塩分過剰の怖さ 
食塩感受性高血圧の危険性

を説明してきましたが

現実的な日々の減塩について
説明したいと思います


健診で血圧が高目だと指摘され
医療機関を受診された方は

耳にタコが出来るほど「減塩 減塩」
繰り返し聞かされていることと思います

そうした成果により
高血圧や生活習慣病の予防・改善のために減塩が重要
との認識は高まっていますが

ところが残念なことに
その意識が
必ずしも日々の生活での食塩摂取量の低下には
結びついていないようです


日本人の食塩摂取量は
やっと1日10gまで減ってきましたが

日本高血圧学会が推奨する目標値:1日6g

世界保健機構WHO推奨の目標値:1日5g

最近の欧米の
食に関するガイドラインが勧告する1日3.8g

までは まだまだ大きな隔たりがあります

1日の塩分摂取量の目標値

しかも 
本来ヒトは塩分は1日1gあれば生きていけるわけで

現代人の食塩摂取量は
生理的必要量をはるかに超えている事実を
再認識すべきです


では 現代人はなぜ
そんなに多くの塩分を摂取してしまうのでしょう?

その原因は外食と加工食品です!


家での食事の際の
醤油や味噌の使い過ぎに気をつけましょう
と言われますが

実は家庭の調理での塩分摂取量は
20~30%に過ぎず

あとの70~80%の塩分は
全部外食や加工食品に含まれているのです


外食では
安上がりの満腹感を与えるために
必要以上の塩分が添加されています

鍋焼きうどん ラーメン かつ丼などは
それ1品だけで5g越えです!

様々な食品に含まれる塩分量

家庭で食事をしていても
加工食品を利用すると 
一気に食塩摂取量が増えます

魚の焼き物・練り物やハムには塩分が多い

カップラーメン インスタントラーメンは
それだけで5g越え!

加工食品に含まれている塩分量

忙しい奥さまにとっては 悩ましい限りです、、、

しかも厄介なことに

いちど添加塩分が高い食べ物の味を覚えてしまうと
食材そのものの味覚に対する感覚が鈍ってしまい

さらに多くの塩分が含まれている食べ物でないと
美味しく感じなくなってしまう

舌にある塩味を感じる
味蕾(フグのお話を覚えていますか?)の
ナトリウムチャンネル活性が低下するために
そのような悪循環スパイラルが
進行してしまうのです

舌の上の味蕾の分布図


昔と違って現代は塩は安く 
人の嗜好にもあっているから
食産業では大量に塩を使う

また日々のストレス食塩に対する欲求を高めるので
さらに多くの塩分を摂取してしまう

これが
現代社会における塩分中毒の実態です

ですから 
なるべく外食や加工食品を避けるようにして
しかも出来る限り調味料を使わずに 
食材そのものの味を楽しむようにする




塩分を摂りすぎないようにする方法


・麺類の汁 スープは飲まない
・丼物は避ける
・醤油は控えめに
・塩の代わりにレモンで味付ける

そして 
一気に無理な減塩を推し進めるのではなく
徐々に気長にそうした習慣を
身につけるようにすれば
減塩を現実的に行うことが可能です

減塩のポイント

特に先日ご紹介したように
肥満 メタボ 糖尿病などの
食塩感受性が高い患者さんは
充分に気をつけていただきたいものです 


幼少児がおられるお母さんたちに
気をつけていただきたいのは
日本の幼少児の食塩摂取量が多い事実です

幼少期の減塩は
大人になってからの血圧上昇を抑制する可能性が
報告されていますから

お子さんが欲しがるのはわかりますが
出来るだけ加工食品は
使わないようにしてあげてください


でも 塩っ辛いものは
美味しいのですよね(苦笑)

塩がまぶされたプレッツェルと塩焼きの魚
高橋医院