味深かったし勉強になりました!

神道をちょっと身近に
感じられたような気もしました


それにしても 再度  ねえ

近所のお寿司屋さんのご主人にその話をしたら
悪いことをしている人は 
禊を受けた方が良いのですよ
と言われました

読み手の皆さんは 禊 必要ですか?

書き手はもちろん 必要ありません?(笑)

 
高橋医院